2013年03月15日

建築・工業製品などで、余分な装飾を排してむだのない形態・構造を追求した結果、自然にあらわれる美しさを機能美と呼ぶが、まさにこれぞ究極の機能美を捉えた瞬間の写真だと思う。陳腐な比喩表現でスティーブジョブズやジョナサンアイブには申し訳ないが、現時点でアップル工業製品の美しさは神の領域に到達しており、追随者は存在しない。

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神の領域に到達したアップルデザイン!次世代 iPhoneに搭載が噂されている夢の新素材とは?

iPhone5やiPad3を使用しているときにいつも気になるのはホームボタン。このボタンを押すと必ず最初の画面に戻ることができるので重宝しているのだが、常々知りたいなと思うのはこのホームボタンと周囲のガラスパネルとの隙間はいったい何ミリあるのだろう?ということだ。誰が見てもこのホームボタンとガラスパネルとは別部品であることは一目瞭然なのだが、その隙間が肉眼で確認できないのはもちろんだが、指で触っても滑らかにつながり、実に自然な凹→凸への連続面の変化を感じさせる仕上がりとなっているのだ。

想像するにスティーブジョブズまたはジョナサンアイブの狙っていたものは、まず隙間を見せない、そして別部品を使用していることを利用者に知覚させないほどの滑らかで自然なつながり、そして究極の目標としては同一パーツでつながっているかのような錯覚をさせること、だったろうと思う。

モノづくりの仕事に従事している人ならば理解してもらえるかと思うが、別素材を組み合わせ時に隙間・段差を知覚させないのは現代工業技術では不可能に近い。常時固定部品ならまだしも稼働部品で継ぎ手の存在を皆無にすること、あるいは隙間を0にすることはできないのだ。

その、ともすれば不可能とも思える、もっと言えばアップル以外の全工業製品のデザイナーを持ってしても挑戦しようとすら思わない目標に果敢に挑戦したアップルのモノ作りの原点がiPhoneやiPadのホームボタンだと思うが、iPhoneやiPadを所有している人はぜひ今一度ホームボタンと周囲のガラスパネルとのつながりを確認して欲しい。

別部品を組み合わせながら、これほどまでに隙間・段差を極力排除した工業製品があったとしたらぜひとも教えていただきたいのだが、以来その製造方法を知りたくてさまざまなサイトを巡回してみた。が、これといって明確な記事には出会ったことがないのだ。こんなことに疑問を持つ人間なんてそうそう居ないのは充分承知のうえだが、ホームボタンを設置している理由についてはおおよその見当は付く。

このブログでは何度か書いたことがあるが、アップルが発売するPC"Macintosh"のマウスはいまだに見た目ワンボタンなのだ。もちろん機能設定をすればWindows同様に2ボタン、3ボタンの使い方はできるのだが、いまだに原則はワンボタン。その頑固なまでの意思表示はひとえにユーザの利便性を考慮してのことだろうと推察しているが、であるのならばそうそうにホームボタンは廃止しないはずだ。

アップルのマウスは1ボタン!

アップルが1ボタンにこだわり続ける理由については諸説紛々だが、当時アップルがマウスを開発するにあたり1ボタンにすべきなのか、それとも2ボタンにすべきなのか迷い、多くのユーザを対象に実験を兼ねてヒアリングをしたところ、1ボタン支持派が多かったからだという。多機能さよりも明快さを優先する、いかにもアップルらしい逸話だが、それと同様のポリシーをこのiPhoneの横幅に感じてしまうのだ。

さてそのアップルデザインの秘密に迫る、含蓄ある記事が日経新聞に掲載されていたので関心ある方はぜひ一読を。なぜそこまでお金をかけるのか?他社ならばもっと安易な製造手法を選択するのにも関わらず、そこまでこだわる理由は一体何なのだろう。他社動向など眼中に無いかのようにひたすら究極の機能美を追求し続けるアップルという会社の設計思想に関心を持ってもらえれば幸いである。

【追記】m.jさん、たけぞ~さん、スーパーぶるーさん、コメにレスできなくてすみません。先日たけぞ~さんのコメにレスしようとしたらなぜか不適切ワードに引っかかったらしく、コメ入力エラーとなって以来、コメントが書けません。不適切ワード登録も一切していないので、管理者入力コメントがエラーになること自体がおかしいのですが、どうしてなんでしょう?おそらくIPではねていると思うんですけれど、でもブログ運営者のコメをはねるなんて・・・回復するまでお待ちください。

なお前々からお知らせしている通り、すでに多忙期入っているために記事投稿やレスコメが遅れがちです。記事投稿意欲は相も変わらず旺盛なのでなるべく継続したいですが、場合によっては一時停止・断片投稿なども考えに入れなくてはならないかもしれません。あらかじめご了承ください。

一見普通な最新iPod 「しっとり肌」のヒミツ

2013/2/28 7:00

表面に触れると感じるのは、アルミニウム合金(以下アルミ)独特のさらさらした質感だけではない。同時に滑らかでしっとりとした触り心地も提供する。きめの細かい肌を思わせる、そんな不思議な質感を米アップルは携帯音楽プレーヤー「iPod touch(アイポッドタッチ)」の新型機(2012年10月発売)で実現した。日経デザイン誌が専門家の協力を得て、最新iPod touchの肌触りのヒミツに迫る。

日経デザイン誌は2011年末に、先代「iPod nano(アイポットナノ)」のアルミ表面処理に関して詳細な分析を行ったことがある。その時にはアルミの陽極酸化処理の前後に徹底した研磨処理を行うことで、キャンディーのようにつややかな面を作り上げていた。

アップルは今回、それとはまた別の手法でアルミの魅力を引き出そうと試みたのだ。一見すると、なにげないシンプルな板に見える最新iPod touchだが、そこにはアップルが長年培ってきたアルミ加工技術の粋が余すところなく投入されている。

日経デザイン誌はリーディング・エッジ・デザイン代表で、慶応義塾大学教授の山中俊治氏の協力を仰いで製品を分解。また同氏のほかに金属加工に詳しい複数の技術者にも助言をもらいながら、iPod touchのデザインと金属加工の秘密に迫った。

■徹底して磨き、念入りに梨地を入れる

徹底してスムーズに一見ただR(アール)を付けただけに見える角の形状も、実はスプライン曲面で平面から曲面に移る部分がスムーズに、丁寧にデザインされている。
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まずはその外観を見ていこう。一見すると、平面の板のエッジを丸くしただけの単純な形状に見えるが、実際その角は「平面から曲面へのつながりがとてもスムーズで、非常に丁寧な作り」(山中氏)となっている。

山中氏によれば角R(かどアール)の形状が製品全体のイメージに与える影響は大きいと言う。その意味では、アップルのスムーズさを追求した作りの角R形状は、製品の質感そのものを滑らかに感じさせる手助けをしている。

iPod touchで見るべき点は角のほかにもある。何よりも丁寧な仕上げとなっているのが、製品全体の表面処理だ。拡大写真にして見ても均一できめ細かく質感が損なわれない表面。これを見て、アルミ加工に詳しいある技術者は「下地の作り方やアルミを梨地にするための『ブラスト処理』に使う素材、そしてブラスト処理の方法まで、よほどの配慮をしていなければこの質感は実現できないはず」と見る。

きめ細やかなブラスト処理が施された表面
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アップル製の最新スマートフォン「iPhone 5」や最新iPod touchで使っているアルミは、同社によれば「6000シリーズ」と呼ばれる種類。正確には、A6063と呼ばれる押し出し型材だと思われる。A6063は押し出したときの筋目が表面に現れやすく、それが均一な梨地を作るときに大きな問題となる。

iPhone 5やiPod touchの場合、その筋目を消すために「おそらく一度鏡面になるまで徹底的に磨き上げているのではないか」と前述の技術者は予測する。これに加え、ムラのないきめが細かくそろった梨地を求め、通常より長く入念なブラスト処理を行っているようだ。

■手間がかかるのはシルバー

日経デザイン誌は2012年秋にiPhone 5を分解した際、金属きょう体にあるアップルのリンゴ型ロゴマークの加工方法が、シルバーと黒によって異なる可能性があることを指摘した。シルバーのリンゴマークと黒のリンゴマークとでは、「ロゴ表面の粒状や、鏡面部分の酸化被膜の厚みに若干の差がある」(山中氏)。iPod touchでも、シルバーとそれ以外の色(赤、青、黄、黒)のリンゴマークでは同じように差が見られた。

iPhoneやiPod touch、iPad miniのリンゴマークの光沢感は、シルバーが最も高い(写真左はiPod touch、写真右はiPhone5)
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iPhone 5やiPod touchのリンゴマークの鏡面は、一度鏡面に磨き上げた面をブラスト処理する前にマスキングし、ブラスト後にマスキングをはがしてきょう体全体に酸化被膜処理を掛ける、というプロセスになっていると考えられる。

ただし陽極酸化処理で酸化被膜を作ると、若干ではあるが皮膜面を曇らせてしまう。黒や色付きなら多少曇った鏡面でもそれほど意識することはないが、シルバーの鏡面では、その曇りが目立ってしまう。そこで、梨地面とは別に、シルバーのリンゴマークの鏡面が曇らない程度の弱い陽極酸化処理を行ったのではと日経デザイン誌は推測している。

シルバーと色付きでは、リンゴマークの加工が異なる
iPod touchの金属の表面処理は、色こそ違うがiPhone 5と同じ梨地の陽極酸化処理。ただし陽極酸化処理は金属の光沢面を曇らせてしまうため、曇りが目立つシルバーのリンゴマーク部分だけは2色アルマイトを採用したと見られる。金属光沢部分のアルマイトは、曇らないように特別な加工法を採用しているようだ。

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■ボディーを磨いたのはロボット?

また、今回のiPhone 5やiPod touch、iPad miniでは、これまでにない新たな試みが行われている可能性があることが、同社が申請中の特許と日経デザイン誌の独自調査から明らかになった。それが、曲面のある金属のボディー全体をロボットが磨く、という手法だ。

もはや人の手で磨かない
アップルが米国で申請中の特許(US2012/0220194A1)や日経デザイン誌の独自調査によると、iPod touchなどの研磨は図のように、ロボットを使って行うようだ。3次元形状をロボットが自動で研磨するところまで技術は進化している。

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これは、自動車の塗装などに使われるようなロボットアームで金属ボディーをつかみ、ラップ盤と呼ばれる回転する研磨盤に押し当てて研磨するもの。ロボットアームにはさまざまなセンサーが仕込まれ、研磨板に金属ボディーを押し当てる時の力加減や研磨盤とボディーとのごくわずかな距離のコントロールなどが行われていると見られる。これまでの研磨職人のノウハウをロボットに移し変えたものと言えるだろう。

かつてiPodのステンレスの鏡面は新潟の燕三条の技術者が磨いていたが、次第に日本から中国へと技術移転が行われた。そして新型iPod touchの研磨では、とうとう人の手を離れ機械による自動化が行われ始めているようだ。

人件費の高騰などで、中国での安価な労働力を活用した低コストのモノ作りは難しくなってきた。そこでアップルが狙う次の手が製造の自動化だ。先日同社のティム・クックCEO (最高経営責任者)はパソコン製品を米国で生産すると表明したが、その裏にはこうした人件費に依存しないモノ作りの仕組みがあるのかもしれない。

治具を本体と一体化し、後に削る
ボディーケース内側には、不自然なほど大きい削り跡がある。もともと切削や研磨、表面処理の過程でケースを固定するための突起が付いており、加工後にそれを削り取ったようだ。

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このほか、今回のiPod touchの分析での特筆すべき点として、治具(じぐ。加工しやすくするために工作物や部品を固定する器具)を本体と一体化し、後で削る処理をしていたことが挙げられる。ボディーケースの内側に、不自然なほど大きい削り跡があったのだ。ここにはもともと切削や研磨、表面処理の過程でケースを固定するための突起が付いており、加工後にそれを削り取ったと推察される。本体と治具を一体化するという考えは、切削加工ならではのアイデアだ。

許容マージンはゼロ
アップルは、異素材同士を組み合わせるとき、その隙間を限りなくゼロに近付けようとする。

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また、アルミと樹脂など、異素材同士を組み合わせるとき、アップルはその隙間を限りなくゼロに近付けようとする。iPod touchでも、樹脂パーツを切削機で削ってボディー裏面にピタリと組み合わせていた。


Lancer2000lancer2000 at 22:31│コメント(2)トラックバック(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

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この記事へのコメント

1. Posted by m.j   2013年03月16日 21:11
ドコモからここ最近、アップルのiOSのアプリにも関与する動きが有るみたいですね。
http://www.gizmodo.jp/2013/03/post_11848.html
ドコモ版スマートパス「スゴ得コンテンツ(仮称)」が6月にも開始されるとのこと。まあ、auのスマートパスみたいなものですが、、Androidは当然として、iOSにも対応する可能性があるみたいですね。
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20130314-00000012-biz_fsi-nb
ドコモ・イノベーションベンチャーズ(DIV)に関する記事ですが、この記事の中で、
「ドコモのスマホで利用することを想定したものと規定しており、応募案件は米グーグルのスマホ用基本ソフト(OS)「アンドロイド」向けが大半とみられる。ドコモ幹部は14日、米アップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)」に対応したサービスでも可能とした。 」
のコメントも興味深いです。
以上、もちろん、iPhoneがドコモから出るとは断言出来ませんが、やはり兆候らしき事象は有るみたいですね。


2. Posted by Lancer2000   2013年03月17日 22:37
4 m.jさん、情報提供、Thanks!!

なにやら嬉しい動きがこのところ続いていますね。またそろそろ花火を打ち上げる必要があるかもしれませんが、一応、それなりにネタは考えていますw

GALAXY S4も来月には出るでしょうから、予定通り新型iPhoneはやっぱり6,7月でしょう。それにしてもアップル、今年になってから全然動きがないから、そろそろ来て欲しいもの。忙しいながらもそれなりにチェックしたいと思います。

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