こちらの本の制作に携わらせて頂きました。

twitterでも話題になった麻雀AI爆打を取り上げた戦術書です。
私が担当したのは主に問題選びと回答の骨子。


平澤が爆打の牌譜と、爆打内部のシミュレーション数値を見比べながら面白そう、役に立ちそうな場面を探し問題にする

開発者の水上さんにその場面について解説をして頂く。
平澤の認識が間違っていないか、爆打がどこまでの情報を考慮しているか(例えば平澤の目からは下家はトイトイに見えるけど爆打は相手の手役まで読んでいるか?等)等をお聞きし、大まかな回答解説を作成

川村本や鈴木優プロの本の編者をされた木村由佳さんが爆打と生徒役の学生二人の会話劇として読みやすく執筆

といった感じで作られた本です!

爆打の思考に迫る、というよりは、AIの選択から戦術を学ぼう、という本で、基本は何切る形式になっています。


正直なところ、天鳳民の中には「爆打ってそんなに強いの?信用できるの?」と思う人もいると思います。
特上卓と鳳凰卓の違いがあるので一概には言えませんが、爆打の成績は九段タッチ1回、安定段位は七程度。天鳳系の戦術書著者としてはそれほど良い成績ではありません。

さらに爆打の観戦をしていた人の中には「なんかめちゃくちゃな打牌してたぞ」と思われる人もいるかもしれませんね。

私自身爆打が現時点で天鳳の最上位層に肩を並べているとは思っていません。
しかし
「じゃあそんな奴の本を読んでも役に立たないじゃないか」
と、考えるのは少し安直すぎます。


その人の成績というのは、その人の得意分野(例えば牌効率)とその人の苦手分野(例えば押し引き)をぜーんぶひっくるめた能力の合計値を示します。

ある状況に置いてめちゃくちゃな打牌をしている

にも関わらず、総合的な成績が九段タッチということは、他の状況においてはそれを大きく上回る能力を発揮していることになります。


具体的な話をしましょう。


爆打は序盤は、過去の鳳凰卓の牌譜から似たような牌姿を探し、そこでの鳳凰民の打牌傾向から打牌を選びます。この手法では鳳凰民の平均的能力より高い選択をすることは難しいですよね。

一方で、自分がテンパイした、自分が1シャンテンで鳴けばテンパイする牌が切られた、相手からリーチが来た、等のより成績に影響しやすい場面では、爆打内部のシミュレータによってその場面の点数状況や場況まで加味したシミュレーションを行い打牌を決定します。


よくAIというフレーズから爆打のことを「牌理とか平面的な選択は間違わないんだろうけど、麻雀は相手との駆け引きや読みがあるゲームだからその辺はイマイチなんでしょ」と考えている人がいるみたいですが、私の主観ではこれは全くの逆です

爆打の強みは中盤以降の読みと押し引き、点数状況判断であり、シミュレータが走っていない序盤の手組みには改善点が多い。
逆にシミュレータを用いている場面では、人間では判断できない細かな和了率や放銃率の差を計算に入れた上で精度の高い押し引きやリーチ判断ができる。

これが爆打の牌譜を数ヶ月見続けた私の印象です。


そして今回の本では、その爆打の得意な部分だけを抽出して、すなわち中盤以降のシミュレーションをかけて答えを導いている場面だけを選りすぐって問題にしています。
そういう意味ではデータ本に近いかもしれません。

「目の前の場況を踏まえたシミュレーションによって、もっとも平均順位の高い一打を正解として設定した何切る本」これがこの本の正体です。
なので爆打よりも安定段位が高い人は読んでも意味がないとか、そういう心配は必要ないでしょう。