※本記事と同時に、大丸さんの実食レポをアップしました。
先に実食レポを読まれてから、本インタビューを読んでいただく方が楽しめると思います。よろしくお願いします。
http://blog.livedoor.jp/lanciba/archives/52321294.html
大野店主さん、本日(2022.06.11)はよろしくお願いします。
早速ですが、
オープンして1年余り、今のお店の状況をどう思いますか?
今お客さんがたくさん来てくださっているので、とてもありがたい気持ちです。
ある程度は並んでもらえるような意気込みではじめましたが、2時間も待ってくださるようになるとは思いませんでした。
大丸さんは今千葉で最も行列ができるラーメン店の1軒ですから。
どうしてラーメン店をやろうと思ったのですか?
子どもの頃からラーメン屋になりたくて。趣味が食べ歩きなんです。旅行も兼ねて、全国のラーメンや地元のものを食べ歩いてきました。
最終的には、飲食店をやりたいと思って寿司割烹のお店に弟子入りしました。
そのあと縁あって大手企業に就職して長年勤めました。
それでもどうしても自分の中にある飲食店をやりたいという思いが捨てきれなくて、ラーメン店開業を決意しました。
最近のラーメン屋さんて似たり寄ったりのところが多くて、例えば券売機を見たらラーメン、味玉ラーメン、特製ラーメンがある、といったみたいな。
そんな状況の中でどうしてこんなに個性的なメニューが生まれたのでしょうか。
まずは淡麗系ラーメンを広めたいと思ったんですね。東京は別格として、神奈川や埼玉は淡麗系のお店が頂点にあるんですよ。
千葉ってちょっと路線が違ってて、コッテリ系だったり、より濃くよりドロドロしたスープとかが人気あったりして、そこに新しい風を入れたいと思ったんです。
千葉の淡麗系はあそことあそこだよ、というふうに呼ばれるお店が増えたらいいなと。淡麗系のラーメンをもっと広めたいと思ったんです。
それには、普通じゃダメだと思ったんです。似たり寄ったりのことをしても残っていけないんだろうなと思ったわけです。
そこで趣味で食べ歩いた経験を活かして、ラーメンに利用できるものをいろいろ掛け合わせてみて、試行錯誤して始めてみたという感じですかね。
あと寿司割烹時代に汁物を担当させていただいていたので、出汁の取り方などを学ばせていただいたのが基本になっています。
わたしは永福町大勝軒の煮干しも好きで、極めようとしました。お店を出せるくらいのものは完成したかと思っていたんですが、
やはり自分だけのオリジナルなラーメンを出したいという思いの方がどうしても強くなったんです。
そこからは根底からやり直そうと思って、ほとんど寝ずに開発に明け暮れました。結果的には淡麗系でよかったと思っています。
生姜、山椒、柚子、おろしなどのメニュー構成にしたのは、食材の廃棄がないようにと思って、生姜を入れてやってみよう、というところからですかね。
1番の考え方の中心は、やっぱりどこにもないものを作ろうということです。試作もものすごくやりました。とんでもない量の試作をやって、その中でやっぱり美味いなと思ったのがメニューに残っていったんですよね。
似たり寄ったりのお店だとやっぱり比べられるちゃうじゃないですか。だから独自のお店を目指そうと思ったんです。大丸でしかないものでないとダメだと思ったんです。
店名の支那蕎麦もそうで、千葉も内陸に入って行くほど支那蕎麦という名前が浸透していないので、ご年配の方は懐かしく若い方は何それ?ってなるかなと。ですから、お蕎麦屋さんだと思って入って来られる方もいらっしゃいます。
ネームからがっつり変えてやろうと思いました。
トッピングも個性的な盛り付けだったり、巨大なチャーシューだったり、賑やかなビジュアルですよね。
うちみたいなロードサイドの小さいお店では、奇抜なことをやらないとダメだな、というのがあって、そのうち少しずつチャーシューが大きくなっていきました 笑。
スープについてなんですが、今かなりの種類の材料を入れているんですけど、一つの素材を強調して作るスープより、他のお店では作れないようなスープを作りたかったんです。
そこでお寿司やさんで学んだことを活かして、日本人の奥深くにある出汁の文化というか、DNAをくすぐるような味を目指したんです。
トータル的にバランスを取ったスープじゃないとダメなんだということを教わりましたので、
いろんなもので複合的にとったバランス型のスープを作りたかったんです。
お陰様でお客さんも、若い人からおじいちゃんおばあちゃんまですごく幅が広いんですよ。3世代で来てくださる方とかもいらっしゃる。
信じてやってきたことが少しでも受け入れられているのかなと思うと、とても嬉しいですね。お客様に感謝しています。
なるほど、そういう何かが突出してないバランス型のスープだからこそ、山椒、柚子、生姜、など何かをアクセントに置いても成り立つんですね。
スープは同じはずなのに、こんなに表情を変えるのかというくらいいい意味で振れ幅がすごいんですよね。それはどこから来てるんでしょうか?
もちろんそれぞれのメニューでいろんなものも加えていますが、基本は柚子なら柚子、その素材だけです。
それに対応できるのはやはりスープの力なんですね。
いやもう計り知れない試作をして、これは絶対美味しいというものをお出ししているので 笑。
盛り付けがきれいなんですけど、それもやっぱりお寿司やさんで学んだことが影響していますかね。
それはありますね。本当はもっと手の込んだことをしたいけれど、提供する時間も原価もかかってしまうので、ぎりぎりやれるところで抑えているんですけどね。
そうか、それでアボカドのメニューも無くなったんですね。あれ好きだったのに 笑。
よくお客さんに言われます。アボカド食べたいって笑。
ちょっと想像した以上にお客さんが来てくださって、作れなくなってしまっているんですよね。ありがたいことですが。
実はなんであの大きい丼にしたかというと、元々永福町系をやろうと思っていたので、麺を2玉入れようと思って作ってもらったんですよ。それが結果的に個性を生んだ感じがあります。
メニューやトッピングなど、常にちょっとずつ変えているイメージがありますが、その辺はなぜですか?
それはまだ自分が納得してないからなんです。よくなるなと思ったものは変えてみるようにしています。
本当は限定ラーメンもやりたいんですよ。でもまだレギュラー商品自体に納得がいってないので。もっと上を目指したいんです。
いや、まだ食べ手側も全種類食べてない方がほとんどだと思いますので 笑
限定はもう少し先でも構わないと思いますよ。
1周年記念の海老ラーメン、あれには驚きました。ビスクのような濃厚なスープのラーメンをポンと出してくる。
淡麗系の店主さんなのに一体この人は何者?って 笑
あれも割烹時代に教わったことなんですね。海老の臭みを取るにはどうしたらよいか、とか師匠にイロハを教えてもらっていたので。
お客様から限定のご要望もあるんですが、中途半端なものは出したくないんですね。
そうなると絶対に美味しいというレベルのものをお出ししようとすると、今の現状では時間が足りないんです。
三つ葉の茎を結んだり、味玉に焼き印を押したりして細かなこともやられていますね。
私、結構玄担ぎをするんですね。茎を結うことによって、お客様と結ばれればいいなと思って。縁結びになるかなと。
味玉の焼き印も印象的です。
提供したときにお客さんがわあって喜んでくださるんですよ、それが嬉しくて。焼きを入れるのは結構大変なんですが 笑
結局、全部の根幹は、他にないものをやろうって言うことなんですよね。少しでも差別化を図って印象に残してもらおうというところから始まっています。
あとはゲン担ぎですかね。
大丸って言う店名もそもそもそうで、苗字から大の字を丸はお客さんと円(縁)がありますように、というところからきているんです。
これから大丸をどうしていきたいですか?
とにかく、長く続けたいと思ったんで、ブームに左右されないお店にしたいです。
ご家族で食べに来てくれたお子さんが、また大人になってお子さんを連れてきてくれるような、息の長いお店を目指したいです。
炒める系のメニューもやりたいですね。チャーハンとか、もっともっとお客さんが喜ぶような商品を増やしていきたいです。
実はデザートも考えているんです。山椒のジェラートとかめちゃくちゃ美味いんですよ。
うちに来ないと食べられない商品を増やしていきたいと思います。
最終的にはもう少し気楽に食べに寄れるお店にしたいと思います。
それにはもっとうちのお店のことを知ってもらって、ワンランク上を目指してからでないとまだまだだと思っています。
これからもお客さんに並んでいただけるように頑張りたいと思います。
そして、もっともっと千葉のラーメンを盛り上げていきたいと思っています。
地域が違えば、おいしいと感じる感じ方が違うんだなって実感しています。
うちもそこはまだ千葉の人が食べ慣れていない淡麗系なので、苦労しています。
もっと濃くしてくれって 言われることもあります。
でもやはり出汁で勝負したいというところは譲れないですね。
千葉はやはり竹岡醤油ラーメンに代表する様に味は濃いめが好きな方が多いですからね。
最後に、ラーメン店主さんとして1番大切に思っていることはなんですか?
見えない時間を大切にしているところはあります。準備の時間だったりとか、仕込みに全神経を集中させています。
営業中ももちろん大切ですけど、見えない部分の努力を惜しまないことですかね。
わかってきたことは、自分の仕事は全て味に出てしまう。だからこそ、見えない時間を大切にしたいです。まだ1年半ですから、とにかく努力していきたいです。
本日は大変お忙しい中、貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。