肝臓にはグリコーゲンが豊富に貯蔵され、これが 2つに分解され糖(グルコース)になる。「シジミは、グリコーゲンが豊富だから肝臓によい」と誰かがほざき、伝聞で拡散したのだろう。当たり前だが、シジミと他の貝類のグリコーゲン含量は変らないし、シジミをいくら摂っても肝庇護作用はない。余談ながら、シジミ汁をこさえるとき、シジミをあらかじめ冷凍しておくと美味くなるそうです。
 アメリカ時代(1985〜1990年)、「腐っても東大」の松尾さんに「血管新生阻害剤」のアイデアを話し、彼が帰国後に「血管新生阻害剤」SM407(ハイドロ・コーチゾンの誘導体)をこさえてもらい、アメリカに送ってもらいました。ステロイド剤には「糖質・コルチコイド作用」と「鉱質・コルチコイド作用」があり、前者の作用が強い場合「糖質・コルチコイド」、後者が強い場合を「鉱質・ステロイド」と呼ぶ。ステロイド剤の筋肉モリモリ作用、炎症や免疫を抑える作用、そして重篤な副作用は、前者に由来する。後者は、薬としてあまり使い道がない。筋肉モリモリの対価は、睾丸(精巣)の萎縮。ドーピング試験は、血液中の男性ホルモンを定量する。
 SM407には、強力な血管新生阻害作用がみられ、かつ、ネズミが弱らなかったので「ステロイド作用が弱い」と期待された。試薬の糖質・コルチコイド作用を定量(作用の強さを数字で表すこと)しなくてはならない。糖質・コルチコイド作用は、ネズミに試薬を投与し、ネズミ肝臓のグリコーゲン量で表す。さて、スタッフらに新プロジェクトを説明するが、いくらアクセントを変えても通じない。筆談でやっと「グライコジェン」と発音することを知った。SM407については、念のため特許を出願しましたが、再現性を得られず特許は申請しませんでした。 
リー湘南クリニック leeshonan@gmail.com  拙著「癌患者を救いたい PSA検診のウソ」(正誤表) (2007年7月の記事、校正)