岩田温の備忘録

政治学者岩田温の備忘録です。

他者の議論を「妄想」呼ばわりし、矛盾したことをいう鳥越俊太郎氏


 都知事選挙の野党共闘候補の鳥越俊太郎氏について、忘れがたい記憶があるので、ここに記しておく。
 以下は、拙著『平和の敵 偽りの立憲主義』(並木書房)にも記した内容だが、こういう出鱈目極まりない人物を都知事にしてはならないと強く思うので、ブログにも掲載することにした。

 鳥越俊太郎氏の言うことは絶対に矛盾している。私がそう確信せざるを得ない、私にとっては忘れがたい「事件」があった。
 二〇一四年の八月一五日のことだ。NHKの終戦特番で「集団的自衛権」について議論となった。
 出席者は、集団的自衛権行使容認について、批判派として、鳥越俊太郎氏(ジャーナリスト)、加藤陽子氏(歴史学者)、瀬谷ルミ子氏(日本紛争予防センター理事長)。賛成派は、岡本行夫氏(外交評論家)、吉崎達彦氏(エコノミスト)、そして、私だ。
 私はあまりテレビを観ないので、鳥越氏がいかなる思想信条の持ち主なのか、ほとんど知らないままに出席したのだが、その主張の極端さというか、論理的な整合性のなさは凄まじいものだった。
 冒頭部分で鳥越氏は、多くの人々が日本が攻め込まれるという雰囲気になっているが、そんなことはあり得ない、「虚構」だと断じ、逆に「どこが攻めてくるんですか」と質問してきた。
 私は、攻められる可能性がまったくないと決めつけてしまうことはできないとして、たとえば、尖閣諸島の問題に関していえば、中国が攻めてくる可能性があると言った。
 どうも、鳥越氏の脳内では、本当に攻めてくる国などあり得ないという前提で議論が始まっている様子だった。
 話が中盤に差しかかってくると、鳥越氏が、「私は自衛隊の存在は認めている」と言うから、私は質問した。
 「攻めてくる国がないならば、個別的自衛権の行使も必要ではない、ということになりませんか」
 テレビでは、うまく映っていなかったが、このとき鳥越氏は「そうですね」と軽く答えた。
 その後、岡本氏が台湾有事の際に、日本が協力する方法などを述べ、戦後日本の平和は、日米安保を中心とした国際的ネットワークによって守られてきたと指摘すると、鳥越氏が質問してきた。
「どこが日本の国を攻めてくるんですか?」
 岡本氏は冷静な方で、落ち着いて次のように返答した。
 中国の国防費の異常な膨張ぶり、南シナ海において実効支配を強めつつあるという現実。そして、仮に日米安保条約がなかったら、中国軍が尖閣諸島に向かう可能性があること。
 こうした岡本氏の説明を聞き、鳥越氏はさらに質問を続ける。
 尖閣は日本の領土だというが、尖閣には人が住んでいない。無人島を守るために、自衛隊を出動させる必要があるのか、と。
 岡本氏は、海上自衛隊が守るし、米軍も航空管制機を飛ばすなど支援するだろうと述べ、そして、万が一、中国軍が沖縄本島に近づくことがあったら、日米安保条約に従って、直接行動すると公言するだろうと答えた。
 これに対して、鳥越氏は「それは妄想だよ」と非難し、「そんなことあり得ない」と断言した。
 これに対して岡本氏が、では、岩田氏が言ったように、日本には自衛隊も防衛予算もいらないということかと聞いた。
 すると、鳥越氏は、「自衛隊は必要だ」と答える。岡本氏が「どこが攻めてくるんですか?」と問うと、「災害時に必要…」と答え、「災害のためだけか?」と更に聞かれると次のように答えた。
「もし、万一、ないと思うけど、万一、中国なり、北朝鮮は来ないと思いますよ。北朝鮮は日本を攻める意味がまったくないので、中国はあるかもしれない…」
 番組の冒頭から、「どこの国が攻めてくるんだ」と大声をあげ、日本を攻めてくる国があるという想定そのものが「虚構だ」「妄想だ」と繰り返していた当人が、中国が攻めてくる可能性を否定できないから、自衛隊は必要だというのだ。
 舌の根も乾かぬうちに、ここまで態度を急変させる人物を初めて目撃した。国民を騙してやろうという悪意は感じなかったが、ここまで論理的に破綻した議論を堂々と展開する神経には正直、恐れ入った。
 要するに、鳥越氏は論理的な整合性を考えずに楽観論に立ち、リアリズムの立場から発言する人に対して「妄想だ」「虚構だ」と根拠のない罵声を浴びせ、相手の議論を封じようとするのだ。残念ながら、彼の脳内の世界観の方が「妄想」や「虚構」であることを自ら曝露したのである。


これだけ出鱈目で矛盾したことを言ってのける人物に都知事を務めることは絶対に不可能だと断言しておく。

「愚かな若者は選挙に行くな」という森達也氏の奇妙な論理


 映画監督の森達也氏が、『週プレニュース』で奇妙な持論を展開している。
 若者は無知で同調圧力に影響を受けやすいために、周りの数人が「自民党に投票する」といえば、自民党に投票してしまう。だから、無知な若者は棄権して構わないというのだ。そして、アメリカには同調圧力がなく、若者がサンダースのような候補に投票したと持ち上げ、そういう意識を持つ若者なら、投票に行ってほしいという。
 何ということはない。要するに、自分は自民党が危険な政党だと思っている。だが、多くの若者は愚かで、自民党の危険さを見抜けない。だから、自民党の危険さを見抜いているような賢い人間だけが選挙に行ってほしいというわけだ。
 自民党に投票する若者は馬鹿だから、選挙に行くな、という主張を繰り返しているに過ぎない。
 何度読み返してみても、とんでもない主張だ。
 そもそも同調圧力がないというアメリカではトランプという極端な候補が支持を集めており、世界がその動向を危うんでいる。そんなにアメリカの若者が優秀なら、どうして、彼を支持する人々が多いのだろう。
 そして、この意見が傲慢に過ぎるのは、若者を一くくりにして「同調圧力に弱い」、「政治を知らない」と決めつけているからだ。本当に若者は、同調圧力に弱いから自民党を支持しているのだろうか?頭が悪いから、自民党を支持しているのだろうか?森氏のいうように、護憲の立場から、自民党に投票するというちぐはぐな行動をする若者ばかりなのだろうか?

 「互いに連立政権を組むことは出来ない」といいあっている野党同士が反・与党のスローガンだけで政治を語っていることに対する不審感を持つ若者だっているだろう。
 意見の異なる相手に向かって「お前は人間じゃない。叩き斬ってやる!」などと獅子吼する政治学者に支援される野党に嫌悪感を抱く若者もいるだろう。
 私は選挙権を18歳に引き下げることには反対した一人だ。だが、選挙権が与えられた以上、選挙権を行使すべきだと考えている。仮に森氏のような主張を真に受けて、「自分は若すぎて判断が出来ない」などと考えて、投票所に足を運ばなければ、全く政治に興味関心がない世代という烙印を押されることになってしまう。それは避けた方がいい。
 現代民主主義の長所でもあり、短所でもある特徴は、知性の有無によって投票者を差別しない点にあるといってよいだろう。賢い人の判断だけが必要だというならば、制限選挙を実施するしかないが、そうした制限選挙を求める人は少ないはずだ。
 政治のプロである政治家を学歴、所得に関係なく一般の国民が選出する。それが現代の民主主義なのだ。もちろん、完璧なシステムではない。だから、時に誤る。しかし、誤ることを恐れて政治に無関心であればよいということではない。
 出来るだけ、冷静に判断し、自分自身の一票を投じればいい。サッカーや野球は独裁国家でも楽しめるかもしれないが、公正な選挙というイベントは民主主義国家でのみ成立するイベントだ。
 自分たちと同じ意見をいう若者を「賢い若者」、自分たちと異なる意見をいう若者を「愚かな若者」、選挙に行く資格すらない若者とみなすような傲慢な老人の説教に耳を傾けるべきではない。

驚愕した杉尾ひでや氏のポスター・・・

長野県ではこんな二連ポスターが貼られているらしい。

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民進、共産、社民各党と信州市民連合との合意とのこと。正直言って、かなり驚いた。

鳥越俊太郎さんといえば、NHKの番組で、冒頭「どこの国が日本を攻めてくるんですか!」と声を張り上げ、私が尖閣の問題に関していえば、「中国が攻めてくる可能性がある」といったら、「ありえない」と全面否定。あとで「攻めてくる国がないなら、自衛隊もいらないのではないですか?」と聞くと「そうですね。」と驚愕の回答。

しかし、番組が終わりに差し掛かり、もう一度「どこの国が攻めてくるんですか!?」と問うてきたので、岡本行夫さんが中国の話をすると「そんなの妄想だよ」と断定。驚いた岡本さんが「自衛隊も防衛予算もいらない、ただ祈ってればいいんですか?」と聞くと、「自衛隊は必要だ!」といい、我々が「どこの国が攻めてくるんですか?」と聞くと、「万が一、攻めてくる国があるとしたら、中国・・・」

「中国が攻めてくるというのは妄想だ!」と主張していたにもかかわらず、自分が質問されると「攻めてくる国があるとしたら、中国・・・」。

これはもう出鱈目でしかない。


論理も知性もかなぐり捨てた反知性主義のジャーナリスト・・・

杉尾ひでや氏の主義主張は詳しく知らないが、よりによって鳥越俊太郎さんと一緒にポスターを作成するというのだから、よっぽど、論理が嫌いな反知性主義の人ということだろう。


【講演会のお知らせ】
 第二次世界大戦に敗れた日本に戦勝国から与えられた国家の最高法規「日本国憲法」。

 私達の暮らしを形成するあらゆる法律の根幹となるこの憲法を、改正しようという動きが活発化している昨今、気鋭の政治学者岩田温が確かな知識を元に、改憲賛成・反対の次元を超え、くもりのない論説で「日本国憲法」を斬る!

 憲法の制定過程について、憲法制定権力についてなど、日本国民が知らされなかった日本国憲法の全てを解説します。


【とき】:平成28年6月18日土曜日13時受付開始、13時半~17時(途中休憩アリ、講演3時間、質疑応答20分間)

http://abc-kaigishitsu.com/tokyo_yaesu/access.html
【参加費】:5,000円(学生3,000円)
【定員】:100名
こちらのフォームよりお申し込み下さい。
http://www.gsevents.net/form/iwata_form.html


*講演会の様子を録画、録音することはご遠慮ください。
*憲法についてよく知っている方も、そうでない方も納得頂ける内容となっております。お気軽にご参加下さい。

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