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Resident Advisorの2010年の記事の中にクラブミュージックでのキックとベースのEQingについて書かれたものがあります。http://www.residentadvisor.net/feature.aspx?1211 本家RAのサイトの古い記事で、RA Japanのほうに翻訳されていないので僕が翻訳•意訳してみました。RAのサポートに著作権を確認し許可を得ています。この記事に書かれていることは日本のトラックメイカーにも必要な知識だと思いましたので、ぜひリンク元と合わせて(元の記事中にオーディオの例や画像があります)読んでみてください。


ーーーーーーーーーー以下、記事本文ーーーーーーーーーー

RA 特集「Low end theory : EQing kicks and bass」

あなたの好きなプロデューサーのキックやベースラインがとても満足な音なのは何故だろう?RAのJono Buchananはそれが何故なのか低周波の帯域について思い切ってあなたに伝えます。

正直に言うと、素晴らしいミックスをクラブで聴いていて、自分たちのトラックがなぜそれらと同じように鳴らないのか疑問に思っていました。我々のトラックはどういうわけか薄くて、丸みが少なく、しばしばボトムエンドにまで影響を与えていました。どのようにして我々のキックドラムとベースのパートをそれらと同じ様にできるか比較します。この記事を通じて、プログラミングと低音帯域のミックスの要素から、ミステイクを作るのがいかに簡単かを見ていき、潜在的な落とし穴を回避することで実際にミックスの質を向上させます。そしてビッククラブのシステムに戻って聴けば、最初にガッカリしたことが遠い思い出になるでしょう。コンプレッションは置いておき、EQおよび他の効果の対策に焦点を当てます。


ベースの基本

低音を理解するためにスタジオモニターや巨大なクラブのシステムだろうと、スピーカーによって物理的に鳴る倍音成分について少し理解する必要があります。まず、低周波の波形に多く含まれているエネルギーについて、ベースやキックドラムの波形の密度を見ることで何を意味するか分かります。たいていのキックとベースサウンドの倍音はある程度豊富で、これはラウドな「基音」の低音周波数の他にたくさんの成分があることを意味し、キックドラムにEQプラグインを使うと音の低中域や高域を触って音色を大幅に変えることができます。

簡単に作れる最初の間違いは次のとおり:ベースドラムと低音が含まれるベースパートを想定します。50Hzから5kHzまでスイープするノッチEQをオートメーションして、EQされたキックドラムサンプルから、(より良くならなかった真実)- 多くの周波数がアクティブになったことを聴くことができます。このことから、我々が作る音の選択肢、対策とプログラムについて注意しないと低音成分がミックスの多くの周波数で暴動を起こす可能性があることを推論できます。ということは、スピーカーがどのように機能するかを理解することがなぜ役に立つ?うん、それは奇妙に聞こえるかもしれない。スピーカーコーンは移動(ムーヴ)する物理的なオブジェクトなのを我々は忘れがちで、スピーカーコーンが移動するとあなたのミックスも移動(ムーヴ)します。

人々が聴くことができる最低周波数の平均は20Hzです。しかし特にクラブのシステムは、それよりもはるかに低い周波数に応答することができ、上記のようにベースパートの基音の周波数以下の倍音を含むため、その多くは正確にモニターできるあなたの自宅のシステムで確認するよりも低いベースパートが鳴っている可能性があります。この周波数成分はクラブにおいて、あなたのミックスを破壊する可能性がある原因です。全くの仮定として、あなたのミックスに1Hzのラウドな周波数が含まれているとしましょう。言い換えれば、毎秒1サイクルです。つまり、この周波数を発音するとスピーカーコーンは毎秒、前面から背面に振動することを意味します。

これから察するに、このスーパー・ロー・ドローンが120BPMの四つ打ちのキックドラムの下にあるとすると、スピーカーコーンの動きは一番目及び三番目のキックが「背面に」、二番目及び四番目は「前面に」移動するということでしょう。重要な点は、このドローンは可聴周波数の範囲よりも下にあるにもかかわらず、スピーカーに物理的影響を与えるであろうということです。これは順番にパンチがある、あなたのキックの4つの内の2つが鈍く、ミュートされて損なわれるということです。これは誇張された仮定の一例ですが、あなたのミックスでも同じような問題に悩むのは本当です。もし強烈なベースサウンドの場合、あなたがホームスタジオのスピーカーで聴けるか、もしくはモニターできる周波数よりも下を調整します。あなたのミックスをクラブで鳴らしたとき問題になる可能性があるからです。

あなたがキックとベースパートのサブベースの全てを厳しくEQingする解決策を考えている場合、それはとても単純でないかもしれません。これを行うと、充分にミックスされたクラブ用に録音した音の多くのエネルギーを失うことになるため、少し賢く行うことが大切です。代わりに、我々はキックとベースラインをうまく合わせる方法に注目し、倍音成分とスピーカーの物理的な性質の両方についての理論を確立していきます。


低音の分離

シンプルな最初のテスト:120から130bpmの四つ打ちのキックをプログラムします。いくつかのキックがあるでしょうが、必ずその中で強く叩きつける音を選びます。そしてキックの間と、キックに重なる、音符が連なるような(キックと同様に豊かで素敵な低音サウンドの)ベースパターンをプログラムします。長いパターンを作っても良いですが、1barだけ使いましょう。

私たちは試聴用の例を作りました。あなたのループパターンをラウドにミックスして、注意深く聴いてください。キックとベースのノートが重なるときと比べて互いに別々に鳴るときに何か気付きますか?何を聴くべきか。二つのサウンドが分離されているとき、完全で豊かに聴こえますが、二つが重なったとき危うく鳴り響き、極端な場合はわずかにフェイジングします。今、その理由を知っていなければいけません。一緒に音が鳴るたびに二つの強力な低音の周波数によって過剰な低音がスピーカーから発音されています。

極端な例です。キックドラムに36または48dbの極端なスロープのローパスフィルターを180Hzに設定してください。そして、ベースの音にも同様に極端なハイパスフィルターで周波数の閾値を180Hzに設定します。このとき多くの低音を除きます。試聴用の例で聴けます。

さあ、あなたは両方の音が大きく重なり影響を与えながら、スピーカーがずっと良好になる可能性を発見します。ベースは低音が非常に薄いながら、キックは強い低音を提供し、前と同じように全体のミックスを損なうことなくベースがキックの上にあります。音楽的整合性は損なわれましたが、良い情報として、我々のミックスが多くなり過ぎ、スピーカーの負荷が大きくなるボトムエンドを止める解決策を発見しました。さあ、音楽を損なわない方法を見つけましょう。


低音の統合

このフィルタリングテストから学ぶべきことは、もう一つの音のための空間を作るために周波数成分を除去するのが効果的な解決策だということです。あなたがクラブシステムの外で最も強烈に感嘆するクラブトラックには、低音の統合の鍵であるトラックの低音要素の役割と、他の音と重なり合う周波数から1つの音の周波数をどのように優先させるかを正確に決める方法を知っているプロデューサーがいます。

言い換えると、あなたがキックドラムで肋骨を鳴らす音を提供したいなら、そのときのキックに良い動きをさせるために、ベースパートの周波数の音量を抑える可能性があります。同様にあなたが分厚く豊かなベースサウンドを使用しているなら、低中域をウォームアップするため、ここでもベースを支えるためにキックの周波数を抑えるといいかもしれません。

さあ、前項の例で示したキックとベースパターンに戻りましょう。ここに激しく叩きつける音にしたいと思っている丸いキックドラムがあります。最初にすることは叩くようなキックにするための周波数を見つけることです。ここでの最善はバンドを狭くした極端なEQで、80Hzから200Hzの間のどこかの周波数をブーストすることです。

あなたが使用するキックによって、この範囲内のどこかに良くなるポイントを見つける必要があります。しかし、もしあなたの耳だけでなく目を使いたかったら、キックドラムの特定の周波数を見るために、EQの前段にアナライザーを使用することができます。あなたが好きな周波数を見つけたら、音を少し余分にブーストします(ほんの3〜4dB)。

そして、ベースサウンドでキックと同じように別のEQプラグインを開きます。同じ周波数帯域辺りでQを狭くし、同じ量だけボリュームを下げます。ベースで作った穴にキックで上げた周波数がうまく充填され、スピーカーの反応が良くなります。ベースが危うくならず、キックがはっきりと聴こえる必要があります。ここで私たちが作った音を再度チェックしてください。

次に、ブーストして強くしたいベースの周波数を探します。あなたがサブベースを使用している場合を除き、キックのとき選択した周波数よりも高い周波数である可能性があるので、ベースが豊かに完全に鳴るまで下のほうから上の中域のほとんどをブーストしてみます。例を聴いてください。
 
同じように周波数を見分け、ベースをブーストしました。あなたのキックドラムに戻って、このとき多くの効果がなくてもベースをブーストした周波数を下げてください。その結果はベースが高い周波数を強調して生き生きとした空間を持ちながら、キックはあなたのトラックの基盤として明確なアイデンティティのある、はっきりしたものにします。

最後にフィルタを使用してベースから低周波成分を傾斜で除いてください。ここで私たちは前の例のように極端なことはしません。12dB/octのハイパスフィルターで充分でしょう。50Hzから下をロールオフすれば、はっきりと強化されたミックスの良い点を見つけられます。あなたは私たちの方法を試聴できます。


エフェクトを得る

ボトムエンドへのエフェクトの使用が我々の見てきたことにとても影響を与えています。プロデューサーの多くはベースサウンドをディレイかリバーブまたは両方で強化したいと思っていて、低音の重いサウンドでなくさせる理由はありません。エフェクトの中に低音の多くが存在することを心に留めて、スピーカーがあなたのミックスで正しく動作させるようにしましょう。

(低音がにじむのを)回避する最も簡単な方法は、あなたが選んだリバーブかディレイのプラグインのEQ機能をオンにすること、またはエフェクト処理から必要な周波数だけ抜き出すためにエフェクトの後に専用のEQを選びます。特にディレイはあなたのパターンに「多くのノート」を実際に作成する問題があります。全ての周波数にエフェクトをかけ、高いフィードバックレベルで使用している場合は特にすぐ低音側がオーバーロードしていることが分かります。

スタートとして、確実に300Hz以下が通過しないようにディレイ成分を制限してみてください。あなたが選んだベースサウンドに上の中域の動きが多い場合、一番上の周波数成分を制限するのも良い考えです。それによって、上の周波数は低音を侵さないようにミックスの中でそれぞれ聴こえます。ここでの例では320Hzから2.9kHzの間の周波数を通過させています。

ベースリバーブにEQをかける前。リバーブについて、ここでEQ処理前の効果が試聴できます。

低音側をEQした同じリバーブです。ベースリバーブにEQをかけた後。


聴き続けて。

以上のように、裏付けはリスニングにありますが、あなたがミックスで低音側にEQの操作を始めたとき、スタジオのミックスをクラブに変換したような良い効果が明らかになるはずです。また、テストまたはトラックをミックスをするとき、大きなモニターがより正確に低音を再生する傾向があることを念頭に置くことが必要です。あなたが投資できる最高のシステムか、あなたのミックスをテストすることができるシステムで試してみてください。

もし、あなたが単に周波数について語られていない高価なモデルのヘッドフォンでミックスをしている場合、正確にボトムエンドをはっきりさせるのに苦労するだろうことは言うまでもないです。しかし最も重要なのは、EQはカットするだけでなくブーストするためにも使うことができ、キックとベースパートの両方に多くの違いを作ることができるので、覚えておいてください。

ーーーーーーーーーー以上、記事本文ーーーーーーーーーー


 いかがだったでしょうか?
 また、他に日本ではこちらの方がクラブミュージックの低音についてブログを書かれています。
【コラム】音 https://onibabako.amebaownd.com/posts/121090

日本でこんなに詳しく教えてくれることは滅多にないので、この方がどういった性格の人間性なのかは知らないのですが、それに関係なく、この人に実際に会ったらチヤっとホヤっとするべきだと思いました。良いことをしたらリスペクトする。そういった行為が世の中を良くするでしょう。

ジャンルが違うとなかなか理解が難しいですが、低音に関する基本的な考え方を汲み取って自分の音楽に応用すると良いでしょう。クラブミュージックを制作する日本のトラックメイカーのみなさん、一緒に勉強してお互いレベルの高い作品を作りましょう!!!!!



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