癌には「転移し宿主を死に至らしめるもの」と「転移しないタイプ」がある。前者は、複数の遺伝子が変異し、細胞が浸潤・転移する能力を獲得したもので、癌の大きさが0.000001~0.000004mlくらいの時に転移するので、早期に発見することは不可能。換言すれば「転移し、宿主を死に至らしめる癌」が検診で発見された時点では手遅れ。にもかかわらず、拡大手術へ誘導され、次いで藁をもつかむ思いで化学療法にすがり、死ぬまで苦しめられる。
 「転移しない胃癌」は自然治癒すると考えられる。検診で発見され、手術で治ったと患者も医者も錯覚しているのはこのタイプ。症状がなければ、手術を受けない方が得策。もし嘔吐などの症状が続くなら、塊だけを取ってもらえばよい。
 国立がんセンターでは、リンパ節廓清除術に延命効果がないことがすでに証明されているのに、広範囲リンパ節廓清術(D2や D3手術))を続け、世界中から嘲笑の的になっている。
 胃癌が日本人に多い事実に鑑みれば、胃癌の原因は、日本人が頻回に食する固有の食品、あるいはピロリ菌だと思う。最も疑わしいのは、味噌と醤油。これらには、多くの発癌物質が含まれることは一般に知られていない。不思議なことに、味噌や醤油の摂取量と胃癌の因果を検討した研究をみたことがない。緑茶も日本人が多く摂るが、緑茶摂取量と胃癌の因果を検討した大規模な疫学的研究では、因果は認められなかった。ただし、この種の研究は精度が低いので、あまり飲まない方が良いかもしれません。
 幾つかのウイルスや微生物も癌様組織を形成するが、自然治癒傾向が高く転移しない。ピロリ菌も同様だろう。ちなみに、胃に生息するピロリ菌を発見したマーシャル博士は、自らピロリ菌をごくごくと飲み干し、胃炎を引き起こすことを証明し、ノーベル賞を受賞した。
 自然治癒する癌を発見され、大事な胃袋をとられたくなかったら、味噌と醤油の摂取量を控え、検診を受けないこと。

☆☆未検証の胃癌検診 
 NHK「ためしてガッテン」の胃がん特集をみたら、日本の胃がん検診と治療水準は世界のトップレベルという呆れた内容だった。
 多くのがん検診(肺がん、大腸がん、前立腺がん、小児の神経芽細胞腫、乳がんなど)では、その有用性を検証すべく、欧米とカナダで大規模な無作為対照化試験(RCT)が行われ「無効」と判明してきた。胃がん検診(内視鏡検査あるいはバリウム検査)の有用性については、全く検証されていない。長野県の安岡村で十数年前、検診を廃止し、廃止後も胃がんの死亡率が変わらなかったとを日経新聞で読んだ。
 番組中「胃がんの早期発見には、内視鏡検査とバリウム検査両方を受けた方がよい」と結論していた。唖然、未検証の医療行為を国営放送が推奨してよいのか?まあ、取材源が業界の代弁者、大学教授ですから仕方ないとしても、内視鏡検査は穿孔や感染症の危険を伴い、バリウム検査は大量の放射線を被爆する。そして、命をとる癌を早期に発見できない。
 例により、歯の汚い・馬糞面・バカ女タレントらが「ガッテン、ガッテン」でしめくくっていた、お前らが検診を受け、早くくたばれ。
J.Clin.Oncol. 22:2041 2004  
J.Clin.Oncol. 22:2759 2004
リー湘南クリニック leeshonan@gmail.com  拙著「癌患者を救いたい PSA検診のウソ」(正誤表) (2007年3月の記事、校正、短縮)