本年最後の更新になります。本年は多くの皆様にブログをご愛読いただき有難うございました。来年も引き続きよろしくお願い致します。


 本書の著者藤森かよこ氏は、アイン・ランド『水源』の翻訳者だ。日本ではあまり知られていない分厚い一冊の小説だが、アメリカでは愛読する人が非常に多い本だ。この本を読まずにアメリカの思想を語ろうというのが馬鹿げているといっても過言ではないほど、多くのアメリカ人に影響を与えてきた。アメリカ保守主義の一つの柱といってよい。

私自身はこの『水源』を読んだときに、面白さと同時に不気味さを感じた。面白さというのは、第一には、自分の信じる道をこれでもかというほど突き進んでいく主人公の鉄の意志だ。そして次に面白かったのが、社会主義者についてアイン・ランドがどのように考えているのかを理解できたからだ。要するに、他者から依存されている状況それ自体を好み、他者が自らの足で立とうとすることを嫌がる人びと、偽善者だということだ。

不気味さとは、人間は全て自力で生き抜いているという発想で、「縁」や「運」という日本人が大切にしているものを全然重視しているように見えない姿勢であった。また、自然に対する捉え方にも違和感を覚えた。

『水源』について、私は『逆説の政治哲学』という本の中で紹介させていただいた。この本は、バークやアレント、レーニンといった人々の著作の中から、実に興味深い一節を引用し、現代の問題と絡めながら紹介した風変わりな政治学の教科書だった。出版された後、FaceBookに藤森氏から友達申請をいただいた。メッセージの中に、「『逆説の政治哲学』の『水源』の紹介は、本当に読んでいる人の紹介で嬉しかった」との内容が記述されていた。確かに、世の中には適当に読み飛ばしただけで書評する人が少なくない。最後まで読んだうえで紹介していたので、きちんと理解されていて嬉しいと思ったのが、御縁の始まりだ。

その後、ネット上で様々な辛辣な意見を書かれていたが、その辛辣な人生に対する考察を一冊にまとめたのが、本書『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んであげてください。』だ。

著者が「馬鹿ブス貧乏」だというのは、少々疑問だが(本当の馬鹿だったら本なぞ書けないのでは?)、このタイトルについても、本書を一読すると理解できるようになる。
 

 あまり詳細に書いては営業妨害に当たるかもしれないから、少々引用することにしたい。こういう辛辣だが、人生の真理について触れた面白い言葉が散りばめられているのが本書だ。言葉は辛口だが、何故か著者の優しさを感じさせる。


「ゆめゆめ、『人間は外見ではなく中身だ』という無責任で愛情のない人間を信用しないように」

「国語能力がある男性は、家庭内暴力男になる可能性が非常に低い。自分の感情や行動を自己分析できる国語能力を持たない男性は、感情が激すると、暴力に訴える」


本書の最大のメッセージは「人生は死ぬまで勉強である」という言葉に要約できるだろう。基本的に女性に向けた本だが、男性が読んでも十分楽しめる一冊だ。

詳しくは下記の動画で解説しているので、ご覧いただければ幸いです。


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