女性に人気の車は、ミニバンやSUV、それから軽自動車だという。
彼氏に乗って欲しいブランドや車種は、レクサスやプリウスやアウディだそうだ。

私は一応女性だけれど、ミニバンやSUVや軽自動車には全く興味がない。
そして、レクサスやプリウスやアウディにも魅力を感じない。

もちろん、それらを好きな人達がマジョリティである事は否定しないし、
リセールバリューが高いから、人気車を選ぶ人達は、賢い消費者でもある。
でも、でも。少数派のゴマメの歯ぎしりぐらいは、ここに書きたいと思う。
 
アウディは一昔前は微妙な立ち位置にあった車だった。
映画などを使ったイメージ戦略で高級感を演出するのに大成功。
確かに良い車みたいだけど、戦略に騙されないぞ!という感覚が
私の中から、なかなか抜けない。

そして、レクサスやアウディの「威圧感」満載のフロントグリルも
某車新興国での受け狙いみたいだし、好きではない。

プリウスも街に溢れ過ぎてるのも不格好なのも好きになれない理由だが、
「私はエコ推奨です」と主張したそうな優等生臭さも鼻につく。
それにプリウスは、エコカーとして、それほど特別な車ではない。
ブレーキで発電し、「発進時にのみ」電気で補助するので、
日本のように止まったり動いたりの渋滞が多い所ではエコだけど、
高速に乗っていたら、他の車と同じように排気ガスを撒き散らしている。
こちらもイメージには騙されないぞ…と、私は思ってしまう。
クリーン・ディーゼルやダウンサイジング・ターボだって十分にエコだ。

その意味では、水素カーにも疑問符が付く。
水素を作るのには「大量の電気」が必要で、
そのエネルギーはどこから調達するの?と考えれば、
地球全体で考えれば殆どエコになってないのは一目瞭然なのだ。
電気は貯蓄不可能だけど水素は可能。そうは言っても、水素の保存には危険が伴う。
昔、飛行船のツェッペリンが大爆発した原因は水素だ。
原子力がダメで、石油や天然ガスを使う火力発電に頼ってるのが現状なら、
地球全体を見て、ガソリン車でも車単体毎の排ガスを考えれば良い話。

やっぱり、マスコミやイメージ戦略に乗るのだけは嫌だなと思う。
天邪鬼の私としては、多角的に見て、マクロ的に吟味したい。

だからこそ、私はもっとアナログな
「モノづくりの精神の有無」を重視してしまう。
単体製品の良し悪しやイメージよりも、脈々と流れる確固たる哲学を。
そういうのって、ふとした細部に現れるものだから。

例えば、レースに情熱をかけた、ホンダやフェラーリやポルシェ、
ラリーなどで定評のある、三菱やスバルは好きだ。
(三菱の不正やホンダの零落がとても残念)
大昔から安全性に拘っているボルボも好きだし、
ロータリーエンジンに拘ったり、究極のロードスターを作っているマツダも好きだ。
そんなこんなで、私はそのメーカーの貫く拘りが感じられる車種だけを好む。

たとえば、ベンツなら高級セダン。ホンダならNSXやS660。
ポルシェなら911。スバルならレガシー。三菱ならランエボ系。
日産ならGTR。ボルボならステーションワゴン。
マツダならRX系かロードスター。アメ車ならシボレー・コルベットやコブラ。
そういった、メーカー魂の籠った車がやっぱり好き。

人気のミニバンや軽自動車には、私はメーカー哲学を感じない。
「車は人や物を運ぶのが基本」と思っている人達のニーズに迎合して
車を作っているように思えるから、作り手側の哲学を感じないのだ。

変な話。私は車に対して、道具と割り切れずに、
人格を持つ生き物みたいなイメージを持っている。
だから、利便性よりも、魂や美しさを重視するのかもしれない。

そして、最近の大人気は、利便性とスタイルを合体させたSUVだ。
でも、私は好きではない。四角い車に無理矢理に流線形をくっつけて、
どっちつかずで美しいとは思えないからだ。

たとえば、スポーツカーメーカーのポルシェも
カイエンやマカンといったSUVを投入するようになってきた。
でも、私は一切興味を覚えない。

どうしてもSUVをと言われたら、私はレンジローバーにするだろう。
砂漠のロールスロイスと言われたレンジローバーは、
SUVが人気を博す以前から、ずっとこの手の車を作り続けて来たからだ。

なんだろう。この感じは、学校選びに似ているかもしれない。
昔から長きに渡り古き良き伝統を積み上げている伝統校と、
大学進学率を急激に上げて偏差値を稼いできた新興の受験校だったら、
私は間違いなく伝統校を選ぶ。けっして塾の言いなりで学校を選ばない。
そんな感覚と似ているかもしれない。
それは、娘の留学先を選ぶ上でも同じ基準だった。
車だけでなく、私の全ての選択に共通する基準かもしれない。




そんな中、最近私はBMWminiが気になっている。
(miniの魅力に目を付けたのか、トヨタのパッソがminiを節操なく真似たり…)
イギリス時代のminiの可愛らしい伝統的デザイン性が重視されたまま、
BMWによってドイツのエンジンと剛性という、信頼性の高い内蔵と骨格を与えられた。
どっち付かずの中途半端というより、どっちも手に入れた稀有な例という感じ。

で、最近、コンバーチブルが欲しくなって、
本格オープン前のTokyo Bayの招待状が届いたので試乗に行って来た。
コックピットは惚れ惚れするくらいセクシーなデザインだった。
イギリスが発祥だからか、欧州車なのに右ハンドル車が運転しやすい。
後部座席の居住性も我が家のポルシェ911より遥か〜〜に良い。
…だけど、幌の収納部分確保のために、座席の幅が狭くて4人乗り。

趣味性の高い911と二台持つなら、もう一台はやっぱり5人乗りだよなぁ。
…と思って、現在は実用性重視の欧州車との二台持ちだが、
休日ぐらいしか乗らないのに、もう一台追加して3台持ちは馬鹿げている。
オープンカーが2台もあったって、夫婦でツーリングするなら…いいかもだけど。
ポルシェに置いてかれることは必至だろうし。
…とすると、コンバチよりも今の車売って、5人乗りのクラブマンが妥当か?
ショールームで見たクラブマンは、もはやminiとは言えない大きさだったし。

もしかして、今持ってる車の下取り価格ちょいで買えてしまうかも。
良く考えれば、私は丸い目の車が大好きなのだ。(ビートルとかも好き)
今持ってる車とどっちを持つのが楽しくて快適かを考慮して、
性能やら価格やら調べて比べてみよう。
買うにしろ、買わないにしろ、何かと調べるのが大好きだから、楽しいし。