久々にMリーグのはなしをしよう!



なるほど、Mリーグはスポーツを意識しているので、野球のようにそれぞれの指標に対して賞を与えるわけね、それは盛り上がりそうだし良い試みに見える。






平均打点ってなに?



という話をしようと思います。
最初に謝らなければならないのですが、現在Abemaビデオの方にも本日の放送が上がっていないので自分では該当部分を放送で確認できておりません。
もしそもそもこの三賞の内容に事実誤認が含まれていた場合は申し訳ございません。

ひとまず「平均打点」がMリーグの個人賞に採用されるとしたら、というお話です。


まずは全麻雀打ちのバイブル「教えて科学する麻雀」に収録されている「打ち筋データ分析〜四人麻雀編〜」を見てみましょう。

(以下書籍に掲載されている表から関連する部分のみ引用)
スクリーンショット 2018-11-30 23.36.13

これはアーケードのオンライン麻雀MJ4から得られた統計データです。

まず和了時平均翻数をみると、対人で負け越している平均順位2.5以上のグループと、対人勝ち越し(言うならば勝ち組)の平均順位2.5未満のグループを比べると明確に勝ち越しグループの方が平均翻数は低い。

次に、全ての和了の中でハネマンの和了がどれくらいあったか、という割合を見てみると
平均順位が悪ければ悪いほどその割合は増えていく、ことがわかります。

ちなみに本にはもっと詳しいデータが乗っていますが、倍満、三倍満、役満においても同様の傾向は見られます。
弱い人ほど高い手をたくさん和了ってるわけですね。

麻雀というのは最初に和了形を作った人だけが得点できるゲームです。
「あと1巡で役満が和了れてたのに!」という人よりも
「1巡早く1000点を和了った人」の方が高い評価をされる(点数が増える)というゲーム性があります。

当然相手より早く高い手を和了れるならそちらの方が良いので
速度と打点のバランス、すなわち効率が重要になってきます。

その上で麻雀の点数計算の仕組みを見てみると、
満貫になるまでは1翻増えるごとに打点が倍になっていきますが、4翻から先は2翻増えてやっと1.5倍と途端に効率が悪くなります。
すなわち5200〜満貫くらいの手をたくさん作るのがもっとも効率的な手作りであり、ハネマン以上の手を無理に目指すのは効率が悪いわけです。

結果、上級者ほど(満貫までは手作りをするが)ハネマン以上を無理に狙わなくなる、というのがこのデータに反映されています。

一応ハネマン以上の回数は変わらず、それ以上に満貫以下の手牌を効率よくたくさん和了ってるから割合的には少なくなる、みたいな可能性もありますね。
まあなにはともあれ、ざっくりいうと平均打点が必要以上に高いっていうのは弱者の傾向なのです。



はい。
なんで平均打点が高いと表彰されるのかわけわかめ・・・


いやいや!
わかります。
わかりますよ。

こんな浅はかな分析ではただの量産型デジタル君のブログです。
あえてツッコミを入れて見ましょう。


まずこれはMJ4というゲームのデータであり、Mリーグとは異なる点がいくつもあります。

まずMリーグはトッププロの集まりであるという点ですね。
ただトッププロだからといって上記の傾向がなくなるか?と言われるとそんな理屈は思い浮かびません。

次に特定回数のポイントで勝負を決めるというレギュレーションであるという点です。
これは結構重要なんですよ。
こうなると期待値とか効率とかいうものよりも分散を意識した選択が重要になる、という考え方があります。

すなわち、多少効率が悪くても高い手を作ったほうが、無限回数打った場合の平均順位は悪くなるとしても優勝できる確率は増えるのではないか?という考えです。
これは競技麻雀の世界では割とポピュラーな考え方です。

でもだとしたら「ハネマン以上の回数」とかで争うべきですね。

だって「高い手作りをしてしてハネマンを10回和了った人」よりも「高い手作りをしつつ交わし手も駆使してハネマン10回とのみ手を5回和了った人」の方が間違いなく優れているわけですから。
平均で考える意味がありません。

なんなら「合計和了点数」で良いでしょう。


次に興行的な視点を考えてみます。
Mリーグは競技でもありますが、大前提としてたくさんの人に見てもらいたい、今まで存在していたどの麻雀対局よりも市場規模の大きなムーブメントにしたい、そういうイベントです。

したがってライトユーザが盛り上がれるような賞にするのが重要ですし
野球で言う所の

「ホームラン賞」=パワーヒッターが取る賞
「盗塁王」=俊足の選手が取る賞
「首位打者」=技巧派のバッターが取る賞

みたいにそれぞれ違った個性を持った選手が表彰されるのが理想、という考えが今回の三賞から伺えます。
「総合得点」「平均順位」「ラス回避率」
みたいな感じだと、結局総合成績の良い人が全部取るだけだね、みたいになっちゃってつまらないと。

これはわかる。

でもだったら「トップ率」でよくない?
オカアリルールだからトップ率1位は総合得点1位になっちゃう可能性は高いだろうけど、野球だってホームラン王は打点も稼ぎやすいので似たようなもんな気も?
最高位戦ルールにすればよかったのでは


で、いろいろ考えました。
麻雀の本質をとらえていながら、様々な雀風の打ち手を表彰できる賞をどうしたら設定できるか。
(そもそも個人競技であり突き詰めれば理論上の正解が1つになり得るゲームである以上それが間違いって話はありますが)

これは完全に私の独断と偏見から出した結論なので、反論多いに結構なのですが


Mリーグは牌譜とってデータベース化してないのが最大の問題点なのでは????


牌譜さえとってデータベース化しちゃえば「平均和了巡目」とか「合計和了打点」とか「放銃率」「和了率」「局収支(1局あたりの平均得失点)」とかめちゃくちゃバラエティに富んだ指標で、表彰することができますよね。

たぶんこれやってないから、和了率とか合計和了点みたいな適切な指標を使うことができず、結果平均打点みたいな最初からデータをとると決めていたごく限られた指標(選手入場時に表示されるデータしかとっていないのでは??)しか使うことができず、その中で差別化した賞を作ろうとしたらこうなった、みたいな事情があるんじゃないの、と邪推してしまいます。

ちゃんとデータさえとれば、ちょうど
天鳳名人戦データサイト
のような感じのができるじゃないですか。

さらにMリーグ完全データガイドみたいな(対戦数少なすぎ問題はあるけど)商業コンテンツを作ることにもつながるし、データを駆使したかっこいい解説だってできる。

一見マニアックなように聞こえますが、野球とかだってどんどんデータをエンターテイメントとして利用してるし、初心者であってもデータ使ってしゃべってたら「なんかかっこいい」ってなると思うんですよね。

それに麻雀を知的スポーツとしてアピールしたいならデータ出さない意味なくない????数字と確率のゲームなんじゃないのこれ?????

って気がするんですけどどうですか。


もちろんいろんな事情があって、それらの兼ね合いの中でベターな選択をしなきゃならないのはよくわかります。
そもそも私は卓上の競技性さえ保たれていれば、その外側はどんどんエンターテイメント重視にして視聴者を楽しませるべきだ、とすら思っているので「興行的にそんな小難しい話はいらねーんだ!平均打点が一番わかりやすいだろ!!」みたいな信念があるならそれはそれで良いんですけど(それにしたってトップ率の方がわかりやすい気がするけど)

さすがに(ある1つの見方、データの取り方では、という話であるとはいえ)「高ければ高いほど弱い」と言えてしまう恐れのある指標を採用するのは違和感ありませんか??ってお話でした。
みなさんはどう思いますか?

僕らのバイブル「教えて科学する麻雀」(詳しいデータはこちらをどうぞ)


平均打点が低くて強い人の本