私が受験生時代に愛用し,読み込んでいた「商事関係訴訟 (リーガル・プログレッシブ・シリーズ)」が改訂されました。
 本書は,執筆者全員が東京地裁の商事部で商事関係訴訟の実務に携わった裁判官であり,内容の信頼性も高く,「類型別会社訴訟」の内容を1冊にコンパクトにまとめた内容になっています。
 新司法試験の会社法の論文式問題は,各訴訟類型ごとに,要件事実や論点が整理できている人とそうでない人とで大きな差が開く問題となっているため,裁判実務の運用に沿った要件の解釈や論点についての判例法理等が整理された本書は非常に有用であると考えます。
 
 なお,初版は,平成18年5月の会社法施行直後に刊行されたこともあって,旧法の説明や旧法下の解釈,旧法との比較等の記述が無駄に多いこと,実務上も試験対策上も重要性が増している組織再編(合併,会社分割,株式移転,株式交換)に係る訴えの章が存在しないことといった難点があり,「類型別会社訴訟」を引っ張り出さなければならないことも結構あったのですが,今回の改訂版では上記難点が見事に解決されており,初版刊行後に出された重要判例も補充されたことで,「1冊で事足りる」参考書になりました。

 会社法については,メインの教科書は「リーガルクエスト会社法」または「実務会社法講義」,学者執筆の信頼性の高い参考書として江頭「株式会社法」,実務家執筆の信頼性の高い参考書として,「商事関係訴訟」の3冊を日々使いこなしておけば,新司法試験対策には十分かと思います。

 以前模試の採点を手伝ったときの印象でも,会社法は,他の実体法と比べて,受験生の知識・理解に格差が大きいため(例えば,429条1項の悪意重過失の対象は何かといった基本的知識の部類に属する問いにさえ,即答できない人も多い。),会社法を得意にすることは,他の受験生と差をつけるために非常に重要になります。しっかり読み込んでみてください。
 

商事関係訴訟 (リーガル・プログレッシブ・シリーズ)商事関係訴訟 (リーガル・プログレッシブ・シリーズ)
西岡 清一郎


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成和明哲法律事務所