久々の更新になりますが,本年度から大学で民商法のゼミに関わることになりましたので,最近また基本書等を読み直しています。そのため,本ブログも最新の情報に少しずつアップデートしていきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 その第一弾として,債権総論の基本書について更新しました。

伊藤真試験対策講座3 債権総論


債権総論 第3版 (伊藤真試験対策講座)債権総論 第3版 (伊藤真試験対策講座)
伊藤 真

弘文堂 2009-10-27
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 自信のない人、未修者は読むべし。特定物・不特定物の処理のフローチャートは必ずマスターしておくこと。最後の最後まで繰り返してこのフローチャートを頭に描く機会はある。


松尾 弘 古積 健三郎他『ハイブリッド民法〈3〉債権総論』

ハイブリッド民法〈3〉債権総論ハイブリッド民法〈3〉債権総論
松尾 弘 古積 健三郎 松井 和彦 原田 昌和

 入門レベルから潮見『プラクティス』への橋渡しに最適。3日で通読したが,非常に分かりやすかった。
 ハイブリッド民法は,全範囲を網羅している基本書シリーズである。その構成は,まず設例が示され,それにまつわる通説・判例の考え方,その考え方による設例の解釈が示されるというケース・スタディ型になっており,各単元の最後には演習問題もついている。あまり有名なシリーズではないが,おそらく未修者コースのロースクール生にとって,かなり役立つシリーズではないかと思っている。
 とりわけ,債権総論については出来が良く,潮見に手を出す勇気・時間・実力がない方には,これがいちばんおすすめできる。
(2016年6月27日追記)10年近く更新がなく,近年の判例のフォロー等に不安が残ることから,同様の役割の基本書としては下の松井宏興氏の著書を薦める。

松井 宏興『債権総論 (民法講義)』


債権総論 (民法講義)債権総論 (民法講義)
松井 宏興

成文堂 2013-10
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 上記ハイブリッド民法の代替となるものとしては本書が最適と思われる。同じ著者の『担保物権法』は,本ブログでたびたび言及しているとおり,司法試験に向けた必要十分な担保物権法の知識を身につけることができる最適の書だが,本書も同様にケースメソッド方式で通説・判例の知識がコンパクトにまとめられている。
 ただし,新司(上位合格),修習(民裁で債総は問われやすいイメージあり),実務まで見越すと,債権総論についてはより突っ込んだ理解が求められることも多いように思う。高いレベルを目指す人は,下記潮見プラクティスか中田債権総論を読むべきであり,特に具体例が豊富で,要件事実的分析にも優れたプラクティスは,しっかりとした実力を身につけたい人には強く薦める。

潮見佳男『プラクティス民法 債権総論 第3版』 


プラクティス民法 債権総論〔第4版〕 (プラクティスシリーズ)プラクティス民法 債権総論〔第4版〕 (プラクティスシリーズ)
潮見 佳男

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 債権総論では最高の教科書。ケースが説明の後に来ることが多い記述の順序は独特だが、すぐ慣れる。要件事実についての言及も多く、司法試験対策としては最高の本である。
 一見分厚くて取っ付きづらく思えるかもしれないが、端的な記述とまとめ方の良さのおかげかどんどん読み進められる。ケースは必ず手で図示してみて自分なりの解答を考えてみること。その過程が短答対策にも効いてくることが後に実感できるはず。
 ただし、債務不履行のあたりは難しいので、後回しにして債権者代位権まで飛んで、最後までやってから戻った方がいいかもしれない。

中田 裕康 『債権総論』


債権総論 第三版債権総論 第三版
中田 裕康

岩波書店 2013-08-28
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 現東大教授の中田裕康氏の著作で,現在手元に置いている1冊。潮見プラクティスと双璧をなすクオリティに達している。
 受験生にとっては,多くのケースと歯切れの良い説明でガンガン読める潮見プラクティスの方がいまだベストだと思うが,学説や判例の深く掘り下げた丁寧な説明が読めることや,より新しい時代の動きに対応している点で,実務家にとっては非常に参考になる。
 かなりの良書なので,受験生的には,これからは潮見or中田の二択になるのではないだろうか。



平野裕之『債権総論 (プラクティスシリーズ)』

債権総論 (プラクティスシリーズ)債権総論 (プラクティスシリーズ)
平野 裕之

 潮見プラクティスと間違えないように挙げた、というわけではなく、こちらの本も分かりやすい。
 図の多用と立法過程まで遡った丹念な説明は定評があり、友人が気に入って使っていた。ただし、私の好みではケースからイメージを喚起しやすい潮見プラクティスの方がいいと思う。

 

内田貴『民法掘

民法 III [第3版] 債権総論・担保物権民法 III [第3版] 債権総論・担保物権
内田 貴

 1度通読。債権者がとりうる債権回収手段という視点からよくまとめられている。担保物権(債権総論と行ったり来たりすることになる)も合わせて1冊で学べる利点は大きい。ただし、要件・効果・主張立証責任・判例通説の思考枠組等についての記述の明確さで、プラクティスのほうが上だと思う。