性感染する病気(STD)は 35あり、当院で最も多いのは、クラミジアです。症状は様々で、尿道の違和感や排尿時痛から、全く症状のない方もいます。また淋病と混合感染も比較的多くみます。淋菌、クラミジアとも、性交渉しない方にも散見するので、教科書には記されていない感染ルート(銭湯や洗濯機を介す)を想像しています。
 クラミジアは、細胞内に寄生する細菌で、以前は鋭敏な検査法がありませんでした。そのため、淋病以外の尿道炎をまとめて「非淋菌性尿道炎」と称し、治療してきました。1983年、PCR法が発明されて以来、クラミジア感染を尿だけで正確に診断できるようになりました。PCRというのは、Polymer Chain Reactionの略で、検体を「暖め(94℃)→冷やす(45℃)」を繰り返すだけで、検体中の DNA量を2,4,8倍…といくらでも増やせる技術で、尿にクラミジアの DNAが一本でも含まれていれば、正確に診断できるようになったのです。ちなみに、PCR法を発明したのは、サーフィンを趣味とする、キャリー・マリスで、1993年にノーベル賞を受賞した。
 クラミジアに感染しても一回あるいは一週間の内服で完治します。パートナーがクラミジアと診断されたら、症状がなくても検査と内服が薦められます。クラミジアの検査を受ける場合、30分以上排尿しないで受診下さい、でないと尿道に綿棒を入れるはめになります。
 ちなみに、DNAは、A,T,C,Gと略される、たった 4つの塩基から構成され、この並べ順をゲノムといいます。ゲノムのうち、意味のある(蛋白質の設計図となる)部分を「遺伝子」と呼びます。すべての生命現象は、DNA(あるいは RNA)から作られるタンパク質の立体構造に帰します。1953年、ワトソンとクリックが DNAの 2重螺旋構造を発見し、それから 50年、2003年 4月に、ヒトの全ゲノムが解読されました。J.D. ワトソン著「DNA」には、この 50年の経過が分かりやすく紹介されています。

 クラミジアは、膣炎の原因ともなります(細菌性膣炎)。膣炎の種類は 3つ、治療法は 2種類、どちらを選ぶかは、症状を聞けば簡単に分かります。
 蛇足ながら先進国中、日本人の性交渉数は最低、最高はスペイン人、何と日本人の 7倍。スペイン人を伴侶にとお考えの方、体調も考えてください、ご参考まで。  
リー湘南クリニック (2007年1月の記事、校正)