2013年04月21日

身近な言葉で【IPアドレス】を置き換えるとしたら、やっぱり住所だろうと思う。

住所Aに住んでいるのが、Bさんである場合、A=Bと捉えがちだが、よくよく考えればイコールにならないのは誰にでもすぐに理解できるはず。なぜならBさんに家族が居る場合、A=B,C,Dさんと増えることになるし、Bさんが長期不在あるいは賃貸、さらには売却直後だったりすると、A=B,C,D,E,F,Gと当事者の範囲が徐々に広がってくるのだ。つまり【IPアドレス=住所】で個人を特定することができる場合もあれば、できない場合もある。従って目安程度ぐらいに思っていればいいのだが、それを個人特定の手段として利用すると途端に痛い目に遭うわけだ。

その好例?が前代未聞の失態を演じたPC遠隔操作事件の誤認逮捕。ある程度のPC知識があれば、IPアドレスで個人を特定することの危険さがすぐに理解できるかと思うが、実は同種の発想でIPアドレスを個人特定の手段として活用しているサービスが他にもあるのだ。

ドコモメールは10月下旬に再延期、「抜本的な見直し」のため

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ドコモのスマートフォン向けキャリアメールサービスといえば鬼も泣いて逃げ出す SPモードメールが高名であり、動かない、データが消えるといった根本的な問題が偏在するのはもちろん、バッググラウンドで謎の動作を繰り返すため利用しない人にまで疎まれるという境地に到達。不安定ぶりから最近はLINE などメッセンジャーアプリ台頭の立役者と言われる始末です。

スマホカテにいつも記事アップしているので、Androidスマートフォンに詳しいと思われがちだが、実はガラパゴススマートフォンを購入したのはZETA SH-02Eが初めてだ。ゆえに本格的にspモードメールを使い出したのだが、このspモードメール、なんでこんなに出来が悪いの?と思うほどに設定作業が複雑怪奇だ。無線LAN接続による認証不可→3G回線切り替えを求められる不便さを手始めに、その出来の悪さを挙げていけばきりがないが、Engadgetにアップされた記事も同じように感じているのだろう。

spモードメールに対してかなり皮肉な書き方をしているが、【spモードメール 障害】【spモードメール 不具合】でGoogle検索を行えばいくらでもその事例が見つかるので、あながち見当外れな見解でもあるまい。まともなメールシステムすら構築できないキャリアがTizen OS開発なんてできるのだろうか?などという疑問がわき上がるのは決して私だけではないかと思うが、たまたま読んでいた2chスレでそのspモードメールの本質を端的に表した書き込みがあったので引用したい。

「ドコモメール」10月下旬に延期 「一部に抜本的な見直し必要」

SPモードメールの仕組み
http://www.nttdocomo.co.jp/binary/pdf/corporate/technology/rd/technical_journal/bn/vol18_3/vol18_3_045jp.pdf
・実際の中身は普通のPOP3/SMTP(暗号化)
・定期的にID/Password設定がリセットされる。
・リセットされたらID/Password設定をサーバーに貰いに行く。
・その時、IPアドレスとそれに紐付けられたユーザーの対応表で認証される。
 (だからトラブると他人の設定で上書きされ、他人のメールが届く)
・リアルタイム受信はショートメールでお知らせが届き、POP3鯖に取りにいく。

新しいドコモメール
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20121011_565432.html
既に広く使われているIMAPをわざわざ独自に作り直した感じ。

この【IPアドレスとそれに紐付けられたユーザーの対応表で認証】という設計思想そのものが驚天動地と言ってもいいかと思うが、ネットを徘徊すれば同種の意見は多々見られるのだ。

spモードメール障害は設計ミス

まず、「IPアドレスで加入者を識別する」という思想がかなりやばいと言わざるを得ません。初期iモード時代は無線ネットワークと一体になっていたシステムだったため容易に端末=加入者を識別出来たのでしょう。それがIPネットワーク化によりレイヤが代わり無線ネットワーク上の端末識別IDが使えなくなったため、IPネットワークで端末を識別するものは何か→IPアドレス→ではそれと加入者をひも付けて管理しよう、と安易に考えてしまったのでしょう。発想がいかに安易だったかはシステム構成の面倒さにも見て取れます。

spモードはなぜIPアドレスに頼らざるを得なかったか

しかも、IPアドレスは再利用されるIDであり、同じIPアドレスが(解放後に)別の利用者に割り当てられるものであるから、IPアドレスを利用者識別に用いたら、この同期の失敗は、利用者の取り違えという重大事故につながる。これに対して、docomoが会見で、「パケットのIPアドレスとユーザーをひも付けるのは自然の発想」と言ってのけたということで、技術者は皆、仰天し、「利用者識別にIPアドレスを用いるなんぞアリエナイ」といった声が相次いだ。

もちろんPC遠隔操作事件とspモードメールのIPアドレス紐付けは同列で扱うべきものではないのは理解しているが、IPアドレスを個人特定手段として使用すると様々な弊害が発生する点では同じ。となるとその後継システムであるドコモメールの開発も相当困難を極めるに違いないと思うのだ。

【2012年10月11日】 2013年1月予定と発表

spモードメールをクラウド化するとともに、サービス名を「ドコモメール」として今後提供してまいります。spモードメールのクラウド化でマルチデバイスでのメール利用が可能になり、機種変更時のデータ移行や、端末の故障時や紛失時など、データを消失した場合のデータ復旧も簡単です。また、クラウド化に合わせてUIやデザインを刷新し、よりわかりやすく直感的な操作が可能になります。

【2013年1月23日】 2013年3月提供開始と発表

当初、1月から提供される予定だったが、「お客様のメールという重要なデータを扱うことから、万全を期して提供するため」(ドコモ広報)に、提供開始時期が3月にずれ込むことになった。Webサイトや、店頭で配布するカタログでは、順次記載を変更し、案内していくとのこと。

【2013年3月15日】 提供開始延期を発表

2013年3月に提供を予定していたドコモメールについて、サービス品質のさらなる強化を行うため、提供開始時期を変更させていただきます。提供開始時期が決まりましたら、改めてお知らせをさせていただきます。お客様には今しばらくお待ちいただくこととなり、ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。

【2013年4月19日】 2013年10月下旬提供開始と発表

ドコモは、提供開始時期を変更しておりましたドコモメールについて、10月下旬よりサービスを開始いたします。ドコモメールにつきましては、提供時期の度重なる延期によりお客様に大変ご迷惑をおかけしております。ドコモでは、提供開始時期を変更し、便利かつ快適にご利用いただくためのサービス品質を目指して開発内容や開発スケジュールの精査を行ってまいりました。その結果、一部開発内容における抜本的な見直しの必要があることが判明したため、品質の改善・強化を行い、10月下旬よりサービスを開始する予定です。

悪名高いspモードメールの後継メールサービスは【ドコモメール】として、2013年1月→2013年3月→開始時期未定→2013年10月と3回もその提供開始時期が変更されている。どれぐらいの開発規模なのかは知らないが、普通に考えればその動作検証で最低でも一月以上の時間は必要なはず。

最初の発表である2012年10月11日の時点では、ほぼ提供開始の目途が立っていたものの、年内一杯は動作検証に当てて、年末年始の繁忙期を避けた年明け1月末ぐらいからの本格的な運用を目指していたのだろう。ところが、その動作検証期間中に軽微な障害または外部要因が加わったために1月運用開始を諦めざるを得なかったのではないか?

軽微な障害であれば自社内で対応すれば済むことだが、外部要因ともなると自社内で完結するわけにもいかず、その外部相手先の意見を聞くことになる。それが2013年3月15日の提供開始時期未定の発表につながるような気がするのだ。

当初2012年12月LTEサービス開始を予定していたauが、計画を前倒し、さらには2GHz帯でLTEを展開することに方針転換したのはアップルからの事前告知があったからだが、同様のことが2013年1月前後にドコモとアップルとの間であったとすれば、今回の迷走ぶりは説明できる。

独自の生態系を持つspモードメール&ドコモメールゆえにiPhone5Sに対応させるにはそれ相応の時間が必要だろう。3度に渡る度重なる提供開始時期の延期は、メールサービス内部要因と考えるよりは、外部要因との整合性にかかるものと考えた方が自然のような気がするのだ。いずれにしても6月のWWDCまで二月足らず。全てはそこで明らかにされるのかもしれない。

Lancer2000lancer2000 at 18:06│コメント(13)トラックバック(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Clip to Evernote

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この記事へのコメント

1. Posted by michikusa   2013年04月22日 04:51
キャリアメールが超ダメダメなのは分かっているのに、仕事でもプライベートでもキャリアメールのアドレスをつい教えてしまい、卒業は難しそうです。

プロバイダのメールと違って、教えても差し支えない絶妙な位置づけの生アドレスということなのか、それともdocomoという所属を含むアドレスでの自己表現なのか
自分でも良く分からないのですけど。
2. Posted by 読者   2013年04月22日 09:12
何だかんだキャリアメールが強いですからね。gmailも代替にはならない。パソコンアドレス=捨てアドってイメージが染み付いているから。
3. Posted by Lancer2000   2013年04月22日 12:40
3 michikusaさん、この記事を読むとキャリアメールに対する皆さんの意見が結構書いてあります。

ドコモメール開発のグダグダ感が酷い…提供開始時期に間に合わなかった挙句今更抜本的に見直し
http://denlaun.ldblog.jp/archives/25955735.html

ドコモがキャリアメールにこだわるのは理解できますが、やはりAndroidシェアが70%前後を占める現況では、やはりそのウェイトは徐々に下がっていくのでしょう。手軽に使えるメールアドレスという位置づけは今後も変わらないでしょうが、ガラパゴス携帯がいまでも一定の存在感を発揮しているのと同様になくなることはないでしょうね。

私の場合、あればあったで使いますが、なければなしでも何とかなる、そんな位置づけです。
4. Posted by Lancer2000   2013年04月22日 12:44
3 読者さん、この上のコメント欄にも書きましたが、スマホよりもガラケーを愛する人たちがいる以上、キャリアメールがなくなることはないでしょうね。誰でも簡単に扱えるメールとしてその存在感は徐々には薄れるのでしょうが、なんだかんだいいながらも愛用している人は私の周囲にも多いです。

spモードメールがもう少し簡単に扱えれば、こういう記事を投稿することはなかったのですが・・・次期ドコモメールが少々心配ですww
5. Posted by 強力招来   2013年04月22日 16:59
AUのiPhoneメール障害は華麗にスルー
6. Posted by Lancer2000   2013年04月22日 19:32
3 強力招来さん、この書き込みを最初見たときに思ったのは、ついに来たか?ですww

>AUのiPhoneメール障害は華麗にスルー

やっぱり皆さんに知られているブログになってしまったんですかね?

GALAXY S III SC-06D!新規機種変1万円を巡る虚々実々の駆け引き
http://blog.livedoor.jp/lancer2000/archives/51857754.html

↑この記事のコメント欄で書いたのと全く同じ気持ちですね。実は明日記事投稿できたら、この話題で行こうかなとも思ったんですね。


記事を書くときの方針は・・・・

■自分が書いていて楽しい記事
■読んだ人が面白いなって思う記事
■他の誰も書かない記事

常にこの3条件を満たした記事を投稿するようにしているんです。なので【GALAXY S III SC-06D!新規機種変1万円を巡る虚々実々の駆け引き】は大好きな記事で、いまでもたまに読み返します。

>AUのiPhoneメール障害は華麗にスルー

この話題はみんな書いているので、なにか別な切り口がないと、なかなか記事にすることができないんです。昨日投稿した【IPアドレスと紐付けされるドコモspモードメールの仕様がもたらす弊害と度重なるドコモメールの運用延期】もTwitterでかなり話題になっていたみたいですが、【IPアドレスと紐付けされるドコモspモードメールの仕様】なんてマニアならば誰でも知っていること。これだけだとみんな書くから、記事にはしたくない。なのでネタとして持っておく。

で、別な切り口が見つかったら記事としてアップするんです。au oneブログ出身ではありますが、熱烈なauマニアというわけでもないのは、ブログを読み続けていただければ分かるでしょう。

ブログのお作法
http://blog.livedoor.jp/lancer2000/archives/2010-04.html
7. Posted by ruka   2013年04月22日 21:02
>AUのiPhoneメール障害
私もその対象であるわけですが、全く気にならないのはなぜか?
iPhoneのメールAppにはプロバイダやiCloudのメールも登録してるので、特に障害になってるのに気がつかないというか、実質障害になっていないというか。
もしかして、もはや携帯メールって過去のものになりつつあるのかもしれないなと思いました。
今、新しく携帯を持たされる世代は、当然スマホを選ぶわけで、知り合いとかの連絡ってLINEとかでやってるんじゃないでしょうか?そうすると携帯のメアドを教え合う必要も無いだけに、使わない人もいるんじゃないかと。(LINE使ってないので正確な状況は知りませんが)
一昔前のポケベル持ちの人たちがポケベル入力を欲して騒いでいたのとにたような匂いを感じます。たとえばMNPでキャリアを変えてスマホにした人は当然携帯メールのアドレスは変わってしまったわけで、そういう人にとってはその時点で重要性は低くなっているのかもしれません。もはやガラゲーといっしょに携帯メールも終わりつつあるのか?どうなんでしょう??
今度iPhoneがdocomoから出たとして、再びMNPでdocomoに帰ってきた人たちの、何%がドコモメールを実質的に使っているのかを調べたら面白いでしょうね。
8. Posted by m.j   2013年04月22日 22:04
http://m.finance.yahoo.co.jp/news/detail/20130422-16363066-scnf-stocks.vip
三菱UFJモルガンスタンレー証券もドコモからiPhoneの取り扱い可能性について言及されてます。ただ、会員でないと詳細は見れないのですが。これまでの日経だけの飛ばし記事と違って、様々な海外アナリスト、報道機関がドコモからiPhoneの取り扱い可能性について言及されている事から、本当の話かもしれませんね。ただ、auが初めてiPhoneを取り扱った当時のキャリアメールの不便さがドコモでも同様になるのかなとの危惧はあります。
9. Posted by m.j   2013年04月23日 05:55
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO54272110T20C13A4TJ0000/
引き続き投稿で失礼を致します。ドコモiPhone5Sの導入の兆候とも言えるべき象徴とも言われたNECモバイリングの売却にも目処がついたようですね。
10. Posted by Lancer2000   2013年04月23日 21:39
4 rukaさん、運が良かったのか?私の場合、au iPhone5のメール障害は全くなかったんですね。活動地域が都心繁華街限定?なので最も被害を受けそうなのですが、いつもと全く変わらず・・・・ネタとして取り上げてもあまり面白そうな記事にはならないかなと。

さてLINEは私も使用しておらず、そのうちに友人から言われてたら導入しようかなと思っています。ただでさえバッテリーが持たないiPhoneにインストールしたら減りが早そうでww

ネットを巡回していると、スマホ先進ユーザはキャリアメール不要論者が多いような印象を受けます。ただ今現在でもガラパゴス携帯のシェアが30%前後あることから判断すると、キャリアメールはなくならないでしょう。

>今度iPhoneがdocomoから出たとして、再びMNPでdocomoに帰ってきた人たちの、何%がドコモメールを実質的に使っているのかを調べたら面白いでしょうね。

次第に現実味を帯びてきているドコモiPhone5S発売説。私一人が騒いでいるのかもしれませんが、でもこのブログを訪れている人はやっぱり期待している人が多いのだと実感します。
11. Posted by Lancer2000   2013年04月23日 21:42
4 m.jさん、会員限定記事はさすがに読めませんでしたが、本日の記事はm.jさんの情報を元に一挙に書き上げました。Thanks!!


>auが初めてiPhoneを取り扱った当時のキャリアメールの不便さがドコモでも同様になるのかなとの危惧はあります。

ドコモメールの運用が10月に遅れるようですから、iPhone5S発売時点では間に合わないわけですね。果たしてドコモからiPhoneは出るのか、出ないのか?もう少しで分かりそうですねw
12. Posted by 青によし   2013年05月05日 01:49
1 まだ、SPモード使いますか?
まだ、ドコモ使いますか?
使う、こだわる理由は、なんですか?
ぼくは、15年利用していましたが、あまりにもユーザを馬鹿にしている組織体質に家族全員移行しました。
他社にMNPしたのは、IPHONEがあるからではありません。
ドコモが、許せなくなったからです。
いい加減、気付けよドコモ!
13. Posted by Lancer2000   2013年05月05日 22:24
3 青によしさん、想像するにドコモショップあるいはお客様センター等とのやりとりで相当不愉快な思いをされたのでしょう。心中お察しします。

が、やはり我々に出来ることは我々の主張を上層部にきちんと理解してもらうこと、これに尽きると思います。青によしさんが【ユーザを馬鹿にしている組織体質】と感じた以上、その考えを理解してもらうようにするのも大事なこと。青によしさんとドコモショップ以外の第三者に立ち会ってもらって、時間はかかりますが、何度も説明することも必要かもしれません。

具体的には身近に携帯電話のことなら何でも知っている携帯マニアはいませんか?その人に付き添いでドコモショップに行ってもらって、青によしさんではなくてその人に説明してもらうわけです。第三者として立ち会ってもらえればそれほどの感情が入らずに、お互いに理路整然と話をすることが出来るかもしれません。

たいした力添えは出来ないかもしれませんが、自分の気持ちをきちんと伝える、分かってもらうまで話をすることも大事です。

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