December 07, 2010

木馬の序--廻る歌

a廻るものが好き。

木馬のお話が続いてた。





*日仏ことば遊び
*ときどき日本人

廻るものに魅かれる。同じ場所を廻りながら決して同じじゃないことに・・・ 場所だけが留まって 時は巡り、心は動いていくことに。

廻る歌もやっぱり好き。廻り繋がる歌詞のフランスわらべ歌のコト、せんに書きました。

*ブキニストで紙もの(8)カデ・ルセルのクロモス

同じメロディーで詩が変わる面白さは、後に音楽感覚へ繋がった・・・
旋律につく和声が変わるだけで新鮮なものが生まれるコト。
其のとき演奏はどんな風に和声に追従しなければならないかってコト。

難しいことはわからなかった7つの頃、教わったのは多分此んな歌。

    a 冬の寒い日     b 森の中を 
    a' クマが歩いた    c おうちをさして
    d 毛皮のシューバで d' とことこ歩いた
    a''角を曲がったら   c' キツネの尻尾ふんだ

歌詞は幾十年も前の担任イクラ先生の口伝えだけでウロ覚え。きっと間違ってるわね。イクラ先生も思い出し思い出ししながらだった。

題名も知らない。楽譜もない。伴奏もなかった。授業中に僅か2,3度先生が歌う単旋律で聞いただけ。それでも曲はくっきり記憶に残る。数十年のちの今日までも。

1) 前半。
耳を傾けたごく短い時間を追って、情景が溢れる詩の楽しさを知った。
(アルファベットはメロディー形式)

a 温度 * 冬の授業中。同じように寒い冬の歌。
b 場所 * 此処お教室じゃない森のお話。
a' 人物 * みんな大好きなクマ。
c 情景 * クマのおうちと通り道がある。

たった2行で4つの説明要素を網羅してる。可愛く簡潔で暖かく・・・ 詩や歌詞の世界はなんて楽しいんだろうって・・・

2) 中盤。
トーンが変わる。平行調mollに転調した。開眼した。

転調を楽典で学び始めたばかりだったから・・・ 単純な平行調への移行はハッとする音がするんだわって知った。

d と d' 印は同じ旋律。記譜上は同じでも異なる表情。d' でラレンタンド。イクラ先生はd' の最後を長いフェルマータで歌われた。次はどうなるの? どうなるの? って楽しみにする気持ちは、歌詞とフェルマータ付き "おあずけの時間" 両面で大きくなった。

3) 後半。
基調へ転調。メロディー ac が戻り a''c' になる。
2行目 a'c と違うのは、お話が今、前へ進み始めたってわかること。

フレーズが落ち着く後半で 反比例して内容が動き出す。同じメロディーに乗ってるはずのテーマ ac がまったく異なる様相を示す。

お尻尾踏まれちゃったキツネはどうするの・・・?
2番の歌詞へと続くのです。

                        **

この歌はお教室のストーブと、丸い目をしてるクラスメートの顔と、授業をうちやってしまったイクラ先生の歌声と、床油の匂いの中で教わった。眩く暖かい空間だった。

"シューバってなぁに? " って質問した。クマがどんな格好をしてるか知りたかった。廻る歌は次を知りたくなる。そして1つを知った途端、世界が幾倍も広がる体験をした。時の風景の輝きとともに胸の中に刻まれた。

此の歌に感じる暖かさは、詩から溢れるものか お教室の石油ストーブのせいか、新しい喜びを授けてくれる担任への多大な信頼か もはや見定めることもできない。

それくらい古く、そして現在まで豊かに活きる記憶なのです。

                        **

お陰で大好きになった廻り歌・・・
今日はね、廻り歌ふうのドビュッシー歌曲 "木馬" をズワイガニ姫と初合わせなのです。コンサートのお披露目は1月8日PJにて・・・♪

lasalledeconcert at 06:11││  曲のお話4 

この記事へのコメント

1. Posted by 198   December 07, 2010 20:49
すごい!!よく覚えてますね。ほとんど完璧。違うのは一文字だけ。「とことこ歩いた」の「た」が「て」で、「とことこ歩いて」になるところだけが違っててあとはそのままです。フェルマータもそのとおり。
 ただ、どうしても思い出せないのは、私が、この歌をどこから探してきたのかです。どうしてこんな歌を知っていたんだろう?
2. Posted by S   December 08, 2010 11:18
198ちゃん
ありがとう。"とことこ歩いて" だったのネ。
此の歌すごいなぁって思う部分、たくさんあるよ。とこ・とこで同じ音(イ短調だとしてミミララ)を打ってるところも。テンポと相俟ってクマが左右に身体を揺らしてゆっくりユーモラスに歩く感じがしたの。ものすごく楽しい時間だった。ありがとう。
フェルマータが秀逸なので、そのお話もまた少し書けたらナって思います。
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