リー湘南クリニックからのお知らせ

院長ブログ−異端医師の独り言

北里研究所病院(港区)

2013年06月20日

★ リーちゃん呼んで〜

北里研究所病院(港区)後期時代(1990〜96年)、婦人科の小林英郎部長(当時)は嫌われもので、三拍子そろって最悪だった。まず、汚い、身なりから考え方まで。どけち。エチケットを知らず、人の迷惑など顧みないチェーンスモーカー、ヤニだらけの歯。毎週、昼食をとりながらの医局会があるのだが、発言するとき、彼は口に物をいれながら、相手を箸で指していた。
 その小林部長の下に M先生が赴任した。小林部長は、かかる人物なので、次々に部下がやめる。だから、慶應の教授が満を持して、M先生を送り込んだ。M先生は温厚で、どちらかというと証明医療派、分からないことがあると臆せず僕に相談にきた。
 僕は受け持ち患者が少なく、暇を持て余していたので、いつの間にか婦人科や外科の手術を手伝うようになった。初めて、婦人科の「ラジカール」という子宮頚癌で、子宮と卵巣を摘出する手術を手伝ったとき、解剖学的構造物を露出せず、盲目的にクランプ(肉を挟む道具)をかけ結索する、「集束結索」を見て驚いた。手術が終わってビールを飲んでいた時、M先生が笑いながら「リーちゃん、驚いた」と言った。
 そんな手術だから合併症が多い。ある日、小林部長のラジカールで尿管が見つからなかったとき、断固として「尿管は切断していない」と主張したそうだ。そこで、温厚な M先生が小声で「リー先生を呼んだら」と助言した。私が探したら、見事に尿管は寸断されていた。で、つなぎ合わせて差し上げた。そのうち、ずうずうしく、尿管が見つからないと、すぐに「リーちゃん呼んで〜」と、手術室看護師にのたまうようになった。一体何本、尿管をつなぎ合わせたか。確認はしていないが、小林先生の手術記録には「尿管切断」も僕の名も記されていないだろう。また、一度もねぎらいの言葉を頂いたことがない。

M先生のその後
 小林先生は M先生に、自分が定年後は 部長に推すことをさんざん臭わせていた。「M君も、いい患者をたくさんもって、部長だな」と猫なで声で言うそうだ。「いい患者」とは、毎回キャッシュを包んでくれる方。
 M先生のもう一つの悩みは、彼の直近の部下、僕の同級生 S女医。デブで、食べることと自分の娘の自慢話しか能がない。全く勉強していないが、女医ゆえ患者に人気があり、受け持ち患者が多いのが自慢の種。そのような環境下、M先生は辛抱を重ねましたが、堪忍袋の緒が切れ、3年ほどで開業の道を選ばれました。
 開業後、時々遊びに行きましたが「漢方」や「アロマ・テラピ―」を軒に並べ、会食の度に薬屋をはべらす、金万オヤジと化してしまいました。てなわけで、もうお付き合いはございません。
リー湘南クリニック leeshonan@gmail.com (2007年6月の記事、校正)

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2013年04月13日

☆☆★ ゼクトリ ご存じないですよね

関取ではありません。業界用語で「ゼク取り」、ゼクは「ゼクチオン」、ドイツ語で「解剖」のこと。コヤクマルさんが 1981年 10月に息を引き取り、息つく暇もなく遠藤准教授が「りー、ゼク取って来い」。泣き崩れているご主人に「遺体の病理解剖」をお願いする。何故? 医学の進歩のためだそうだ。バカの一つ覚え、どこへ行っても「ゼク取り」「ゼク取り」「ゼク取り」。近代医学の黎明期なら、生前の症状と死後の解剖所見を照らし合わせれば、医学の発展に貢献する。医者の不勉強のために、転移性絨毛癌で命を落とされた「コヤクマル・ヒロコ」さんを解剖して一体何が分かるのか。

 これまで僕の中で例外は、北里研究所病院時代(1990〜96年)、転移性精巣腫瘍・患者の肺炎の原因が分からなかった。死後、ご遺族にお願いして病理解剖すると、すさまじい「間質性肺炎」、肺がカチカチになっていた。
 早期に、ブレオマイシンによる「間質性肺炎」と診断し、薬剤を中止すれば助かった可能性がある。呼吸器専門医の鈴木幸男先生(北里研究所病院・内科部長)に依頼したら、まず「大葉性肺炎」と診断、大量の抗生物質投与。次に「癌性リンパ管炎」と診断、間質性肺炎の可能性を問うたが、答えられない。間質性肺炎の早期診断法は唯一、「バリバリ」という呼吸音(ベルクロ・ラ音という)の聴取。後にバイト先でかかる患者を経験したが、聴診さえすれば誰にでも簡単に診断できる。

 日本では、病院外での「病死」には、かなりの確率で犯罪性があるそうだ。しかし、おざなりの検視で、解剖されることはまれ。オランダでは全例が解剖される。
リー湘南クリニック leeshonan@gmail.com (2007年4月の記事、校正、加筆)

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2013年01月16日

☆☆☆ 漢方薬も養子免疫(LAK)療法もインチキ

漢方薬は不当表示である。「生薬だから…、とか数千年の歴史の中で淘汰されてきた」とかまことしやかに言われるが、その薬効や副作用について、全く科学的検証が加えられていない。
 漢方薬を無効と知りながら処方する医者もいるが、その理由は一にも二にも「集客」である。たちの悪いのは、漢方を有効と信じる医者である。科学を学んだはずの医師が、一体何を根拠に漢方を処方するのか(ツムラやカネボウが配る処方本を根拠にしている場合が多いようだ)、私には到底理解できない。
 アメリカの有名病院でも、漢方科を設置しているところが増えているが、理由は「集客金儲け」である。

★★驚きの内緒話
北里研究所病院(港区)には東洋医学研究所があり、WHOの支援も受け、漢方などを研究している。当時の主任研究者 T先生(現在、東大医学部准教授)は、アメリカ一流医学部へ留学経験もあり、アカデミックで、テレビにもよく出演し、「漢方と西洋医学との統合」などを解説されていた。また有名人を多く診ていた。
 僕は T先生に気に入られ、ある日、T先生が「リー先生、漢方薬はインチキなんだよ…。きのこ類に抗癌作用があるというのは、僕がでっち上げたんだ」と述べられた。漢方研究の第一人者から、予想もしない内緒話。それから、懐疑的に漢方を観てみると、なるほど漢方には、エビデンスが存在しない。近藤誠氏の数々の著書に接してから「漢方はインチキ」と確信した。T先生のようにインチキと知りながら、立場上テレビで解説するのと、頭から「漢方を有効と信じている」おめでたいお医者様とは、雲泥の差がある。
 WHOの支援というのも要注意。エビデンスなしに高血圧や糖尿病の診断基準を勧告しているのは WHO、また「WHOにはニセ科学者が巣くう」という記事が Science誌にありましたね。
 鍼灸については、事実上、無作為化対照試験は無理。しかし、筋肉のコリを解除したり、疼痛を寛解させるのを目の当たりにし、また、その作業仮説に再現性がありそうので(鍼灸師により)有効と直感しています。 

☆☆LAK療法
大病院が宣伝する「養子免疫療法」も悪質だ。へんてこな名前は、adoptive immunotherapyに由来する(LAK療法、TIL療法、リンパ球療法、免疫細胞療法など)。これは、患者さんからリンパ球を採取し、インターロイキン2(IL2)という蛋白質を含む培養液で 3〜7日間培養し、患者さんに点滴で戻す行為である。1980年代アメリカ、外科医S.A. Rosenbergが考案し、癌治療の切り札と期待され「魔法の弾丸」とタイムズ紙の表紙を飾ったほどである。しかし、その後の研究で無効と判明、研究プロジェクトは解散した。日本では、大病院がこの効果のない行為を「先進医療」と称し、1回の点滴に 40万とか 110万円とる。1〜4週間毎に延々と死ぬまで点滴をくり返す。これは、藁をもつかむ患者さんをカモにした詐欺である。悪徳病院を見つけるには、「LAK 病院」あたりで、ご検索ください。
LAK細胞のこさえ方
ネズミに一回の LAK細胞を静脈注射(8x10の7乗個)するのに、3匹のネズミ(mice)を屠殺する。脾臓を 3個とりだし、網の上ですり潰す、そして水をかけ、赤血球を破壊する。で、培養器に移し、IL2が入った培養液を加え、3日間培養すると試験管内で標的細胞を破壊するようになる。
 ヒト様で、LAK療法が効かない、簡単な理由の一つは、こんな大量の白血球を、得られないから。もう一つは、点滴しても LAK細胞が標的(がん組織)に達し得ないから*。
*Lee,K.et al Ineffectiveness of Adoptive Chemoimmunotherapy with Lymphokaine-Activated Killer Cells, Interleukin-2 and Cyclophosphamaide on Palpable Intradermal Murine Bladder Cancer(李ら、ネズミ背部皮下に移植した、膀胱癌に対する、化学・養子免疫療法の無効性) J of Biological Response Modifiers 7:43, 1988
リー湘南クリニック leeshonan@gmail.com  拙著「癌患者を救いたい PSA検診のウソ」(正誤表) (2007年1月の記事、短縮、加筆

leeshounann at 15:55|Permalink
2012年05月22日

☆★ 無塩食と外科医

北里研究所病院(1990〜96年)時代、数人の内科医は、重度の浮腫や腹水患者の治療を私に依頼してきた。
 摂食できる患者には「美味しく無いことを説明した上」無塩食を処方、点滴で命をつないでいる患者では、点滴中の NaClを一日 2gに調整、利尿剤、そして連日の体重測定。腹水を抜くのは禁忌である(=決して行ってはならない医療行為のこと)。
 外科では、腹水が貯まると、つど抜くか、お腹の中に管を入れっぱなしにして、持続的に抜いていた。ある日、外科医長・豊田先生と胸部外科・上里先生と雑談していると「リー先生の治療は荒っぽいと評判だよ」。「ハテ何のことやら」。「患者に無塩食を食べさすそうじゃないか」。「ハー」。絶望感から反論しなかった。
 豊田先生は手術がご趣味で、癌患者に転移があってもお構いなしに拡大手術をして、売上げを誇っていた。彼の消化管縫合法は、前近代的なものであったが、大過なく消化管はつながった。上里先生は、沖縄の米軍病院で研修された経験から、肺がん検診は無意味と知っていたが、立場上見つけては肺を摘出していた。  
リー湘南クリニック leeshonan@gmail.com(2007年1月の記事、短縮)


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2012年04月22日

☆★ 終末期患者さんに対する蘇生術 と 安楽死

新米医師のころ(1980年〜)、患者さんの心臓が止まると蘇生術(気管内挿管、心臓マッサージ、薬剤投与)を施し、自発呼吸が回復しない場合、人工呼吸器を装着するのが当たり前だった。終末期の患者さんでも、たいてい心臓はまた動き出す。
 終末期の患者さんに蘇生術を施すことに疑問を感じるようになってからは、あらかじめご家族と蘇生術を施すかを相談するようになった。私が関わったご家族で、蘇生術を希望された方は皆無だった。
 終末期の患者さんは意識レベルが低いので、延命処置を施すか、ご本人に確認するのは不可能、また家族から「蘇生術を行わない、あるいは人工呼吸器を取り外す」ことを、「書面」で残すのは困難である。なぜなら家族は、後ろめたさや親戚への遠慮から署名を躊躇する。
 新米医師を訓練する目的で、終末期の患者さんに蘇生術を施すのは、やむをえないことだ。特に、心臓マッサージ、気管内挿管や心臓穿刺の技術習得は重要。ただ、中堅病院で熟練した医師が蘇生術を施す目的は、売り上げ増で、蘇生術を施した場合、数十万円の利益が上がるのに対して、健やかに看取るとゼロになる。医師は経験を積むにつれ「ヒューマニズム」vs「病院経営」という葛藤に直面する。
 北里研究所病院(港区)時代(1990〜97年)、毎月各科毎の売上げが公表され、また医師毎の売上げ表も作成され、売上高の多い医師は評価された。売上げ高を誇る医師は、一般に患者から人気があり、癌末期の患者さんに対しても拡大手術や化学療法を行い、そして、後輩に命じ、蘇生術を施していた。
 健やかな看取りを初めて経験したのは、聖路加一年生時代。当直日、外科の癌末期の女性患者さんが心停止し、ナースから呼ばれた。型のごとく蘇生術にかかると、外科のチーフ・レジデント、ヒゲの桜井(たしか)先生がすっと近づいてきて、「リー君、いいんだよ」とささやいた。(2007年1月の記事、校正)

 積極的な安楽死を一度経験した(刑事罰『殺人罪』を考え、今まで記事にできなかった)。北里研究所病院時代(1990〜1996年)、泌尿器科部長の患者さんが、肺転移のためひどい呼吸苦で苦しんでおられた。観るに見かねて、部長に「モルヒネを投与していいですか」と問うたところ、こっくりと頷いてくれた。ナースに目配せをしながら、充分量のモルヒネを投与した。患者さんは、呼吸苦から解放され、数時間後に安らかに旅立たれた。 (2010年9月の記事、校正)
リー湘南クリニック leeshonan@gmail.com 

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2012年03月27日

★★ バカ女医につける薬はない

北里研究所病院(港区)時代(1990〜96年)、小児を全身麻酔下で手術することになった。あらかじめ、麻酔科に依頼するのが慣例で、検査結果とともに依頼書をだした。すると麻酔科・三輪(女医)から「胸部X線を撮ってください」と返事。はて、呼吸器症状がない小児の胸部X線を撮って何か分かることがあるのか。私は三輪のところへ、胸部X線で何が分かるのかお勉強しに行った。三輪は答えられない「念のため撮って下さい」。「被爆するだけだから撮りません」。「では、麻酔をお断りします」と三輪。
 このニュースは病院中を駆け巡り、賛否両論「よく考えたら、胸部X線で分かることはないね」。「気管の太さが分かるかもしれない」。「でも慣行だからな」。…。僕は「証明医療の原理主義者」、こんな具合にどんどこ敵が増えて行った。
 バカ女医の三輪が僕の手術をすべてボイコットして以来、麻酔は米村先生が担当してくれた、恩人である。術前「血管造影検査」でも支配動脈を同定できなかった「異所性褐色細胞腫」、術中、腫瘍を触ると急激に血圧が上がり、腫瘍摘出後に急激な血圧低下で死亡することも稀ではない。米村先生は「こりゃ〜ジェットコースターだよ、リー先生」と、淡々と管理されていた。もちろん、患者さんは大過なく退院された。
リー湘南クリニック leeshonan@gmail.com  拙著「癌患者を救いたい PSA検診のウソ」(正誤表) (2006年11月の記事、校正)

leeshounann at 11:34|Permalink
2012年03月01日

☆☆☆★ 四流誌に掲載拒否された不名誉な症例報告

ブレオマイシン(BLM)という抗癌剤がある。「肺線維症」(肺が硬くなり呼吸できなくなる)という副作用が有名で、国家試験にもよく出題される。1991年、北里研究所病院で、多臓器転移のある睾丸(精巣)腫瘍(=多臓器転移があっても治癒する確率が高い)の患者を「標準治療」、BLMを含む多剤併用療法で治療していた。患者さんが呼吸苦を訴え始めたが、肺転移(癌性リンパ管炎)か、肺炎を併発したのか、あるいは「肺線維症」によるものか診断がつかない。呼吸器内科・S医師に診察を依頼したところ、肺炎が疑われ強力な抗生物質が投与されたが病状は全く改善しない。肺線維症の可能性を問うたところ、明らかな返答がない。彼は、内視鏡をはじめいろいろな検査をしたが診断がつかず、患者さんは呼吸不全で死亡した。病理解剖で、死因は「肺線維症」であることが分かり、同じような症例を減らすべく論文(正確には「症例報告」)にまとめた。
 当時(検索エンジンなど無い時代)、日本では BLM肺線維症による死亡例は、一例も報告されていなかった。欧米論文から BLM肺線維症は、ある確率で発生すること、唯一の治療法は「早期発見と BLMの中止」であることを知った。早期発見のために、色々な診断法が提唱されていたがどれも確実ではなく、唯一「聴診によるラ音(バリバリという音)の聴取」が確実であることも知った(後に、聴取する機会があったが、騒音のような音で、聴き損じることはあり得ない)。
 こういった内容で、中学生の作文でも掲載される日本の四流誌に投稿したところ、1)これは不名誉な記録である、2)肺線維症の早期発見のため○○検査(複数)を行うべきだった、3)BLMは肺線維症をきたすことがあるので、ペプロマイシン(日本化薬)を使用すべきだった、とのコメントをもらった。
 それに対し、1)不名誉でも、注意を喚起するため日本語で報告する義務がある、2)早期発見には唯一「ラ音の聴取」、他の検査は無駄、3)ペプロマイシンは日本でだけ通用する薬で、標準治療でないとの反論を送付した。すると一通の返信「不掲載」。四流誌に掲載拒否されたのは、後にも先にも私だけでしょう。
 それにしても、日本呼吸器学会・専門医・指導医・S先生は聴診されたのだろうか? そういえば、彼は「風邪に抗生物質を投与すべき」と主張し、欧米の医学を批判していた。
リー湘南クリニック leeshonan@gmail.com  拙著「癌患者を救いたい PSA検診のウソ」(正誤表) (2006年11月の記事、校正)

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2012年01月29日

☆ 占いと血液型

占いを信じる輩は多い。朝のニュースでの占い、本屋に並ぶ占い本。思いつくままに、占星術、タロット占い、字画、手相、人相、…。僕は、量子物理学をかじるうち創造主の存在を信じるようになったっが、人が作為的にこさえた占いや宗教を信じない。
 よく耳にするのが、血液型と性格。ヒトの血液型(赤血球の表面抗原)の分類法は、ABO、Rh式をはじめ 15種くらいある。ABO式が有名なのは、輸血の際に問題となるから(Rh型も問題となる)。医者になった頃、「血液型と性格は相関しないこと」が証明された。血液型をもって、ヒトを判断するのは愚かなことで、こういう輩は、バカとくくる。ちなみに、ワンちゃんにも血液型があるが、輸血の際問題にならない。
 北里研究所病院時代(港区)、私が尊敬していた外科・ K先生(故人)、当時から慶応義塾大医学部・外科学・教授になると公言し、ひたすら腫瘍に関する論文を作成していた。僕は彼を一流科学者だと思っていた。ところが、息子さんのお名前を決めるとき、おや「字画の計算」をしていた。アメリカで、一流の科学者と臨床医を観てから、K先生の「制癌剤感受性試験」をはじめとする研究は、何の役にも立たない「ニセ科学」と知った。念願かなって、彼は慶応大学医学部・教授に就任したが、手術の基礎をご存じない。有名人が大金を積んで K教授の手術を受ける、ブラックユーモアである。
 アメリカ人で自分の血液型を知るのは「兵士と大手術前の患者」くらい、人口の数%である。日本では戦争時代、全国民の血液型、そして銃座をこさえるために座高を測定した。戦争を放棄したのだから、無駄なことはやめればいいのに。  
リー湘南クリニック leeshonan@gmail.com  拙著「癌患者を救いたい PSA検診のウソ」(正誤表) (2006年11月の記事、校正)

leeshounann at 09:32|Permalink
2011年08月25日

★ スポーツ外来

北里研究所病院・後期時代(1990〜96年)、整形外科・副部長の A先生は「スポーツ外来」を担当されていた。彼は性格温厚だったが、勉強熱心な後輩から、裏で「雑言罵声」を浴びせられていた。A先生は、いくつものチーム・ドクターを務め、片っ端から CTをはじめ、高額な検査を施していた。「そんな検査をして一体、何が分かるのかね」と言われていたが、ご本人は知る由もない。
 極めつきは入院、屈強な男子を何週間も入院させる。だから、病室で酒盛りはするわ、彼女を連れ込むわ、無茶苦茶。泌尿器科の重症患者が同室だったりすると、迷惑だった。後になって、退院しない理由と退院させない理由を知った。患者は長く入院すればするほど、保険金が高額になる。2回入院してスポーツカーを買ったなどと、自慢話を耳にした。A先生は、整形外科一の売上を誇り、院長の評価は高かった。
 診断書を書いてくれるので患者にとり有難い、そして収益を上げてくれるので病院にとり有難い、A大先生。検索してみたら、現・副院長・兼・部長、資格: 日本整形外科学会専門医、身体障害者福祉法指定医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本医師会認定健康スポーツ医、日本体育協会認定スポーツ医です。
 誤解の無いように記しておくと、科学的観点からスポーツ医学に取り組んでおられる整形外科医も多くいます。
リー湘南クリニック leeshonan@gmail.com  拙著「癌患者を救いたい PSA検診のウソ」(正誤表)(2008年8月の記事、校正)

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2011年06月23日

☆★★ 盗作・盗用王国日本

聖路加病院出張を終え、医師 2年目、北里大学病院(相模原市)で初めて「主治医」を任された。患者さんは、 26才新婚「コヤクマル ヒロコ」さん、転移性の絨毛癌(胎盤の癌、転移しても高率に治る)。近医で妊娠と誤診され、癌が進行してから北里大学病院・産婦人科に入院。小腸転移が見つかり外科へ転科、腸切除術を受ける。今度は腎転移が見つかり泌尿器科へ転科。医局長(癌が専門、現・東海大学医学部・教授)が、どうせ治らないと踏んで、新米医師、僕を主治医にあてた。
 治療歴を総括したら、何の化学療法も受けていない。早速、MTX(メソトレキセート)を中心とした標準治療を開始、腫瘍マーカー(HCG)はぐんぐん下がったが、途中で効かなくなった。図書館で調べると、MTX耐性の絨毛癌には シスプラチンが有効であることを知った。この新薬、物凄い嘔吐をもたらす。観るに見かねて調べると、Methylprednisolone(MPL)というステロイド剤がシスプラチンの嘔吐に有効であることを知った。治癒を信じ懸命に治療したが、7ヵ月後に他界された。
 コヤクマルさんが他界された時、学生論文でお世話になった遠藤准教授に「りー、泣くな」と叱られた。「???」。
 当時は気づかなかったが、大学病院の各科「癌専門を謳う」スタッフ、誰一人も標準治療をご存知なかった。コヤクマルさんの治療経過を日本語論文にまとめたが、かかる癌にシスプラチンを使用したのも、MPLが制吐作用を有することを示したのも、医師 2年目の僕が日本初だった*。

 その他に日本/世界初の論文は、腎盂の平たい癌に対して、腎尿管全摘せずに治療できますという内容**。北里研究所病院時代(1990〜1996年)、後輩・入江に命じ日本語で論文にした。元部長・門脇や現・部長・入江啓らは、僕が開業した後、この論文の英訳を、僕の名前を載せずに一流誌の論文にしていた。門脇先生は部長だったので、お情けで論文に名を連ねてあげ、入江先生は全部僕の口述通りに論文を書いたにもかかわらず、自分らの手柄にした、あきれた。彼らは英語を解さないが、英文にしてくれる業者がある。
 1990年の秋、現・岩手医大・泌尿器科・藤岡知明教授(聖路加時代の先輩)に請われ、岩手まで講演に出かけたことがある。僕が考案し一流誌に載せ、世界中から絶賛された「血管新生の定量」に関する論文***を、あろうことか彼は盗用した。
 あと日本初は、学生医学論文「李ら、生命表分析による移植腎生着率の検討、北里医学 Vo 10、1980年」のデータだけ書き換えたバージョンをどこかの医学誌で目にした。
 盗作・盗用、オリジナリティーを尊ぶ欧米では、想像すら及ばない行為なのです。

* 李ら、抗癌剤化学療法時における MPLの併用 その制嘔作用、癌と化学療法 10:1466、1983
** 入江、李ら、上部尿路上皮内癌に対して尿管ステントカテーテルを留置した BCG膀胱内注入療法 臨床泌尿器科 49:149、1995
*** K.Lee et al、Cortisone inhibition of tumor angiogenesis measured by a quantitative colorimetric assay in mice(マウスにおける、コーチゾンによる腫瘍血管新生を光学的に定量する方法) CCP 26:461、1990
リー湘南クリニック leeshonan@gmail.com  拙著「癌患者を救いたい PSA検診のウソ」(正誤表)(2007年4月の記事、校正)

leeshounann at 08:54|Permalink
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