コメントの確認をしていたところ,「六法は何をお使いでしたでしょうか。」というご質問を頂戴しておりました。返答遅れて申し訳ありませんでした。

新司法試験用六法

新司法試験用六法〈平成22年版〉新司法試験用六法〈平成22年版〉

 私が本試験の数ヶ月前から常用したのが,本試験と同じ体裁の新司法試験用六法です。普段使いもこれにしていました。私の頃は第一法規から出ていましたが,現在は『要件事実マニュアル』などでおなじみのぎょうせいが出しているんですね。
 当初は使いにくいことこの上ないですが,半年以上使っていると,参照条文などがなくても慣れます。フォントも大きいし,「これがいちばん使いやすい」くらいの気持ちになってきます。
 本試験では,表紙や紙質は違うものの,中身は同じでした。それゆえ,普段使っていたように自在に使いこなすことができましたので,ロースクール最終学年に入ったらもう新司法試験用六法を使用するといいと思います。
 ちなみに,紙質は,本試験でもらえる法文の方が,たしか厚くて良かったと思います。
 

デイリー六法

デイリー六法2011 平成23年版デイリー六法2011 平成23年版


 新司法試験用六法を買う前は,いろいろな六法を使った末(旧年度版をもらっていろいろ試しました),デイリー六法に落ち着いていました。比較対象になるのはポケット六法だと思うので,両者を比較した上で,デイリー六法の利点を挙げたいと思います。
1 フォントの読みやすさ
 ポケット六法と比較すると,まず文字が大きくて読みやすい点にすぐ気がつくでしょう。この点は,微弱ながら目の疲労度に影響するのではないかと考えます。特に会社法とか引き続けると,字が見にくいと辛いですからね。
2 収録法令数の多さ
 収録法令数は,デイリーが226件,ポケットが184件とのことです。現在のポケットがどうか知りませんが,犯罪捜査規範など刑事系の法令についてはデイリーじゃないと載っていないものが結構あったように思います。刑訴の三井誠先生が編集に関与していることが影響しているらしいです。条文中の引用条文の内容が書いてある点も,助かります。
3 二回試験で使うこと
 二回試験で貸与される六法がデイリーだという噂を聞いていたことも,デイリー選択を後押ししました。
 
 ちなみに,手元にポケット六法しかなくて,1日ポケット六法を使わなければいけない時があったのですが,字は見にくいし,見たい法令がなかったり抜粋だったりでイライラしたことがあるので,二度と使わないと思います(笑)。

模範六法 CD-ROM版

模範六法2010 平成22年版 CD-ROM模範六法2010 平成22年版 CD-ROM

 PCで持ち歩ける六法です。持っていない方のために特徴や使用感を記しておきます。
・フォントの種類は固定で,大きさは大中小に切り替え可能です。横書き,縦書き表示ができます。
・条文は,「目次」からツリーをたどるか,「全文検索」からキーワードを入れて検索するか,「法令・条数検索」から法令名と条数を入れて検索するか,「条文検索」からキーワードと法令名を入れて検索するか,といった感じです。
・参照条文にはリンクがついており,クリックすると参照先の条文にジャンプできます。これは紙媒体にはない利点でしょう。
・条文の横に「判例」ボタンがあり,クリックすると条文に関連する判例の要旨が表示されます。結構簡潔なもので,事例と結論が書いてあります。たとえば,刑法199条だとこんな感じです。
1◎胎児が、すでに母体からその一部を露出した以上、殺人罪の客体としての人といえる。(大判大8・12・13刑録25-1367)
2◎厳寒の深夜、酩酊しかつ暴行を受けて衰弱している被害者を河川堤防上に連行し、未必の殺意をもってその上衣、ズボンを脱がせた上、脅迫的言動を用いて護岸際まで追いつめ、逃げ場を失った被害者を川に転落するのやむなきに至らせ、溺死させた行為は、殺人罪にあたる。(最決昭59・3・27刑集38-5-2064)
3◎被害者が通常の意思能力もなく、自殺の何たるかを理解せず、しかも、被告人の命ずることには何でも服従するのを利用して、縊首の方法を教え、縊首させて死亡するに至らせたときは、殺人罪にあたる。(最決昭27・2・21刑集6-2-275)
4◎追死の意思がないのに、被害者を欺き、被告人も追死するものと誤信させて自殺させたときは、殺人罪にあたる。(最判昭33・11・21刑集12-15-3519)
5◎脳内出血等により重篤な患者の親族から治療を依頼された被告人が、主治医の警告等を無視して、入院中の病院から右患者を運び出させた上、未必的な殺意をもって、生命維持のために必要な医療措置を受けさせないまま放置した結果、被害者を死亡させた場合、不作為による殺人罪が成立して、殺意のない患者の親族との間では、保護責任者遺棄致死罪の限度で共同正犯になる。(最決平17・7・4刑集59-6-403)
・もちろん判例も検索できます。
・履歴機能,メモ機能があり,条文に自分の気づいたことをメモできます。
・印刷機能もあります。

 使用感としては,目的の条文にたどりつくまでがややもたつく感じですね。PCでファイルを見つける時に,フォルダの奥の奥をたどっていくような面倒くささがあります。紙媒体の場合は,感覚的にこの辺を開けば条文が見つかるというのがあるので,普段使いとしてはデイリーなどのほうがやっぱり良いでしょう。
 しかし,あのぶっとい模範六法の全データが入っており(収録法令数410件),デイリー六法などに載っていない細かい法令も収録されていますので,あれを出先のPCでいつでも調べられるのは確かに便利です。検索機能も,データ版ならではというところ。私はあまり使いこなしているとは言えませんが。
 受験生向けというよりかは,実務家向けでしょうか。『携帯実務六法』をカバンに入れて,ノートPCに模範のPC版を忍ばせておけば,出先でそうそう困ることはないはずです。
 

有斐閣判例六法,判例六法Professional

有斐閣判例六法Professional 平成23年版有斐閣判例六法Professional 平成23年版
江頭 憲治郎;小早川 光郎;西田 典之;高橋 宏志;井上 正仁;能見 善久

有斐閣判例六法 平成23年版有斐閣判例六法 平成23年版
井上 正仁/編集代表

 Professionalの方は旧年度版を友人からもらいました。ポップな判例六法(以下,ポップ)の方は周りに釣られて買いました。Proは収録法令413件,ポップは収録法令98件。
 いずれも,判例要旨が簡にして要を得たものであり,2色刷で条文を見つけやすく,判例百選や重要判例解説の事件番号がついているなどの長所がありますが,フォントがポケット系で見にくく,ポップは収録法令数がちょっと少なすぎます(各選択科目で必要な法令が抜けています)。
 ということで,結局あまり使わずに終わりました。私が受験生の頃,ポップを択一対策としてひたすら素読するというやり方が周りで広まっていましたが,そういう単純作業が極めて苦手な私は感心して見ておりました。
 なお,修習中の普段の起案は判例付き六法を持込可なので,Professionalの方は修習中持ってると便利です。