March 26, 2012

一目惚れの理:ケクラン

25mars12a














ソクラテスのあと、フランスの歌詞の歴史を読み始めた。
今朝は思い浮かぶまま筋目は何かっておしゃべり。

**

あの階段で起きた事をときどき考える。
振り返れば一目惚れには理があった。

  変哲ないズック靴に好意を持った。

ある種のステキさんなメンズシューズは、身につけるお人の雰囲気に寄っては身丈を5ミリでも高く見せたい風に感じさせることがあって何か腑に落ちない時がある。クッタリと動き易そうなばかりのズックの構わない風が、身丈があるより格好が良く思えた。

  履き古したジーンズに好意を持った。

単純に趣味だった。
流行を追わない品を作業着の如くに履いている人が、デザインパンツで脚を長く見せるよりずっと格好良く思えるのだった。

  軽やかに階段を踏むのが好ましかった。

私は運動神経が鈍くって、下り階段は足許を見て降りてしまう。
人々が俯いて段を見ながら脚を運ぶ中で、風景に目を当てながら下を見もせず駆け足のナチュラルな動作が目を引いた。

**

これらは、
一目惚れのお相手の特質よりも
私自身の特質の反映かもしれない

  多分私、自己演出ができない事物に興味がある。
  自己演出をしようとしないお人にもっと興味がある。

理由がなくただ感じる事柄の理屈は
シャルル・ケクランが面白くまとめていた。

**

  ちょこっと前置き部分から・・・

《すべての和音を単に、主和音と属和音に導びいてしまうというこの種の理論に対して、私は次のような重大な反対をする。それはある楽句については、聴覚は低音に第二度、第四度あるいは第三度の響きをきくという、音楽的な事実を見逃すことができないこと、これである。"属音上" あるいは "主音上" の音結合しか用いないということは恐るべき手法である。その単調さは危険である。

われわれの感覚から第一度および第五度以外の三和音の感じを除き去ろうとしても無駄である。》

  続けてケクランが語る事がとっても面白いの。
  長いけれど絶版書ゆえに此処に引用しますネ!
  
《要するに、和音はそれ自身の感性に合致した理論を生ずる。したがって、完全三和音を主和音とみるか属和音とみるかは感性によるのである。この事について、もう少し述べるのは無用であるまい。オネガーの音楽はシェンベルクの音楽と同様、グレゴリア聖歌よりもシュトラウスやワグナーの音楽にちかい。これに反して、フォーレとドビュッシーは中世風の考え方に意識的に近づけた。

ミヨーによると、欧州に二つの重要な流れがある。一つは属七と半音階主義をもとにしたゲンルマン的な流れで、たとえばベートーヴェンの技巧はすべて属七と完全終止 (あるいは仮偽) にもとずき、この伝統をつぐものに、ワグナー、シュトラウス、シェンベルク及びその一派、オネガー等があるという。

もう一つの傾向はフランス的なもので (ケルト風といってもよいし、またグレゴリア様式によるところからギリシャ風といってもよい) ルネッサンスの旋法 (第三度および第二度上の和音) を復活するにある。すなわちこの旋法の七の和音を新しい考えで用いること (第二度上の七の和音の確立)、および終止における新しい和音構成などである。(例えば、五度と九度) これはまずデュクドレー、サン=サーンス、フォーレ、ドビュッシー、ラヴェルなどにあらわれた。

ミヨーやプーランクの芸術はむしろワグナーやシェンベルクの傾向 (+7 および半音階) に結びつけられる。ボロディン、ムッソルグスキー (後にストラヴィンスキー) などよりなるロシアの音楽家はいずれもグレゴリアの傾向に属する。勿論、この分類は決して絶対的でない。フランスにもロシアにも半音階はある。しかし、殆んど属七を追放するに近いグレゴリアの静謐さ (半音による上行的アポジアチュールを決して用いない) はシェンベルクにいたるまでの特性となっていたトリスタン的音程や起伏の多い和声の特質に明らかに背馳する。》

                  (清水脩様訳)
                  (色部分は本書太字) 

**
 
例えばベートーヴェンの堅牢を好きだと感じる人は大きな部分で上述の属七と完全終止が作り出す確固とした印象に反応するのだろうし、ドビュッシーの柔軟を快く思う人は二度上の和音を彼が用いる際のたおやかさに無意識に着目しているかもしれない。 

ジャン・ピエール・ジュネ監督の問いかけのような映画にも
たくさんの "好きの理由" が詰まってた。

  *映画「アメリ」(1)好きなもの

"好き" を知るのは、きっと自分を知るコトで・・・

目で見比べる事が難しい音楽は、何故? を識る経緯結果が複雑だからこそ、知ることに一層の喜びをもって機微や心の趣を検知できるのじゃあないカナ・・・


■ケクラン関連記事
*ケクランの甘美
*独創とシャルル・ケクラン
*ケクランと叙情
*フランス音楽(7)崩壊と慈しみと
*繋いだ手のしらべ:転調
*ケクラン、ディドロ、ドビュッシー

lasalledeconcert at 06:09││  思い浮かぶままに5 

この記事へのコメント

1. Posted by Ariette   March 26, 2012 14:11
桜様

再開後の今、初めて楽典を勉強し始めたところです。これから和音について学びます。なんとタイミングがよいことでしょう。ケクランの和音の分析とても興味深いのですが、まだ良く理解できません。お勉強後にまた読んでみますね。

好きを知るのは自分を、とくに大好きな自分を知ることですね。苦手を知る時には、思いがけない自分に気づくことがあります。
2. Posted by S   March 27, 2012 23:50
Ariette様
こんばんは^^ 楽典、本格的ですネ^^
以前upしたフランスの楽典教材が可愛いので
お見せしてみますネ
http://livedoor.blogimg.jp/lasalledeconcert/imgs/a/b/abb16139.gif
楽しんで進められると良いですね。
苦手を知るのは、対象を嫌がる自分にこそ悪いものがある、と気づかされることがよくあります。だから、苦手は克服しなくても、自分が変わったときに苦手でなくなるものでもあるんですね。
3. Posted by Ariette   March 29, 2012 15:57
フランスの楽典教材拝見しました。縦書き?の説明図が可愛いですね。
Majeur/mineurは、長調/短調だけでなく、すべて、長/短なんですね。翻訳された日本語と原語(この場合はドイツ語かもしれませんが)の違いは、いつも興味深いことです。


4. Posted by S   March 29, 2012 21:21
Ariette様
こんばんは^^
そうです、そうです。
写真のページの長3度・短3度のところですネ^^
翻訳教材などもまた本文中でご紹介する機会があればと思います^^
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大きな声で笑う
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絵が上手で茶色い目をした
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沢山の時間を過ごした
同窓のお仲間
桐朋ガムランクラブでも一緒

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片方の鋏が大きいシオマネキ
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=カタツムリ君=
何どきもテンションが
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バランスの取れたお友達

=ブルターニュ君=
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今も仲良し

=ゲンゴロウ先生=
小学校時代の主任
イクラ先生の元同僚

=カカシ君=
謎の譜めくりすと君

=ぴょんきち君=
大きな身体のプログラマー君

=ヴィブラート君=
哲学好きのお友達
最近彼女ができたばかり

=チャイコフスキー先生=
音楽評論のお友達

=矢車草君=
コンサートマネージ君

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ピアノ技師君

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お世話になってる
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***実名登場のお友達***

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  *ファゴット

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