2019年03月10日

2019年iPhone、サムスンやMedia Tek等の5Gモデムチップ採用を検討?

この記事によると、iPhoneに搭載されているモデムチップは以下のように変遷している。2016年まではクアルコムによる独占供給、その後はクアルコムとインテルの棲み分け、そして昨年度発売されたiPhoneXS,XRにはインテルがモデムチップを独占供給している。

2011~2016年 クアルコム
2016年 クアルコムとインテル
2018年 インテル

ご承知のように、アップルはリスク分散のために部品供給を1社に限定することを敬遠する傾向が強い。そのアップルが2011〜2016年にかけてクアルコム1社のモデムチップを採用していたのは奇異に感じるが、【クアルコム独占時代も同社は他社製チップを使いたいと考えていたが、クアルコムは調達先の多様化を阻止しようと特許ライセンス料の払い戻し(リベート)を申し出たため、独占契約が締結されたとのこと】

リベートを払ってでもiPhoneにモデムチップを独占供給することはおいしかったのだろうが、その蜜月関係も2016年頃から徐々に崩れ始める。

アップルに言わせれば『ソファ(モデムチップ)を買ったら、家(iPhone)の価格に応じて料金を請求されるようなものだ』との認識で、一方クアルコムからすれば『アップルはわが社の携帯電話技術に頼ることなく、iPhoneビジネスを構築することはできなかった』との非難合戦が続いており、今のところアップル対クアルコムの法廷闘争は収束の気配は全くない。

販売する製品(iPhone)の単価に応じたライセンス料を求めてくるのがもし事実であるのならば、高額スマートフォンになればなるほどモデムチップを供給するクアルコムは潤うことになるが、その単価は一体いくらなの?というとiPhone1台あたり、7.5ドル(約810円)とのこと。

ちなみにiPhoneの年間販売台数については様々な見通しが立てられているが、おおよそ年間2億台前後で推移している。もし仮に全iPhoneにクアルコム製モデムチップが搭載されたとすると、810円×2億台=1620億円となり、クアルコムに対して巨額の利益をもたらすことになるはずだが、アップルとしては到底飲むことが出来なかったのであろう。

クアルコム強気の背景には、同社が5Gスマホチップをほぼ独占的に供給していることにある。以下は日経新聞3月3日の記事だが、ファーウェイとサムスンを除いて、他社は全て5Gスマホチップをクアルコムに依存しているのだ。

20190310_modem_1

19年内の発売が表明された5Gスマホは、ほとんどにクアルコムの半導体が採用されている。同社に全面的に頼らない形で5Gスマホを開発するのは傘下に半導体メーカーを持つファーウェイだけだ。代替調達先のインテルは開発が遅れており、業界内では「20年まではアップルは5G端末を出せないだろう」との観測が大勢を占める。

アップルiPhoneへのモデムチップ独占供給にこだわるクアルコムと、調達先を複数に分けたいアップルとが共に歩み寄る可能性は現時点では限りなく低く、ゆえに2018年度に発売されたiPhoneXS,XRのモデムチップは全量インテル製品となったが、そのインテルも5Gモデムチップの開発の遅れから2020年まで市販化は望めないらしい。

インテル幹部が「スマホ向け5Gモデム出荷は2020年から」と声明。やはり5G対応iPhoneは今年ナシ?
米Reuters報道によると、インテル上席副社長兼ネットワーク・プラットフォーム事業部長のサンドラ・リベラ氏は、同社が年内には顧客に5Gモデムチップのサンプル出荷を予定しているものの、2020年までは消費者向けの「市販製品」は望めないと述べたとのことです。(途中省略)

アップルはクアルコムから長年にわたってモデムチップの供給を受けていた上に、クアルコムは5Gモデムにおいて世界のトップを走る存在。本来ならば同社からモデムチップを調達するのが合理的と言えそうですが、アップルとクアルコムは世界中で訴訟を繰り広げている険悪な間柄です。iPhoneの2018年モデルについても、アップルがモデムチップの販売を頼んだものの、クアルコムに拒否されたことが明らかとなっています。

こうなってくると意地の張り合いで、5G対応への遅れから他社先行を許しているアップルと、巨額の取引先を一つ失ってでも独占的な立場を利用した不当なロイヤリティ請求を行うクアルコムの我慢比べなのかもしれないが、間隙を縫ってアップルからすれば不穏な動きが発生しているのは確かだ。

グーグルとクアルコム、5Gで対アップル共闘 半導体など先行狙う
2019/2/28付

次世代高速通信規格「5G」を巡り、グーグルとクアルコムが距離を縮めている。念頭に置くのはアップルへの対抗だ。5G対応のスマートフォン(スマホ)ではクアルコムの半導体とグーグルの基本ソフト(OS)を載せた端末の開発が先行している。アップルを共通の敵とする2社の「連合」は業界の競争環境を変えるかもしれない。

「クアルコムと活力ある5Gの経済圏をつくっていくことに喜びを感じる」。世界最大の携帯関連見本市「MWC19バルセロナ」。5G向けの半導体についてのクアルコムの記者会見に、ゲストとしてグーグルのボブ・ボーチャーズ副社長が登壇した。端末メーカーとの関係が深いクアルコムがソフト会社と並んで会見をするのは異例だ。

クアルコムはスマホ向けの半導体や通信技術で高いシェアを握る。2社の関係者は今回の会見について「5Gスマホが互いを結びつけた」と口をそろえる。現時点で発売が公表されている5Gスマホはほぼ全てにクアルコムの半導体が採用されており、OSは全てグーグルの「アンドロイド」を使っている。2社には5G時代を切り開く黒子との自負がある。

加えて2社は「アップルの敵」という点でも利害が一致している。

スマホ向け半導体で圧倒的な強さを誇るクアルコムと、半導体技術の自社開発を強化してきたアップル。スマホ関連の特許を巡り激しい訴訟合戦を繰り広げた結果、アップルはクアルコムの半導体を18年の新製品から採用していない。スマホ用のOSではグーグルはアップルが最大のライバルだ。スマホ端末事業でもグーグルはアップルを追う立場にある。

そのアップルは5Gでは劣勢だ。クアルコムに代わる半導体の調達先となったインテルは、19年末まで5G向けの半導体を出荷できない見通し。アップルが年内に5G対応のiPhoneを出す可能性はほぼ無いとされる。一方でクアルコムとグーグルがからんだ端末は早ければ今年の5月から発売が始まる。

「連合」のうち特にOSを手掛けるグーグルはこの先行を好機と位置づける。クアルコムでの会見でグーグル幹部は「5Gスマホの発展は最終的にはアプリの開発がどこまで進むかにかかっている」と述べた。iPhoneの5G空白期間中に関連ソフトを充実させて、アップルを出し抜きたいとの思惑が透ける。

アプリ開発の世界ではアップルの牙城は盤石なことで知られている。カナダの仮想現実感(VR)ソフト会社、エコ・キャリアのカール・タン社長は「アンドロイド端末はハードの仕様がまちまちで仕事がしにくい。新作は厳格なiPhone仕様の下でまずアップル向けにつくるのが普通だ」と話す。

始まったばかりの5Gでグーグルやクアルコムがどこまで支配力を確立できるのかはまだ見えない。とはいえアップルの出遅れは、同社が誇ってきた「経済圏」に思わぬほころびを生みそうだ。


【5Gスマホって買うべき? 先行する米国のユーザーいわく…】【日本の5Gは遅れているの?ドコモ5G推進室長に素朴なギモンをぶつけてみた 】を読む限り、ここ日本では2019年iPhoneが5G非対応でも特に問題はなさそうだ。

しかしながら、対応への遅れが傷口を広げることはよくあることで、特に日進月歩のこのモバイルIT業界では致命傷になるとも限らず、2020年iPhoneでは盤石の体制で圧倒的な完成度を持った5G対応iPhoneが発売されることを期待したい。

Lancer2000lancer2000 at 18:18│コメント(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Clip to Evernote

この記事へのコメント

1. Posted by VisualD   2019年03月11日 08:55
5 大変有用な記事をありがとうございます。
実は最先端には至って鈍感な自分には貴重な記事です。

>5G対応への遅れから他社先行を許しているアップル
今のテクノロジー競争下ではいつGame Changerが表れて劣勢に立たされるか、ホント分からないですねえ。

>【5Gスマホって買うべき? 先行する米国のユーザーいわく…】
我々(w)の悲願であるNetflix一瞬ダウンロードが実現するのはいつの日でしょうか?
2. Posted by Lancer2000   2019年03月11日 12:31
VisualDさん、最近よく目にするようになった"5G"ですが、では具体的に我々の生活にどのような影響を及ぼすのかについては不透明な点が多いです。

具体的な青写真はいくつか提示されているようですが、まだまだちょっと先の話・・・・みたいな印象を持っており、やっぱり2020年度東京オリンピック開催前ぐらいにならないと盛り上がってこないのかもしれませんね。

でも海外ではアップル5G劣勢につけ込んで一気に陣地を挽回しようとする動きが活発なようで、水面下でグーグルとクアルコムがどうやら握手をしている可能性がなきにしもあらずと言ったところでしょうか?

5G,折り畳み・・・と一気呵成に新機能・仕様を搭載してくる中国・韓国メーカーは、対iPhoneでは利害が一致するわけですからここしばらくは目を離せません。

対応が遅れる分、アップルには圧倒的な完成度を持った5G iPhoneを発売してほしいものです。

>Netflix一瞬ダウンロードが実現するのはいつの日でしょうか?

自分にとって理想はアップル・Neflix買収・全iPhone&iPadユーザはNetflix視聴につき特典付与ですね!!

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