今を遡ること1年ほど前に発売された単行本「咲-Saki-14巻」・・・。

この本に掲載されていた各キャラクターの一覧表は咲-Saki-界隈で大きな話題となりました。
私も例に漏れず、ここで初めて明かされたキャラクターの設定情報に一喜一憂したものでした。
・・・そしてその中でも特に大きな衝撃を受けたのが、永水女子メンバーの設定!

[ 永水女子 メンバー一覧 ]
永水プロフィール

このプロフィールには、他の高校メンバーのプロフィールとは一線を画す点がありました。それは全員の出身地が書かれていること
これまでも本編中でキャラクターの出身地が仄めかされていることはありましたが、このような完璧な形で全員分の出身地が明言されるとは・・・。余りにも意外でした。
そしてこの事実は、「立先生の中で、永水メンバーの出身地が意図を以て設定されている」ことの証左でもあると私は考えます。だって、他の高校メンバーにはこんな設定無いですからね(臨海と大人組除く)。

 これは掘り下げてみる価値があるぞ・・・

そう考え、各地の神社や風習を調査する日々がそれからしばらく続きました。そして、色々と調べていくうちに私の中にある一つの念が湧き上がってきたのです。

 「永水の巫女たちの出身地に実際にいってみたい。
  彼女たちが生まれ育った土地の空気を、肌で感じたい」


・・・咲-Saki-ファンとしては当然の心理なのかどうかは分かりませんが、フィールドワークが趣味となりつつある私にはその衝動を抑えることは出来ませんでした。私って元々、思いついたら行動に移さないと気が済まないタチなもので・・・。
それからずっとGoogleマップを眺めつつ悶々とした日々を過ごしてきたのですが、ようやっと! まとまった資金と時間をキープ出来ましたので、野望を実行に移すことにいたしました。実に、構想1年の大計画です!

以降、数回にわたってその時の旅行記のようなものを書き連ねます。もし興味がありましたらご覧下さい。

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2016/8/27

羽田空港から飛行機で鹿児島空港へ。
更に鹿児島空港から連絡バスで移動すること2時間。
私は鹿児島県西部の都市、阿久根(あくね)市に到着した。

阿久根市


◎鹿児島県・阿久根市
人口:21,612人
面積:134.28平方km

西部は東シナ海(天草灘)に面しており、大島・桑島などの島嶼が点在する。高松川河口の市の中心地は平坦であるが全般的には山林や丘陵となっている。「英袮(あくね)」の地名は古代より存在した。「アク」は魚や漁業を意味する言葉、「ネ」は岩礁を表し、古くから漁港として栄えてきた土地であるが、平安時代には英袮院(あくねいん)と呼ばれる荘園であった。神崎太郎成兼が院司に任命され英袮(あくね)氏を名乗りここを統治する。鎌倉時代には莫祢と表記され、英袮氏も莫祢氏となる。

― その名前の由来通り、市の中心部には漁港があり新鮮な海産物が食べられる食堂などが数多く点在する。
また、九州の大動脈でもある国道3号線が通っており国道沿いには大型ショッピングセンターがあったりと、生活に必要なものは一通り揃っているような印象を受けた。
そしてここは、永水六女仙のひとり・十曽湧(じっそゆう)の出身地でもある。

駅前
駅前の風景

阿久根駅01
阿久根駅の駅舎。去年建て替えられただけあって、非常に綺麗だ。

阿久根駅02
駅の待合室。イベントホールも兼ねていて、大正モダンを感じさせる洒脱な造りである。

― 台風の影響で曇り空だった東京とは打って変わり、ここ鹿児島は眩しいほどの晴天。肌に突き刺さる日光の鋭さに、ここが南国であることを改めて思い知らされる。

駅でレンタルサイクルを借り、市内の散策を開始する。
巫女といえばやはり神社。十曽湧のことを知る手がかりを求めて、市内の神社を幾つか巡る。

八坂神社
八坂神社
川沿いにひっそりと佇む、雰囲気のある神社。

護国神社
護国神社
入江を望む絶好のロケーションに立地する。

ここから内陸部に少し入り、小高い丘の上にある波留南方(はるみなみかた)神社へ向かう。

南方神社01
この石鳥居は琉球からの帰化人・折口伊衛尉重芳が、焼酎の醸造成功を機会に建立したものだそうだ。

南方神社02
境内は本殿以外に何も無く、がらんとした空間が広がる。

・・・ぱっと見は何の変哲もない神社だが、この南方神社では数年に一度、大規模な神舞(かんめ)が執り行われているらしい。この神舞は日本神話に中にある天照大神の岩戸隠の際、八百万神々が岩戸の前で舞楽を行い、岩戸の外にお迎えする場面をあらわした舞であるそうだ。
そして、その中でもクライマックスに行われる鬼神舞(きじんめ)は特に有名で、舞の最中に使用される鬼神の面が笑うと言い伝えられている。

南方神社03

鬼神の面・・・。
やはりここで想起されるのが、神代小蒔の能力である九面との関連性だ。正統な九面とは異なるだろうが、十曽湧もまた鬼へと変貌するのであろうか??

・・・残念ながらこの日の神社は無人で、肝心の鬼神の面を閲覧することは叶わなかった。



十曽湧についての考察と想像

市内に戻り、河口の風景を眺めながら一休み。
ゆるやかな川の流れに、時間すらもその速度を緩めているかのような錯覚を受ける。辺りは休日とはいえ人も車もまばらで、閑散とした空気が漂う。
阿久根01

ここで、十曽湧と鬼の関連性について思いを巡らせる。
あの気弱そうな十曽湧がまさか鬼となるのか・・・、とは思ったがそこは想像主が小林立のキャラクター。
これまでも多彩なギャップキャラを生み出してみた実績を鑑みれば十分にあり得る線なのではないだろうか?
薄墨初美のような、憑依系の能力使いという設定も面白そうだ。

ただし、だ。
このような鬼の仮面が出てくる神舞は、鹿児島の他の神社でも行われているのだ。
その中からどうして立先生は「阿久根」という地を選んだのだろうか・・・、謎は深まるばかりだ。

しかし、阿久根の地をこれ以上深く掘り下げるには事前の調査が圧倒的に足りなかったし、現地を探索する時間も殆ど残っていなかった。釈然としない思いを抱きつつも、駅に自転車を返して列車に乗り込む。
ここから鹿児島市内までは電車を乗り継ぎ2時間ほどの移動だ。車窓から見える果てしない水平線を眺めながら、私は十曽湧という少女について思い耽る。

 彼女はいったい何者なのだろうか?
 どのような能力があって、どのような麻雀を打つのだろうか?


現時点において彼女について分かっている事柄はごく僅かだ。でも、私にとってはとても気になる存在となった。
彼女もまた、私と同じように自転車で市中を散策していたのだろうか? 
学校帰りにちょっとしたコンビニで買い物をする、ごく普通の中学生のような生活をしていたのだろうか? 
或いは神社に仕え、俗世間とはかけ離れた生活をしていたのだろうか?
・・・考え始めたらきりが無い。想像の余地は無限にあるのだ。
うっすらと橙色に染まる海を眺めつつ、私は想像の続きに浸ることにした。

― 列車が鹿児島市内に差し掛かる頃、雨粒が車窓を叩いた。
ふと気付けば空は雲に覆われ、車窓から見える道路はうっすらと濡れていた。
・・・明日以降の天気が気になる。
何せ、旅はまだ始まったばかりなのだから。


永水航路 2 へ続く・・・