リー湘南クリニックからのお知らせ

院長ブログ−異端医師の独り言

鳥インフルエンザ タミフル

2013年04月16日

☆☆☆★ 鳥インフルエンザ と ワクチン

鳥インフルエンザ H7N9に関連して、過去の記事から。
 鳥インフルエンザに対するワクチンが製造され、ヒトで毒性試験が行われ、安全性が確認されたそうだ(*1)。2003〜2004年の総説(*2)によると、かかるワクチン製造は困難で、各国にタミフルの備蓄をすすめていたが、ハードルを越えたようです。
 要旨は、H5N1(*3)ウイルスを逆転写系(*4)で作成し、Vero細胞(*4)で増殖させ、不活化(感染力のない)ウイルスを製造した。これを、ボランティアにアジュバンド(ワクチンの効果を高めるお薬)なしに投与したところ、血中に中和抗体(ウイルスの増殖を阻止する抗体)が出現したという内容。
 そこで、ボチボチとインフルエンザのおさらいを。インフルエンザとは、インフルエンザ・ウイルスによる風邪のこと。毎年、小児の 20%、成人の 5%がかかる。他の風邪ウイルス(150種類ほどある)と異なるのは、流行(地域で流行ること)あるいは大流行(世界的に流行ること)することがあり、目立つ。例えば、1918年の H1N1(*3)大流行では、4〜5千万人が死亡した。しかし、あまり知られていないことは、大流行のない年でも累積死亡者数は、大流行時の死亡者を上回る。インフルエンザによる死亡例のほとんどは、入院中や老人ホームの高齢者で、インフルエンザと気づかれずに亡くなることも多い。いつか記したが、生ワクチン(生もの)の在庫がだぶつくと、必ず保健所に出向中の厚労省の役人が「老人ホームのご老人インフルエンザで死亡」とリークする。そして、マスごみがとびつき、在庫は無事さばける。
*1) A Clinical Trial of a Whole-Virus H5N1 Vaccine Derived from Cell Culture NEW ENGL J MED , 358:2573-84, 2008
*2) Seminar Influenza Lancet 362:1733, 2003
 Review インフルエンザ大流行への備えは? Science 302:1519, 2003
 鳥インフルエンザ 切迫する危機  Lancet, 363:257, 2004
*3)H5N1とか H1N1とか、種子島のロケットとちゃいまっせ。 インフルエンザ・ウイルスは 3種類、Aと Bと C型。Cは流行しない。A型は、ウイルス表面の H(hemagglutinin)と N(neurminidase)という糖蛋白質により亜型(サブタイプ)に分類される。Hは 15種類(H1〜H15)、Nは 9種類(N1〜N9)ある。ヒトで流行するサブタイプは、H1、H2、H3、そして N1と N2。鳥ではすべてのサブタイプがみられ、中国南部で通年循環している。B型は一種類のみ。
 鳥インフルエンザ H5N1が、かように人気があるのは、殺傷能力が高いから、致死率約 30%。今のところ、H5N1は、鳥⇒豚や家禽類(中間宿主)⇒ヒトへ感染する。一流の科学者たちがビビっているのは、ウイルスの進化速度(遺伝子を変化させる早さ)は猛烈に早いので、ヒト⇒ヒトへ直接感染できるウイルスの出現は目前ということ。かかるウイルスが中国で発生したら、航空機の発達で瞬時に世界中に拡がる。鳥インフルエンザに免疫をもつ人類はいないので、ガラガラポン、環境問題や中国問題が一挙に解決する。
 ワクチンの普及まで数年かかるので、うちの常連さんには転ばぬ先の杖、タミフルの備蓄をお勧めしている。
*4)かつて、H5N1ワクチン製造が困難とされたのは、一つに従来のワクチン製造法に頼れないから。従来、ウイルスは、めん鶏の有精卵で増やしたが、H5N1は鳥を死に至らしめるので、鳥の卵も殺す。もう一つの方法は、逆転写系(RNAから DNAを作成する)でウイルスをこさえ、アフリカ・ミドリサルの腎細胞から樹立した細胞株 Veroで増殖させる。Vero細胞株は、日本人が樹立し、良く管理され世界中の研究室で使われているので、この目的に適している。ただこの方法は、遺伝子を操作するので、副作用が発生したとき、責任が及ぶことを懸念して、製薬会社が手を出さないとみられていた。そういうことを言っていられないのか、ワクチン法(ワクチンで副作用が出たとき、製薬会社を免責にする法律)が遺伝子組み換え薬をカバーしたのか、丸ごとの H5N1ウイルスが人の手により製造された。
 2011年、2か 3月号のランセット誌によると、Vero細胞の安全性は確認された。
(2008年8月の記事、校正、加筆)
リー湘南クリニック leeshonan@gmail.com  拙著 癌患者を救いたい PSA検診のウソ正誤表早死にするデブ しないデブ 

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2013年04月15日

☆☆ 常識のウソ

2009年11月に HPが新しくなったので、旧 HP上の「常識のウソ」コーナーを転載しておきました。

漢方薬はインチキ  漢方薬は生薬だから…とか、数千年の歴史の中で淘汰されてきたとか、まことしやかに言われます。しかし、漢方薬の有効性と副作用については、今だかつて一度も科学的に検証されていません。漢方薬が存続するのは、中国に近代医学や科学が芽生えなかったに他なりません。ヨーロッパにも漢方と似た「ギリシャ医学」が存在しましたが、科学の勃興とともに姿を消しました。
 科学的検証とは「プラシボ対照・無作為・二重盲検法」をさします。例えば、新しい頭痛薬の有効性や副作用を検証するには、頭痛持ちの患者さんをくじ引きで(無作為に)2群に分けます:対象となる患者さんの数が多いほど検証の精度が高くなります(=再現性が高くなる)。そして、片方の群の患者さんには新薬を、そして、もう一方の群の患者さんには外観は新薬と全く同じで薬効のない偽薬(プラシボ)を内服してもらいます。また臨床試験に参加する医師も、どちらが新薬でプラシボか知らされません(二重盲検)。こうして、主観を排除した条件下で両群間で有効率や副作用に差があるかを比較します。偽薬でも 3割くらいの人に効果があります(=プラシボ効果という)。したがい、新薬を有効と判定するには偽薬より有効率が高くなくてはなりません。副作用もしかりです。
 漢方薬を処方する医師は主観的経験、そしてメーカー(ツムラやカネボウ)の配るマニュアルを基準にするわけで、病気が良くなったとしても、それはプラシボ効果によるのか、薬効によるのか、あるいは自然治癒なのか客観的に判断のしようがありません。科学を基盤とした診断学と治療学を学んだはずの医師が、どうして未証明の呪術と同じレベルの医療を実践できるのか、僕には到底理解できません。

肺癌検診は有害無益 肺癌検診を実施する自治体は多いのですが、検診の有用性は否定されています。欧米で肺癌検診の大規模な臨床試験が行われました。いくつもの人口集団を対象に被験者を無作為に「肺癌検診を受けてもらう群」と「検診を受けない群」に振り分け、5〜10年経過を観察しました。検診を受けた群では、いわゆる早期肺癌の発見率が激増しましたが、肺癌による死亡率は減少しませませんでした。このことは検診により「放っておくと死に至らしめる肺癌を発見できない」ばかりか、「放っておいても無害な肺癌を発見する」ことを意味します。換言すれば、肺癌検診を受けても命拾いすることはなく、不必要な手術を受けるチャンスが増えます。また、不必要な被爆、そして心配事を増やさないためにも肺癌検診は受けないほうが得です。

最新のインフルエンザを概説します 毎年、小児の約 20%、成人の 5%がインフルエンザに感染しますがほとんどは自然治癒します。犠牲になるのは、慢性の心臓や肺疾患をもつ高齢者と 1才以下の乳児です。
 インフルエンザ・ウイルスは 3種類(A、B、C型)あり、Aと B型のみが大流行します。A型インフルエンザは 2つの表面蛋白、ヘマグルチニン(Hと略される)とニューラミニダーゼ(Nと略される)の違いにより分類されます。Hは 15種、Nは 9種類あり、その組合せで H7N7とか H3N2と呼ばれます。ヒトからヒトへ感染するA型インフルエンザ・ウイルスは、H1、H2とH3、そしてN1とN2だけです。B型インフルエンザは一種類だけです。
 野生の水鳥からは、A型インフルエンザ Hと Nすべての型が検出されています。インフルエンザ・ウイルスは、哺乳動物と鳥類を宿主に遺伝子を変異あるいは組換え、絶えず進化しています。中国南部はヒト、豚、野鳥そして家禽類が密集し、インフルエンザの繁殖所で、新型のインフルエンザ・ウイルスはここで発生し、世界中に広まります。
 話題の鳥 A型インフルエンザ H5N1は、鳥に強い毒性をもちますが、ヒトには感染しないと考えられていました。最近、鳥インフルエンザのヒトへの感染例が発見されましたが、今のところ、ヒトからヒトへの感染例はありません。しかしながら、専門家達はヒトからヒトへ感染する新型鳥インフルエンザ・ウイルスの出現は間近いと考えています。
 ワクチンは、鳥の有精卵中でウイルスを増殖させ製造されています。ワクチン製造は有精卵の供給に依存し、非常に時間がかかるため流行時には対処できません。また、鳥インフルエンザがヒトで流行したら、従来の方法ではワクチンを製造法できません。なぜなら、鳥インフルエンザ・ウイルスは、有精卵を死に至らしめるからです。有精卵に頼らず、迅速に流行株に対しワクチンを製造する技術は確立しています。しかし、この方法は遺伝子組換え技術を用いるので、副作用発生時の補償問題のため、製薬会社は製品化に躊躇します。
 最近、Aと B型インフルエンザに有効な抗ウイルス薬、タミフルが開発されました。非常に安全な薬で、小児への投与も問題ありません。インフルエンザ様症状を呈して 48時間以内に内服します。また予防効果はワクチンよりはるかに高く、ハイリスクの高齢者に対しても、ほぼ 100%の予防効果が示されました。健常人でも、インフルエンザの患者さんに接した後、すぐに内服するとほぼ100%予防できます。鳥インフルエンザに対しても有効です。
文献 Lancet 362:1733, 2003、 Science 302:1519, 2003

リー湘南クリニック leeshonan@gmail.com  拙著 癌患者を救いたい PSA検診のウソ正誤表早死にするデブ しないデブ (2009年10月の記事、微校正)

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2012年01月28日

☆ 新型インフルエンザ パンデミックはでっち上げ?

2010年 2月 3日号の Newsweek誌から抜粋。≪≫内は、僕の解説。

 WHO≪=似非科学者が巣くう組織≫の新型インフルエンザのパンでミック宣言は、薬剤メーカーがあおったものだった ―。
 WHOと製薬メーカーの癒着を指摘しているのは、欧州会議保健委員会のウォダーグ委員長。…ワクチンを製造する薬剤メーカが WHOや政府関係者に働きかけたことを示す「多くの情報が私の元に多く集まっている」という。
 欧州会議は 1月 12日、WHOと製薬メーカーの癒着への調査開始すると発表。26日から企業や国への調査捜査と公聴会などが行われる予定だ。
 …世界中で膨大な量のワクチンが発注され、各国がタミフルなどの備蓄に走る混乱が起きた。…
 「新型インフルエンザは、今世紀最大の薬剤スキャンダルの一つだ」…「比較的軽いインフルエンザが発生しただけ≪40年前に、流行った H1N1≫。パンでミック宣言は誤りだ」…
リー湘南クリニック leeshonan@gmail.com  拙著「癌患者を救いたい PSA検診のウソ」(正誤表) (2010年2月の記事、校正)

leeshounann at 11:48|Permalink
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