張った形が最終形!!

全日本麻雀協会所属の平澤による麻雀の話とか。

最近、麻雀研究者のみーにんさんとお話している中で、思ったことがあったので書き連ねて見たいと思います。

科学する麻雀で数理的な麻雀研究の扉が開かれてから15年経ったわけですが、我々プレイヤーの中で麻雀データの使い方やそれへの印象は二極化しているような印象を受けます。

二極化というのは

(1)出てきた数字を丸暗記して盲信する層
(2)(麻雀は場況対応が重要なゲームである、といった理由から)データにはほとんど興味を示さない層

のいずれかの人が大半なんじゃないか?ということです。
(1)は一時期量産型デジタルなどと言われていた人たちです(他人事のように言ってますが私もかつてはそうでした)。
もちろん初中級者が力をつける過程で「まずは型から入る」「まずはシステムをしっかり作る」というのは有効ですが、それだけでトップレベルに至るのが困難であることは多くの方が感じていると思います。

一方で、天鳳においてもプロの世界においてもトップレベルのプレイヤーの多くが(2)のスタンスを取っているように思います。
「平均的にはこうだけど、実際には場況次第で判断は変わるからね」と思っている強者が多いのではないでしょうか。
これはまあある程度仕方ない、というかどの業界でもそういうものなのかもしれません。私は学生時代医学系の研究をしていましたが、基礎研究(研究室で試験管やマウス等を使った実験)の教授と現場で働くドクター達の考えていることは全く別物だったように思います。(端的に言うと彼らはだいたい仲が悪くお互いがお互いのことを「あいつらはわかってない」と言いたそうな顔してた・・・ような気がしますw)

そうは言っても基礎研究の積み重ねが現場で使う技術や薬になるように
「データを使いこなしたおかげで天鳳位になれました」と言う人が、いずれは出てくるべきだと思います。
しかし実際は(1)か(2)に二極化し、使いこなしているかどうかはともかくとしても「使いこなそうとしている」人があまりいないのが現状ではないでしょうか。
上から言ってるように聞こえてしまうかもしれませんが、自戒の意味も込めて、ですね。


ではデータを使いこなすというのはどう言うことか。
この辺は僕の個人的な考えなので、もしかしたらみーにんさんやnisiさんがご覧になったらツッコミが入るかもしれませんが・・・

例えば私は以前、読みの本を書きました。


この本の一番最初、読みの意義として

「読み」を使って相手のアタリ牌を突き止めることはできないし、それが読む目的でもない。
けれど切りたい牌の危険度が3%なのか15%なのかを判断できれば、押し引きが変わる。

と言ったようなニュアンスのことを書きました。
例えばこの押し引きというのは、nisiさんの押し引き表を使えば「データを元に」「システム化」できる部分です。
しかし実際押し引き表のどこに当てはめるか、というところは読みによって変わりうる。
スジ19並みに安全な無筋もあるかもしれないし、無筋なみに危険なスジ37もあるかもしれない。

基本のシステム、判断基準は「デジタル」でいいけど、それをより高精度に使いこなすツールとして「読み」を取り入れて見ませんか、そんな想いをこのタイトルに込めました。
(余談ですが私の本のほとんどは、最初に出版社の担当からこんなタイトルでこんなテーマの本を書けませんか、とお話をいただくのですが、この本だけは最初からテーマとタイトルを私から提案しました。)

一つ例を出して見ましょう。
押し引きの研究の多くは「シミュレーション」によって数字を算出しています。
シミュレーションというのはようは計算ですが、計算するためには式が必要で、その式に当てはめる数値は(大抵の場合は)牌譜解析から得られた統計データを元に設定されています。

例えば相手のリーチにこちらが押すかオリるかを計算するためには、相手のリーチは良形か愚形か、どのくらいの打点か、というのを式に組み込む必要があります。

統計から得られる平均的な数値として、おそらく良形率は60%程度で計算されるものと思いますが、捨牌にターツ落としがある場合はどうでしょうか。それ以外にも良形率が高いと読む根拠が落ちている場合は?
もちろんそれをもって良形とは確定できませんが、仮に60%が80%になるならば、当然それに見合うこちらの手牌の価値も高いものが要求されます。

最初に挙げた二極化というのはつまり

(1)相手の捨牌に関係なく常に良形率は60%だとして計算している人

(2)捨牌によって良形率は80%かもしれないんだからデータは参考程度だよねと言ってる人

このどちらかのスタンスの人が多いんじゃないか、ということです。

これってどちらもおかしいですよね。

(1)が(少なくともトップレベルを目指す上で)未熟なのはもちろん、(2)だって単に式の中の60%のところに80%と代入してあげれば、その場況に合わせた正しい数字が出るわけですから、それを「データ研究は自分たちのレベルでは使えない」と考えてしまうのは誤りですし、もったいないことだと思います。

もちろん厳密には上に書いたほど簡単なことではなく

①そもそもその捨牌で良形率は80%になるのか
②80%になるとして60%の場合と判断が変わるほどの差があるのか

と言った検証が必要です。
①なんかは、本気で検証しようとしたら強いプレイヤーがかなり厳密に捨牌を定義してデータを取らなければいけませんし、それはそれでみーにんさんに言わせたら「サンプルが足りなくなる」となるのかもしれません。

けど、少なくともこのような思考を持てば、より有用にデータが運用できるのは間違い無いんじゃないかなと思います。
それこそ、①の判断というのはプレイヤーの感覚でも良い、と個人的には考えます。
我々は人の命を預かるドクターではないのですから、基礎研究が十分ではなく認可の降りていない薬でも、自分の裁量と責任で役に立ちそうならば使えば良いのです。勘だけでそこらへんに生えている草を薬草として使うよりは精度が高くなるはずです。


少なくともこの手ではリーチに押したら得だor損だというシミュレーションを見たときに
(1)でも(2)でもなく、その条件(良形率や相手の予想打点等)はどんなものなのか確認し、それがどのくらい変わったら判断が変わりそうか?という視点を持てたら良いなと思います。

例えばシミュレーターを触らせてもらえる機会があるならば、その場面の「答え」をピンポイントで求めるのではなく「相手の良形率が70%未満なら押し得」みたいな範囲を使った回答を考えた方が、上級者向けの回答としては有意義かもしれません。


少し話はそれますが、麻雀AIは人間を超えるか?と言う話題を出すと
「麻雀は数字だけじゃなく、読みや駆け引きがあるゲームだからAIには勝てない」
と言う人がいます。
もちろん本当にAIが人を超えられるかどうかはわかりませんが、少なくともこの主張は間違っていると私は思います。

上記の良形率の話の通り、読みも駆け引きも「数字」なんですよ。

通常60%のものが、読みによって80%だとわかる。
役ありダマ5200の手は通常リーチされるものだとして考えるが「この相手は場況等を加味して15%の確率でダマテンを使ってくる」。

などなど。
ここまで考慮するAIを作れるか、そのことに意味があるか(それによって成績が上がるか)、と言うのは私にはわかりませんが、私たちが読みとか駆け引きだとか言っていることのほとんどは、シミュレーションのパラメータをいじっているだけに過ぎません。
麻雀は全て数字でできているゲームです。
読みも駆け引きもあるし、それは上級者同士の勝敗を分ける重要なファクターかもしれないけれど、それらのことを数字で表現できないから研究が役に立たないなどと言うのは単に理解が浅いだけです。

そして理解が浅い故に研究を有効活用していないと言う意味では(1)の中級者も(2)の上級者も同じだしもったいないな、と言うのが今回の記事のテーマです。

読みもデータも
アナログもデジタルも
全ては地続きの技術です。

もう一度言いますが、これは自戒の意味も込めて、ですw
私自身がそれらを使いこなせているなどとは到底思いませんが、少しずつでも使いこなしていきたいなとは思います。

そういう「データの使い方」みたいな部分を世に出していくのが、私のような立場の人間(プロを名乗っていたり、ライターとして出版したりする人間)の仕事なのか、研究者の方々の役割なのかという話はありますが、
幸い研究者の皆様とはなんどもお話をさせて頂いているので、自分の役割をいただく機会があれば全身全霊で全うしたいなと思います。

最近お仕事の都合で著作のリストを見ていただく機会がちらほら出てきたのでblog記事としてまとめておきます。

※タイトルをクリックするとAmazonの販売ページにジャンプします。

【単著】



→第1作目。ベタオリする際の安全度の比較方法や、押し引きで注意する点など守備技術の基本から、手作りやリーチ判断など幅広く扱っています。最終章は私が天鳳において八段タッチがやっと、というレベルだったところから十段に到達する際に意識したポイントについて書いています。現在の最新理論や私自身の今の感覚よりは少し守備よりなところもありますが、守備について1から学びたいという方にオススメです。



→第2作目。攻撃技術に焦点を当てています。まず受け入れ枚数最大の選択を理解する(牌効率)、次に打点も加味した上で期待値の高い手作りができる(牌理)、最後に場況を加味した上での正着を選べる(山読み)という大きく3つのテーマから成り立っています。牌効率編では枚数を数えずに受け入れ最大の一打見つける考え方をフローチャート化し、システム的に理解できるようにしました。


→「読みの辞典」を目指した本です。危険度の判断、鳴き読み、山読みなど、読みの基本テクニックを網羅的に紹介。これより幅広く体系的に読みを学べる本はないと自負しています。また「どれくらい読みを信用していいのか」「この牌は危険だと読めるけど手牌の価値が高いから押すべきである」といった現代麻雀に即した考えで練習問題も多数収録。


→最新作(2018年8月現在)。平面問題(牌効率や牌理)を勉強中の初心者や、それらがある程度わかってきた中級者に最低限理解してほしい場況判断について立体何切るの形式で説明しています。難しい読みの知識ではなく、場に切られている枚数を把握して正確に対処することに重点を置いており他の本より少し簡単な内容かも。回答者としてしゅかつさん、ZEROさんのお二人にご回答いただいております。



【共著】


→天鳳位3名に押し引き問題について議論していただき、現代麻雀における押し引きの極意を聴き出しました。数理的な研究から「テンパイであれば大抵は押し有利」ということがわかりつつありますが、それなら「1シャンテンはどうなんだ」ということで1シャンテンの問題を大量収録。相手のリーチにシャンテン押しして良い手牌と悪い手牌を徹底的に分析しています。



→天鳳位シリーズ第2段。良形2シャンテンくらいの手牌を和了るまでの手順というのは上級者ならそれほど変わりません。では手牌がバラバラの序盤に、どういう戦略をたて、どのように立ち回るのか?遠い鳴きを入れてガムシャラに和了に向かうのか、配牌からオリ気味に進めるのか、それらを使い分けるための基準は?というリアルな問題を3名の天鳳位にお聞きしました。



→初代モンド王座として知られる、全日本麻雀協会代表土井泰昭プロとの共著です。十年以上前から戦術論の研究、戦術書の執筆に取り組んでいる土井プロの理論に対し、私が麻雀研究者のみーにんさん、nisiさんの研究結果を元にツッコミを入れ誌上でディベートをする、という内容。現代麻雀のセオリーの復習にちょうどいい難易度です。



【協力】


→天鳳で活躍する麻雀AI「爆打」の戦術書です。爆打の牌譜を平澤が徹底的に見て、面白い選択、人間なら悩んでしまうような選択をピックアップ。爆打がなぜその打牌をとったのか、爆打内部のシミュレーション結果と爆打の製作者水上直紀さんへのインタビューから読み解いています。私以上に?麻雀本を書いているフリーライター木村由佳さんが、初心者にも読みやすい会話形式の文章にしてくださっています。



→実質的には天鳳位シリーズ第3段。ラス回避が重要とされる天鳳において「攻撃的」と称される雀風で第9代天鳳位、第5期天鳳名人位に輝いたしゅかつさんの押し引きについて私がインタビューしました。オリ本、というタイトルながらしゅかつさんの選択は攻撃的なものが多く・・・(笑)。その攻撃型強者が「流石にこれ以上は押しすぎだ」と判断する「押し引きのターニングポイント」をまとめた作りになっています。




前回の記事にこんなコメントが

  • 本の中身もちらっと紹介して欲しいです
    Amazonだと前書き的な部分しか見られなかったので
なるほど確かにもう少し内容をお見せしなきゃな・・・と思いつつ一ヶ月経過してしまいました・・・
コメントくれた方本当に申し訳ございません。。。

一応言い訳をすると次の本の締め切りが近くそっちで手いっぱいになっておりました・・・

これですね

場況を見抜く!超実戦立体何切る
平澤元気
マイナビ出版
2018-08-13






この紹介はまた後日するとして
非常に今更ではありますが、オリ本の中身をご紹介します。
あと発売日から時間が経ったのでその間に買ってくださった方の感想なんかもご紹介しておこうと思います。

まず目次がこちら。
扱っているテーマはこんな感じです。
まずは、しゅかつさんの精緻な判断を聴き上級者の方にはそれを参考にしてもらう。そこから私が「ここはシステム化できるな」という部分を抜き出して中級者の方はそちらを重点的に読んでもらいたい、そんな感じですね。


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スクリーンショット 2018-06-29 12.10.12




内容はこんな感じ


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もちろん4人分の立体図使った問題もありますし、それはテーマに合わせて、って感じですね。
こんな感じでしゅかつさんの意見を聴くパートが4ページ、そのあとに平澤のまとめが2ページはいるという感じです。

次にお読みいただいた皆さんのツイートから、内容等が伝わる感じのものを貼っておきます。
もし私のツイート勝手に貼らないで!という方がおられましたら消しますのでご連絡ください。









twitterなので批判的な意見が少ないというのはありますがまとめると

(良い点)
上級者でも得られるものがある
細かな質問(ここが違ったらどうか?)も多く、しゅかつさんの判断基準がよくわかる

(悪い点)
内容が難しくすぐに実戦で使うのが難しい
書いてる結局平澤やんけ

ってとこでしょうか。
私としても結構的を得ていると思います。
多分私が関わった本の中で最も上級者向けになったのかな?という気がします。初心者の方にはオススメしません!
2シャンテンから無筋プッシュとか普通は怪我しますからね!w

が、その分「戦術書って結局どれも同じこと書いてあるよね」と思われる上級者の方にも何かしら得るものがある内容になったのでは無いかなと思います。
もちろんそのレベルの方というのは戦術書に書いてあることを鵜呑みにして真似をするというところからは卒業されていると思うので「なるほどしゅかつさんはこう考えるのか」というところでご自身の判断に取り入れたり、もしくはご自身の感覚との違いをこの本を読むことで言語化できたり、という感じになりますかね。

あと個人的にはこの本を読んだことでしゅかつさんが出ている対局(私がそれを感じたのは最強戦の天鳳ニューパワー大会ですが、今後も名人戦や連盟戦など)でしゅかつさんの思考が少しわかるようになってより楽しめました!

というところで、改めて更新が遅くなり申し訳ございませんでした。
8月にも本出しますのでよろしくお願いします!




こちらの本が出版されました!
私も構成その他でお手伝いさせていただいております。

私が問題作成→しゅかつさんにインタビュー→まとめ
と言う感じなので構成や内容については







このシリーズに近いですね。
これらを読んでいただいた方はこの第三弾と思っていただければと思います。

ただこの2冊は天鳳位3名にディベートのような形で話していただくことで、誰か一人の考え方に依存しない普遍的な正解を追求することを目指しました。
一方で今回はしゅかつさん一人にスポットをあて、しゅかつさんがどんな考え、基準を元に押し引きを決定しているのか、と言うところを掘り下げています。

twitterを見ると「結局内容は平澤本やんけ!」的な意見もちらほらあり・・・・w
実際上記の通り、フォーマットとかまとめの文体とかはその通りなんですが、そこに書かれている「選択」は間違いなくしゅかつさんのものですから、しゅかつ本で間違いないと思っていますw

もうひとつ
「なんでしゅかつさんがオリの本?」
と言う風に思った方もいるのではないでしょうか。

もちろん天鳳位なのですから守備力が低いわけはないのですが、それでもしゅかつさんの麻雀をよくご覧になっている方からすると、しゅかつさんの持ち味というか強さと言うのは切れ味鋭い攻撃面、相手のリーチや仕掛けに対してもしっかり踏み込んで自分が和了りきる、そう言うところにあるように思われるかもしれません。
と言うか私自身はそう言うイメージがありました。

実際この本も、最初はしゅかつさんの紹介と言う意味合いも込めて、しゅかつさんがノーテンから相手のリーチに無筋を押して和了きる牌譜の分析から始まります。オリ本なのにw

この本のテーマはAmazonの商品紹介にもある通り、オリの手順や押し引きの基礎を解説することではありません。
シャンテンから無筋を押して、自分の勝負手を和了り切る能力を持っている、一般的に攻撃型と言われる強者(しゅかつさん)が、「流石にこれは押せないな」と考えるポイントはどこなのか?と言うのを探っています。

攻撃型とか守備型と言うのは、麻雀の本質からはずれた考え方かもしれませんが、現実問題として微妙な判断において「押しを選択することが多い強者」(攻撃型強者)と「オリを選択することが多い強者」(守備型強者)はそれぞれいます。

守備型強者がオリを選択した場面の中には「強者みんながオリる場面」と「攻撃型強者なら押す場面」が混在しますが
攻撃型強者がオリを選択した場面のほとんどは「強者みんながオリる場面」ではないか

つまり攻撃型強者が「ここまではギリギリ押すけど、ここから先は流石にオリなきゃだよね」と言った地点こそ、ほとんどの中級者が参考にできる押し引きのボーダーラインなのではないか?
そう考えました。

これは押すけどこっちはオリるのか!
みたいな単なるシャンテン数に依存しない判断もあります。

ここ数年シャンテン押しの重要性、特に打点のある価値の高い手を作ってしっかり押し返すことの重要性を説く戦術論が流行っていますよね。
もちろんこれは正しいと思いますが、そう言った戦術を勉強しすぎて最近押しすぎになっているかも?そんな人にぴったりの本になっていると思います。
ぜひ手にとって頂けますと幸いです!


こちらの本の制作に携わらせて頂きました。

twitterでも話題になった麻雀AI爆打を取り上げた戦術書です。
私が担当したのは主に問題選びと回答の骨子。


平澤が爆打の牌譜と、爆打内部のシミュレーション数値を見比べながら面白そう、役に立ちそうな場面を探し問題にする

開発者の水上さんにその場面について解説をして頂く。
平澤の認識が間違っていないか、爆打がどこまでの情報を考慮しているか(例えば平澤の目からは下家はトイトイに見えるけど爆打は相手の手役まで読んでいるか?等)等をお聞きし、大まかな回答解説を作成

川村本や鈴木優プロの本の編者をされた木村由佳さんが爆打と生徒役の学生二人の会話劇として読みやすく執筆

といった感じで作られた本です!

爆打の思考に迫る、というよりは、AIの選択から戦術を学ぼう、という本で、基本は何切る形式になっています。


正直なところ、天鳳民の中には「爆打ってそんなに強いの?信用できるの?」と思う人もいると思います。
特上卓と鳳凰卓の違いがあるので一概には言えませんが、爆打の成績は九段タッチ1回、安定段位は七程度。天鳳系の戦術書著者としてはそれほど良い成績ではありません。

さらに爆打の観戦をしていた人の中には「なんかめちゃくちゃな打牌してたぞ」と思われる人もいるかもしれませんね。

私自身爆打が現時点で天鳳の最上位層に肩を並べているとは思っていません。
しかし
「じゃあそんな奴の本を読んでも役に立たないじゃないか」
と、考えるのは少し安直すぎます。


その人の成績というのは、その人の得意分野(例えば牌効率)とその人の苦手分野(例えば押し引き)をぜーんぶひっくるめた能力の合計値を示します。

ある状況に置いてめちゃくちゃな打牌をしている

にも関わらず、総合的な成績が九段タッチということは、他の状況においてはそれを大きく上回る能力を発揮していることになります。


具体的な話をしましょう。


爆打は序盤は、過去の鳳凰卓の牌譜から似たような牌姿を探し、そこでの鳳凰民の打牌傾向から打牌を選びます。この手法では鳳凰民の平均的能力より高い選択をすることは難しいですよね。

一方で、自分がテンパイした、自分が1シャンテンで鳴けばテンパイする牌が切られた、相手からリーチが来た、等のより成績に影響しやすい場面では、爆打内部のシミュレータによってその場面の点数状況や場況まで加味したシミュレーションを行い打牌を決定します。


よくAIというフレーズから爆打のことを「牌理とか平面的な選択は間違わないんだろうけど、麻雀は相手との駆け引きや読みがあるゲームだからその辺はイマイチなんでしょ」と考えている人がいるみたいですが、私の主観ではこれは全くの逆です

爆打の強みは中盤以降の読みと押し引き、点数状況判断であり、シミュレータが走っていない序盤の手組みには改善点が多い。
逆にシミュレータを用いている場面では、人間では判断できない細かな和了率や放銃率の差を計算に入れた上で精度の高い押し引きやリーチ判断ができる。

これが爆打の牌譜を数ヶ月見続けた私の印象です。


そして今回の本では、その爆打の得意な部分だけを抽出して、すなわち中盤以降のシミュレーションをかけて答えを導いている場面だけを選りすぐって問題にしています。
そういう意味ではデータ本に近いかもしれません。

「目の前の場況を踏まえたシミュレーションによって、もっとも平均順位の高い一打を正解として設定した何切る本」これがこの本の正体です。
なので爆打よりも安定段位が高い人は読んでも意味がないとか、そういう心配は必要ないでしょう。

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