January 12, 2019

シネマ記録(29)アデルの迷路

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見えるかな?
お出かけ先でブルゴーニュ君は光のオブジェになった動物さんの置物にご挨拶してるんです。

ぬいぐるみさんにもよくご挨拶に行く子は、お初に見るオブジェもお友達かと思ったのかな。

4歳を過ぎたっていうのに幼い仕草でオブジェのお耳を嗅いだり
そうっと下からお腹を匂いに行ったりしてました。

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頑是ない子の写真は 'イルミネーション迷路' で写しました。

6回に分けて書いてきたアデル映画で、迷路のように感じる謎があるの。

  *シネマ記録(23)アデルの生涯
  *シネマ記録(24)アデルの気後れ
  *シネマ記録(25)アデルの門
  *シネマ記録(26)アデルの茫漠
  *シネマ記録(27)アデルのブルー
  *シネマ記録(28)アデルとティレシアス

監督のご出身地である過去のチュニジアと、アデルが周囲と自分自身の気持ちに翻弄されるのを重ねて観始めたけれど、決定的な謎はアデルという人物に対する監督の情を感じないところでした。

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無論アデル・エグザルホプロスと仰るとんでもない才能の女優さんへの敬意は大きいのでしょう。しかし彼女の名を用いたフィルム内のアデルに対しては、それはそれは愚鈍な人物像の描出が重なります。

常に半開きの唇は、食と性という本能の欲求を量で満たそうとするかのように貪る人物の像を象徴するのかもしれません。

注意して見てるとアデルが常時半開きにしてる口をキュッと結ぶシーンもある。トマにセックスが良くなかったか問われて、良かったと軽い嘘をつくのを皮切りに幾度か出てくる。

ブルーのマニキュアの子に可愛さを褒められ、次に赤くなったと囃された時も。

嘘をつくには自覚が要る。
自分の中の本当は何か手繰り寄せられる自覚。
自覚が唇を閉じさせる・・・そんな風に見えた。

映画はよくわからない者の感想だから、女優さんの才能が
計算されたものに感じさせただけかもしれない。

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基。

「何を探してるか自分でもわからない」アデルが「これじゃないのは確かだ」と、間接的かつ消極的な理解ではあっても何かを確かに理解し、理解故に自分の行動と抱いてる気持ちが相反すると自覚できた時によく口を結んでる。

数少ないそんなシーンだけが [確かなアデル] だった。
人として独立した女が浮かび上がる時だった。残念ながらその瞬間は彼女の人生時間に対してうんと短い。

常日頃の唇半開きの彼女は、社会運動デモまで参加者の様子に左右される。

論意じゃなく感情で加わってる彼女は、慣れた仲間との行列では自由に振舞い、初めて列に加わった性差別に関わる行進ではあやふやな気分で様子を見つつ、傍のエマを真似ながら徐々に慣れてゆく。

  ここでも意思じゃなく
  [慣れた事柄か否か] が問になる。

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習慣に沿って単調に行動する家庭 --- それは [習慣] だと家族内では考えられてるが、事の是非を問うのを怠った惰性と言える習慣 ---
に育ったアデルの根源的な惰性。

人々の中で慣れを感じるかどうかは、アデルにとって受け入れられている安心感らしい。受け入れられてると感じられれば彼女は楽しめる。

それは美しい心理構造とは言い難いが仕方がない。彼女はそうなのだし、美を求めてもない。求めてれば万事が惰性に陥らない。

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彼女にとって必要だったかどうかわからない性差別デモも、恋人が参加するから加わってみる。そこにいるのを受け入れてもらえたから徐々に楽しみ始める。

自分の誕生日さえ同様のスタンスだった。

集まった友人知人の前で少し気恥ずかしく戸惑い、しかしダンスが始まりしばらくすると調子がついてくる。

意味を考えず、連帯感を楽しんでた。
その時々で何によって結ばれ連帯してるかは検証しないまま
連帯してることを悦びにし、テンションを上げる。

彼女はずっと半開きの迷路の中だが出ようとは試みない。

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こんなアデルを見てると、彼女が受けたアンティゴネの授業中に先生が "悲劇から逃れられない" と説明した言葉が重なってしまった。

ギリシャ悲劇のアンテイゴネをヘーゲルが家族意識を用いて説明したが・・・

ヘーゲルは国家の体現のように家族が存在するような書き方だと思うけど (あまりにもザックリ過ぎて哲学系の方々に叱られそう。目的はフランス映画観賞ノートゆえご容赦ください) ならばアデルは、アデルの両親の在り方を準えるのだろうと思わせるシーンが散りばめられる。

張り巡らされた哲学への迷路が面白くてならない映画です。
まだ続くヨ。


*シネマ記録(28)アデルとティレシアス
*シネマ記録(27)アデルのブルー
*シネマ記録(26)アデルの茫漠
*シネマ記録(25)アデルの門
*シネマ記録(24)アデルの気後れ
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  *映画DVD
*シネマ記録(22)僕のおじさん
*シネマ記録(21)ゾラと失敗
*シネマ記録(20)ムード・インディゴ
*シネマ記録(19)大人は判ってくれない
*シネマ記録(18)あこがれ・アムール
*シネマ記録(17)ランジェ公爵夫人
*シネマ記録(16)セラフィーヌの庭
*シネマ記録(15)フランス組曲
*シネマ記録(14)ブルゴーニュ?
  *怒られるわ
*シネマ記録(13)赤と黒・他
*シネマ記録(12)パリは燃えているか・他
*シネマ記録(11)大いなる沈黙へ
*シネマ記録(10)アデルの恋の物語
*シネマ記録(9)カミーユ・クローデル
*シネマ記録(8)ミッドナイト・イン・パリ
*シネマ記録(7) 愛と宿命の泉Part.2
  *フロレットという女性
*シネマ記録(6) 愛と宿命の泉Part.1
*シネマ記録(5)たそがれの女心
*シネマ記録(4)カラヴァッジョ 天才画家の光と影・他
*シネマ記録(3)エゴン・シーレ 愛欲と陶酔の日々・他
*シネマ記録(2)宮廷画家ゴヤは見た
*シネマ記録(1)モンパルナスの灯・他

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