― 本考察は、私的素敵ジャンク 様の考察記事「隠れ念仏から永水女子の設定の根源を探る」を読んだところからスタートいたしました。
既にご覧になられてる方も多いかと思いますが、こちらの記事では薩摩地方に伝わる「隠れ念仏」と永水女子との関連性について考察されておられます。そして、考察の中で「隠し念仏」というものに触れられておりました。

隠し念仏とは・・・種々の秘密主義をもつ念仏信仰・民間信仰を意味する呼称である。そのなかでも、浄土真宗系で呪術的な隠し念仏がよく知られており、浄土真宗では異端であることを意味する異安心とされるが、真言念仏の系譜も承けている。信者は、御内法、御内証などと呼び、浄土真宗からは秘事法門、邪義などと呼ばれる。
(Wikipediaより)

・・・本題からは逸れるため詳細な説明は省きますが、浄土真宗の中でも異端とされたため人目を逃れるように秘密結社化した宗派内異教をそう呼んでいたそうです。そして、この「隠し念仏」は現在も岩手県南部などで存続しているようです。
岩手県南部といえば、我らが宮守女子のある遠野市も区分としては岩手県の南部ですね。

で、この「隠し念仏」。これと宮守女子に何か関連が無いものか・・・と思いまして。
私なりに色々とネット等で調べてみたのですが、どれも概念的な説明どまりで具体的な内容まで触れている文献が少ないんです。
まぁ「隠し」と名付けられているくらいの秘密の信仰なんだし、当然ですよね・・・。

 この辺りの掘り下げはhannoverさんやかんむりとかげのつんさんにお任せすべきなのかなぁ・・・。

そんな生ぬるい考えでこの案件をしばらく棚上げにしていたのですが、偶然にも後日に宮守を探訪した際、旧宮守村地区の西来院というお寺で手がかりが見つかったのです!

西来院の石碑
西来院の石碑


隠し念仏 埋葬後仏壇前で 近親者集まり鉦共に、一経十三回読経 六宗派組合せ経なり。

どうやらこの西来院では実際に「隠し念仏」がとり行われていたようですが、文中の一経十三回読経 という記載。
・・・ここに私は強烈な違和感を感じました。

まず第一に「十三」という数字が素数であること(まるっきり理系の思考ですが・・・)。
例えば「十二回」であれば「二回×6セット」とか「四回×3セット」とか色々な組み合わせが考えられるのですが、素数である「十三」にはそれがない。即ち「十三回」という数字自体に意味がある、と推測できます。

更に、仏教で「十三」という数字はあまり馴染みが無い・・・という事。
ぱっと思いつく限りでは、法事の「十三回忌」くらいでしょうか?
キリスト教で「13」は忌み嫌われる数字として有名ですが、仏教において「十三」という数字はどのような意味があるのか。そして同じ経を十三回読教することにどのような意味があるのか。

そしてもう一つ、「13」という数字がエイスリンの能力に深く関係する、という事。
ご存知だとは思いますが、エイスリンの麻雀における能力は「十三巡以内に高確率で聴牌できる」というもの。
この能力については以前にもhannoverさんが考察されており、「ケルト人がかつて用いていた暦がモチーフである」という説が提唱されました。
しかし、宮守女子のある遠野市(しかも旧宮守村エリア)に存在した「13」という数字。既存の説を覆すような事は無いでしょうが、これを無関係と切り捨てるのは考察屋のする事ではありません。


 これは掘り下げる価値は十分にあるでしょう



・・・そう思い、最初は軽い気持ちで調査しておりましたが、これが思っていた以上に難航。
ようやく少し謎が解けたと思ったら、そこから生じた新たな謎が思わぬ方向に肥大化いたしまして・・・。
かなりスケールの大きい話になりますが、以下に考察の過程とそこから導き出した仮説を記します。



● 「一経十三回読経」の意味

まず、この一経十三回読教の「一経」とはどのようなものだったのか?

・・・該当すると思われる情報を以下のリンク先にて発見いたしました。

[ bukkyo.net ]
 十王(十三王)と十三仏

 「不動釈迦文殊普賢地蔵」と十三の仏の名前の頭の部分のみ節を付けて13回繰り返すと、初七日から33回忌までの追善供養を一度にできるという民俗信仰があるそうな。また追善供養といえば、一年間で13回の法要が行えるように、初七日から三十三回忌までの逆修日というのが決まっています。

ここでまた新しいワードが出てきました。「追善供養」。
・・・これもまた、ネット上にあんまり情報が無いんですよね。一応こちらのWikiに簡単な情報があるのですが、詳細な情報はいろんな宗派のホームページなどに散在している記事をかき集めないと把握不能な有様。

そこで、私なりに解釈した「追善供養」の概要を以下に書き出してみました。

「追善供養」とは・・・日本の仏教においては、死者の魂は冥界で複数回の審理を受けることによって、その後の魂の行き先が決まると信じられています。一般的に地獄の審判官として広く知られているのは閻魔大王(えんまだいおう)ですが、実は審判官のうちの一人(一仏?)に過ぎなかったりするのです。
んで、死者はその都度さまざまな行状(殺生・邪淫など)について審理を受ける訳なのですが、対象者の遺族などが善行(お経を唱える、など)を積むことによって査定をプラスしてもらおう・・・、というのが「追善」という考え方です。

・・・何だか、試験の成績が芳しくなかった学生が追加で提出するレポートみたいな感覚ですね。

んで、審理を行う審判官。説によっては「十王(じゅうおう)」という10人の王とも伝えられていますが、ここでは13人の仏「十三仏(じゅうさんぶつ)」とされています。本来ならは初七日から33回忌までの、長期にわたって定期的に行わなくてはならない追善供養を一発で済ませてしまおうというのが「隠し念仏」です。
・・・いやはや、何とも合理的というか、豪快というか、横着というか。

ちなみに、冥界での審理について詳しく知りたい方は以下のリンク先をご覧いただきたいです。

[閻魔大王と十王裁判]
http://www.onoda16.com/page211.html

非常に興味深い内容なのですが、これを読むと自分が天国に行ける可能性は限りなく低いなぁ・・・と暗澹たる気分になります。私にとっては人間に生まれ変わるのすら無理ゲーに思えてきますね・・・。



● 冥界の裁判官「十三仏」

では、「十三仏」についてさらに掘り下げてみましょう。
以下にその十三人の仏を順番に、一覧表形式でまとめてみました。

審理十三仏裁判官

初七日(7日目・6日後)不動明王(ふどうみょうおう)秦広王(しんこうおう)

二七日(14日目・13日後)釈迦如来(しゃかにょらい)
初江王(しょこうおう)

三七日(21日目・20日後)文殊菩薩(もんじゅぼさつ)宋帝王(そうていおう)

四七日(28日目・27日後)普賢菩薩(ふげんぼさつ)五官王(ごかんおう)
五七日(35日目・34日後)地蔵菩薩(じぞうぼさつ)閻魔王(えんまおう)
六七日(42日目・41日後)弥勒菩薩(みろくぼさつ)変成王(へんじょうおう)

七七日(49日目・48日後)薬師如来(やくしにょらい)泰山王(たいざんおう)

百か日(100日目・99日後)観音菩薩(かんのんぼさつ)平等王(びょうどうおう)

一周忌(2年目・1年後)勢至菩薩(せいしぼさつ)都市王(としおう)

三回忌(3年目・2年後)阿弥陀如来(あみだにょらい)五道転輪王(ごどうてんりんおう)
十一
七回忌(7年目・6年後)阿閦如来(あしゅくにょらい)蓮華王(れんげおう)
十二
十三回忌(13年目・12年後)大日如来(だいにちにょらい)
祇園王(ぎおんおう)
十三
三十三回忌(33年目・32年後)虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)法界王(ほうかいおう)
※ 十一 ~ 十三の裁判官については諸説あり

普通の人であれば、死後七回の審理を経て輪廻先が決定されるのですが、それでも決まらなかった場合は追加で三回の審理が行われるそうです。人間界で例えるならば「追試」ですかね?
この「7+3=10」人の裁判官を十王と呼ぶそうです。因みにこのプラス3人は、インドから中国に伝わる過程で道教の影響を受けた為だとの事。

さらに十王の思想が日本に伝わり広まる過程で、密教の影響を受けたことによって更にプラス3人の裁判官が追加されました。これが「十三仏(十三王)」です。うーん、日本人お得意の魔改造・・・。

・・・
で、改めて十三仏を追っていくと、地獄といえばこの人(仏?)・・・な閻魔様は五番目の裁判官なんですね。どうしてこのお方だけが地獄でクローズアップされるようになったのか・・・、色々と気になります。
そして、ひとつ後の六番目には、以前に当ブログの考察記事でも触れた弥勒菩薩様がいらっしゃいます。


・・・六番目!?



● 昨年度インハイ個人戦トップテンは「十王」?

以前の記事にて、沖縄・真嘉比高校の銘苅さんは弥勒菩薩が元ネタではないか・・・と推測いたしました。
その銘苅さんは昨年度のインハイで個人戦6位、そして弥勒菩薩は十三仏(十王)の六番目・・・。

・・・ここでひとつ、大胆な仮説です。


 昨年度インハイの個人戦上位入賞者は、十王(または十三仏)がモチーフである


そして、「個人戦の順位と裁判官の順番はリンクしている」。

う~ん・・・。真偽はともかくスケールが壮大というか、風呂敷がデカ過ぎる仮説ですね、こりゃ。
でも、仮にこの説が当たっているとすると・・・

 1位 宮永照   = 不動明王
 2位 荒川憩   = 釈迦如来
 3位 辻垣内智葉 = 文殊菩薩
 4位 湯佐さん  = 普賢菩薩
 6位 銘苅さん  = 弥勒菩薩

今分かっている範囲だとこうなりますかね。
湯佐さんは現段階では「名字」と「学年(昨年の三年生)」しか分かっていない、銘苅さん以上に謎な人です(そもそも立先生も登場するか分からないと仰ってますし)。

でも、こんな感じで少なくとも個人戦トップテンの選手についてはキャラ付け・関連付けがされているとか・・・
かっこいい
いいよね



● 仮説の検証

じゃあ実際、現在判明している昨年度トップテン選手が十王とリンクしているのか??
・・・結論から申しますと、イマイチ材料が乏しいんです。

それっぽいネタは幾つかあるんですが、「これだ!」と断定できるような強い材料は見つかりませんでした。
でもしかし、他の方の考察のヒントとして役立つ事もあるやも知れませんので、以下にそのネタをざっと書き出してみます。


・宮永照=不動明王
人の死後、最初の審判を担当するのが不動明王、そして秦広王
この「秦広王」とは秦の始皇帝のことであるらしいです。
そして、その始皇帝は人の心を見透かす鏡を持っていた・・・。
 秦広王の人の心を見透かす鏡=「照魔鏡」?

また、不動明王の特徴でもある険しい顔つき。
天地眼
↑ この表情は「天地眼」と呼ぶそうです。
左右の眼で天と地の両方いっぺんに睨みを利かせるこの表情・・・。

天地眼_比較
『咲-Saki-』第一期、DVD8巻パッケージの表情は「天地眼」なのか?
 テルーの怖い顔=「天地眼
 
あと、不動明王は密教の根本尊である大日如来の化身であると考えられています。
そしてこの大日如来様、「神仏習合の解釈では天照大神(大日孁貴)と同一視もされる」そうです。

天照大神・・・
ご存知の方も多いでしょう。「牌に愛された子」として名前が挙げられている3名と、期待の新星・大星淡を合わせた4名の名前。

    天江衣
 宮永
    星淡
    神代小蒔

一文字ずつ合わせて「天照大神」。
詳しくはいのけんさんのこちらの記事が参考になるかと思います。

[近代麻雀漫画生活]
 咲-Saki-ファンに知っておいて欲しい「天照大神」の謎

他の3名はどういう扱いなのか、という疑念は残るが・・・
 不動明王≒大日如来≒天照大神=「牌に愛された子」たち

ただ、十三仏の十二番目に大日如来様はいらっしゃるし、そもそも順番はあまり関係ないのかも・・・。


・荒川憩=釈迦如来
荒川さんについては、既にジャファーさんが似たような考察をされていらっしゃいました。

[アルカ茄子]
 荒川さん元ネタ探し

こちらの記事では「荒川憩=薬師如来」ではないか、との推測をされています。
やはり特徴的なのはこのポーズですね。

施無畏印
イーピンは釈迦如来の座騎である「蓮の花」をイメージ??

この形の右手は施無畏印(せむいいん)と呼ぶそうです。
この施無畏印といい、「人々を救済する」という役割といい、釈迦如来と薬師如来は非常に近い性質を持っています。但し、薬師如来は「医薬の仏」という性質も持ち合わせており、そのイメージの分だけ説としては優位か??
 右手の形=施無畏印(せむいいん)
 但し「医薬の仏」→ナースという連想がしやすい分、薬師如来説が優勢か?


・辻垣内智葉=文殊菩薩
辻垣内智葉の特徴といえば、まず何といってもその手に持った長剣(ドス?)。
ドス
銃刀法違反

文殊菩薩像は、右手に智慧を象徴する利剣(宝剣)、左手に経典を乗せた青蓮華を持つ。
文殊菩薩
ソースによっては「左手に剣」とも書かれているが、画像検索の限りでは「右手」が正解な模様。
非常に惜しい。。。
 手に持った長剣(ドス)は、文殊菩薩像の姿がモチーフ

 また、文殊菩薩は「智慧(ちえ)」を司る仏様である
「智慧」と「智葉」・・・。似てるっちゃぁ似てますよね??
子供達から「せんせー」「師匠」と慕われ、立先生ですらサトハ先生呼ばわりするほどの人格。イメージとしてはかなりハマっていると思います。

あと、文殊菩薩は密教では「(もとどり)」という、頭の上で束ねた髪型をしているようです。
この髻の数は像によって一、五、六、八の四種類があり、それぞれ一=増益、五=敬愛、六=調伏、八=息災の修法の本尊とされる。
 試合中に髪を束ねるのは、この(一=増益)がモチーフ

髪型比較
確かに、仏様っぽいっていえば仏様っぽい


・・・と、こんな感じで列挙してみました。

尤もらしい根拠だとは思いますが、捉え方しだいでどちらにでも転がるような代物も多くて自信がないんだよなぁ・・・。あと、「湯佐さんと普賢菩薩」については考察できる材料が全くなし、「銘苅さんと弥勒菩薩」については以前の記事の通りです。



● 『咲-Saki-』における麻雀とは何なのか?

そういえば、以前につんさんの記事にて「地獄と麻雀牌の数が同じ」という記載がありました。
もし仮に、立先生がそういう意図を以て『咲-Saki-』という作品を描いているとしたら・・・。
「麻雀=地獄」で、「インハイに出てくる実力者=地獄の審判官」。話としては綺麗にまとまっているような。

でもそうなると気になるのが・・・
 
 地獄の裁きを受けているのは、いったい誰なのか?

って事なのです。咲さん? のどっち??

あと、気になるのが・・・
戒能プロ
この人、戒能プロ

背景は明らかに「三途の川」ですし、地獄とか冥界とかとっても詳しそう。
実は今後のキーを握る人物ではないか・・・、と密かに期待しております。

あとあと・・・
みなもちゃん
幼少期の咲さんと一緒にいた、謎の女の子・みなもちゃん(仮)。

意味深なシーンで登場し、数々の物議を醸したみなもちゃん(仮)。彼女の存在も忘れてはいけません。どことなく「死」を連想させるような儚げな姿の彼女は、再び登場するのでしょうか??

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結構長い文章になってしまいましたが、実はここから更にスピンオフしたネタが二つほどあったり・・・。
これも近々記事としてまとめる予定でございます。

記事の内容について、見識違いや矛盾ながございましたら容赦なく突っ込んで頂ければと思います。
ではでは!