2008年02月22日

『潜水服は蝶の夢を見る』

潜水服は蝶の夢を見る





タイトルからして詩的な、ジュリアン・シュナーベル監督のノンフィクション作品。

雑誌『ELLE』編集長の主人公が、ある日、脳梗塞で倒れ、
左目以外の体の自由を失ってしまう。
絶望の淵から、“まばたき”によってコミュニケーションを取るという伝達手段で
遂には感動的な一冊の本を20万回の瞬きのみで書き上げたという実話です。

潜水服は蝶の夢を見る





レントゲンの画と共に“La Mer”が流れた途端、
この監督の魔法にかけられたかのような、センス溢れる冒頭シーンで始まります。

主人公の左目(のみ!)からの視点での映像が痛々しい。
画面がぼやけたり、視界が狭かったりと不安定極まりないスクリーン。

このカメラワークにより、一人称で物語が進んでいきます。

一度は「死にたい」と思うも、周囲の優しさにも助けられ・・・と書くと、
“お涙ちょうだい”か・・・と思いそうですが、そうではないんです。

どちらかと言えば、それほど泣ける作品ではないのですが、
心にぐっとくるんです。じわじわ効いてきます。

それはきっと、観客が主人公に感情移入しやすいからでは。

一人称での映像が多いからこそ、自分も逆境に耐えるんだという気持ちで観れ、
したがって、涙は簡単に流せない。

病気を患ったことがない私が言うのもなんですが、
きっと本人が泣くのは、誰もいないところだと思うんです。
ひとりになってから。

したがって、感動的な話ではありますが、
号泣はしないであろう作品だと感じました。


映像の美しさ、音楽、編集の素晴らしさは絶品。

フランスらしい(?)ユーモアを交えつつ、
人の優しさを感じる秀作です。

エンドロールでは、崩れ落ちる氷山のショットが逆戻りするシーンが
最後までスクリーンに目を釘付けします。
アーティスト出身の監督ならではの暗示法だったと思います。

個人的には、早くも、2008年のベスト5に入るのでは、という作品。

“Le Scaphandre et le Papillon(原題)”
公式サイト

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この作品を観てすぐに連想したのは『海を飛ぶ夢』


尊厳死について、スペインで物議を醸したアメナーバル監督作品。
まだ観ていない人は、こちらも是非。
考えさせられる作品ですよ。

(渋谷校スタッフS.S)


langlandwaiwai at 00:00│Comments(6)TrackBack(9)clip!映画 | フランス語

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この記事へのコメント

1. Posted by くまんちゅう   2008年02月22日 20:53
どうも始めまして
TB有難うございました

引き込まれて見てましたが、
主人公の皮肉の効いたユーモアが
可笑しかったせいもあり、
泣く内容ではありませんでした
そのせいで評価高くなったかもしれません
2. Posted by スタッフS   2008年02月23日 08:09
くまんちゅうさん、はじめまして。
コメントありがとうございました。

シニカルな主人公のセリフは、
男女で感じ方が違うかもしれませんね。
私もあのユーモアには笑わせてもらった人間です。

さすがは、大統領が再婚する国だなと妙に納得。
3. Posted by cyaz   2008年02月23日 23:19
TBありがとうございましたm(__)m
彼も素晴らしいと思いますが、それよりも彼のそばで根気よく彼の無言の言葉に付き合った言語療法士の苦労がつくづく大変だっただろうと感心しきりでした。
TB何度か試みましたが残念ながら反映しなかったのでURL置いていきますm(__)m
http://blog.goo.ne.jp/cyaz/e/06c5eb1ccb292b63e276a8514d2c5b21
4. Posted by スタッフS   2008年02月25日 01:44
cyazさん、コメントありがとうございました。
そうですね、映画ではほんの僅かしか描かれてはいませんでしたが、
言語療法士が根気強く一語一語アルファベットを繰り返す、、、
この作業は想像を絶しますよね。

TB何故でしょう・・・こちらでも調べてみます。
5. Posted by margot2005   2008年03月02日 21:16
こんばんは!
tbありがとうございました。
やはりtb反映されないようですね?
素晴らしい作品でした。
6. Posted by スタッフS   2008年03月03日 03:07
margot2005さん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

TBの受信は「受け入れる」と設定してあるのですが・・・。
何故でしょう。。

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