もう一ヶ月もすれば終戦記念日。今年は大正〜昭和２０年まで活躍した軍人たちの小説を中心に読書をしている。大分県出身の著名な軍人が多いことを改めて知らされた。
今、青江舜二郎著『石原莞爾』を読み終えたところだ。その「降伏の日」という一節をご覧いただきたい。（全文を読まなければ作者の意図とは少し違うおもむきにとれるかもしれないことをお断りする）
降伏の日
石原が降伏の詔勅を聞いたのは、せわしい講演旅行の旅先であったという。
島はそのころ、また軍服を着せられて天津の特務機関（連絡部と呼ばれていた）
にいた。六月に召集、前線大隊の副官を命じられた。滄県地区の新四軍系
中共軍との戦闘で包囲され、ようやく脱出するという“初体験”をする。間もな
く天津勤務となり、情報を担任させられたが、RCAの大きなオール・ウェーブ
のラジオで八月七日に日本降伏、八月九日にはソ連の進撃を知り、それを訳
して機関長の手もとに出したところ、次の日、機関幹部全員の急招集が有り
島はそこで機関長から「わが軍の戦意の喪失を企図する敵の謀略放送を信
じて、それを流した」通敵罪の名で告発され、正式裁判まで、その宿舎に軟禁
され、居室の前には衛兵が二人立てられた。
降伏の詔勅は、たった一人でそこで聞いた。
涙が次々に溢れて止らず、あらゆる喜怒哀楽を超えた「ああ、やっと終わっ
た」という感慨で全身の力が一時に脱ける……これは島だけでなく、おそらく
全国民の気持ちではなかったか。
「かかる困難に直面したとき、明るい見通しを立て、確固たる方策を提示でき
ることが石原の最も優れた天才的知性である。
彼は直ちに『国民総懺悔』の第一声を発表して、虚脱状態の全国民に対し
『敗戦の最大の原因は、国民道義の驚くべき低下にある。軍閥が悪いの官僚
がどうのといっても、これも等しく国民である。なんといっても国民の道義、知
性、勇気が足りなかったため、もろもろの敗因が戦局の逼迫につれて大きくな
ったのである。
この未曾有の試練を克服して、すみやかに日本民族としての自覚を取り戻し
この間に新たなる日本人として出直せば、その復興は案外早く到来するであ
ろう。……』
この『国民総懺悔』は各新聞によって報道され、彼は更に病気を押して各地
をめぐって講演し、自信力を失った国民に対して力強い感銘を与えた。……」
（横山本）
この降伏によって鈴木貫太郎内閣は辞職、八月十七日に東久邇内閣が成立
し、石原に「内閣顧問として協力してくれ」といってくる。石原は、その病気と東亜
連盟運動に専心したいとの二つの理由で辞退し、代わりに賀川豊彦を推薦した。
以上抜粋
大戦は政府及び天皇はもとより日本国民の不在なるところで完遂されたのである。司馬遼太郎氏は大正から終戦までを、日本のいかなる過去と結びつかない異物であると書いている。「国民道義の驚くべき低下」を招くべき政策により為政者に都合のよい社会は実現したが、誰もがそれに気づき倦んでいたことも確かである。
畢竟、基督教者には「懺悔」という言葉の響きが重いことを知り尽くしていた者の一文ではなかったろうか。阿諛。占領軍の心をわし掴みにし裁判や聴聞では大胆な論旨の飛躍転化をもって応じた一人の天才が、その思考および行動パターンにより「或る真実」を明らかにするところとなったのは想定外だったかもしれない。
小学生の頃、国道沿いに軍用車が十数台、１ヵ月ほどのキャンプをした。通学途中にかいま見る兵士らは学者のようにいつも静かであった。こうして敗戦により滞在した占領軍の調査研究により到達できたとも察せられる「或る真実（存在）」も、今やインターナショナルな常識的関心事の範疇にある。
更にふたつの存在を分けていた結界も数年前に消滅し、これから平等なる社会を模索（共存共生）がはじまったところである。石原氏の最終戦争の終焉とも思えるのだが、現実には主導権争いの策動著しく、今後の動向により東亜連盟が世界征服を目していたかどうかは明白になるだろう。
また江戸時代には呪術による加害行為を取締る法が存在していた。その法（更に研究が進み）の復活、施行により人々の平安がWHOの指導の下に保たれようとしている。今日、仏籍の横領や売買、集団フィッシングによる被害者の精神的疾患やフィッシング物の販売、呪詛による多様なる被害など、石原氏の主張のもとに行われている。いや集結しているとさえ察せられるのだが。どちらの世界にも底辺はあるというのが石原氏の実感かもしれない。しかし育児放棄をし次なる希望に向おうと一度「産み落とした命」は成長しつづけ、それが意図しない方向へと走ることもありうる。だが産み落としたという責任をまぬがれることはない。
今、青江舜二郎著『石原莞爾』を読み終えたところだ。その「降伏の日」という一節をご覧いただきたい。（全文を読まなければ作者の意図とは少し違うおもむきにとれるかもしれないことをお断りする）
降伏の日
石原が降伏の詔勅を聞いたのは、せわしい講演旅行の旅先であったという。
島はそのころ、また軍服を着せられて天津の特務機関（連絡部と呼ばれていた）
にいた。六月に召集、前線大隊の副官を命じられた。滄県地区の新四軍系
中共軍との戦闘で包囲され、ようやく脱出するという“初体験”をする。間もな
く天津勤務となり、情報を担任させられたが、RCAの大きなオール・ウェーブ
のラジオで八月七日に日本降伏、八月九日にはソ連の進撃を知り、それを訳
して機関長の手もとに出したところ、次の日、機関幹部全員の急招集が有り
島はそこで機関長から「わが軍の戦意の喪失を企図する敵の謀略放送を信
じて、それを流した」通敵罪の名で告発され、正式裁判まで、その宿舎に軟禁
され、居室の前には衛兵が二人立てられた。
降伏の詔勅は、たった一人でそこで聞いた。
涙が次々に溢れて止らず、あらゆる喜怒哀楽を超えた「ああ、やっと終わっ
た」という感慨で全身の力が一時に脱ける……これは島だけでなく、おそらく
全国民の気持ちではなかったか。
「かかる困難に直面したとき、明るい見通しを立て、確固たる方策を提示でき
ることが石原の最も優れた天才的知性である。
彼は直ちに『国民総懺悔』の第一声を発表して、虚脱状態の全国民に対し
『敗戦の最大の原因は、国民道義の驚くべき低下にある。軍閥が悪いの官僚
がどうのといっても、これも等しく国民である。なんといっても国民の道義、知
性、勇気が足りなかったため、もろもろの敗因が戦局の逼迫につれて大きくな
ったのである。
この未曾有の試練を克服して、すみやかに日本民族としての自覚を取り戻し
この間に新たなる日本人として出直せば、その復興は案外早く到来するであ
ろう。……』
この『国民総懺悔』は各新聞によって報道され、彼は更に病気を押して各地
をめぐって講演し、自信力を失った国民に対して力強い感銘を与えた。……」
（横山本）
この降伏によって鈴木貫太郎内閣は辞職、八月十七日に東久邇内閣が成立
し、石原に「内閣顧問として協力してくれ」といってくる。石原は、その病気と東亜
連盟運動に専心したいとの二つの理由で辞退し、代わりに賀川豊彦を推薦した。
以上抜粋
大戦は政府及び天皇はもとより日本国民の不在なるところで完遂されたのである。司馬遼太郎氏は大正から終戦までを、日本のいかなる過去と結びつかない異物であると書いている。「国民道義の驚くべき低下」を招くべき政策により為政者に都合のよい社会は実現したが、誰もがそれに気づき倦んでいたことも確かである。
畢竟、基督教者には「懺悔」という言葉の響きが重いことを知り尽くしていた者の一文ではなかったろうか。阿諛。占領軍の心をわし掴みにし裁判や聴聞では大胆な論旨の飛躍転化をもって応じた一人の天才が、その思考および行動パターンにより「或る真実」を明らかにするところとなったのは想定外だったかもしれない。
小学生の頃、国道沿いに軍用車が十数台、１ヵ月ほどのキャンプをした。通学途中にかいま見る兵士らは学者のようにいつも静かであった。こうして敗戦により滞在した占領軍の調査研究により到達できたとも察せられる「或る真実（存在）」も、今やインターナショナルな常識的関心事の範疇にある。
更にふたつの存在を分けていた結界も数年前に消滅し、これから平等なる社会を模索（共存共生）がはじまったところである。石原氏の最終戦争の終焉とも思えるのだが、現実には主導権争いの策動著しく、今後の動向により東亜連盟が世界征服を目していたかどうかは明白になるだろう。
また江戸時代には呪術による加害行為を取締る法が存在していた。その法（更に研究が進み）の復活、施行により人々の平安がWHOの指導の下に保たれようとしている。今日、仏籍の横領や売買、集団フィッシングによる被害者の精神的疾患やフィッシング物の販売、呪詛による多様なる被害など、石原氏の主張のもとに行われている。いや集結しているとさえ察せられるのだが。どちらの世界にも底辺はあるというのが石原氏の実感かもしれない。しかし育児放棄をし次なる希望に向おうと一度「産み落とした命」は成長しつづけ、それが意図しない方向へと走ることもありうる。だが産み落としたという責任をまぬがれることはない。
