Moony Geekazoid

つれづれにプライベートや思考を書き流しています



February 2015

前回の日記に書いた、NHK「パリ白熱教室」の第5、6回を見てみた。
(見逃した分は、3/2(月)1:10am〜(毎週日曜深夜)再放送で見ようと思う。【3/2訂正】)

大恐慌と第二次大戦の影響で、個人の有する資産がほぼゼロになったことで、
我々の親の世代は、相続に起因する貧富格差はあまり無かったのだという。
これは全世界的な現象だと、データが示していた。

皆がゼロのスタートラインから横並びで走り出した時代だからこそ、
「良い大学を出て、良い会社に就職すれば人生は安泰」
という考えが常識として成り立ち、日本人も一億総中流で在り得たのだ。

しかし、これからは違うという

起業などで一発当てない限りは、
親から受け継ぐ資産の量で貧富が決まってしまうと、ピケティ博士は言う。
つまり、どんな家に生まれるかで、スタートラインが違ってくる事になる。
安定的で平和な社会が続けば続くほど、裕福な一族が一層裕福になっていくという。
東大生の親の所得が一般より高いこと等に代表される現象は、富裕の連鎖と呼ばれ、
過去の歴史や現代の金融構造から類推して計算すると、
どうしても富が富を生み、格差が格差を生む構造が生じ、貧富の差を作るらしい。
日本の一億総中流神話が崩れたのは、時の流れの必然だったのである。

そういえば、先日NHKで、貧困の世代間連鎖についての番組をやっていた。
この日本でも、確実に親の貧困が子供に引き継がれてしまう現象は起きている。

自由の国と言われたアメリカも、新天地へ渡った移民たちが、
横並びでゼロからスタートしたからこそ、自由競争を謳歌できた。
しかし、安定が続いた現代のアメリカは、上位1%が全国民所得の1/4を稼ぎ出し、
1〜1.5%の貴族が支配する革命前のフランスのような格差社会に近づいている。

そんな格差社会が世界中に広まる中で、
現状に不満を抱えて、人生にほとんど希望を持てない若者たちは、
格差の打破を成し遂げてくれそうな何かの出現を待ち望んでいた。
そこに現れたのが、イスラミック・ステート(ISIS)なのだという。
(*NHK『“イスラミック ステート”はなぜ台頭したのか』より)

彼らのやり方は、あまりに残酷非道だから、制圧されることを祈りたい。
でも、世界中に飛び火した対立意識の火種は消せないだろうと、提言する専門家も多い。
世界中で始まっている格差を是正しない限りは、そうなることは一連の流れでもある。
ISISの台頭も、米軍撤退後を引き継いだマリキ首相によるデモ隊の大量虐殺が引き金だ。
虐げられた者が武器を手に社会をひっくり返そうとするのは、人類が辿って来た歴史だ。
フランス革命しかりである。(ギロチン三昧だった恐怖政治も類似していなくもない。)

トマ・ピケティ博士曰く、格差是正には、相続税と固定資産税の改造が必須だという。
武力ではなく、経済政策という平和的手段で格差を緩和して平和を守ることは、
まさに現代の理想であるし、私もそうなる事を心から祈っている。

しかし、私が死ぬまでにそうなっているだろうか。
世界情勢と日本の現状をつらつらと考えるに、
とりあえず私に出来る事は、老後は慎ましくして、あるいは何らかの努力をして、
子世代に少しでも多くをの資産を遺すことを考えたほうが良さそうだ。

友人と話していて、国民の大学までの学費を国が負担すべきという案が出た。
(大学を出ることが全てではないが、実際に給与に差が出ることは否めない。)
確かに少子化対策と格差対策になる。子供人口が少ないから国の負担も少ない。
大学だけでなく職業訓練校なども含めた教育費全般を国が負担する手もある。
向上心と学ぶ意欲さえあれば、スキルが手に入る社会は理想形かもしれない。
とはいえ、結果的にはどこの学校を卒業したかで格差が生じてしまうだろう。
それが、競争原理が支配する資本主義社会の宿命なのだ。
(それでも、グローバル視野に立てば、世界の中の日本人価値を高める事は可能。)
せめて一度貧困の連鎖に巻き込まれても、容易にリカバリーが可能な社会が
作れないものだろうか…。う゛〜ん…

今、世界で生まれている格差が、貧困層の居場所を奪い、
その一部を暴徒に走らせる原因になっているのは紛れもない事実で…
現状打破の手段を探せない彼らは、武力で自分たちを主張し、
不満解消の捌け口であるかのように、更に弱い人々を踏みにじる。

この無碍に踏みにじられた最も弱い人々(子供や女性)に寄り添い、
その実態を発信していた後藤さんが殺害されてしまった。

後藤さんが書いた児童書の題名と写真を見ただけで、
胸が締め付けられて涙が出てくる。
彼が亡くなったのは、社会の損失だ。
彼の遺志が、日本中に浸透していく事は彼の願いでもあるだろう。
本は売り切れ続出で手に入りにくい状態だが、私もいつか入手して読んでみたい。

彼の死を無駄にしないように、この事件の背景や今後を
私達は自分自身の心痛として、真剣に考えなければならない。

格差という歪が、負のエネルギーを生み出して起こる犯罪といえば、
日本国内で言えば、グレて暴走する若者や秋葉原通り魔殺人などだろうか。
今のテロ組織は、その世界規模バージョンなのかもしれない。
格差経済で最近話題の、経済学者トマ・ピケティのパリ白熱教室を、
見逃した分はNHKオンデマンド等で探してでも、見てみようと思った。
私は共産主義には反対だけれども、格差の是正は平和への道標だと信じている。

過激派組織の名称は、「イスラム国」や「ムスリム同胞団」など
宗教名が強調されているが、宗教は自分たちを正当化するための
お題目に近いものなのだと思う。
とはいえ、宗教は人間を救う事も出来るが、宗教は選ばれた人間を生み、
他者を排斥する道具にも成り得る。
これは人類の歴史を見れば、動かしがたい事実だ。

地球上の動物全体で考えれば、宗教はホモサピエンスの
都合上の産物のような要素もあるから、
もっと生物や人間の「本質」を勉強するべきなのかもしれない。

性的に優勢な個体(人間の場合はオス)は、種の存続などは無視して、
自分自身の遺伝子を残すためだけに行動するのだという。
世界は神による秩序によって守られているのではなく、
遺伝子に組み込まれた破壊性を抑えているのは、寧ろ、人間性だという考え方に近いだろうか。
破壊的なカオスは、イスラム紛争地帯の暴力支配状況に似ていなくもない。
リチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」も読んでみようと思った。

武力で応じる事はもちろん、非難や警戒するばかりで
距離を置いてしまうだけでは、問題の解決にはならない。
対象の本質を探る事と、それを取り巻く環境を知る事は大切なことなのだから…

内容が硬くなりすぎたので、カピバラのユル写真をUP。
IMGP5359s
クリックで大きくなります。↑


このページのトップヘ