おときき通信

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クラウドワークスなどで、ウェブライターとして活動している大学生。 ロック、メタル、ジャズ、フュージョン、ブラックミュージックなどなど… 自分の好きな音楽を発信します。 ギターもやってます。愛機はフェンダーアメリカンスタンダードテレキャスターです。 お気軽にコメントください。 よろしくお願いします!


しばらくの間、更新をお休みしていました。

前回の記事を投稿したのは4月ということで、あの時の気温がどのようなものだったか思い出せない程、暑い日々が続いてますね~。

だいぶ期間が空いてしまいましたが、これからも時間を見つけて更新を続けていこうと思います。

さて、久しぶりの更新ということで、今回は僕の世界一好きなミュージシャンであるジェームス・テイラーの記事。

彼の作品の中でも人気の高い、『Gorilla (ゴリラ)』というアルバムをご紹介します。

1975年発表の本作は、『Mexico』や『How Sweet It Is』といった代表曲を収録し、セールス面でも成功した、ジェームス全盛期の名盤

前作『Walking Man』は、ニューヨークの一流セッションミュージシャンを起用し、初期の素朴な作品よりも洗練された仕上がりとなりましたが、その出来栄えとは裏腹に評価、売り上げ共にパッとしませんでした。

そんな前作が澄んだ冷たさをイメージさせるとしたら、本作の特徴はぼやけた温かさといったトコロでしょうか。

再び馴染みのミュージシャンを呼び戻し、西海岸らしいリラックスした雰囲気の作品となっています。




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01. Mexico
02. Music
03. How Sweet It Is (To Be Loved by You)
04. Wandering
05. Gorilla
06. You Make It Easy
07. I Was a Fool to Care
08. Lighthouse
09. Angry Blues
10. Love Songs
11. Sarah Maria


☆参加メンバー

・ James Taylor - acoustic guitar, vocals, electric guitar, high-string acoustic guitar, ukulele
・ Arthur Adams - electric guitar
・ George Bohanon - trombone
・ David Crosby - vocals
・ Nick DeCaro - organ, strings, accordion
・ Victor Feldman - percussion
・ Chuck Findley - trumpet
・ Lowell George - slide guitar, vocals
・ Valerie Carter - vocals
・ David Grisman - mandolin
・ Milt Holland - percussion, wind chimes
・ Jules Jacob - clarinet, oboe
・ Jim Keltner - drums
・ Danny Kortchmar - electric guitar
・ Russ Kunkel - drums, percussion, shaker, tambourine, congas
・ Gayle Levant - harp
・ Clarence McDonald - piano, ARP String Ensemble synthesizer, Fender Rhodes electric piano
・ Graham Nash - vocals
・ Randy Newman - hornorgan
・ Andy Newmark - drums
・ Al Perkins - pedal steel guitar
・ David Sanborn - saxophone
・ Carly Simon - vocals
・ Lee Sklar - bass
・ Willie Weeks - bass

腕利きのメンバーが揃った大所帯は、次作『In the Pocket』にも引き継がれます。




テイラーのアコギで軽やかに幕を開けるMexico』、これまでの彼には無かった、実にカラッとした作風のカントリー風ポップスです。
歌詞は当然メキシコについて歌っていますが、実はメキシコには行ったことが無いと終盤で明かされるという、ちょっととぼけた内容。
マリンバやパーカッション、ニック・デカロの華麗なアレンジが合わさり、想像上のメキシコを夢のように飾り立てます
グラハム・ナッシュデヴィッド・クロスビーのコーラスも入ったこの曲、ジェームスの代表作の一つとなり、多くのミュージシャンにもカヴァーされている名曲です。




本作には魅力的な曲ばかりが収録されていますが、個人的にはこのMusic』と⑦はジェームスの曲の中でも最高級のクオリティーだと思います。
エレピやグロッケンの柔らかな音色と、ジェームスの優しく繊細なヴォーカルの組み合わせが素晴らしく、分かり易いメロディーでは無いのにも関わらず強く心に残る曲です。
音楽への愛を歌いながら不安な心情も覗かせる歌詞に、どこまでも寄り添うバック…
これほどの名曲が何故あまり注目されないのか分かりません。




大ヒットしたHow Sweet It Is (To Be Loved by You)』は、マーヴィン・ゲイが1964年にヒットさせたモータウンの名曲のカヴァー。
キーが高くドラムが目立つアレンジだった原曲と比べ、全体的に歌いやすくマイルドになったかなという感じですね。
何気にツイン・ドラムという編成になっており、ジム・ケルトナーラス・カンケルの互いを労わるようなビートがとても心地良い。
原曲には無かったデヴィッド・サンボーンのサックス、そしてリー・スクラー師匠のベースも素晴らしく、オリジナルとはまた違った高い完成度を持っています。
当時の妻だったカーリー・サイモンがハーモニーを付けているのには、若干ノロケを感じますが(笑)

この曲、年代を追うごとにライブではパワーアップしていき、特に『Live』に収録されているバージョンは必聴です。




ポップで凝った曲が多い中でも、Wandering』のようにジェームスの歌とアコギをじっくりと楽しめる曲もあります。
トラディショナルソングのカヴァーらしいですが、ここでは歌詞を一部変更、追加するなど、割と自由にやっていますね。
Sweet Baby James』の『Oh, Susannah』や、『One Man Dog』の『One Morning in May』のように、ジェームスのトラディショナルソングへの愛が伺える選曲でしょう。
彼の美しいハーモニーも聴きどころです。

彼の曲の中でも異色と呼べるのが、Gorilla』。
アコギやウクレレ、マンドリンが奏でる呑気なバックに乗って、ジェームスののんびりした歌が気だるげにゴリラについて語ります。
勿論、ただゴリラの説明をしているだけではなく、そこには彼の悩みなども反映されているんですね。
一聴すると、とぼけた箸休めの曲かと思いますが、実は深いテーマがある歌詞なのでした。

You Make It Easy』も人気が高そうな一曲。
ストリングスが全体をドラマチックに彩りながら、後ろめたさを抱える主人公を描写します。

アレンジは完全にAORらしく、ダニー・コーチマーのメローなギタープレーにウットリ。
比較的明るい雰囲気の本作の中でも、歌詞の内容も含めシリアスなナンバーですが、宝石のように美しいクロスオーバーサウンドに心惹かれます。

②と同じく、超が付く程の名曲だと思っているのがI Was a Fool to Care』です。
恋人に裏切られた男について歌っていると思われる寂し気な歌詞、どこか自嘲的な哀しみに包まれたサウンドとジェームスのヴォーカルの相性、曲の全ての要素が完璧に結びついています
特に、アコギと絡むベースラインの心地よさは、流石のリー・スクラー師匠と言わざるを得ません。
ソフトロックとして正に一級品の出来だと思うのですが、やはり彼の曲の中だとマイナーな方なのが残念。

しかし、最近ではマック・デマロがカヴァーしたことで少し知名度が上がったみたいですね。




①と同じく、クロスビーとナッシュが見事なコーラスワークを披露するLighthouse』も、ライブで人気の爽やかな良曲
2人の清涼感あふれるバッキングヴォーカルも特徴ですが、この曲にはランディ・ニューマンも参加しており、hornorganと呼ばれる謎の楽器でバックの厚みを出しています。

リトル・フィートローウェル・ジョージが参加しているAngry Blues』は、サザンロックファンも要チェック
アンディ・ニューマークウィリー・ウィークスのファンキーなリズム隊の上を、お馴染みのスライドギターで闊歩します。
アンディとウィリーのコンビは人気があるようで、ジョージ・ハリスンの名盤『George Harrison』での活躍が有名です。
この重さとエネルギーは、セクションの面々とはまた異なる趣がありますね~。


郷愁を誘うような少し長めのイントロから始まるLove Songs』は、曲調や歌詞に彼の幸福感が表れています
日向の中にいるような温かみのある演奏は、次作の『Shower the People』のようで微笑んでしまいますね。
クラリネットの音色が特徴的な、耳に優しいソフトロック

Sarah Maria』は生まれたばかりの娘、サリー・テイラーについて歌った弾き語り。
前作でも『Daddy's Baby』という曲でサリーへの想いを歌っていましたが、本作でも娘への愛情の深さを感じさせます。
『Daddy's~』は神聖とも言えるほど澄み切った曲でしたが、ここではもう少しリラックスした優しさを覗かせていますね。

サリーも後にシンガーソングライターとしてデビューしますが、慈善活動家としても活躍しているようです。




♪まとめ

ジェームス・テイラーというアーティストの人柄を反映したような、聴きやすく優しい雰囲気の作品ですね。
本作と次作について思うのですが、ニック・デカロが作品のアレンジ面に大きく関わっている点が特徴でしょう。
彼のストリングスやアコーディオンが入っているこの2作は、初期や後の作品には無いソフトな感覚があります
数多いジェームスの作品の中でも、アレンジの完成度が特に高いと感じる名作ですね。
In the Pocket』とセットで楽しむ、2枚組のような内容と言えるでしょう
リスナーを幸せにする、何とも素敵なアルバムです。


ゴリラ(紙ジャケット仕様)
ジェイムス・テイラー
ワーナーミュージック・ジャパン
2010-04-07


In the Pocket
James Taylor
Rhino Flashback
2008-07-15


The Essential James Taylor
James Taylor
Rhino
2015-09-11



横溝正史の本を読んでいるからか、今は人間椅子の気分。

今回は彼らの3枚目のアルバム、『黄金の夜明け』について。

駄作の無い人間椅子の作品の中でも、以前書いた『人間失格』、そして2枚目の『桜の森の満開の下』と合わせて、初期の3部作は特に完成度の高さが際立っていると思います。

前作までと比べると長く複雑な展開を持つ曲が多く、プログレッシブロックからの影響が色濃く表れている作品です。

イギリスの秘密結社、「黄金の夜明け団」から名前を取った本作。
アルバム全編に漂う胡散臭さも、何か秘密結社めいているように感じないこともありません。




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ジャケットを手掛けたのは、漫画家の大越孝太郎
怪人二十面相』などのジャケットも彼の筆によるものです。

01. 黄金の夜明け
02. 独裁者最後の夢
03. 平成朝ぼらけ
04. わ、ガンでねべか
05. 水没都市
06. 幸福のねじ
07. マンドラゴラの花
08. 素晴らしき日曜日
09. 審判の日
10. 無言電話
11. 狂気山脈

☆参加メンバー

・ 和島慎治 - ギター、ヴォーカル
・ 鈴木研一 - ベース、ヴォーカル
・ 上館徳芳 - ドラムス 

本作で上館氏は脱退。
現在は何をしていらっしゃるんでしょうか?




日本的な音階のリフから厳かに幕を開ける黄金の夜明け』。
ミドルテンポのヘヴィな曲に乗って、怪しい宗教団体のような歌・語りが入ります。
歎異抄から、夏目漱石の『草枕』の冒頭の文句まで引用していますが、何を言ってるのか全く分からないあたり、それがより一層怪しさを放ってますね(笑)
しかし、曲自体はタイトルに相応しいスケールの大きさを持っており、イエスの『Close to the Edge』と同じような、静と動入り混じる見事な構成を持っています。
そして、この曲でのワジーのギターソロが本当に凄い!
アウトロソロでのワウのタイミングなどセンスが爆発しており、個人的には『晒し首』や『もっと光を!』に並ぶ、最も好きなソロの一つです。




まんまブラック・サバスな疾走ナンバー独裁者最後の夢』は、本作の中では数少ないストレートな展開の曲です。
正統派ブリティッシュメタルらしいリフやバッキング、耳に刺さるようなメタリックなトーンのギターには、アイアン・メイデンっぽさもあります。
スズケンの邪悪なベース、上館さんのタイトなドラムなどの、各プレイヤーの存在感を際立たせる音の隙間に3ピースらしさを感じますね


スズケン作曲の平成朝ぼらけ』は、和歌を引用した歌詞が特徴的
かなりヘヴィさを強調した曲ですが、美しい歌詞を殺していないのが何とも不思議です。
ワジーのプレーが非常に多彩で、ソロにはブルースからの影響が見つけられます。
十八番の三味線のフレーズも登場し、彼だと一発で分かる強烈な個性を改めてアピール。
①と同じく、日本人だからこそ作れるメタルと言えるでしょうね。

津軽弁のコミカルな歌詞にクスッとできるわ、ガンでねべか』、後期キング・クリムゾンの『One More Red Nightmare』のリフを1.5倍速にしたようなフレーズが印象的です。
自分がガンなのではないかと疑う男が滑稽に描かれていますが
、曲の終盤の“リズム感悪いベーシストなんて”というフレーズには、スズケンのどこか切実な思いも現れてますね(笑)
また、この曲では上館さんのドラミングも目立っています。

彼らの数ある大作曲の中でも、水没都市』の完成度は群を抜いています。
海の底を思わせるヘヴィで恐ろしいフレーズだけでなく、古の魂に祈りを捧げるような美しいメロディーもあるところに、ワジーの卓越した作曲センスを感じますね。
ドゥーミーなサウンドで、これだけの儚さや虚しさを表現できる構築力には脱帽
滅び去った都の情景を歌い上げる2人のヴォーカルは、まるで詩人のような風格に満ちています。
この曲を聴いたら、多くの人が息苦しさを覚えるんじゃないでしょうか





シングルカットされた幸福のねじ』は、人間椅子の代表曲の一つですね~。
不協和音を織り交ぜたパワフルなリフでゴリゴリと押しながらスピーディーに走り抜ける序盤は、まさにヘドバン必至。
このまま終わるかと思えば、突然ネジが逆回転したかのようにテンポが加速。
一層スラッシーになったかと思うと、今度はテンポを大きく落としネジ屋のオヤジが登場です。
スズケン演じる胡散臭すぎるオヤジがネチネチとグロテスクな台詞を吐き、再び曲調が戻ってフィニッシュ。
コロコロと表情を変えまくる、ジェットコースターの如き展開には一切退屈しません。
バンドのメタル要素とプログレ要素が高次元で融合した曲ですね。
絶対にシングルカットされても売れないとも思いますが…(笑)




マンドラゴラの花』も、サバスの『Master of Reality』あたりに収録されていそうなミドルテンポのサイケハードロック。
後の名曲『踊る一寸法師』を思わせる構成ですが、長さの割には①のような爆発力が無く、物足りなさが残るかもしれません。
おどろおどろしい雰囲気、退廃的でダークな歌詞を楽しむ曲と言えるでしょうか

同じタイトルの黒澤明の映画を思い出す素晴らしき日曜日』は、クラシックギターが奏でる寂し気なメロディーが耳に残るインストナンバー。
意外にも作曲者はスズケンで、彼の意外なセンスを垣間見た気がします
旋律は西洋風なのに、どうしてここまで和を感じるんでしょうね。


そんなスズケンのベースから始まる審判の日』、これが一番プログレっぽい展開を見せます
曲の多くの部分に印象的なリフがあり、ついメロディーよりもそちらに耳が行ってしまう…
スライドギターなど、ワジーのギターはここでも様々なテクニックを披露していますが、これもスズケンと上館さんの堅実なリズム隊があってこそでしょう。
しかし、この曲のワジーは本当にトニー・アイオミからの影響丸出しですね~。

無言電話』はタイトル通り、無言電話に悩まされる男を歌った歌詞と神経質な曲調が特徴的。
電話の呼び出し音のように執拗に繰り返されるリフは、ハードロックとしてもイカしたフレーズであり、曲のテーマにも非常に忠実です。
中盤からの陰鬱なアルペジオを聴くと、暗い部屋の中で1人虚ろな顔で佇んでいる男が浮かびます。
病んだ現代の闇を描いた、彼らの中では異色のテーマかもしれません
もしもぉ~し!!

ラヴクラフトの名作と同名の狂気山脈』も、本作の大作路線を象徴する力作
彼らにはラヴクラフトの作品を元にした曲が幾つかあり、これもそのうちの一つです。
南極を舞台にしていた小説とは違い、この曲はチベットや中国あたりが舞台になっているんですね。
曲の展開は⑦あたりと同じような感じですが、この曲の纏わりつくような不気味さは素晴らしい!
底の無い闇の世界を克明に表現し、尚且つ小説とは違ったエグさを盛り込んだ椅子流ホラーに仕上がっています。




♪まとめ

11曲中5曲が7分超えという大ヴォリューム!
初期の彼らのイマジネーションがピークに達した作品であり、の曲も個性がありすぎて学級崩壊一歩手前です
次作『羅生門』からキャッチーな曲(あくまで椅子の中では)も増え始め、特に最近は聴きやすい作品が多くなりましたが、本作は完全にやりたい放題なため、ファンの間でも好き嫌いが分かれるかもしれません。
しかし、彼らを語る上では外せないほど優れた曲ばかりですので、曲の長さはあまり気にせずに聴いてみてください。
メタラーなら、きっと黄金の夜明けを感じられるでしょう。


黄金の夜明け(UHQCD)
人間椅子
徳間ジャパンコミュニケーションズ
2016-11-02


人間椅子傑作選
人間椅子
徳間ジャパンコミュニケーションズ
2009-01-21


現世は夢~25周年記念ベストアルバム~【通常盤】(CD2枚組)
人間椅子
徳間ジャパンコミュニケーションズ
2014-12-03



現在はシティポップブーム。

フリッパーズ・ギターなどと同じく、キリンジの評価もグングンと高まってきてますね。

そんなキリンジの作品の中でも、今回ご紹介するセカンドアルバム『47'45"』は影が薄め。

衝撃的なデビューを飾った『ペイパードライヴァーズミュージック』と、日本ポップスの大名盤とされる『3』に挟まれている本作。

制作期間は半年ほどだったようですね。

青さの残るファーストを更に煮詰めたような、且つ『3』ほど洗練されていないということから、立ち位置的に微妙なのかもしれませんが、個人的には『3』は冨田ラボの色が強く、本作の方がより彼らの個性が出ているなと感じるのです

アコースティックな曲が多い中で、歌詞の黒さ・難解さはキリンジの作品の中でも屈指。

今一度、この名作を振り返ってみてはいかがでしょうか。




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01. Drive Me Crazy
02. 耳をうずめて
03. 唐変木のためのガイダンス
04. 恋の祭典
05. BBQパーティー
06. 牡羊座ラプソディ
07. くよくよするなよ
08. 銀砂子のピンボール
09. ダンボールの宮殿
10. V.I.P
11. 口実

☆参加メンバー

・ ヴォーカル - 堀込泰行、堀込高樹
・ ギター - 堀込高樹
・ ベース - 渡辺等、岡田次郎
・ ピアノ、オルガン - 大山泰輝、KYON
・ ドラム - 鈴木達也
・ パーカッション - 山口とも
・ マリンバ 、ビブラフォン - 大石真理恵
・ ヴァイオリン - 武藤裕生
・ バンジョー - 桜井芳樹
・ フルートなど菅楽器 - 山本拓夫
・ ホーン - 藤田乙比古、高野哲夫
・ オーボエ - 庄司知史
・ クラリネット - 山根公男、佐野路世
・ ベースクラリネット - 小林聡
・ フリューゲルホーン、トランペット - 小林太
・ 色々やってます - 冨田恵一



可愛らしいマリンバのイントロから始まる、Drive Me Crazy』。
最初は恋人とオシャレにドライブデート…といった感じなのですが、突然飛び出してきた歩行者を跳ねたことで愛車は一気に地獄の火の車へ
完全にひき逃げを題材にしていながら、曲はほのぼのした柔らかなポップス…、アンバランスさが狂気を演出しています
ヤスのヴォーカルに何の感情も入っていなさそうなのが恐ろしい~。

僕がキリンジのバラードで一番好きなのが耳をうずめて』なんですが、これもマイナー?
ファーストとサードアルバムの中間を行くようなフォーキーで温かみのある演奏と、どこか壊れそうに繊細な美メロが素晴らしい。
曲調とは異なり、歌詞は解釈が分かれそうな難解な部分が多いものの、アニキの優しさや迷いに満ちているように感じるんですね。

凄い名曲なんだから、もっとみんなに聴いてほしいなあ

唐変木のためのガイダンス』は、何ともあっけらかんとしたカントリー風ナンバー。
バンジョーにフィドルなどの能天気な音と、ヤスの意味不明なフワフワした歌詞のヴォーカルが乗っかることで、深そうで深くなさそうな、要するに良く分からないキリンジワールドの出来上がり
ヤスの滑らかな高音が心地よい、何気にお気に入りの曲です。

夏の恋の浮つきを皮肉ったような意味深な歌詞が毒々しい恋の祭典』、これは前作にも収録されていそうな感じがしますね。
ホーンやフルートなどを入れながら決して華やかにはしすぎない、どこか70年代風な曲といった印象。
明るさと冷めた感覚を持ち合わせた、彼ららしいバランスの取り方ですね。


曲も歌詞もダラダラしたBBQパーティー』も、本作だからこその一曲と言えるでしょうか。
パーティーらしい弾けた雰囲気は一切なく、肉を食い終わった後に誰かがやっているフリスビーを眺めているような、ボンヤリした曲調
オルガンの平和な響きが眠気を誘います。
本作のヤス作曲の作品はゆったりしたものばかりですね~。


牡羊座ラプソディ』は、タイトルからすると双子座グラフィティ』の兄弟のような一曲。
しかし実際は、ポップ&キャッチーな『双子座~』とは似ても似つかぬ超捻くれナンバーです。
ツインドラムの忙しないビートだけでなく、全体的にコミカルさが際立っています。
ファンキーなアニキのギターは、『イカロスの末裔』と同じくシャープなカッティングがカッコいい!
歌詞の難解さ、理不尽さは本作でもトップクラスですが…




ヤスの素朴なヴォーカルとアコギが中心のくよくよするなよ』は、まあ地味ですね。
牧歌的で、劇的な展開も無くサラリと流しています。
アニキよりもラフさを重視したような曲がヤスには多いですが、彼のソロプロジェクトである馬の骨なんかでは、それが顕著ですね。

ウキウキと通りを駆け抜けるような銀砂子のピンボール』を聴いたら、恐らく多くの人がマライア・キャリーの『All I Want for Christmas Is You』を連想するんじゃないでしょうか?
特に、グロッケンやハンドクラップなんかがクリスマスっぽさを演出しています。
エイリアンズ』のカップリングにはこの曲のクリスマス風ミックスが収録されており、バンド側も同じことを考えていたんだなと分かりますよ




ダンボールの宮殿』は、明らかにスティーリー・ダンの『The Royal Scam』を意識したようなシリアスな曲
ホームレスに落ちぶれた主人公に、澱んだ皮肉が並んだ歌詞にはアニキの非凡なセンスが伺えます。
喧騒の裏で腐っていくのは落伍者だけではなく、仕事に耐えきれず自ら命を絶つ者もいる。
ダンボールを宮殿として暮らすか、道のシミになるか、どちらが良いのか?
この曲を⑧の次に置くなんて、何と意地が悪いのでしょう(笑)


前作の『P.D.M』のように、V.I.P』というインストもあります。
進行はブルース的で、オーボエやクラリネットなど管楽器が多く登場するジャジーなアレンジです。
ちなみに、本作のジャケットのシチュエーションは、公園かどこかでランニングしているVIP(=アニキ)にヤスが突撃リポートしている、といったものだとか。


⑩と同じ楽器隊を率いながら、口実』ではリズムマシンを使用しているのがミソ。
ビッグバンドっぽい雰囲気とダレた歌詞の相性は意外に良く、ふんわりと静かにアルバムを締めくくります
曲が終わって1分半ほど待っていると、③のリプライズが…
何だか眠りにつくような終わり方です。



♪まとめ

クセの強い曲が多いながらも、それと比例してバラエティーも豊かな内容になっています。
確かに他の作品よりも分かり易さはありませんが、アレンジの味わいは『3』よりも深いんじゃないかなーと。
冨田恵一のプロデュースとキリンジの魅力が、一番自然に結びついているような気がしました。
春に聴くとピッタリですので、これからの生活に是非どうでしょうか。


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