新司法試験・上位合格者のメソッド(勉強法・基本書等)

新司法試験、司法書士、行政書士、法科大学院(ロースクール)試験等に役立つ勉強法・基本書・演習書・問題集・予備校教材の情報や感想を発信

基本書:民事訴訟法

民事訴訟法の基本書の組み合わせについて

結構放置してしまった質問にお答えします。

1 民事訴訟法の基本書について

 現在、藤田先生の「講義民事訴訟(初版)」を3回通読し、他の基本書に進みたいと思っています。
 そこで、新司までに通読する本として、「講義民事訴訟」と「重点講義(上・下)」だけを読むか、「講義民事訴訟」、「解析民事訴訟」、「重点講義(上・下)」を読むか、「講義民事訴訟」、「伊藤眞先生の基本書」、「重点講義(上・下)」を読むかで迷っているのですが、どの組み合わせ(若しくは、別の組み合わせ)がベストでしょうか。
民事訴訟法 第4版民事訴訟法 第4版
伊藤 眞

裁判所お墨付き?
  私の場合,民事訴訟法に関して,準備書面や移送申立書等の訴訟に関する書面で引用することが多いのは,コンメンタールと伊藤眞『民事訴訟法』です。修習生時代に,数ある民事訴訟法の学者執筆基本書の中で,伊藤眞『民事訴訟法』だけは全国の裁判所に無償配布されているという話を聞いたことがあり,一応裁判所お墨付きの基本書であるとの認識の下,よく引用しています(笑)。
 さて,質問者の方は,『講義 民事訴訟』の初版を3度も通読したとのことであれば,上訴以外の基礎はしっかりしているのではないでしょうか(第2版では上訴も収録。)。ゆえに,今から伊藤眞『民事訴訟法』を一から読む必要はないと思われます。ただし,上訴部分については,伊藤眞『民事訴訟法』や総研の講義案などで補充すると良いでしょう。
 また,ロースクールでは,「ケースブック民事訴訟法」や,『ロースクール民事訴訟法』を使った授業が行われるのが一般的ですが,これらの本の設問を解くためには,『重点講義民事訴訟法』がないと厳しいかと思われます。ゆえに,授業に合わせて判例と共に重点講義を読み込んでいくと,実力がつくと思います。
 その上で,旧司法試験の問題を題材に,要件事実的分析を適宜加えながら,各論点の解説をしていく『解析 民事訴訟』もやれば,他は特にやる必要がないでしょう。

(つづく)

『講義 民事訴訟』から始める民事訴訟法の勉強法

4130323628講義民事訴訟 第2版
藤田 広美
東京大学出版会 2011-05

オススメ度:★★★★
レベル:入門〜標準
使用法:通読
→  LS時代,周囲に民訴が苦手という人は多く,私もその一人だったが,要件事実をしっかり学んだり,『重点講義 民事訴訟法』を通読したことで,最終的に苦手意識は完全になくなっていた。
 民事訴訟法(手続民訴,理論民訴を問わず)を根本から理解するには,要件事実や主張立証責任の振り分けについての知識・理解が不可欠の前提となる。『民事訴訟法から考える要件事実』という要件事実の入門的良書が存在するが,逆に要件事実から民事訴訟法を考えることのほうが重要なのではないかと思う。
 そのような意味で,要件事実や主張立証責任についての説明から始まる『講義民事訴訟』は,非常に民訴の理解が進む良書である。要件事実関係の書籍で有名な大江忠先生が,LSで指定教科書として使用していたのもうなずけるところ。
 上訴の項も追完されて,入門的基本書としては隙がなくなった印象。

4785718536Law Practice民事訴訟法
山本 和彦 編集
商事法務 2011-03

 なお,基本書を読んだら,必ず問題演習をして,論文をフルスケールで書き,知識を定着させることが実力を上げるためには絶対に必要。民訴が苦手な人や未修者,学部生には,『Law Practice民事訴訟法』がオススメ。基本問題・発展問題で民訴全分野をほぼ網羅しており,解説も平易かつ通説・判例を基本としており(比較的若手の学者が執筆しているので,変な色がない),知識の整理にも役立つし,よくまとまっている。

489628657X民事訴訟の基本原理と要件事実
田中 豊
民事法研究会 2011-01

オススメ度:★★★★
レベル:標準〜発展
使用法:通読
→ こちらは,民訴が得意な人がさらに理解を深めるため,あるいは勉強熱心な修習生などに推薦できる。
 出版社によると,「既判力、処分権主義、弁論主義、釈明権、重複訴訟禁止、一部請求訴訟、多数当事者訴訟、確認訴訟等、抽象・難解な基本原理を、要件事実をツールに理解の促進を追求。」ということらしい。
 現在空き時間に読み進めているが,これも要件事実論の本ではなく,民訴を学ぶための本。要件事実の知識・理解を前提として,民訴の基本概念が判例実務でどのように現れるのかを解説しており,机上の空論でない実際的かつ明晰な理解に到達することができるのではないかと思う。
 ただ,同じ著者の『法律文書作成の基本  Legal Reasoning and Legal Writing』の方が,私のような駆け出し弁護士,あるいは司法修習生には即効性があるかな。将来弁護士・裁判官などの法律実務家を目指している人(当ブログの読者の大半はそうでしょうが)も絶対読んだ方がいいですよ。

 質問がたまってますが,少しずつ答えていきますのでお待ちください(当ブログのコメント欄やneutrallawyer[アットマーク]gmail.comで質問を受け付けています。)。

民事訴訟法の基本書

伊藤 真 『伊藤真の民事訴訟法入門 講義再現版』

伊藤真の民事訴訟法入門 講義再現版伊藤真の民事訴訟法入門 講義再現版
伊藤 真

オススメ度:★★★+α
レベル:基礎
使用法:通読
→ 完全な初学者向けの入門。伊藤塾の導入講座である「体系マスター」の講義を口語体で起こした内容となっており,大変分かりやすく全体像をつかむのに適している。
 ただ,訴訟物→法律上の主張→事実上の主張→立証っていう4段階の説明はまどろっこしい。訴訟物⇒主張(事実)レベル⇒立証(証拠)レベルの3段階で整理すれば,もっと明快になると思う点が多いのだが・・・。
 ロースクール生(主に未修者)には,判例の事例を盛り込んだ下記の中野先生の入門の方がオススメか。

加藤晋介『加藤晋介の民事訴訟法入門』

加藤晋介の民事訴訟法入門加藤晋介の民事訴訟法入門
加藤晋介

オススメ度:★★★
レベル:基礎〜標準
使用法:通読
→ こちらは一通り民訴を学んだが,いまいちもやっとしている人,知識の再確認をしたい人などに適している。基本原理から骨太に説明していくのが,加藤晋介入門の特徴。初級者から中級者への橋渡しとなる入門書。

中野 貞一郎『民事裁判入門 』

民事裁判入門 第3版民事裁判入門 第3版
中野 貞一郎

オススメ度:★★★★
レベル:基礎〜標準
使用法:通読
→ 民事訴訟の手続と理論について,適宜判例を題材とした設例を挿入しつつ,分かりやすく説明されている。 民訴の初学者にとってはこれ以上の本はない。

伊藤 眞 『民事訴訟法』

民事訴訟法 第3版4訂版民事訴訟法 第3版4訂版
伊藤 眞

オススメ度:★★★★
レベル:標準〜発展
使用法:通読,参照
→確かに初学者にとっては取っつきにくいかもしれないが,旧訴訟物理論(判例)に立脚する民事訴訟法の本では,藤田民訴の他,これ以上のものはないのではないか。
 独自説を取っている部分も結構多いが,論理的な一貫性を保ちつつ,理論的・価値判断的に妥当と思える方を柔軟に採用すればいいと。平均レベル以上の人向けだと思うので、苦手意識がある方は藤田広美『講義 民事訴訟』や上田徹一郎「民事訴訟法」の方を薦める。

上田 徹一郎 『民事訴訟法』

民事訴訟法民事訴訟法
上田 徹一郎

オススメ度:★★★
レベル:入門〜標準〜発展
使用法:参照
→ シケタイやC-Bookなどはこの本をベースに作られているので、予備校本を使っている人は非常に使いやすい。私のゼミ仲間で最も民訴が得意な友達はこれを使用した。
 しかし,私は、(1)縦書きであるためマーカーが引きづらいこと、(2)伊藤眞本より理論的深みがないことなどを理由に、これをメインとすることはなかった。そこは、お好みで。
 

高橋 宏志『重点講義 民事訴訟法』

重点講義 民事訴訟法〈上〉重点講義 民事訴訟法〈上〉
高橋 宏志

重点講義 民事訴訟法 下 補訂第2版重点講義 民事訴訟法 下 補訂第2版
高橋 宏志

オススメ度:★★★★★
レベル:標準〜発展
使用法:通読,参照
→ 主に本文部分のみを通読したので,大して時間はかからなかった。余裕がある人は是非読んでほしい。本書の問題意識は新司にそのまま問われており,論文対策のみならず短答対策としても有効性が高い。問題提起→学説の整理→自説展開という構造も非常に読みやすい。
 趣旨・目的にさかのぼって丁寧な論述がなされており,民訴が苦手な人が読むと意外にリターンが大きいかもしれない。
 日本語も軽やかで,読んでいて疲れない。大変オススメ。

新堂 幸司『新民事訴訟法 』

新民事訴訟法 第4版新民事訴訟法 第4版
新堂 幸司

オススメ度:★★★★★
レベル:標準〜発展
使用法:通読,参照
→ 『重点講義 民事訴訟法』を読む際の副読本として(重点講義は「新堂民訴参照」が多い)。
 新訴訟物理論であり,独自説も多いが,文章はきわめて論旨明快であり,そのまま答案で使えそうな綺麗な論理の流れで文章が流れていく。
 2009年度新司の論文1位の方が激オシしていた。

藤田 広美 『講義 民事訴訟』

講義 民事訴訟講義 民事訴訟
藤田 広美

オススメ度:★★★★
レベル:基礎〜標準〜発展
使用法:通読
→ 文章はです・ます調、図を多用。判例・通説の立場をわかりやすく示しており、初心者にとってこれ以上の基本書はないのではないか。
 特に、要件事実論の基礎、訴訟での攻撃防御構造の基礎を学べる第1編の記述は秀逸。多少誤字が目立つが、上訴の項も追完されれば、これからのスタンダードになりそうな良書。
 

藤田 広美『解析 民事訴訟』

解析 民事訴訟解析 民事訴訟
藤田 広美

オススメ度:★★★★
レベル:基礎〜標準〜発展
使用法:通読
→ 『講義 民事訴訟』の姉妹本として,藤田先生がテーマごとの論点を解説,旧司の問題を解説。司法試験受験生必携でしょう。

中野 貞一郎他『新民事訴訟法講義』

新民事訴訟法講義 第2版補訂2版 (有斐閣大学双書)新民事訴訟法講義 第2版補訂2版 (有斐閣大学双書)
中野 貞一郎

オススメ度:★★★★
レベル:基礎〜標準〜発展
使用法:通読
→ ロースクールの裁判官の教官に推薦されたもの。共著のせいか,変な癖がなく,通説・判例にしたがった信頼性の高い記述が読める。
 フォントの小さい部分にも結構重要なことが書いてあるので,とばさず読もう。
記事一覧
記事検索
プロフィール
リンク




  
タグクラウド
管理人の推奨書籍
憲法訴訟第2版

憲法訴訟 第2版

憲法判断の手続,効果,実体審査の手法。判例の審査基準。

「憲法上の権利」の作法

「憲法上の権利」の作法

基本権侵害の論じ方,法令違憲,適用違憲,比例原則。

行政関係訴訟

行政関係訴訟

研修所見解による行政訴訟の訴訟要件,審理手続,判例の整理。住民訴訟も詳しい。

行政訴訟の実務と理論

行政訴訟の実務と理論

多数の行政訴訟に関わった弁護士による行政訴訟の実務と理論の整理。かなり実務が分かる。

民法の基礎(1)第3版

民法の基礎(1)総則
民法の基礎(2)物権

判例規範の的確な分析・抽出,ケース型,主張立証責任による要件整理。

債権総論第3版

債権総論 第3版

債権法の骨太かつ鮮明な理解,豊富なケース,要件事実的整理,債権法改正の流れに対応。

債権各論(1)第2版

債権各論(1)債権各論・事務管理・不当利得
債権各論(2)不法行為法

丁寧な条文趣旨の記述,不当利得(類型論),不法行為の深い理解。

民法講義(4-1)

民法講義(4-1)契約

階層化による再構築,ケース型,図示,要件事実表,簡潔で使いやすい趣旨・理由。長く使える。

担保物権法補訂版

担保物権法 補訂版

基本は通説・判例,有力説にも配慮。俺様説なし,ケース型,司法試験対策には必要十分。

担保物権法第3版

担保物権法第3版

新しい理論のエッセンス,実務上参考になる正統・鋭利な解釈,判例の斟酌。俺様説あり。

家族法

家族法

ハイブリッド民法。通説・判例。易しすぎず難しすぎず。豊富なケース。

民事裁判実務の基礎

民事裁判実務の基礎

訴訟物・要件事実・事実認定の3レベルを根本から。優れた要件事実の教科書。司法研修所説

ケースブック要件事実・事実認定第2版

ケースブック要件事実・事実認定

優れた要件事実・事実認定の演習書。民法全分野の設問。新司法試験向け。

重点講義民事訴訟法(上)

重点講義民事訴訟法(上)
重点講義民事訴訟法(下)

民事訴訟法の骨太かつ鮮明な理解。趣旨からよく分かる。新司向け。処分権主義等は法学教室連載で補完。

株式会社法第3版

株式会社法 第3版

抜群の信頼性。会社実務の指標。非公開会社の記述も充実。索引はあきらめ目次から引く。

講義刑法学・総論

講義刑法学・総論

精緻な"現代版"行為無価値。豊富な具体例。根本からの理解。刑法総論は学者本必須。

刑法総論第2版

刑法総論 第2版
刑法各論 第5版

記述に偏りなく長く使える正統派。明快,俺様説プッシュ弱し。実務で人気。

刑事事実認定重要判決50選(上)補訂版

刑事事実認定重要判決50選(上)
刑事事実認定重要判決50選(下)

新司向けに構成要件認定の判断要素集として。判例の規範・事実評価の精緻な分析。修習でも使う知識。

捜査法演習 理論と実務の架橋のための15講

捜査法演習

捜査法の精緻な演習書であり基本書。長文事例問題,実務を踏まえた理論。検事志望者必携。日の丸表紙がなかなか凄い。

  • ライブドアブログ