チリの独立記念日大愛国週間も終盤は晴天に恵まれ、なんとも心地よい初春の趣きといった具合で連休も幕を閉じるわけですが。

そんな中、元ペルー大統領フジモリ氏または元参院選候補ふじもり氏または人権汚職嫌疑被疑者チリ自宅拘禁中だったフジモリさんが、延びに延びた最高裁の最終審判の末に「ペルーに身柄引き渡し」されてました。
結局汚職関連10件、人権関連2件のうち計7件でダメ出しを喰らった形で、慌しく昨日土曜日にペルー国家警察の飛行機でペルーに移送。

細かい経緯は日本のメディアでもチリのメディアでも大々的に取り上げられてたんで、詳細省略。
こことか見るといいですよ。El mercurioの特集記事。

とりあえず、どのメディアの論調も基本的にはフジモリの負けという見方なんですけど、どうなんでしょ。
個人的には彼の政治生命は参院選立候補の段階で終わってると思うんですよ。どのツラ下げて今更日本人なんだ?どのツラ下げて今更ペルーで政治活動すんだ?っつー感じで。
でも、今回の件については、あながちフジモリ完敗ってワケでもなさそうに思えるんですよね。無論完勝ってワケでもないですが。

以下、途轍もなくテキトーな感想なんで、興味ない人には読んでもツマランです。
興味ある人にも時間の無駄です。勢いで書いたんですが、ただ消すのが勿体無いんでそのまま放置。
1. 身柄引き渡しのタイミング
仮にフジモリが完勝するケースがあったとしたら、2005年のチリ入国時に即時身柄が自由にされて、ペルー大統領選に即時参戦ってシナリオだったんでしょうけど、その線は速攻で無くなったんですよね。
その後じたばたしてるうちにトレド政権からガルシア政権に玉座が入れ替わり、手も足も出ない状態で日本参院選出馬とゆー暴挙に撃って出て見事撃墜され、んで今回のペルーへの身柄引き渡しってのが実際の状況なんですが、今回のフジモリ身柄移送のタイミングって結構フジモリ氏的には美味しい状況なのかも?って思えるんですよ。

仮にトレド政権下で身柄が引き渡されてたら、これこそ完敗、政治生命どころか物理的に生命の危機だったでしょ。
トレドにとっては、死に体政権の支持率浮揚に格好の材料、叩けるだけ叩いて嬲殺しは目に見えてたワケで。

2. ペルー政界での発言力
大統領選に間に合わなかったものの、上手い事に長女ケイコをフジモリズム後継者として祭り上げて、上院個人最多得票で政界に橋頭堡を確保してるんですよ。
残念ながらフジモリ兄のサンティアゴ氏は、どうしようもなく頼りない感じが否めないんですが、とりあえずケイコはそれなりの政治パフォーマンスが出来る存在だし、知名度としても、スサナ夫人との離婚後は一時期長女ケイコがファーストレディーとして前面に出てたんで申し分なし。もちろん背後でフジモリ氏があーだこーだと指示して操ってるんでしょうが。

そしてペルーへ身柄引き渡し後のフジモリ氏への追求なんですが、トレド政権と違って、ガルシア政権は強硬にフジモリを追求出来ないでしょ。現アラン・ガルシア大統領自身が、言ってみれば現在のフジモリと同じように山盛りの汚職容疑を背負って国外逃亡してただけに、下手にフジモリを突っつくと「ガルシアちゃん、そんなこと言ってていいの? 俺知ってるよ?」と揺さぶられるんじゃないかと。

3. チリ司法の判断とチリ政府の司法独立性尊重
今回のケースで、ことある毎にバチェレ大統領はじめチリ側政治家が「チリ司法は完全に立派に真面目に独立してるんで、政府から何も圧力も掛けないですよ」と言ってますが、どうなんですかね。
まず、一応日本とのFTA調印前にややこしい火種を持ち込みたくないんで、最終判断の言い渡しをバチェレ訪日FTA調印後にずらしたのは、政治的な思惑でしょ、どう考えても。実際の司法判断については政府の思惑や圧力は無かったとしても、チリ国内的に対日FTA調印後という時期を選んだ時点で、操作されてるといえるんじゃないかと。また仮に今回と同様の判断がトレド政権時代に下されてたとしたら、状況は全く違ってたし。
一応チリにとってフジモリ氏ってのはチリ/ペルー両国の気まずい二国間関係を一挙に好転させた功労者でもあるし。
ついでに言えば、最高裁判断が下された直後にバチェレ大統領談話で「国連人権委員会理事国に名乗りを挙げている現状で、人権問題の面からも今回の最高裁の判断は喜ばしい」って言ってるんですが、司法が独立してるんだったら喜ばしいもクソも無いだろ。

司法の判断自体については、まぁ無難なところじゃ無いんですかね。12件中ほぼ半数の7件でダメ出し、しかも人権問題2件は両方ともダメ判断ですし。


とにかくチリとしては、取り扱い注意人物がなんとか本国へお帰りになったってことで安心な感じじゃないでしょうか。
今後のフジモリ氏を廻るペルー政界の動きとか全然把握できないし興味もあんまし無いんですが、とりあえずケイコがフジモリ氏の書いた筋書き通りにキャンペーンでも張るんでしょう。
人権問題が大きな争点となると思いますが、ガルシア大統領はあんまし強く出れないのは間違いないんで、こちらも「司法の独立性を尊重する」ってお決まりのコメントで終わりそうな感じ。
フジモリ氏自身については参院選出馬で決定的にアウトっぽいんで、仮に裁判で自由の身になっても政界復帰は微妙ですが、逆にクリーンなイメージのケイコを駆使して院政でも布きそうな具合。ガルシア政権は弱腰になるだろうし、政界のケイコは牽制に動くだろうし、比較的楽観してるんじゃないかと。

結局ペルーでもフジモリ氏の功罪ってのはチリのピノチェトの功罪と同じく色んな視点から評価批判賞賛罵倒されることになるんでしょう。
つまり、よくわからんってこってす。