こんにちは。


大阪西天満法律事務所
の金京美です。


トホホ事件簿があったので日記に書きます。


先日あった公判で、全部執行猶予を弁論要旨にして主張したところ、


「その主張、法律的に合ってます?」
と、裁判官に言われました。


被告人は、前の事件で服役し、刑務所から出所して1年経たずして今回の事件を起こしているので、刑法25条1項2号により法律上執行猶予ができないのではと考えられたようです。


刑法25条1項 次に掲げる者が3年以下の懲役・・・の言い渡しを受けた時は、・・・その刑の全部の執行を猶予することができる。

2号 前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、
その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に
「禁固以上の刑に処せられたことのない者」

つまり、前の犯罪で服役して刑務所から出て5年以内に犯罪を犯したとしても、その犯罪が禁固以上の刑に処せられていなければ刑法25条1項2号に抵触することなく、法律上全部執行猶予をつけることはできるのです。

また、被告人は、前に刑務所に入った事件(甲事件)以前にも別の罪(乙事件)で服役していましたが、

乙事件の刑の執行が終了した日から、甲事件の言い渡しを受けるまでは5年以上空いていたため

本件では法律上は全部執行猶予をつけることはできるのです。

私は、本件とこの規定の関係をきちんと調べておかなかったために、裁判官の主張に反論できず弁論終了。

やっぱりおかしいと思い、弁論再開を申し立てようと被告人と相談。

しかし主張できたからと言って全部執行猶予をつけることが難しい事案であること、全部執行猶予を求めたところで執行猶予が付く可能性が極めて薄いのに弁論再開を求めると被告人の身体拘束期間がいたずらに長くなる恐れがあるということと、被告人の意向もあって結局弁論再開を申立ませんでした。


裁判官だからと言って言ってくることがすべて正しいわけではなく、自分の身は自分で守らないといけないということを学びました。