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ライブドアに物申す!書籍化決定! ライブドアに物申す!
書籍化担当者の編集日記 企画主旨・条件について livedoorメディアとしての考え方

2006年02月28日

森 達也さんより

映画監督でドキュメンタリー作家の森 達也さんよりご意見をいただきました。

以下、全文を掲載いたします。



・企業としての「ライブドア」について

率直に書けば、社会現象としてのライブドアについての関心はあったけれど、企業としてのライブドアには、大きな興味は持たなかったし、事件後の今も持っていない。これは特にライブドアだからということではなく、IT全般に素養や関心が薄いことと、経済全般が苦手という、僕の個人的な事情に起因する。

ただ、ライブドアという存在に対しての日本社会の嫌悪と賞賛の振幅の激しさ(堀江氏逮捕以前です。念のため)については、一貫してとても興味をそそられていた。それは今も続いている。つまり僕にとって、ライブドアの事件は何ら句読点の意味を持たない。

・「ライブドア事件」について

前述したように、事件への僕の関心は、事件以前から続いている考察らしきものの延長でしかない。メディアの狂奔については多くの識者が、「さんざん持ち上げておいてこれほどに叩くのか」式の発言をしているけれど、今さらの感は拭えない。この露骨なダイナミズムは、市場原理に従属するメディアの本質でもある。たまたまメディアに思慮や洞察が浅い人が集まっているわけではもちろんない。彼らも「何だかなあ」と思いながら番組を作っている。仕方がない。叩けば視聴率が上がる。部数が伸びる。資本主義経済下におけるメディアの身振りとしては、至極当然なことなのだ。

それよりも気にかかるのは、「偽計」や「風説の流布」など本来ならグレイゾーンの領域にあるはずのことが、あっさりと検察によって黒と断罪され、これへの懐疑の視点がとても薄いことだ。その結果、「虚業」なる曖昧な罪状によって、その虚業の最先端であるメディアがライブドアを裁き、「やはり仕事は額に汗するものなんだよ」式のコメントがシンボライズするようなレベルにこの事件が回収されてしまうことに、この社会はもっと焦燥と危機感をもつべきだ。

事件についての詳細は、まだ何もわからない。しかし堀江氏が「違法であることを知って数々の不正な工作を主導していた」ことを証明することはとても難しい。言い換えれば、立件はとても微妙な案件なのだ。その意味では、アメリカにはとても敵わないことを知りながら戦争を始めた帝国軍部や、何ら具体的な目算がないままに地下鉄にサリンを無差別に散布するという愚挙を実行したオウムにも共通する構造が、透けて見える。つまり周囲(側近や一般社員、そして関係者の一人ひとり)の過剰な忖度であり、主語を失った構成員たちの述語が集積して肥大化する現象だ。その意味では、過去に何度も繰り返されてきた企業犯罪や不祥事の多くと、内実はほとんど変わらない。

・「堀江貴文」という人物について

基本的に好感は持っていない。でも嫌悪も特にない。感覚でいえば近所の悪ガキ。その悪ガキが、社会の建前や馴れ合い構造の盲点を突き、最初はその小気味よさに喝采を送っていた社会の側が、圧倒的な「大人の特権性」をひけらかしながら逆襲に転じたというところだろう。メディアは資本主義に与する存在と前述した。言い換えれば、社会が今のこの自由主義、競争社会の構造にある間は、メディアを含めての組織体は現状からの脱却など不可能に近い。徹底した競争原理や市場原理を貫徹することで堀江貴文は、そのスパイラルからの離脱を予感させてくれたけれど、現状ではここまでだったというところだろう。

大人の特権性は、つまらなさや凡庸さと同義でもある。つまり彼の逮捕が意味することは、この社会の保守性がまだまだ極めて強固であることを、国民の意識に刷り込んだ。罪を犯したならば刑には服すべし。そうは思いながらも、彼の失墜がもたらした社会への急激なブレーキは、おそらく今後、深刻な後遺症を惹き起こすだろう。


森達也(もり たつや)

1956年生まれ。
映画監督・ドキュメンタリー作家。
森達也公式サイト

言論統制列島―誰もいわなかった右翼と左翼


ld_opinion at 12:26│TrackBack(7)森 達也さん 

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