漢方薬は不当表示である。「生薬だから…、とか数千年の歴史の中で淘汰されてきた」とかまことしやかに言われるが、その薬効や副作用について、全く科学的検証が加えられていない。
 漢方薬を無効と知りながら処方する医者もいるが、その理由は一にも二にも「集客」である。たちの悪いのは、漢方を有効と信じる医者である。科学を学んだはずの医師が、一体何を根拠に漢方を処方するのか(ツムラやカネボウが配る処方本を根拠にしている場合が多いようだ)、私には到底理解できない。
 アメリカの有名病院でも、漢方科を設置しているところが増えているが、理由は「集客金儲け」である。

★★驚きの内緒話
北里研究所病院(港区)には東洋医学研究所があり、WHOの支援も受け、漢方などを研究している。当時の主任研究者 T先生(現在、東大医学部准教授)は、アメリカ一流医学部へ留学経験もあり、アカデミックで、テレビにもよく出演し、「漢方と西洋医学との統合」などを解説されていた。また有名人を多く診ていた。
 僕は T先生に気に入られ、ある日、T先生が「リー先生、漢方薬はインチキなんだよ…。きのこ類に抗癌作用があるというのは、僕がでっち上げたんだ」と述べられた。漢方研究の第一人者から、予想もしない内緒話。それから、懐疑的に漢方を観てみると、なるほど漢方には、エビデンスが存在しない。近藤誠氏の数々の著書に接してから「漢方はインチキ」と確信した。T先生のようにインチキと知りながら、立場上テレビで解説するのと、頭から「漢方を有効と信じている」おめでたいお医者様とは、雲泥の差がある。
 WHOの支援というのも要注意。エビデンスなしに高血圧や糖尿病の診断基準を勧告しているのは WHO、また「WHOにはニセ科学者が巣くう」という記事が Science誌にありましたね。
 鍼灸については、事実上、無作為化対照試験は無理。しかし、筋肉のコリを解除したり、疼痛を寛解させるのを目の当たりにし、また、その作業仮説に再現性がありそうので(鍼灸師により)有効と直感しています。 

☆☆LAK療法
大病院が宣伝する「養子免疫療法」も悪質だ。へんてこな名前は、adoptive immunotherapyに由来する(LAK療法、TIL療法、リンパ球療法、免疫細胞療法など)。これは、患者さんからリンパ球を採取し、インターロイキン2(IL2)という蛋白質を含む培養液で 3〜7日間培養し、患者さんに点滴で戻す行為である。1980年代アメリカ、外科医S.A. Rosenbergが考案し、癌治療の切り札と期待され「魔法の弾丸」とタイムズ紙の表紙を飾ったほどである。しかし、その後の研究で無効と判明、研究プロジェクトは解散した。日本では、大病院がこの効果のない行為を「先進医療」と称し、1回の点滴に 40万とか 110万円とる。1〜4週間毎に延々と死ぬまで点滴をくり返す。これは、藁をもつかむ患者さんをカモにした詐欺である。悪徳病院を見つけるには、「LAK 病院」あたりで、ご検索ください。
LAK細胞のこさえ方
ネズミに一回の LAK細胞を静脈注射(8x10の7乗個)するのに、3匹のネズミ(mice)を屠殺する。脾臓を 3個とりだし、網の上ですり潰す、そして水をかけ、赤血球を破壊する。で、培養器に移し、IL2が入った培養液を加え、3日間培養すると試験管内で標的細胞を破壊するようになる。
 ヒト様で、LAK療法が効かない、簡単な理由の一つは、こんな大量の白血球を、得られないから。もう一つは、点滴しても LAK細胞が標的(がん組織)に達し得ないから*。
*Lee,K.et al Ineffectiveness of Adoptive Chemoimmunotherapy with Lymphokaine-Activated Killer Cells, Interleukin-2 and Cyclophosphamaide on Palpable Intradermal Murine Bladder Cancer(李ら、ネズミ背部皮下に移植した、膀胱癌に対する、化学・養子免疫療法の無効性) J of Biological Response Modifiers 7:43, 1988
リー湘南クリニック leeshonan@gmail.com  拙著「癌患者を救いたい PSA検診のウソ」(正誤表) (2007年1月の記事、短縮、加筆