嶋川センセの知っ得社会科ー女性のためのお仕事相談室ー

女性が働き続ける上での様々な情報を提供し、また仕事上の様々な問題を共に考えます。

東和工業男女賃金差別裁判高裁判決

この不穏な雰囲気はなんだ!イスラム関係の本を読んだばかりで、イスラム世界のことを知らなさ過ぎで、わずかな知識も欧米側寄りであることに改めて気が付きました。
フランスで企業寄りの労働時間延長などを核心とする労働法の改定に反対して連日デモが行われ、それが過激化しているとの報道に、単に労働法改悪だけでない、フランスの旧植民地出身のいつまでも二流国民のままの人々の存在に思いをはせました。

昨年911日に労働者派遣法が改正(改悪)されました。労働者は強く反対しましたが、フランスのような状況にはなりませんでした。国民性だけの問題ではないことが分かりました。日本は顕在化しない分、根が深いと考えています。

さて、労働問題ですが、東和工業男女賃金差別裁判の高裁判決があったので、傍聴のため427日に金沢に行ってきました。

一審の判決は昨年326日、原告、被告ともに控訴して舞台は高裁に。
高裁に移ってから裁判官の和解勧告があり、その後
5回の和解のための会議が開かれました。和解は決裂し、427日に二審の判決がありました。和解会議中、原告が要求した謝罪の言葉はありませんでした。「ごめん」のたった3文字が言えないとは。会社側は、労働者の前に生身の人間であることに思いを馳せなければなりません。
このブログを始めるきっかけになった卒業生へのアンケート「賃金が安いパートでもなぜ働き続けるのか?」という問いに、「遣り甲斐がある。問題を解決できたときの充実感。お客様から感謝されるときの充実感」を挙げています。人はパンのみで働いている訳ではないのです。


二審の高裁判決は、一審と殆ど変わりませんでした。

これまでの報告は、このブログの2014.09.172015.03.312015.05.05 2015.09.10にあります。

一審と同じく「労基法4条違反」は認めましたが、それに伴う金銭的な保証はありませんでした。退職金の算定方法を一部変えて7万円だけ増えていましたがこれで全てでした。

原告は一審と二審の判決文を読み比べ、以下のように述べています。最高裁に上告するかどうかは現在考慮中ですが、勝ち目はありません。裁判官は何に重きを置いて判決を出したのか、証人尋問で明らかになった原告の専門性はなんだったのか、労働者に光の見えてこない理解に苦しむ判決でした。


原告が判決に対して指摘している点は以下です。

職能給差額の認定がなかった。

原告は専門的な仕事をしていたにもかかわらず退職までの期間、一般職のままでした。その間、原告は総合職にしてくれるよう上司に言い続けてきました。実際、彼女の仕事内容は総合職そのものでした。しかし、判決では、賃金は3年分だけ総合職の賃金表(年齢給のみ)を適用しました。東和工業は職能給の割合が高いにもかかわらず、判決では、職能給は「実際に総合職になっていないのだから、職能を測ることはできない」として、認めませんでした。

時効の適用により、賃金差額(年齢給)の認定は3年間だけで7年間が消滅。

東和工業が総合職・一般職制度を適用した以降10年間の内3年間しか認めていません。その理由は「時効」。原告は、時効という考え方そのものが納得できないと言っています。在職中絶えず「総合職に」と言っていた訳ですから、時効を認めるとなると、彼女の言い分を無視し続けた会社の遣り得に加担することになります。

総合職の退職金との差額はコース導入後の10年間分だけ。

設計職の22年間分を請求していました。

職務内容の事実が誤認されている。

これは、証人尋問のときに原告がいかに優秀な技術者であったかを、傍聴人は知りました。「コンベアの設計」のコンベアには多種あって、ベルトコンベアとかスクリューコンベアとか。多くの人が関わるベルトコンベアの仕事は、新人でも出来る部分があります。原告はスクリューコンベア担当のたった一人の専門職です。しかし、会社は単に「コンベア」とし、新人でも出来る仕事内容のような表現をしました。裁判官はこの曖昧にした言葉の意味を見抜けませんでした。

年金差額の請求を棄却。

賃金は、年金額に直結しています。判決では、実際に総合職の賃金ではなかったから「職能給に当たる部分は計算できない」としました。原告は、計算できないなどというのは職務怠慢であると言っています。1000歩譲っても、時効とはいえ3年間は総合職としての地位を認めているのだから、年齢給の分だけでも計算できる筈。裁判官が計算できずとも、社労士に依頼すれば済むことです。

快晴です。昨日から「ラ・フォル・ジュルネびわこ2016」です。
どれどれ湖岸の賑わいでも見てきましょうか。
(ハクション、今朝から花粉症)

では、今日はここまで。

参議院厚生労働委員会ー同一価値労働同一賃金&非常勤公務員

大津の地に、社民党の福島みずほさんが来られましたので、少しの時間会って頂きました。その理由は、支援しているハローワーク雇止め裁判の実情について、国会で質問して欲しいと思ったからです。

このハローワーク雇止め裁判は、現在最高裁に舞台を移していますが、非正規で、毎年更新を繰り返しながら、9年間働いてきた原告に全くと言っていいほど勝ち目がありません。裁判官の判断基準は法律です。国、地方自治体に働く非常勤公務員は、民間に働く労働者の権利を保障したような法律が少なく、無権利状態なのです。
お会いしたのは、321日の夜でした。翌日「同一価値労働同一賃金」について、その次の日に「非正規公務員」について、参議院で質問しようと考えていたのでと、逆にいろいろと尋ねられました。
ハローワークに働いていた原告は、「はい、あなたは雇止めです。41日から来なくていいです」と、公募と言う一見公平な名のもと、面接試験終了15分後に言われました。何が不採用の理由なのか、なぜ原告だけが不採用になったのか、分からないままでした。このような立場の人が沢山いるので、非常勤公務員の質問は、圧倒的に多い女性の労働問題と位置付けて福島さんは、質問されました。ネット中継は下記のサイトで見ることができます。

http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

 

22日は同一価値労働同一賃金についての質問です。

http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

福島さんが確認されたのは、以下の点です。

平成2411月作成の厚労省の「パートタイム労働者の納得度を高め能力発揮を促進するために」〜要素得点法による職務評価の実施ガイドライン〜については、国際基準の職務評価ではない。

*職務評価とは、ILO100号条約にある「知識・技能、責任、負担、労働環境」の4大ファクターに基づいた職務評価制度である。

*同一労働同一賃金は、同一価値労働同一賃金の意味である。その根拠は、従来から政府は「ILO100号条約(100号条約は、同一価値労働同一賃金を謳っている)を批准したからといって、国内法を新たに作る必要はない。なぜなら、労基法4条にこの概念は含まれているから」と答弁してきている。

 

ということで、同一労働同一賃金の審議会が早速今日から始まりました。メンバーに、このブログにも時々登場する、ILO100号条約、そのツールとしての職務評価を研究している研究者は一人も入っていませんでした。
以前、女性労働問題を討議する会場で、「学者の役目は何ですか」と質問がありました。多分に、研究ばっかりしていて、実動してください、の意味を含んでいたようでした。その時の研究者の回答は「政府の審議会等で、発言することです」でした。研究者が望んでいても、政府に都合の悪い研究者を審議員として招かない傾向は最近ますます顕著なようです。

委員の名前は、このサイトで。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11601000-Shokugyouanteikyoku-Soumuka/0000117326.pdf


審議会そのものは、次のサイトで。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000117320.html


資料は以下のサイトで。
P32に「正社員の方が非正規従業員よりも賃金が高い要因」があります。「責任」がトップに来ています。4大ファクターによる職務評価で、実験してみたいですね。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11601000-Shokugyouanteikyoku-Soumuka/0000117327.pdf

 

最後に、竹信三恵子さんの【「パワハラ公募」に泣くハローワーク非常勤相談員】を読んでください。自由に使ってもいいということですから、拡散してください。

http://synodos.jp/society/16439

では、今日はここまで。

労働者派遣法付帯決議

労働者派遣法付帯決議の続きです。付帯決議は、

1労働者派遣法原則について

これは前回のブログで紹介しました。


2労働者派遣事業について

ここでは、全ての労働者派遣事業を認可制とし、派遣労働者の基本的人権や労働者としての尊厳を無視して利益確保に走る派遣元事業主は業界から排除されるような認可制であること、を述べています。
 

3期間制限について

派遣労働者個人としては、有期雇用の派遣労働者を同じ派遣先の同じ部署に派遣できる機関の上限は3年。この期間に違反して継続して3年を超えて就労させたときは、派遣先の雇用申し込みみなし制度が適用されます。

派遣先単位では、派遣先が3年を超えて派遣を受け入れるときは、派遣先事業所の過半数を組織する労働組合、ない場合は過半数を代表する労働者から意見聴取をして期間を延長できます。この期間制限を超えて意見聴取をせず派遣労働者を受け入れたときは、派遣先は就労を継続させている労働者に雇用を申し込んだものとみなされます。

4雇用安定措置

派遣が終了したときでも、派遣元・派遣先に派遣労働者の雇用安定化の義務が課せられました。雇用継続の見込みが1年の場合は努力義務、3年は措置義務です。努力義務であっても法律上の義務ですから、「直接雇用の原則」に従って完全に履行しなければなりません。


5派遣労働者の待遇について

派遣労働者と派遣先での同種の業務に従事する労働者の待遇の均衡について、賃金決定や教育訓練、福利厚生の実施について、派遣元に対して均衡を考慮した配慮義務が定められました。


6キャリアアップ措置について

雇用安定措置の実施状況について、派遣元管理台帳に記載して管理し、労働者派遣事業報告者で毎年報告するよう義務付けられました。これに従わないときは、助言・指導・勧告の対象となり、それでも従わないときは、派遣元事情主は許可が取り消されます。

7派遣先の責任について

労働契約申込みみなし制度の実行性を担保するため、派遣労働者に対してみなし制度の内容の周知を徹底するとともに、派遣労働者がみなし制度を利用できる状態にあることを認識できる仕組みを設けること。


8その他―略

と、以上8項目から成っています。


実際はもっと長文で、どこが問題点なのか理解できませんでしたから、
NPO法人派遣労働ネットワーク理事長の中野麻美さんが均等待遇アクション21機関紙に書かれたものを参考にしました。

派遣元や派遣先は、労働者を雇用しているのですから、プロフェショナルの威信にかけて法を守るのは当然ですが、何よりも労働者自身が、こういう場合は違反なのだと判定できなければいけません。でも、実際のところ、問題点を指摘した時点で「明日から来なくていいです」と言われるのがオチでしょう。派遣労働者には、権利や違反事項のことが書いてある「派遣手帳」を交付すること。派遣労働者・派遣先・派遣元が共に研修してからでなければ、派遣労働者を雇用してはいけない、くらいのことをしないと、とても実効があるとは言えないでしょうね。

次回は、5の「均衡ある待遇」の「同一労働同一賃金」推進法についてです。

今日はここまで。

労働者派遣法付帯決議

2016年も早や2月。今年のブログの進捗を予感させる出だしです。

さて、今年もやっぱり疑問からスタートです。

1月4日の東京証券取引所、大阪証券取引所の大発会の記事の写真。着物や着付け代は自前でしょうか?それとも経費は会社持ちでしょうか?彼女たちは正社員でしょうか?毎年の疑問です。

大発会













なぜ無謀な戦争を止められなかったのか、ずっと疑問でした。NHKの国谷さんがクローズアップ現代を、古館さんが報道ステーション降板をすると発表されました。国谷さんは、上部層から「契約更新しない」と言われたとか。労働者を解雇するには解雇の理由が必要ですが、国谷さんはどのような理由でしょうか?まさか「権力に抗った」とか…。NHKだから、鋭い突っ込みとかを期待していませんでしたが、それでもゲストに食い下がる場面もありました。最近では、労働者派遣法(以下、派遣法)が記憶にあります。ゲストの中央大学阿部正浩教授は終始「派遣法改正、いいんじゃないですか」の姿勢でした。クローズアップ現代は入念なるリハーサルがあり、リハーサルそのままが本番だと、以前出演した人から聞いたことがあります。政財界寄りのゲストから、派遣法の問題点を何とか引き出そうとする国谷さんの姿がありました。多分、これも一因だったのではと私は思っています。

さて、派遣法の問題点は前に書きました。これに39項目の付帯決議が付きました。

付帯決議とは、wikpediaによれば、【国会の委員会における附帯決議の場合、その法律の運用や、将来の立法によるその法律の改善についての希望などを表明するものである。法律的な拘束力を有するものではないが、政府はこれを尊重することが求められる。】

効力ないのに、39項目も付けられた。矛盾感じますね。

付帯決議で、最初に原則が書かれています。

*派遣就業は臨時的・一時的なものである。

*派遣労働が企業にとって単純な労働コストの削減や雇用責任の回避のために利用されてはならない。

*派遣労働者は派遣先の常用労働者法の代替であってはならない。

*直接雇用が労働政策上の原則であるから、正社員として働くことを希望している派遣労働者に正社員化の機会が与えられるよう、派遣元と派遣先はその取組を講じること、国としても取組を支援する具体的措置を実施することなどを含め最大限努力すること。

以上が、原則に書いてあることです。

*派遣は一時的なもので、正社員が望ましいと読めます。この原則は、労働者側は頭に叩き込んでおく必要があります。

で、ここから湧き上がる疑問とは。

*一人の派遣労働者が、同一の事業所で働くことができるのは3年間。事業所の意味は派遣法に説明があります。身近なところでは、営業課と経理課。これは別な事業所なので、Aさんは営業課に3年、経理課に3年と、次々と他の課を変わって生涯派遣で働くという構図です。臨時的・一時的だから派遣労働者に働いてもらっていた、その営業課で働いたAさんの仕事がまだあるのなら、当然その職には正社員が付くべきと、原則から言えばなります。

でも、派遣法は、≪この企業の労働組合員の、この場合は営業課の労働組合員の過半数の人が『まだ派遣労働者は必要』と言えば、AさんではなくBさんが派遣労働者として働くことができます。

*このようにして、次々と人を替えて、企業から派遣労働者はなくならないという構図が浮かびます。【派遣労働者は派遣先の常用労働者法の代替であってはならない。】との矛盾です。

「Aさんを正社員に」と言ってくれる組合員を増やすというのも、労働者側の取り組むべきことです。

付帯決議の疑問点はまだありますが、今日はここまで。

ハローワーク雇止め裁判の高裁判決と経緯

朝日新聞の川柳欄に「好き放題『安』にやられた年の暮れ」を発見。「年の暮れ」は「一年中」とした方がいいのでは…。今年の漢字は「安」です。これで、またまた感違いする人が一人いますよね。「ぼくって、そんなに人気あったんだ」と。今後「安」という字を見るたびに、「不安」がもくもくと湧いてきます。

さて、こんなに長くブログを更新しなかったのは初めてです。労働問題に関する他の方の書かれたのを拝見していると、足元にも及ばない鋭い内容で、私なんぞが、無い知恵を絞ってうんうん言いながら書くこともないだろう、そろそろこのブログも精神的負担になってきたし、なんてうだうだと思う2か月でした。私しか書けない内容は何か?で、今回は、ハローワーク雇止め裁判の大阪高裁判決を報告します。1125日の判決の日、他用があって傍聴に行けませんでしたので、臨場感はありませんが、その分丁寧に、を心がけました。高裁判決は敗訴でした。最高裁へ上告するかどうか、控訴人は悩んだそうですが、「上告する」と決断されました。4人の弁護士が、上告理由を書かれます。費用がかかりますので、現在裁判費用のカンパを募っています。末尾に、カンパの振り込み先を記しますので、額は問いませんので、ご協力ください。

さて、この裁判のそもそもの原因は原告が雇止されたことです。原告側は、なぜ彼女が9年間も契約更新をしてきたのに、この時に限って契約更新されなかったのか?それは、職場で起きた、彼女の同僚への上司からのセクシャルハラスメント(以下、セクハラ)を、その同僚の側に立って、彼女が上司に苦言を呈したことが、直接の原因だと考えています。しかし、彼女がセクハラを受けた訳ではなく、また、セクハラを受けた同僚が、PTSDで苦しんでいたので、証言してもらえない可能性が大だったこともあり、争点を「期待権」にしました。期待権とは、次年度も働き続けられるという確信でしょうか?彼女が、勝手に期待を抱いていたのではなく、確たる上司からの言葉があったからです。9年間も働いていたということは、彼女の能力に問題があったことではありません。なぜ、更新がされなかったのか、それは、彼女が従事していた職務がなくなったから、「更新されたければ他の職務の公募試験を受けなさい」と言われたからです。原告弁護団は、この公募についても反論しました。確かに、国からの方針で、ハローワークの職務の整理統合が行われました。例えるなら、今まであったAとCの職務がなくなり、AとCの両方を兼ねるBという職務が現れました。今までAに従事していた彼女は、試験を受けます。これで採用されたのは、Dの職務をしていた人でした。この職務に関しても、彼女がAに従事していたことを、当時の座席表、同僚の証言(文章のみ)で証明しまし
たが、裁判官は採用しませんでした。

ここでややこしいのは、非正規公務員という立場です。公務員は、正規、非正規を問わず「任用」という言葉が、使われます。
問題点は、非正規公務員も、「任用」という正規公務員の採用の概念と同等に扱われなければならないのか?です。
この点についての解説を読んでください。
民間企業などで働く労働者は、使用者との間に「労働契約」を締結して、その法律関係は労働契約法により規律され、労働者保護が図られています(例えば、解雇に関する労働契約法16条、就業規則不利益変更に関する労働契約法10条など)。しかし、公務員については、実務では「労働契約」が存在せず、民間企業で働く労働者に適用される労働契約法は公務員には適用されないという法解釈が支配的です。このように、公務員について「労働契約」の成立を否定する考えの論拠は、公法と私法とを峻別し、公務員と国・地方自治体との関係は「公法」であるから、私法とは異なり労働契約は存在しないし労働契約法も適用されないというのです。この考え方によれば、民間の労働者とは異なり、公務員は労使合意によって「労働契約」が成立することはあり得ず、国や地方公共団体が一方的に「任用」するに過ぎないとされています。
(公務員と労働契約
−「非正規公務員」の現状−/嶋量(事務所だより20131月発行第46号掲載)
ということは、労働法で地位が守られていないから、その人を解雇するのも、契約更新するのも、上司の胸三寸ということになります。民間の非正規労働者に適用される労働契約法では、解雇について厳しい規定があります。例え、それが空文であるとしても、です。

また、この裁判で、原告は期待権と共に、9年間も非正規で働かせたこと自体が間違っていますと訴えています。
判決は「原告が、契約更新の期待を持つような上司からの言動はなかった」というものでした。基幹業務を長年非正規に担わせていたことについては、何も言及されていません。

弁護団は、判決は、労働契約法16条により民間では理不尽な解雇は許されないにもかかわらず、公務員の世界は上司が次回も採用すると誤解をあたえた場合のみ、期待権の裏切りとして採用されるケースがある。全国で、このような裁判が10件闘われているが、その期待も裏切るのか追求しなければならない。民間であれば救済される事案。行政任用行為で雇止めの法理はどの法律に書いてあるのか?任用で押し切られているが、任用の根拠を示さないのが裁判所の判断だ。最高裁に政的な判断をしてもらわなければならない。流れをかえなければならない」と、判決後の集会で述べました。
 最後に、原告の訴えです。
茨木のハローワークで恒常的基幹業務を、1年更新しながら何年も非正規職員に委ねている実態がそもそもおかしい。「安い給料でよくやってくれている。後は資格を取って客観的根拠を作ることやね」と言われて、勧められた資格を取得したら、普通に働き続けられると期待するでしょう。英語対応もし、求職者セミナーも職員研修も担当してきて、9年間職場に貢献してきたのに。私がセクハラ被害者支援をしてから、雇い止めになるまでの経緯についても、何時間もかけて苦しみながら書き起こした陳述書についてまるで顧みられず、「確かに、控訴人は、セクハラ被害者支援活動をおこなったことがあった。しかし、公募にしたことには必要性も合理性もあった」とだけ結ばれています。公募が排除のための仕掛けになっていることに気がついて欲しい。

 最後に、裁判官が最優先の判断基準にしなければならなかったことは、生存権であったと、私は考えています。原告の時任さんは、在職中に生活の苦しさを上司に訴えています。実際、彼女は予想もしなかった雇止めになった後、最貧のどん底の生活をしなければなりませんでした。息子が高校に入学したばかりの時です。上司は、この人を解雇したらどんな生活になるかと分かっていた筈です。彼は、会社経営者ではありません。彼女を解雇しなければ、会社が存続できないというのではないのです。宮田課長の懐は全く痛まないのです。この課長の他者を思いやることのない行為こそ、裁かれるべきでなかったかとも思えます。私は、日産のゴーン社長にはなれない。多数のワーキングプアの非正規労働者が、彼の年収9億円を支えているのです
郵貯
ハローワーク雇い止め裁判を支援する会
口座記号 00990-2-233526
では、今日はここまで。

人権条約の個人通報制度を一切締結していない国

あっという間の一か月です。この間の報告がいくつかありますが、最初に報告しようと意気込んだ事項をまとめるための知識に乏しく、書きあぐねていました。

928日に大阪弁護士会主催で、「女性労働と国際人権法」の講演がありました。講師は弁護士の林陽子さん。現在、国連の女性差別撤廃員会委員長をされています。会場からの質問に答えて林さんは「日本は、人権に関する条約に批准はしているが、実効を伴わないので、委員長である私はとても肩身が狭い」と言われました。

実効ある条約とは、個人通報制度を持つ議定書に批准することです。ここでは、批准と書きましたが、詳しく調べると、条約にサインするためには、いろんな手段があります。詳しくは、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%A1%E7%B4%84 を参照してください。
締結という語句が適切のようです。

人権に関する条約で、最も根幹になるのは、国際人権規約(自由権規約、社会権規約)です。これを筆頭にして、個人通報制度を持つ条約は以下です。

自由権規約、社会権規約、人種差別撤廃条約、女性差別撤廃条約、拷問等禁止条約、強制失踪条約(未発効)、子どもの権利条約、移住労働者権利条約、障害者権利条約。

では、日本の状況はどうでしょうか。

移住労働者権利条約と障害者権利条約は条約そのものを批准していません。
(訂正します。障害者権利条約は2014年に締結していました。)
人種差別撤廃条約と拷問等禁止条約は批准していますが、人種差別撤廃条約の個人通報制度を定めている14条を受け入れる特別な宣言を(受諾宣言)を行っていません。拷問等禁止条約は、第22条で個人通報制度を定めていますが、同じく受諾宣言を行っていません。
自由権規約、社会権規約、女性差別撤廃条約、子どもの権利条約を批准していますが、個人通報制度を定めた選択議定書を批准していません。
 

では、個人通報制度とはなんでしょうか?

*中国電力男女賃金差別裁判の原告は、到底納得できない判決に我慢するしかないのでしょうか。
個人通報制度とは、「人権条約に認められた権利を侵害された個人が、各人権条約の条約機関に直接訴え、国際的な場で自分自身が受けた人権侵害の救済を求めることができる制度」です。(アムネスティ日本のHPから引用) 

もし、日本政府が選択議定書に批准していれば、中国電力男女賃金差別裁判の原告なら、女性差別撤廃委員会に申し立てることができます。通報できるには条件があります。それは、最高裁の判決が出ていることです。中国電力男女賃金差別裁判の原告は、最高裁でも訴えが認められませんでしたから、資格ありです。
受理された通報は、女性差別撤廃委員会で審査・判断されます。人権侵害だと認定されると、政府に対して、その是正と救済を求める勧告が出されます。その後、発表された勧告がその国で実施されているか、政府から報告を求めます。
この審査をする委員長が林陽子さん。委員長のお膝元が「選択議定書」を批准していない。肩身が狭いと言われるのは当然です。
「好き嫌いはダメ」と言っている親が、ピーマン残しているようなものでしょうか。
(こんな卑近な例は、かえって混乱しますよね。)
生きるか死ぬかの人権問題なのですから。

女性差別撤廃委員会の他の国の委員には、日本という国はどのように映っているのでしょうか。

1021日に、名古屋高裁金沢支部であった、東和工業男女賃金差別裁判の傍聴に行きました。裁判長は和解を勧めました。コース別に分けられ、男性と同じ設計部の仕事をしているにもかかわらず、男女別賃金で差を付けられ続けた原告への金沢地裁判決は、3年間だけの差額を認めたものでした。もし原告が総合職ならと仮定し、年齢に基づく賃金の差額だけは認めましたが、総合職の賃金に大きなウェイトを占める能力給は「実際、総合職で働いていなかったから計算できない」とされてしまいました。和解ではこの点を主張すると、原告や弁護団の説明でした。もし、和解が成立しなかったら、判決を求めるとのことです。
≪政権、辺野古3地区に直接振興費支出 県・市の頭越しに≫
≪辺野古移設:政府「承認取り消しは違法処分」工事急ぐ考え≫
は、昨夜の朝日新聞や毎日新聞の見出しですが、この理不尽な政府の強権に対して、私たちはどういう手段を取ることができるでしょうか?なぜ、現政権は、これほど民主主義の手続きを破壊して突っ走れるのでしょうか。

 

沖縄県の翁長知事は、日本時間22日未明、スイスの国連欧州本部で開かれている国連人権理事会に出席し、「沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされている」と述べ、米軍普天間飛行場の県内移設反対を訴えたと報道されました。翁長氏の発言に対し、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部の嘉治美佐子大使は、記者団に「米軍基地の問題を人権の促進を扱う人権理事会で取り上げるのはなじまない」と述べた、とも報じられています。
沖縄と国は、いずれ裁判闘争になるでしょう。翁長知事は「信頼のおける裁判闘争は、願ってもないことだ」と語ったとあります。「翁長さん、裁判官って政権べったりだよ」と言いたいところですが、沖縄の人々に寄り添った判決を出してもらうためには、世論の支えが必要ですね。
もし、人権規約の選択議定書を批准していたら、上記の日本政府代表部の嘉治美佐子大使に「人権問題です」と明確に答えることが出来るのに…。日本政府も、他の国の目線を気にせざるを得ないのに…。

労働者派遣法の付帯決議の解説はまだ入手していません。法律だけ作って、具体的には何も決めていないのが現状でしょう。
安倍首相は「正規労働者への道を拓くもので、待遇の改善を図るものである。」と国会で答弁しています。野党には「正社員になれなかった人が一人でも出たら、この法律は無効にすると約束してください」と言って欲しかった。
「後方支援は戦闘地域ではないから、安全だ」という答弁には、「一人でも死者が出たら、安保法制は無効ですね」と、抽象論ではなく具体例を挙げて迫って欲しかったと、国会でのやり取りを聞きながら思っていました。
では、今日はここまで。


 


 




 

新安保法が成立しました。

名前出すのも、この人について考えるのもしゃくだから、何度も書いては中断しています。説明不足は、当の首相も認めていたのに、国会前の抗議運動が激しくなるのを避けるためだとかで連休前に新安保法案を強行採決してしまった安倍さん。連休に入ったら、なんと頭の先から足の先まで白のゴルフウェアーに身を包んだぼくちゃんが、スウィングしているではありませんか
で、分かりました。安倍さんは、ゴルフをしたかったから採決を急いだんだと。
(この発見!かなりの確信を持っています。安倍さんは、国会での審議中、ひたすらゴルフすることを夢見て耐えていたのでしょう。心ここにあらずだったから、苦悩の片りんもない表情だったのです。
)
ホントぼくちゃんなんですね。あれだけの抗議を受けたら、連休中は静かに家で、目立たないように過ごすのが庶民の感覚でしょう。無理を承知でもう一言。せめて読書でもしてくれていたら。この際、本の中身は問わないでおきましょう。誰も止める人がいなかったのにも愕然としますが…。

連休が明けた今日は、「これからはGDP600兆円を目標とか、希望を生み出す強い経済とか、夢をつむぐ子育て支援とか、安心につながる社会保障」とかを滔々と話している様子が放映されていましたが、何が恐ろしいかって?最も大切な民主主義のルールを政権が破ったことの計り知れない影響や、首相の言動を人々が冷ややかに見ていることです。国民が信用しない首相を持つ国の運命や如何に

労働者派遣法も改悪されました。付帯決議は超長くて、こんなに沢山の事項を付帯決議にしなければならない法律は、問題だらけだと分かります。
問題だらけは、整理して次回に。

「友人の子どもが自衛隊員。母親である友人は『即、辞めなさい』と言っているがどうしたものか」とその友人である人からメールが回ってきました。
経済的なことも考えねばならないことは理解しつつ「法律が施行されたら辞められない。命が大事」と私は思いました。
自民党や公明党の議員は見事に個を殺し、党則に従いました。自衛官が「私は行きません」とはなかなか言えないでしょう。法案が審議中のときでも、自衛官は一様に、マスコミのインタビューに答えませんでした。顔を隠して声を変えてでも気持ちを言って欲しかったですね。
せっせと集会に参加して、気持ちを確かなものにしていこうと思っています。今回のブログは、新安保法が成立した記録のつもりで書きました。

では、今日はここまで。


東和工業男女賃金差別裁判控訴審始まる

飲み食いもすべてお国に把握され

アメリカと相談したらなかったと(討幕長会談記録)

独裁の国家笑えぬ我が日本

910日の朝日新聞朝刊にあった川柳です。


消費税の軽減税を還付するために、レシートを小売店の記録端末に読み取らせ、口座に後日、年間最高4000円を還付するという方式を財務省が考えているとか。マイナンバーと引き換えです。ご自身の財布で買い物をしたことのない麻生さんを象徴するような方法です。あまりに粗い計画なので、いずれこの計画は頓挫するとは思いますけど、この粗いざる法も真っ青になる超粗い安保法制案も成立するようなので、楽観はできませんが…。私が何を食べたかまで把握されるようなこの方式は、年間4000円は惜しいけれど使わないでおこうと思いましたが、そうは言ってられない友人の顔が浮かびました。「食べ盛りの子どもたちが、たまにはすき焼きが食べたいという。勿論、豚肉です」
どうして多くの人が反対していることばかりを政府はやろうとするのでしょうか?

原発といい、安保法制といい、派遣法といい、消費税といい、枚挙にいとまがありません。
9
2日、東和工業男女賃金差別裁判の傍聴に行きました。なんと、被告である会社側も控訴しました。生意気な!会社側の言い分なんかないはずです。

裁判の報告は、下記に書きました。
東和工業男女賃金差別裁判控訴の理由     2015.05.05
東和工業男女賃金差別裁判の判決が出ました  
2015.03.31
東和工業男女賃金差別裁判傍聴記   2014.09.17

原告・被告共に控訴ということで、舞台は高等裁判所に移りました。建物は同じですが、名称は「名古屋高等裁判所金沢支部」に変わりました。
会社側の弁護士は2人、本間さん側は3人。裁判官は3人です。会社側が金沢地裁判決の何を不服として控訴したのかは明らかにされませんでした。当日は、双方の弁護士の遣り取りがあり、最後に原告の本間さんが、意見陳述をしました。次回は、1021日です。
以下が本間さんの意見陳述です。とても心に響く内容です。裁判官にも伝わるといいのですが…。平易な文章で書かれていますので、全文紹介します。
では、今日はここまで。


冒頭意見陳述書  

 
1.私は、再雇用期間を除き、東和工業蠅韮横鞠近く勤務し、そのうちの21年4カ月は、設計職として働いてきました。2級建築士の資格を取得した翌年の平成14年、会社はコース別雇用制導入の際、社内通達で男女別にコースを振り分けると明示し、設計職でただ一人女性である私だけを一般職としました。ちょうどその時、コース制導入前後の10カ月にわたり、他の後輩男性部員2人と、同一案件のプラント設計業務を分担作業していた最中でした。業務内容の違いは全くありませんでした。私は、4〜5年長く設計職の経験を積んでいる分、効率よく業務を行っていました。会社は裁判の中で、業務内容の違いで総合職と一般職に分けたと主張してきましたが、まったく事実に反しています。

2.コース制導入以前は、現場に出向くことや宿泊を伴う県外出張を、Y設計部長の指示で、他の同僚と同様に行ってきました。コース制導入の直前、Y設計部長は私の質問に対し「本間さんは総合職になっていると思う」と部内会議の席上、返事をしていました。ところが、コース制導入以降、現場や出張の声がかからなくなったので複数回にわたり要望しましたが、まったく行かせてもらえませんでした。証人尋問や書面で、出張に行かせなかった理由として「主婦だから」あるいは、「過酷な面があるから」と述べていますが、私は、職場では主婦ではありません。一労働者です。また、現場に過酷な面が
あるとしても、男女双方が被るリスクに過ぎません。このような固定的な性別役割分担意識で仕事の制
限を行う東和工業は女性差別を今も持ち続けていることを端的に示しています。

3. 私が会社にコースの是正を求めていた時、こんなエピソードが有りました。副社長から「男は総合職、女は一般職という会社の決定を気に入らなかったら、どこか他の会社を探してもらっても結構です。これは本音です」と、はっきり言われました。端的に4条違反を物語っています。

4.金沢地裁は、実質男女別のコース別賃金は労働基準法
4条に違反する賃金差別であると判断しました。4条違反は、東和工業の男女差別を断罪し、同時に、男女差別を行っている企業に警鐘を鳴らすという意味でも、大きな意義があります。

5.しかし、原審では4条違反を認めた上で、 基本給の内、年齢給だけ総合職との差額を認め、職能給差額を損害として認めませんでした。差別を認定したなら、職能給差額も認めるべきです。仕事に頑張ってきた私にはとても受け入れがたい判断です。

6.また、原審では時効の適用を認めました。その結果、コース導入後約10年間の内、3年分しか損害が認定されませんでした。私は、コース制が導入されてから継続して是正を求めてきました。違法だからと直ちに裁判につながりません。差別の是正の努力をし、望みが消えて初めて裁判を考えました。市民感覚として通常ではないでしょうか。また、在職中提訴すれば、いつ首にされるかという心配もありました。実際、提訴後、半年も経たない内に再雇用の雇い止めを通告されました。このように、時効の適用は、市民感情からかけ離れています。その上、時効の援用は、消滅した7年間分の差別による不当利益を法律違反をした会社に与え、差別のやり得という事態を許すことになります。差別を認めながら、結果このような事態を生じさせることは、大きな問題です。差別を認定したなら、被った損害を全面的に救済すべきです。私は怒りと共に、なぜ、このようなことが司法で容認されるのかと不思議
です。

7.控訴審では、控訴理由書で述べた内容を公正に判断、職能給差額の認定、適切な退職金の認定、及び、本件では、在職中の提訴は困難であること、在職中にも是正を求めて努力していることを認め、時効は成立しないという判断をお願い致します。更に、男女賃金差別裁判では、労働者は必ずある一定期間勤務していることを考えれば、時効の適用を行なうべきではないという判断を下し、このような理不尽な問題を解決していただきたいと切に願います。

8.最後に、私の行ってきた職務内容、価値を正しく認定することを心より求めます。会社側は、男女別にコースを振り分けたという女性差別扱いを否認する後付けの理由として、業務内容の差で一般職にしたなどと主張しています。しかし、在職中、私は上司から、業務内容が他の職員と比較して簡単なものである、あるいは能力が低いなどとは、一切言われたことがありません。同僚とは、基本的に同等の業務を行ってきました。しかし、原審では、なぜか業務について事実誤認の判断がなされました。控訴審では、業務内容について立証してきました準備書面・陳述書などをよく吟味され、正確な判断を下さいますよう、切にお願い致します

中国電力男女賃金差別裁判の、これが最後の報告です。

勝手に夏の休暇をと、ブログを休んでいました。何度もアクセスしてくださった方々、お詫びと共にお礼申し上げます。
この間、安保法制反対集会や金曜日の関電前行動には、パーフェクトではありませんが参加していました。
830日は、大阪集会に参加しました。全国で100万人の呼びかけでしたが、東京で12万人、大阪は23000
人と主催者発表でした。
翌日の新聞で、湯浅誠さんが「デモは、意見がイエスかノーかの対立的になる可能性が大きい」と、デモを尊重しつつもの発言を、TVで小熊英二さんが「反安保法制だけであれだけの人が集まったとは思えない。この状況に不安と覚えている人が多いのでは」と、それぞれ報じていました。私も
30日の集会の感想としては、小熊さんの意見の方が説得力があると思いました。安倍さんが、この国をどこに持って行こうとしているか、安倍さんだから一層不安になる、だから多くの人々が集まったのではないでしょうか?

さて822日、広島に行きました。原爆資料館や安芸の宮島の観光地に数回行ったことはありましたが、2011年から2013年までは、中国電力男女賃金差別裁判傍聴で5回ほど通いました。22日、多分今日が広島に来る最後になるかも知れないと感慨深く広島駅に立ちました。
最高裁判決について、宮地弁護士から《中国電力男女賃金差別事件―その成果と残された課題》と題して解説がありました。

レジュメからの抜粋です。

2013718日の広島高裁判決では 

「控訴人(原告)と同期同学歴の事務系女性従業員の平均基準労働賃金額(賃金)は、同男性従業員の平均88.1%。(〜中略〜)同女性従業員のほとんどの賃金が、同男性従業員より低額となっている」としています。しかし、結論は「格差は認めているが、男女差別の存在はなかった」と言っているのです。
(さっぱり理解できません
)
その理由を下記のように挙げています。
・男性従業員と女性従業員とで取扱いを異にするような定めが中国電力にはないので、【人事考課制度は合理的である】
・昇格や賃金において、男女が層として明確に分離していない。
・女性従業員の就労意識調査による実態と女子保護規定の存在があった。
・原告は職場の一体感やチームワークなどに問題があり、自分本位である。

詳しくは、傍聴に行った都度書いたブログの一覧は、
2015.04.21のブログを見てください。

さらに宮地弁護士は、均等法の不備な点が、この不当な判決の根拠になっていることにも言及されました。勿論、裁判官がジェンダーの視点を持っている人なら、素人の誰が見ても、明らかに性差別であるこの事件を、判例にとらわれずに判決できたと思います。

均等法の不備な点は、

・事業主は、次に掲げる事項について、労働者の性別を理由として、差別的取扱いをしてはならない。労働者の配置(実務の配分及び権限の付与を含む)、昇進、降格及び教育訓練
女性原告が男性と比べて不利に扱われたとして提訴しました。ところが、均等法は違法性の根拠にはなりますが、均等法自体に制裁措置はありません。では、何を根拠にするか?損害賠償請求(差額賃金相当額・慰謝料)の根拠は、あくまでも民法709条の不法行為責任なのだそうです。

709条 故意または過失によって他人の権利又は財産上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

問題は、故意または過失の文言です。会社側が、「故意でも過失でもありません」と主張すれば、「故意だった、過失だった」と原告が論破しなければなりません。会社側は「アンケートの結果、中国電力の女性従業員は出世を望んでいないことが分かった」と主張しています。職場結婚が多ければ、夫の出世を慮った回答が出てくるのは当然です。
以前にも書きましたが、私が退職後、当時の校長と飲んだときのことです。「海外研修制度に、女性のAさんを推薦しようと思ったのだが、家庭のある人だから男性を推薦した」と彼は言いました。彼は、すごく配慮のある決断をしたと心底思っていました。「その研修を受けるかどうかはAさんが決めることです」と私は言いましたが、彼は全く善意からの行動だったので、私の言うところが理解できないようでした。このことをもって、「彼が推薦しなかったのは故意だった」とはなかなか論証できません。ここに女性が差別を訴えた裁判が勝てない理由があります。何が差別か?その定義すら定まっていないのが日本の現状だそうです。
では、今日はここまで。

すべての道はローマへ?

労働者派遣法の審議が参議院に移りました。

衆議院を通過した「安保法案」を、例えれば「すべての道はローマへ通ず」的に、「すべての道は安保法へ通ず」と考えると、労働者派遣法の改悪も納得が行きます。

衆議院の自民党議員の中に、少しは心が痛む議員もいるかと想像していましたが、法案が可決された直後に「拍手」が起こったと報じられていました。
「中国とか攻めてくると、やはり日本も」と安保法
を容認するかのような市民の声も報道されていますが、そして今もBSプライムニュースで維新の議員が「具体的にどんな脅威があるかを政府が国民に示してくれれば、国民も納得するのではないですか」と言ってますが、なんか騙されていませんか?

今回の戦争法は、アメリカの要請があれば自衛隊は出動するという法律なんですよね。アメリカがなぜイラクに侵攻したのか、南米のショックドクトリンの狙いは何であったのか等々、マスコミももっと説明するべきです。正義の戦争、その正義は誰の正義かをよく見極めなければ。イラクに侵攻したアメリカの、誰が最も儲けたかを知りたいです。

NHKEテレ「女たちは平等をめざす」の放送を見ました。
均等法と労働者派遣法がセットで成立し、それが女性の地位の向上に寄与したのではなく、現在の
2000万人とも言われる非正規労働者、その7割が女性という状況のスタートだったということを識者が述べていました。
1995年の日経連「新時代の日本的経営」、規制緩和も、教育基本法改正(改悪)も、何もかもが、安保法制に繋がって行く道筋だったです。

戦争法制の陰に隠れて、着々と進んでいく労働者派遣法、参議院でも、法案が成立したら拍手が起こるのでしょうか?参議院での
情報が入ってきたら報告しますが、派遣労働者の声が下記のサイトで読めます。さらに増えています。
http://haken.hiseiki.jp/documents/enquete.html

医師兼灌漑用水路総監督として、多くのNGOが離れたアフガニスタンの地で活動しておられるペシャワール会総院長中村哲さんのことばをお借りします。


欧米では預言者を揶揄することが流行り、それが表現の自由であるとされました。世界全体が、露わな暴力主義と排外主義の毒に侵されて行くように思われました。利権を主張して弱者を圧するのが当然のように言われ始めたのです。このような世界をためらいつつ歩んできた日本もまた。良心の誇りを捨て、人間の気品を失い、同様に愚かな時流に乗ろうとしているように思えます。先は見えています。アフガニスタンを破壊した同盟者にならないことを願うばかりです

では、今日はここまで。

派遣労働者の声

毎週月曜日の朝日新聞に、俳句と短歌が載ります。「朝日歌壇・俳壇」です。

今週私が気になった短歌は3首です。

わたくしはハローワークで働きたいくらいハローワークに詳しい
粛々とお上のお達しこの後は政府批判の歌は載せるな
もしやもし住所なき我の身にさえもかの赤紙は来るのだろうか
 

ハローワークで働いていた、現在「恣意的な解雇」でハローワーク()を被告に裁判中の原告を思い浮べました。このブログにも登場しています。
この短歌の作者は、毎日毎日ハローワークに通い、パソコンの求人画面を見続けている人でしょうか?非正規労働者に「働く権利」なんかないような経済界と政界の姿勢です。「世界で一番企業が活躍しやすい国」って、「世界で一番労働者に人権のない国」の裏表の関係ですよね。
ハローワーク裁判の原告が、「以前こんなんもありましたよ」と。
「職安にも非正規職員の多くいて 職なき人を今日も助ける」
 

今でも、相当検閲はあるのでは?と思っています。ただ、巷で暮らしている者は知らないから、言論の自由は保障されていると思っているだけでしょう。原発事故で住んでいた土地を離れた人たちに、むごいお上からのお達しがありました。お上の代わりに福島県が出した方針ですが、現在の知事を選んだ選挙民は、こうなること分かっていたのでは!と思います。

この間の詳細が分かるサイトを見つけました。出典が書いてあるので、信頼できますね。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/itokazuko/20150523-00045970/



勿論、赤紙は届くでしょう。こういう事務能力は高く、実行力は徹底しています。誰も逃れることはできないでしょう。まず、野宿できる所を限定し、締め出された野宿者は、限定された場所でしか野宿できなくなります。そこを一網打尽に調査し、しかるべき住所を割り当てる。戦時下で初めて、住居政策が全うされるなんて…!

さて、前回のブログの「労働者派遣法」は衆議院を通過し、参議院に送られました。こんなに沢山の声があるのに、「正規への道を拓く法律です」と安倍首相。原発も「アンダーコントロール」と言ったし、その程度の言葉の軽さなんやね。死活問題なのに。
以下、寄せられた声を何点か紹介します。
(紹介するために、切実な声を読み始めたら、どれも重要で私には取捨選択できませんので、下記サイトにアクセスしてください)
http://haken.hiseiki.jp/documents/file/150608_haken-voice-26-2-light.pdf
http://haken.hiseiki.jp/documents/file/150608_haken-voice-other-2-light.pdf

今日から7月。気圧の加減か、今一つぱっとしない体調です。
では、今日はここまで。


 


 



労働者派遣法改正の野党共同提案のあぶなさ!

心穏やかに、素朴に暮らせない日々です。

先週は、労働者派遣法の改正(適切な言葉ではありません。変更というのはどうでしょうか?)案が、衆議院厚生労働委員会で審議され、今週にも政府案が可決されそうです。維新の党が途中から自民・公明の案に加担したので、不十分な文面ながら議員に「賛成しないで、廃案に追い込んでください」FAXをしました。

実は私は、野党が共同提案した「同一労働同一賃金推進法案」にも反対なのです。どんな内容であれ、労働者派遣法そのものに問題があると考えています。

このブログでも何度も何度も「同一(価値)労働同一賃金」という概念と、そのために職務を評価し、数字化する得点要素法という職務評価制度を紹介してきました。

これは、職務を「知識・技能、責任、労働環境、負担」の4要素から分析します。ILOが推奨している方法です。共同提案した野党の議員の何人が、この制度の長所と短所をご存じなんでしょうか?この方法は、諸(両)刃の剣にもなります。
派遣労働者の仕事と、正社員の仕事を比べてみて、正社員が
100点満点の90点で、派遣労働者の点数が80点となったと仮定します。

この場合、あなたは、どういうことが起こると予想しますか?

派遣労働者の賃金を、点数に比例して上げる。
正社員の賃金を、派遣労働者の賃金と比較して100対80になるように、点数に比例して下げる。

同一労働同一賃金という概念を労働者のものにするためには、その前にしなければならないことが多々あります。

例えば、

*いかなる点数になろうとも、正規も派遣労働者も、現在の賃金を下げない。
*職務評価は、個人ではなく、就いている仕事の内容についてする。
*ILOの得点要素法を遵守する。
*職務評価を申し立てた派遣労働者を解雇しない。
*弁護士を含む第三者からなる機関が職務評価をする。
*派遣労働者を雇用している全企業に第三機関が調査する。
*問題のある企業には、実効あるペナルティを与える。

等々。

素人の私が考えても、あれこれ思い浮かびますが、こういう前提事項があって初めて野党の言う「同一労働同一賃金」が効力を持ちます。

以前にもこのブログで紹介しました、平成2411月に厚労省雇用均等・児童家庭局の委託事業で「パートタイム労働者の納得度を高め能力発揮を促進するためにー職務評価の実施ガイドラインー」は、ILOのものとは異なり、正規と派遣の職務における「責任」が、最初から差が付いていました。
そして、維新はあろうことか、派遣と正規は「均等ではなく均衡待遇」と、与党と修正してしまいました。「均衡」という言葉の曖昧さ!に、よくぞ官僚考えたね!とある意味感心してしまいます。
同一労働同一賃金を提案している野党の皆様、軽々しくこの概念を持ち出さず、「労働者派遣は3年が限度。その仕事が3年を超えてもある場合は、それに就いていた派遣労働者は正規採用とするべし」と、ただこれだけを言ってほしいですね。これでも、派遣労働を認めていることになるので、私としては、大いに妥協した提案なんですが…。

では、今日はここまで。

ハローワーク雇い止め裁判の判決がありました。

ハローワークで相談員として働いていた非正規の女性が、契約更新されなかったのは、原告の任用更新に対する期待利益を違法に侵害し、これにより損害を被ったとして、慰謝料の支払いを求めて大阪地裁に提訴していた裁判の判決が、5月29日にありました。「原告の訴えを棄却する」と、たったこれだけの裁判長の言葉。その間3秒、大病院の診療時間だって3分間くらいはあるのに…。3年間の裁判でした。

判決文は「《職員の任免》74条に基づき、任用期間が経過し、任期満了により退職したというほかはないから、任用予定期間経過後に再び相談員として再任用しなかったからといって、直ちにその権利ないし法的利益が侵害されたとはいえない。」でした。

一年ごとの任用を繰り返し9年間働いていた原告。それまでの更新時に試験はありませんでした。なぜこの年だけ公募をしたのか?原告側は、原告がセクハラを受けた同僚から相談を受け、その同僚に弁護士を紹介したり、上司に直言したのが一因であると考えています。が、それ争点にすれば、「そんな意図はありません」と否定されるだけ。有能な原告に「よくやっていただいています」「資格も取られたらどうですか」と複数の上司が言った言葉は、次も更新があるだろうと期待を抱かせるに十分であったという点を問題にしました。こちらの方が、争点は原告個人のだけの問題ではなく、多くの非正規労働者の共通の争点だからです。そして、期待権を抱かせるに十分な証拠を出しました。が、原告の訴えはことごとく退けられました。

判決はまた「セクハラがあった年の次の年度は採用されているではないか。だからセクハラが原因ではなく、原告に能力がなかったからだ」とも言っています。同僚にセクハラをした上司は、処分を受けています。その報復を、同じ年度にするでしょうか?そんなことをすれば報復人事だとすぐにばれます。

ここで肝心なことは、非正規公務員は、上記判決文にある《任用満了で退職した》という文言で職を失うことです。原告は公募と称された試験を受けました。15分後には「更新なし」の結果が出ました。彼女の代わりに他の人が任用されました。正規職員なら、能力がなかったとしても簡単に解雇されることはありません。労働者は何よりも働く権利が尊重されなければいけませんから。そこには生存権がかかっています。原告に能力がないのなら、9年間も働き続けられていた訳がありません。なぜ毎年更新されていたのでしょうか?

非正規労働者は、使用者の思惑一つでどうにでもなるということこそ問題にはしなければなりません。公務の非正規労働者になぜ、正規職員と同じ「任用」という制度が適用されるのかこそが問題なのです。今や、公務労働に従事する非正規労働者は、公務員の半分を占めています。それだけ「仕事」があるということです。毎年毎年、非正規労働者が継続的な仕事をすることの方が問われなければなりません。

私も、41日に現職の先生から「講師に来てください」と依頼を受けました。もし受けていたら、私は「任用しますという辞令」を貰っていたはずです。授業を持つ前に、公務員が法的に守らなければならないこと、任用という言葉の意味、そんな研修を受けることはありません。即授業です。経験のある者ばかりでははありません。大学を卒業した人が即講師になる例は多々あります。どう考えても「任用」ではなく、「労働契約」の下で働くというのが妥当な考えでしょう。
国を相手に、地方自治体を相手に、公務に従事する非正規労働者が地位確認を求める裁判は、すべて敗訴です。それは公務員が労基法で守られる労働者ではないからです。この仕組みを変えない限り、もしくは、恒常的にある仕事には非正規ではなく、正規の公務員を充てない限り、労働者としての権利のない非正規公務員の問題は解決しません。多分、原告は大阪高裁に控訴するでしょう。誰かが声を挙げないと、誰も気づかないままの、大きな問題です。

ではきょうはここまで。

東和工業男女賃金差別裁判控訴の理由&5月3日

東和工業男女賃金差別裁判の控訴の続きです。

前回のブログで、労基法4条違反という画期的な判決が出されたことは書きました。判決文は「労基法4条違反の不法行為における原告の損害は、原告が一般職の賃金表に基づき現に支払われていた賃金と、総合職の賃金表の適用があるとすれば原告が得られる賃金との差額であるというべきである」です。

具体的には、年齢給差額と慰謝料等計441万円が認められました。ここで原告が問題にするのは、年齢給は総合職との差額分を認めておきながら、職能給については全く認めていないことです。判決文はこの理由を「職能給は、会社が労働者の業務遂行能力に対する評価を前提にするものである。しかし、原告は総合職ではなかったのだから、原告が主張する、もし総合職なら支払われていた職能給までを確定することはできない」。
言い換えれば、総合職であっても、能力がなかったかもしれない場合もあるから、確定できないということでしょうか!

また、裁判では、コース別を導入した後の10年間の内、7年分の総合職との差額賃金が時効で認定されませんでした。なぜ3年分だけ認めたのか?は、民法とか商法との関係からですが、専門的すぎて、私が理解できていないのでここではカットします。
はっきりと労基法
4条違反を認めたなら賃金の差額は全部求めるべきだとの理由で、原告の本間さんは悩みに悩んだ結果、控訴すると決断されました。

私も応援のためこれからも金沢高裁に通います。控訴審が始まれば、報告をします。


53日は憲法記念日。憲法が施行された日です。

京都9条の会主催の集会に参加しました。

3000人は収容できるという京都円山音楽堂の座席が満員でした。野外なので、日焼けを避けて木陰を選んだ人は立見席です。

私は、勿論「ごめんやっしゃ」と座りました。

講演は、防衛省の元官僚で、小泉首相がイラクに自衛隊を出したときを含めて、2004年から2009年まで内閣官房副長官補であった、柳澤協二さんです。

退官後、安倍政権の集団的自衛権に対して、自衛官を束ねた立場から異を唱えている人です。TVでもよく顔を見ます。

憲法9条の会主催なので、当然改憲反対の人たちの集会だと考えますが、今までこのような内容の集会で、この会場にこんなに多くの人が集まったのを、私は初めて見ました。多分、9条の会と防衛省元官僚との組み合わせに惹かれた人が多かったのかも…。


柳澤さんは、著書も何冊か出しておられます。私は会場で『亡国の集団的自衛権』を買いました。柳澤さんの話の根本には、集団的自衛権を推し進めている安倍さんを初めとした政治家が、自衛官の立場を理解していないことも一つにあります。イラクに派遣された自衛官の自殺は29
人。もし、一人でも自衛官が殺されていたり、イラクで誰かを殺していたら、当時の小泉首相はどのように責任を取るつもりだったのか?もしこのような事態が起こっていたら、日本は今まで築いてきた平和国家のイメージを根底から失なうことになった。それがどれだけの損失かを政治家は分かっていない。派遣中に事故がなかったのは奇跡であったと、具体例を挙げて、戦争をする国になるリスクを話されました。柳澤さんが語る集団的自衛権に反対する理由は、現場を知る人だからの説得力がありました。自衛隊法の条文が、具体的にどのような行動に結び付くのか等は初めて聞く内容でした。日本は、軍事力でない外交を目指すべきだと締めくくられました。
では、今日はここまで。


 

中国電力男女賃金差別裁判最高裁判決

前回に続き、裁判の報告です。
余りに不当な、刑事裁判ならば、証拠をすべて無視した冤罪ともいえるような判決でした。
裁判に訴えざるを得なかった原告の長迫さんの怒り、絶望はいかばかりでしょう。

その報告の前に、ちょっと寄り道。
京都駅前にある関西電力前の金曜日集会で、ずっと踊っている人がいます。伴奏は鉦とシュプレヒコール。振付があるようなないような。手をゆらゆら、足は緩やかなステップ。すごく本能的な感じで、天岩戸の前で踊ったアメノ
ウズメもかくやあらんと…。現代人こそ、本能のままにゆらゆらと体を動かして、自らを解き放たねばと思ったりしています。1週間に1時間、適度な運動にもなりますね。で、私は何をしているかって?憧れるけど、勇気がないから声出しだけです。

さて、本筋に戻ります。

中国電力男女賃金差別裁判については、このブログで度々報告しています。

2015年3月11日、原告から「最高裁から上告棄却の判決がありました」と配信されました。最高裁の文面を初めて見ました。原告の7年間が、これだけの文言ですか?! 


 理由とか、文書番号とか他にも記載がありますが、主文はこれだけ。


1
:本件を上告審として受理しない。上告費用及び申立費用は上告人兼申立人の負担とする。


中国電力裁判のその都度の報告は以下を見てください。

2011年7月14  2011年9月14  2011年12月31  2012年8月20  

2012年10月29  2013年2月16  2013年5月28  2013年7月20

2013年11月16  2014年1月26

 
上級審ほどダメだ、労働者を見ないで経営者を見ている。経営者とは即ち政界と表裏一体。人々に審判を下す人も組織の一員。組織に縛られる弱さを突きつけられる職業。このようは判決を出す人の心境を知りたい。

中国電力男女賃金差別事件の棄却の判決は全く納得できません。

 その理由を弁護団が「抗議声明」として出しました。これを使って、棄却がどれほど理不尽なものかを解説します。表題は「中国電力男女賃金差別事件・最高裁不当決定に対する抗議声明」です。 

*おさらいになりますが、まずは長迫さんの提訴の理由です。

・職務等級主任2級に据え置かれたまま、平社員に留め置かれたことは男女差別である。


*判決の内容です。

・広島地裁も広島高裁も「男女格差はある」と認定。しかし、「原告の請求を棄却する」

・棄却の理由は、「同じ男性間にも、昇格の早い者、遅い者があり、賃金額にも差があるので、男女間で層として明確に分離しているとは言えない。」


*これに対する弁護団の反論
・女性の圧倒的多数は、男性の昇格の遅い者と同等の扱いである。
・男性の標準者と同じ水準に達している女性はごく一握り。この一握りの女性が昇格しているから、「賃金が男性の層、女性の層と分離しているとは言えない」とするなら、男性の全員が女性より賃金が高い場合のみ、層として分離しているといえる。これは男女別賃金体系である。裁判官は、企業が男女別賃金体系を取っていれば、男女差別を認めましょうということ。

(注:男女別賃金体系は、男女雇用機会均等法に違反します。また、中国電力は男女別の賃金ではりません。男女が同じ賃金表のもとに置かれ、結果、下記の図のように上位が男性、下位が女性になっています。前回のブログ「東和工業裁判」では、東和工業は男女別賃金体系であると裁判官が判断したから、訴えが認められたのです。)

下図がある年の同学歴で同期に入社した原告を含む賃金を表したものです。青色(男性)に少しだけ赤色(女性)が混じっています。これを指して、裁判官は「男性の中に女性も混じっているではないか」、だから男女別賃金ではないと言うのです。右に多くの女性がいますが、こんなに沢山の女性が男性より能力がないのでしょうか。
*昇格・昇進しないことについての判決の内容
・「業務・能力主義で正確、迅速な業務処理、仕事の信頼度は高い。しかし、協調性がない」
*これに対する弁護団の反論
会社の主張する「協調性の欠如」は、会社の人事考課上の事由を無批判に肯定している。

中国電力






















注:最高裁では、以前ブログに書いたシカゴ大学山口教授の意見書と共に、一橋大学相澤美智子准教授の意見書も出されました。この意見書で、中国電力(男性上司)が女性に対して「ジェンダーに対するステレオタイプ」を持っていることを、分かり易い例を引いて解き明かしました。
・例:男女がそれぞれ5時に机の前にいなかった場合、人は一般に男性については「会議のために席を外しているのだろう」と解釈するのに対し、女性については「家族の世話をするために帰宅したのだろう」と--真実はどうであれ--解釈する。                         

*私の意見

・原告は営業成績がトップでした。全く独りで営業成績がトップであることって可能でしょうか?教室に入ったら独壇場の教員であった私からしてもあり得ないですね。営業に行くためには、職場で得た知識や技能が基盤です。協調性がなかったら営業はできません。「協調性がない」と評価したのは上司。だらだらつるんでいる職場が目に浮かびます。そこへ「仕事しましょ!」と発言する女性部下。男性上司は大いにメンツが傷ついたことでしょう。

国からの手厚い保護を受けている中国電力を初めとした電力会社の独占企業の体質が表れています。関電の八木社長が「原発再稼働」から抜け出せないのも同じ体質でしょう。

・東和工業裁判でも、会社側の証人は「原告は何度も聞いてくる。自分で判断ができない人物だ」と言いました。それに対して裁判官は「それは原告の慎重な性格ではありませんか?」と問いただす場面がありました。女性だから従順で、出世を望まず働くべしと考えている男性のなんと多いこと。卒業生の口惜しさが重なります。

このブログを書くにあたって、改めて弁護団の抗議声明文や、弁護団による解説を読み、ますます怒りが湧いてきました。
訴えたくても最高裁から先はないのです。国連には女性差別撤廃委員会があります。こうなったらそこに訴えるしかない!と思っても、日本は女性差別撤廃条約の選択議定書を批准していないので、訴える資格がないのです。

追伸:勝訴だった東和工業男女賃金差別裁判の原告は、悩みぬいた末に高裁に上告しました。その理由は、次回に。
では、今日はここまで。




 

東和工業男女賃金差別裁判の判決が出ました。

3月に2つの判決がありました。

日々、裁判所は沢山の事件を扱っていますが、上級審になればなるほど裁判官の姿が見えない判決が多くなっているようです。2つの判決は、このブログにも度々取り上げていますが、まずは吉報から報告します。地方裁判所の判決です。

裁判名は「東和工業男女賃金差別」。

事件の内容については、2012.07.032014.09.17の記事を見てください。

判決は、326日午前10時から金沢地裁でありました。判決文にお目にかかる機会は滅多にないので、一部を書き出してみます。

被告は、原告に対し、○○○万円及びこれに対する平成231210日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

被告は、原告に対し、○○○円及びこれに対する平成24321日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

(へぇ〜、こんな表現をするのか!)

【金員:金額のこと】辞書にありましたが、一般では使わない言葉ですね。あと2つ「支払え」という項目があって、金銭に関するのは全部で4項目です。「合計約440万円支払え」ということです。原告の会社に対しての請求額は約2200万円でしたから、1/4程の額でした。これは、裁判所が「時効」を当てはめたからです。被告、即ち東和工業は、2002年からコース別制度を導入。設計部で建築士の資格を有しているのは男性部長と本間さんだけであったにも拘わらず、設計部の男性全員は総合職になり、たった一人の女性であった本間さんは一般職になりました。
この時出された会社の通達には、「一般職とは、専門的分野において業務遂行能力を有し、原則として採用時の職種に限定され、転勤はない…現在の、女子採用です」「総合職とは、総合的視野に基づいて判断できる能力を有し、管理者であれば、管理者能力を有する者であり、職種転換・出張・転勤の可能な者を指す…営業職」と記載されています。この通達によって、女性従業員は全員一般職になりました。

しかし、裁判所は
一般職で処遇されたが、設計業務における原告の業務遂行能力が低いので一般職と処遇したという旨の説明を被告は原告にしていない。
労基法4条は、性別を理由とする賃金差別を禁止した規定であり、使用者が男女別の賃金表を定めている場合のように、男女間に賃金格差を生じており、かつそれが性別の観点に由来するものと認められたときには、男女の労働者によって提供された労働の価値が等しいかを問うまでもなく、同条違反を構成するものである。」

《労基法4条違反》の判決は、画期的だそうです。1975年に秋田相互銀行事件が同じ判決のようです。全く対照的な中国電力男女賃金差別事件の結果を次のブログでお知らせします。

判決は、沢山の項目があって、証人尋問で、会社側が「本間さんは簡易な仕事としかしていない」という証拠を出しましたが、これに対しても裁判所は認めませんでした。むしろ、本間さんが言うように、彼女を貶めるために会社が故意に作った書面であると暗に忠告しているかのような判決文でした。

さて、本間さんが日々の職場で耐え難いほどの苦痛を感じてきた「男女差別」に時効はないと思うのですが、これを読んでくださっている方はどう思われますか?しかし、次回に紹介する中国電力男女差別事件の最高裁の判決を考えると、上級審へ行くほど、常識とかけ離れた判決になってしまいます。そろそろ金沢高裁に控訴するかどうか、ただいま本間さんは、決断の真っただ中におられます。 

では、今日はここまで。

(鼻炎、苦しいよー)

あれこれ思うこと。

労働に関する動きを掴んでいないので、今回は雑感でお許しください。

ホワイトカラーエグゼンプション、所謂「残業ゼロ法案」が国会に提出されます。

この法案については、何度かこのブログでも書きましたので感想のみです、「女性の活躍」などと言っている政権には、年収1075万円以上、高度プロフェショナルな仕事をしているのは男性だけだと思っているようです。もし配偶者が成果を出すまで労働時間を気にせず働くのであれば、共働きはまず無理だから、男性は専業主婦とのカップル、女性はシングルを前提にしているとしか考えられません。先日、大阪でこの問題の研究会がありました。ごく一部のエリート労働者の問題であるような受け止め方が私にはありましたので、卒業生の抱えている労働問題と関係ないわと考え、結局参加しませんでした。でも、この「関係ないわ」こそ、用心しなければならないのです。労働者派遣法が制定されたときも、これを提案した故信州大学名誉教授高梨昌さんは、元雇用審議会会長のときの2009年3月2日の日本記者クラブで、次のように述べています。

「私としては、私の当初の意図と違った方向に規制緩和が進んで、派遣というのが世間一般に大変なマイナスイメージを持つ職業をつくるものとして批判されるようになってしまった。派遣法の当初の場合は、派遣で働くというのは、女性の方々にも格好よく映ったのです。しかもかなり高賃金でした。これがどんどん低賃金の劣悪な雇用を生むシステムに変わっていったということが、私は最大の問題だと思っております。」。

同一価値労働同一賃金だって、経営者側に都合のよいように利用されて、今やスーパーの店長以外は全員パート労働者です。同一価値労働同一賃金なら、全員正社員にするか、時間当たりの賃金を同じにするべきだったのです。だから、1075万円で線引きするとされるホワイトカラーエグゼンプション問題も、あっという間に全労働者に適応されるようになる可能性大です。「用心おさおさ怠りなく」を戒めにしないといけません。

前回書いた「派遣労働者はこの改正案でようやくモノから人になる」と発言した厚労省の需給調整事業課長が国会で追及されていますが、どうせなら「モノ扱いは、この改正でも変わらない」と言ってほしかったですね。


NHKの内閣支持率調子で、安倍政権の支持率が、ISISの人質事件の救出の結果が不成功だったにもかかわらず下がらない。摩訶不思議です。後日明らかにされた交渉の経過からも、人質解放を第一にした方策を取ったとは思えない。発言も軽率だ。だのに、支持率が下がらないのは、設問に問題があるのでは?NHK調査の設問に「他の内閣よりよさそうだ」というのがある。これって分からん?人質事件が起こった時、いくつかの内閣があって、それぞれが交渉をや方策を講じていたなら、回答は可能だ。安倍政権しかなく、過去の内閣が同じ事件に遭遇しない状況で、何を根拠に判断をし、回答しろと言うのか?NHKという権威が人々を欺く典型の事例だといつも支持率が発表されるたびに思う。 


さて、先週からアメリカ制作の「危険な時代に生きる」が放映されています。深夜からなので、睡魔との戦いですが、あの環境破壊の権化のようなアメリカがこのような番組を制作するとは、相当に地球はやばいことになっているようです。アメリカの福音主義、ブッシュ大統領ファミリーとか共和党員の多くがそうであるようですが、「地球がこのような危機的状況にあるのは神の思し召し」とかで、「アーメン」と祈るだけで、対策を取らないのを旨としていたとは、何とも信じがたいことです。世界史を生業の一つとしてきた身からすれば、宗教と政治の関係史はもっと勉強したほうがいいと思います。

以前、アフガニスタンで乾いた大地に水を引き、難民となった人々を戻そうとする遠大な灌漑計画を着々と進めているペシャワール会の中村哲医師のことを書きました。その言葉と重なります。アフガニスタンは戦争で滅びるのではなく、旱魃(自然を無視する「文明の無知と貪欲と傲慢」)で滅びる」

では今日はここまで。





 


 



労働者派遣法についてコメントをくださった由太郎さま

働く女性の全国センター(ACW2)の総会が大阪で開かれたので、参加してきました。設立は2007年。設立総会には参加しましたが、その後は首都圏近郊で開催だったので、参加できていませんでした。
設立当初からのメンバーに、新顔の若い人たちの顔もあり、世代交代がうまく進んでいることに安堵しました。
私は、女性労働のいくつかの団体に所属していますが、どこも若い人たちが参加してもらえないのが悩みの種のようです。今、働いている人たちは、仕事と自分のことで精一杯です。私だって、仕事中は、労働組合の活動に最低限参加していただけで、職場関係以外の活動に参加できていませんでしたから、とやかく言う資格はありませんが…。
さて、そのACW2の会場で、派遣労働者としてずっと「もの申し」てこられた女性とお話しする機会がありました。
派遣で働いてる人は多いのに、横のつながりがないから、情報が共有できないと言われました。
コメントくださって由太郎さん、お差し支えなかったらアドレスを教えていただけませんか?
彼女のことをお知らせしたいと思っていますし、彼女も望んでいます。勿論、アドレスは、一切公表されることはありません。お待ちしています。



当たり前の経済政策ーギリシアの緊縮策

派遣法についてコメントを頂きました。頭では分かっていたつもりでしたが、「ずっと派遣」が可能になれば、失業したときの給付にも影響することに考えが至りませんでした。生涯派遣ならば、次のステップへ移るのは自己都合退職しかありません。自己都合退職なら雇用保険支給期間90日、会社都合なら180日です。左にあるコメントを読んでください。
さて、前回のブログでは、来年度予算の新聞記事からそのまま引用して終りました。日本の借金は1000兆円を超えています。
来年度予算の記事の『年金、介護、生活保護−生活に困難が生じたときの支えが社会保障だ。予算案では低所得者への手当てが軒並み削られる。年金給付を抑えるルールの発動や新法の施行も重なり、弱者にのしかかる。』が、労働者の生活にどのように影響するのかに私は注目しました。では、他の分野の予算も同じように減額されているのでしょうか?
ところが増額されている分野もあります。
それが防衛費です。
記事から一部引用します。

防衛費:過去最高に 南西諸島強化 来年度予算案

 政府の2015年度予算案の防衛関係費が、過去最高の約49800億円になる見通しとなった。 防衛関係費は02年度をピークに減少傾向が続いたが、第2次安倍政権発足後の13年度で11年ぶりに増加に転じた。防衛省関係者は「安全保障環境が厳しくなる中での予算減額は誤ったメッセージを周辺国に送りかねない」と増額理由を説明した。(毎日新聞 20150111日) 

将来に、日本の借金を少しでも少なくすることついては、国民誰もが異論のないところでしょう。予算配分をどのようにすれば、人々が安心して暮らせるようになるのか?来年度の予算を見ている限り、政府は社会保障費を減らしてもこれが可能だと考えているようです。

ギリシアの首相に、反緊縮政策を掲げる急進左派進歩連合のリーダー、弱冠40歳のチプラスさんが選ばれたと報じています。(2015.01.27)

(書きつつしょっちゅう中断するので、記事の日付はどんどん古くなります。)

ギリシアは、2009年に巨額の財政赤字隠しが発覚し、EUやIMF(国際通貨基金)から巨額の支援を受けてきた。しかし、緊縮策で景気が冷え込んだために、見込んだ税収は得られず、貧富の差が拡大する悪循環に陥っている(同日、朝日朝刊)

「借りたものは返さなあかん」と誰しも思いますが、どの分野を削減して返すかで全く異なった状況になった国の例があることを、前回も書いた「経済政策で人は死ぬか?」(デヴィッド・スタックラー&サンジェイ・バス著、橘明美・臼井美子訳、草思社)で知りましたので、興味深くギリシアの首相の選挙の記事を読みました。

まず、ギリシアに貸した国々(代表はドイツ)は、財政収支の改善、その中心は社会保護制度の削減を要求しました。
その結果、ギリシアはどうなったか?
・失業率の上昇、住宅差し押さえ件数の上昇、個人負債の増加等々。

次に、IMF(国際通貨基金)は、公衆衛生予算40%削減緊縮政策を要求しました。

で、ギリシアに何が起こったか?

・医療制度の改革と近代化の指示→処方薬支出の削減→病院は必要な医薬品・医療用品の調達ができなくなり、抗生物質などの基本品目まで不足する→購入が代金の支払いの滞った製薬会社がギリシアから撤退→5万人の糖尿病患者からインシュリンが奪われる。
・臨床医・医師・公衆衛生に携わる職員35000人を削減。
2007年から2009年にかけて自殺率24%上昇。(ギリシア正教では、自殺者は教会で埋葬してもらえないので、自殺の申告をしない人も多々あると想定される)
・「対策予算削減」による感染症の拡大→アテネ中心部でのHIV感染者の急増←注射針の使い回しによる感染→使用済みの注射針&注射器を減菌済みのものと無料交換する「注射針交換プログラム」予算削減により、麻薬患者一人当たり年間200本が、3本に削減。 

で、効果のほどはどうなったか?
ギリシアは巨額の資金援助を受け、大胆な緊縮プログラムを実施した。それにもかかわらず、2011年に入っても経済は回復の兆しさえ見せていない。

これをニューヨークタイムズ紙は、

IMFとECB(欧州中央銀行)はギリシアに資金を投入したが、その資金はギリシアを経由して、イギリス、フランス、アメリカ、ドイツの債権者に戻っただけ。つまり、ギリシア救済策というのは、公的資金でギリシアを救うのではなく、無謀な投資をして(ギリシアのバブルを煽る)、失敗した大手銀行を救うことでしかなかった。

なぜ、ギリシアは多大な痛みを伴う緊縮政策をしているにもかかわらず、回復しないのでしょうか?ここからが示唆に富む提言です。

それを著者は、「政府支出乗数」にあるとしています。IMFは、「政府支出乗数」を0.5と想定しています。一体、「政府支出乗数」とは何なのか?

調べましたが、微分もあって、わかりません。一応、定義は以下です。

政府支出乗数」とは?政府支出乗数とは、政府支出(G)の変化が国民所得(Y)に与える影響のことで、Y/Gで表されます(デルタは、変化分を表す記号です)。

著者は、膨大なデータを洗い直し、IMFの0.5は間違っていると警鐘を鳴らしました。IMFは、軍事費も医療費も同じように0.5としたのです。著者は、保健医療分野の投資は雇用を生み(看護師、医師、技師)、技術開発を促し(実験研究、イノベーション)、根本的な景気刺激策となりうると言ってます。。即ち、どの分野に重点的に支出するかで景気の回復度が違ってくるというのです。

最も景気回復に効果がある分野は保健医療の分野で、1以上の効果があります。それに比べて軍事費を増やしても、その経済的効果は0.5しかありません。だから、IMFの指示通りにしていたギリシアでは、支援のはずの救済策は、実際には雇用減少、消費低迷、投資低迷、信用失墜といった負のスパイラルを招き、その弊害が「健康危機」になって表れたということです。

成功したのはアイスランドです。
著者は、同じように経済危機に陥ったアイスランドを例に挙げます。アイスランドはIMFの強引な緊縮政策を拒否し、むしろ社会支出を増やしました。国が破綻するという未曾有の状況にありながら、保健医療費支出を20%増やしました。そしてアイスランドは見事に危機を乗り切りました。

要は、瀕死の病人から金を取り戻すには、まず健康になってもらい、その上で働いて借金を返してもらいなさいということです。「当たり前やんか」と素人の誰もが思いますが、この本の説得力のある点は、著者が、データを用いて分析した点にあります。いろんな例を挙げて読みやすい本になっています。私は、大津市立図書館で借りました。是非読んでみてください。
ここでは、医療を中心に紹介しましたが、同じように、経済を立て直そうとすれば、失業対策、住宅政策が重要だということをアメリカなどの国の例をあげて説いています。

ようやく結論です。
労働者の雇用を安定させ、人々が日々の生活ができてこそ、健全な財政状態が作れるのです。来年度予算は、経済政策の面からも間違っているということです。勿論、政府の目論んでいる労働政策も。
では今日はここまで。


 


 



 

政府は労働者派遣法を本気で改正(悪)するつもり。

余りにも沢山のことがあって、このブログに書くことが軽く思えます。

コメントを頂いたので、コメント欄にご本人の了解を得て載せましたが,読んでくれましたか?
左のコメントをクリックしてみてください。

政府は、今国会で性懲りもなく労働者派遣法を改悪するようです。

次の連合の記事にある「嘘」に、派遣で働く人たちの怒りはいかばかりかと思います。

(連合の記事を抜粋するつもりでしたが、どれもカットできないので、全文です。

気になる点は太字にしました。まず、厚労省の役人が、こういうところに行くのですね。派遣法に反対する労働者側の会合には行くのかしら?)

@連合通信150127日「派遣法改正案は良い中身」/業界団体の新年交歓会/政財官関係者らが絶賛】

日本人材派遣協会が1月27日、都内で新年賀詞交歓会を開いた。そこでは、労働組合などから強い批判を受けている労働者派遣法「改正」案について、関係する議員や厚生労働省の担当者らが今国会での成立に向けて意気込みを語った。

「雇用安定に資する」

 同協会の水田正道会長(テンプホールディング社長)は、「何としても派遣法改正案の今国会成立を」と強調したうえで、「改正案は、雇用の安定化とキャリアアップに資する内容であり、規制強化の一面がある」と述べた。同日開かれた会見のなかでは、「『生涯ハケン』など格差が固定化されるとの批判については、現状の派遣スタッフのニーズや志向を考えると、現実的にはありえないと断言できる」とした。
自民党の田村憲久衆議院議員(前厚生労働大臣)は、派遣法改正案の再提出に向けて与党協議を進めていることを紹介したうえで、「キャリアアップと雇用の安定は社会のニーズであり、派遣業界がその崇高な役割を担っている」と述べた。
 維新の党の柿沢未途衆議院議員は、竹中平蔵パソナグループ会長がテレビ番組で「正社員をなくせばいい」と発言して批判を受けたことに触れ、「間違った発言とは全然思っていない。正規と非正規の垣根をなくし、職能給から職務給への転換は、好むと好まざるとにかかわらず、今日本が突きつけられている問題」と指摘した。

「ようやく人間扱い」

 厚労省の富田望需給調整事業課長は、「派遣法改正案が『一生ハケンで低賃金』というレッテルを貼られ、非常に良い中身なのに、レッテルの議論に終始してしまった」とこれまでの経緯を振り返った。法案の内容については、「労働者は期間が来たら使い捨ての『モノ』扱いだったのが、(今回の改正で)ようやく人間扱いする法律になってきた。派遣をステップに次のキャリアにつなげていく、労働者に着目した初めての法案 



なんたる見識の違い!などと感動している場合ではない。まったく、何を根拠にこのような発言ができるのか。要は派遣業が儲かるからでしょう。そこには労働者に対する理解も尊敬の念もありません。

労働者がまともに生きていけるだけの賃金が保障され、契約更新の有無に怯えることがない社会。これが基本中の基本だと思うのですが、政府はそれを保障しなければならない。まずは、来年度予算の概要を読んでください。これが雇用とどう結びつくかは次回に。来年度予算の記事は「続きを読む」にあります。
今日はここまで。

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2つのコメントについて

一月ももう下旬。

年始、尋ね人のブログからスタート。探していた方が返信してくださいました。

「コメント公表してもいいですよ」と快諾を頂いたのに、すぐにブログに反映できなかったのは、パソコンが二度にわたって壊れたからです。以前から液晶画面に不具合があったのですが、だましだまし使い続けていたら、ついに画面が真っ白。で、私は真っ青。
ようやく今に至った次第です。返信くださった方、反映が遅くなってすみません。

コメントを下記に記します。


住友化学で多くの派遣社員が正社員になります》にくださったコメント

検索でたどり着きました。住友化学に派遣社員として、3年+3年+3年の計9年間働きましたが、直接雇用には至っていません。理由は3年ルールの一点張りです。


このコメントのきっかけになった記事です。

http://blog.livedoor.jp/letchma11/archives/50612233.html#comments

このブログ記事の情報を提供してくれた友人に、その後の住友化学の状況を尋ねましたら、次のような回答が来ましたので、紹介します。


私も退職していますので、自分で確かめられない状況ですが、

現役の職場仲間から、昨年の4月(?)も派遣社員から正社員に何人かが採用されたと聞いています。採用されているのは、事務をしている女性たちです。

大阪本社などは、辞める人も少ないので、派遣社員が入ってこない状況が続いていると聞いています。最初は、住友化学で派遣業務を行っていても、部署自体が分社化されて、関係会社になり、引き続きその関係会社で勤務をしている人は、その関係会社の契約社員になっています。
労働法も次々変わってきているので、住友化学も部署によって、3年に達する前に一時契約を切って、また、一から雇用するなんて事にしているのかもしれませんね。
私がわかるのはこの程度で、すみません。 労働者派遣法は、国会が始まれば、再び俎上に上るでしょう。派遣法が改正()されれば、正社員化につながると政府は言ってますが、コメントをくださった方のほうが、派遣労働者の実態でしょう。
財界が必要としている低賃金で解雇しやすい労働者を供給するための法改正だということは明白です。

 

次は、卒業生からです。いつもブログを読んでくれて、感謝!励まされています。ママ友とこのような会話をしているのは頼もしい限りです。


非正規雇用社員が増える中、我が社では派遣の方が0になりました。アルバイトでの採用のみです。派遣社員だと、数年後社員として採用せざるを得ない為でしょう。
ただ、内心ホッとしているのも事実です。真面目に勤めていても《派遣社員》に首をすげ替えられるのではないかと、正規雇用でも心配です。

・同一労働同一賃金は難しい。何故なら、ベースアップを考えない雇用体系だから。
同じ仕事をして、年齢が上だから給与が多いというのはおかしい。ベースアップが無い現状。

・生産性の無い仕事で給与が上がっているのは、公務員だけではないのか? ろくに、育児休業も取得出来なかった。3年とか延長を言われても、1年取るのもしんどかった現実。推奨されても、民間に制度が浸透するまで公務員は取得すべきでない。
(何故か?と聞いたら、自分達が取得出来たら、もう民間企業の事なんか考えない。民間企業が100%普及しない限り公は取れない、としたらもう少し真剣に取り組むのでは?とのこと)

・配偶者控除は必要無い。(←シングルの方・私も賛成) 扶養控除の復活を!

・民間で働いている人ばかりです。シングルの方は看護師さんで、《休んでたら、ついていけなくなる!》と。
 

いつもいる市の職員ママが不在だった為、結構な公務員バッシングになってしまいました。普通、民間企業で、私の年齢まで継続して働き続けているのは稀でしょうか?

《国は何か言っている継続罰則規定は無い》、ので民間企業大変です。


私の考えです。

・同一価値労働同一賃金を賃金に反映するのはご指摘の通り、難しい問題点があります。

日本の会社員は、特に男性ですが、まず同一労働で定年まで働くことはありません。各課を渡り歩いて経験を積み、出世の階段を昇るというイメージです。各課を渡り歩く、また転勤するということも含めて、事務畑で働いている人は全部同一労働(この場合は同一価値労働ですね)と考えるなら、適応可能です。でも、男性から大ブーイングが出るでしょうね。事務には女性が沢山働いていますから、絶対に同一価値労働ではないと言うでしょう。

昇給は必要だと思います。新入社員も30年目の社員も同じ仕事だから同じ賃金というのは、日本の賃金慣行には合いません。ハワイの裁判官の賃金は、ベテランでも新人でも、50万円ならずっと50万だというのを聞いたことがあります。

ママ友に看護師さんがいるようですが、看護師なら具体例がいくらでもありますよね。私は、出来れば注射の上手な看護師に打ってもらいたいです。以前、採血のため何度も注射針を刺され、気分が悪くなって倒れたことがありました。

同一価値労働を測るための職務評価は、例えば看護師と医師の賃金が、仕事の価値に合ったものかを測るものです。AさんとBさんの仕事の価値を測るものではありません。
ある看護師は注射が上手くても、患者の対応は苦手という看護師もいるでしょう。すべての看護師の仕事を挙げて、ランクを付けるのは困難ですから、年数で昇給するのは、一つの方法かもしれません。よって、私は、勤続年数は賃金に反映されるべきと思っています。

・公務員バッシングは、私が公務員だったから、言いたいことは一杯ありますが、民間で働く人には「生産性」というような観点で見られているのですね。教師の生産性って何でしょうか。将来、戦場に生徒を何人送り込んだか、こういうのを生産性と言われるようになるかもしれません。

今、「経済政策で人は死ぬか?―公衆衛生から見た不況対策−」
(草思社)を読んでいます。

経済破綻したギリシアとアイスランドの例を挙げています。社会保障費をIMFの指示のもと、大幅削減したギリシアは未だ経済は回復せず、社会保障費を削減しなかったアイスランドは危機から抜け出したというものです。著者は医学の観点から、統計を駆使してそれを説明しています。働かない公務員が沢山ママ友の周りにはいるようですが、働く公務員へのバッシングは、回り回ってギリシアのように、私たちに降りかかってくる問題でもあると考えますが、どうでしょうか?

では、今日はここまで。


 



 








コメントをくださった方へ

あけましておめでとうございます。

今年も時々更新の、このブログにお付き合いくださいますようお願いいたします。

今年初めのブログの内容は、尋ね人からです。

昨年12月に「住友化学で多くの派遣社員が正社員になります。」にコメントをくださった方、
今年11日に「限定正社員の続き」にコメントをくださった方、
戴いたコメントを公開してもいいでしょうか?このブログのコメント欄に「YESかNOのお返事をくださいませんか?

では、今日はいったんここまで。

限定正社員の続き

今年最後(26日)の金)(金曜日関西電力)行動に参加してきました。

京都駅前の関電ビルです。今年最後ということもあったのか、いつも以上の参加者でした。鈴、カスタネット、太鼓、ドラム等鳴り物で賑やかに、ずっと踊っている人もいました。いろんな踊りを披露するチャンスの場にも使えるので路上アーティストも参加したら、もっと楽しいイベントになるのに!シュプレヒコールの締めは「来週も来るぞ」「来年も来るぞ」でした。京都の関電ビルは京都駅に面しています。これほど人通りの多い地にある関電ビルは珍しいのではないでしょうか!大津の関電ビルは、集会のある時間帯は人通りの絶える湖岸の通りに建っています。灯りを消した建物に向かって「再稼働するな」というのはなかなか自虐的です。

ついに非正規労働者が2000万人を超えたと今日の朝刊が報じています。

自民党が圧勝したから、解散で流れた派遣法も労働時間規制をなくすホワイトカラーエグゼプションも法律になるでしょう。労働組合がいくら頑張っても、労働者のたった18%の組織率なのですから抵抗は弱くなります。

前回に限定正社員のことについて書きました。「労働者よ!限定正社員になろう」。限定正社員が、転勤せずに済み、残業もなしなら、良い働き方ではないか。家族と共に過ごすこともできず、子どもの顔もまともに見ていない正社員は、人間らしい働き方のできる限定正社員を進んで選択しようではないか?という大胆な提言をした熊沢誠さんの主張に納得したり、首を傾げたりのまとまりのない心境を紹介しました。

限定正社員制度を20144月から導入したユニクロの記事が、限定正社員の課題を語っています。

http://www.huffingtonpost.jp/2014/05/21/employment-regional_n_5369652.html



やはり、賃金ですね。生涯年収300万円、働き始めたときは納得。でも、全くと言っていいほど賃金が上がらなければ、労働意欲に繋がるでしょうか?職場に仕事熱心でない人はいましたが、私の賃金は年功序列だったので、私が納得していれば他人の働き方はそう気にはならなかったとも言えます。このような私の体験からは、なんとも理解しがたい制度です。



私は、ずっと「同一価値労働同一賃金」を証明するための、職務評価という手法について研究してきました。

「同じ仕事をしていれば賃金は同じ」は当然のことです。AさんとBさんが共に限定正社員なら、仕事内容が異なっても同じ賃金なのでしょうか?日によって倉庫での作業だったり、レジ打ちをしたりと違いはあるでしょうが、これは同一労働と考えていい範疇なのですが、それと同じように、正社員と限定正社員との賃金差の理論付けは何に基づいてなされるのでしょうか?限定正社員制度を公に発表しているユニクロの、限定正社員の賃金の根拠を調査する必要がありますね。研究者はまだ着手していないのかな?

「正社員でも週3日勤務OK」のタイトルで「スターフェスティバル」という会社を紹介しています。

以下で読めますが、概略はこうです。
「賃金は勤務時間に合わせて減るが、福利厚生などは他の正社員と同じ。

勿論雇用期間に定めはない。

余程スキルがないとこのような条件で雇用は難しいだろうな?

どれくらいの労働時間働けば、生計を立てることができる賃金を確保できるのか?

ここでは、子育て中の女性が紹介されています。

採用担当者は「他の正社員に不公平を持たれないようにしつつ、それぞれの事情に合致した制度を作るのは難しく、模索を続けている」と語っています。

ここまで限定正社員について書きながら、なんかヘン!

一日8時間労働で、転勤がないというのが、労働者にとって当たり前のことなのだから、この働き方の労働者が正社員で、転勤や残業ありの労働者が限定正社員と呼ぶべきではないでしょうか?

知り合いの若い共働きカップルが、今までなんとか子育てもしながら働き続けていたのに、夫の転勤で妻は会社を辞めて夫の赴任先に一緒に行きました。これって、妻の賃金も払うべきでしょう。なぜなら、彼女の人生計画を変更させたのですから。やはり、転勤ありの働き方の方が限定されるべきと、書きながら強く思いました。

今日はここまで。

今年最後のブログの内容は(も)、まとまりがありませんでした。来年もぼちぼちですが、よろしくお願いします。


 


 

限定正社員&世論調査

さぼっていた訳ではありません。書くという行為について考えていました。(影の声:こういうのを言訳と言うのです)

世の中に労働問題のブログやHPはごまんとあります。私のような素人ではなく、研究者による専門的な内容のものが即座に検索できます。

先日、人命に関わるようなTVニュースの画面の下方に「明日は晴れるでしょうか」のようなツイッターが流れて来て、「なんでこんなどうでもいいことを発信するのか」と思ったことがありました。思ったことを発信する手段を、権力側にいない人々が持つことは、新たな抵抗の手段として意義は十分にあります。だからこそ、内容が問われているのではないか、私のブログはこのツイッターと同じではと思ったりして、書いては止めの連続です。

この間、いろんな研究会に顔を出しました。朝10時半〜夕方5時まで、休憩40分の研究会では、脳が飽和状態になって溶けるのではないかと思うくらいの内容でした。この研究会は「福祉国家構想研究会」といって、安倍政権の進む「新自由主義国家構想」とは逆の考え方の研究会でした。安倍政権は、富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が滴り落ちる「トリクルダウン」を謳っていますが、私の少ない「儲ける」という経験からも、持てる者が持たざる者に分かち合うというのは、幻想だと思います。持てば持つほど、もっと欲しくなるというのがカネというものだろうと推察しています。

今朝の記事では、自民党が圧勝とのことですが、あなたは、もし電話で「世論調査に協力してください」と言われたら、回答しますか?私は、割と短い間に、2回電話調査の依頼を受けました。まず、調査の主体である最初の名乗りが早口なので聞き取れません。アルファベットで言われても…。

宝くじも当たったことがない、お年玉付き年賀状も枚数の割には切手シートが数枚だけという私に、世論調査が頻繁に来る訳がない。「あなたはどの政党を支持していますか」の回答で、即ブラックリストに載るだろう。(このブログを読めば、反原発、特定秘密保護法反対、集団的自衛権反対等々で、もうとっくに載っているでしょうけど。影の声:こんな雑魚は無視されていますよ〜)
良き市民として回答した結果が、いつの日か逮捕に繋がりかねないと真面目に思っています。だから回答しません。回答する人の考えが知りたい。だから、紙上で「世論調査の結果、自民圧勝か!」のような記事を読むと、回答している人は誰?と問いたくなります。

早や12月、忘年会のシーズンです。この楽しい筈の宴会での、非正規労働者Aさんの話を紹介します。

今まで何回も雇用の更新がなされてきたAさん。Aさんが、雇い止めになったのはある年の329日。325日に年度締めくくりの職場での一杯飲みの会がありました。Aさんの生殺を握っている上司の席に、お酌をしにいくかどうか、Aさんは悩みます。その年の上司の態度が、それまでとは違っていたからです。その原因にAさんは思い当たることがありましたが、Aさんに落ち度はなかったので、従来通り仕事をこなしていました。ただ、上司の態度が腑に落ちていませんでしたが、まさか雇い止めされることはないだろうと思っていました。思っていても安泰でないのが非正規です。今、「来年もよろしくお願いします」とビールを注ぎに行って、更新がなかったら惨め。もし、お酌をしに行かず、更新がなかったら「なぜ、あの時行っておかなかったのか」と悔やむと、Aさんは葛藤します。そのストレスたるや想像に余りあります。結局、Aさんは更新がなければ明日から食べていけない訳ですから、ビールを注ぎに行く方を選択しました。結果は「更新なし」でした。

何が問題って?

書くものバカらしい。非正規の人にこんな思いをさせるような飲み会をするなよ。私も、毎年職場で、歓送迎会、忘年会に参加していました。嫌な人にはお酌なんかしない、というかまあ手酌選択派。これって、正規雇用の強みだったのですね。気の合う人とお喋りし、楽しく飲んでいました。教育現場の非正規労働者の雇用は特殊ですが、非正規の人の飲み会での心中を知りませんでした。やり場のない憤り、突きあげた拳の先の虚しさ。残酷物語です。

今回は、非正規と正規の中間のような存在の「限定正社員」について、共に考えてください。

以前、卒業生から「会社が、女性を限定正社員にしようと目論んでいる」とメールがありました。女性だけに限定するなら均等法違反です。逆もそうですが、男性が賃金の安い、出世コースではない限定正社員に限定されることはまずありませんから、ここは女性の問題として考えていいでしょう。

限定正社員の限定とは、地域と勤務時間が限定であることから来ています。その結果、当然賃金は正社員よりも低くなります。フルタイムで働いても、ユニクロは正社員800万円(55歳年収)に対して、400万円と報道されています。(president online 2014.05.14)

私は、限定正社員制度に反対でした。まず、賃金差に納得できなかったからです。

*正社員の賃金の半分ないし以下は妥当な額なのでしょうか?

*転勤のないことが賃金の半分ないし以下の根拠となるのでしょうか?

*残業をしないことが賃金の半分ないし以下の理由になるのでしょうか?

卒業生のメールで、会社は解雇するために、営業所を潰す可能性があるとも言っています。勤務地限定だから、その場所に働くところがなくなったら問答無用の解雇ありです。で、このような理由で反対でした。ところが、先日参加した「職場の人権」の研究会で、この研究会の立ち上げ人である熊沢誠さん(甲南大学名誉教授)は、ひらたく言えば「限定正社員制度を活用しよう」と提言されました。

「え〜!これって悪制度と違うの」と私。

熊沢さんによれば、

既に企業は、その企業で働く従業員を全員同じような待遇で扱おうとはしていない。

【政府も経団連も、非正規、R社員(リージョナル、これが限定正社員)、N社員(ナショナル、国内転勤型)、G社員(グローバルに移動するグローバル社員)4階層を推し進めようとしている。】

追い出し部屋に象徴されるような、その労働者の主体性を失わせるまでハラスメントで追い詰め、本人の都合で辞めさせる「普通解雇」が横行している。一方、非正規労働者は、上記のAさんのように、明日の雇用の心配をしなければならないし、最低賃金に近い賃金で働いている。成果を上げるために追い込まれる正社員にも、不安定な非正規にも「雇用の安定は」不可欠である。これが最も重要な原則である。このまま働けば過労死まっしぐらとか、介護や育児を抱えて(男性も)転勤や残業をすれば、家庭生活そのものが成り立たなくなる労働者に選択肢は必要だ。残業のない、転勤もない限定正社員の道もありではないか。
勿論、最大のネックの賃金は、労使の交渉にある。「もっと、労働組合頑張らんかい」という強烈なメッセージを含む提言でした。

この提言に対して、私はいくつか疑問があるのですが、熊沢さんからは「視点が小さい」と言われそうです。これは次回に。

その時、選挙結果はどうなっているのでしょうか?

では、今日はここまで。

安倍政権の経済政策と憲法

前回の続きです。

その前にちょっと感想を。

財務省が、≪現行の小学校1年生35人学級を40人に戻すよう、文科省に求める方針をたてた(927日の財政制度等審議会)≫と報道で知りました。なんでこういう結論になるか不思議です。「いじめ」の件数が40人学級と比べて効果が見られないというのを、座長の東大教授がTVで語っていました。こういう人は、1クラス100人になろうとも成績は一番の人なのでしょう。成績が良いけれど、学校現場で頑張っている子どもや先生のことを想像できない、トップとして最も重要な感性が抜けている人なのでしょう。大津市長の越さんの考えは、時として自己責任とか、競争とか、新自由主義の典型のように思えることもありますが、「大津市の中学二年生がいじめにより自殺」した件に関しては凄く当たり前のことを述べています。「担任を持たない教員を置いたことで、子どもたちの日々の行動を、余裕を持ってみることができるようになり、多忙な現場で増員を図ったことで、実質的な効果が生まれている。大津市のいじめの件数は前年度よりも増えたが、それはいじめが実態として増えたのではなく、小さないじめでも見つける対策が進んだ証だとみている」と語っています。(1023日朝日)。庶民は大抵このような考えでしょう。



では、前回の続きです。自民党が次々と打ち出す経済政策に対抗する理論が必要です。例えば「労働者派遣法」の今回の改悪案が法となり、何年後かに派遣労働者の数が増加したとしても、その増加が労働者派遣法と直接の関係があるとはなかなか実証できません。政府は、他の要因、派遣を希望する人が多いとか、日本の景気の方が密接な関係があるとか、いろんな考えを言うでしょう。「派遣労働者の固定化に繋がる」とのシュプレヒコールよりも、もっと「それはダメ」という決定打の理論が必要です。その決定打は、実は憲法なのです。9条ばかりに目が行ってましたが、労働者の人権を蔑ろにした政策は憲法違反なのです、ではなぜ、憲法違反なのかを説明します。



私の目から鱗を取ってくれた論文は、『日本の雇用が危ないー安倍政権「労働規制緩和」』旬報社2014年に収録されている茨城大学名誉教授深谷信夫さんの書かれたものです。タイトルは「自由な企業活動と日本国憲法の原理」です。
深谷さんの文の一部です。

「憲法第三章国民の権利及び義務」の11条から24条までは、基本的人権保障の条文である。
25条から28条までは、社会的基本権といわれる基本的人権で組み立てられている。
これらの最後に財産権を保障する29条が規定されている。292項は「財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める」とある。
即ち、29条に至るまでの自由権的基本権と社会的基本権を尊重することが「公共の福祉」なのであり、この公共の福祉に適合する範囲で、法律によって認められてはじめて財産権は社会的機能を発揮するのである。よって、
企業活動を行う権利は、生存権保障や労働基本権保障などの次に、それらを尊重すべき本質的に制限された権利として保障されているに過ぎないのである」

深谷さんは、裁判の判例や規制緩和の動きは、この条文の順序を混同していると述べています。人の経済的活動は。基本的人権を優先させた次にあるものだという考えです。労働者派遣法の改悪で、誰が喜びますか?当然、いつでも解雇でき、賃金を安く抑えることのできる企業です。企業の活動は、第29条に該当するというのをこの論文で知りました。


大飯原発の判決文[命と経済を同列に扱ってはいけない」は、この理論が根拠になっているのだと納得しました。

大飯原発の判決文

「被告は本件原発の稼動が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことであると考えている。このコストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている。」



この理論で言えば、政府が、今国会で通過させようと目論む「労働者派遣法」は、憲法違反ということになります。

29日、国会前で抗議活動が行われ、1000人ほどが集まったそうです。「はんた〜い」の言葉に、「憲法違反」の言葉も言うべきなのですね。

憲法の条文、改めて読み直しましたが、なかなか新鮮です。

長くなるので、条文のタイトルだけ「続きを読む」に入れました。

では、今日はここまで


 


 


 


 

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「女性が輝く」&規制緩和と労働者の人権についての入り口

「女性が輝く社会」とかの先鞭で、女性閣僚が誕生しましたが、小渕さんと松島さんが辞職されました。マスコミによれば、国会議員を辞めることはないとのことですが、特に小渕さんに関しては、ホントそれでいいの?と思っています。

小渕さんも松島さんが男性議員であったなら、このようなことに、仲間内でストップがかかったのではないか、秘書組織内で、巧妙な処理方法の伝授があったのではないかと勘ぐってしまいます。松島さんもお粗末極まりない理由ですが、小渕さんの未だにバスを仕立てて観劇に出かけるという構図が理解できません。日本の選挙の根っこを見せてくれました。

安倍さんは、「女性が輝く」とのスローガンを掲げていますが、このような「人寄せパンダ」的な閣僚ではなく、「もっと足元を見直しなさい」という提訴がなされました。現職の国家公務員が、男女賃金差別を裁判に訴えました。

「厚労省が女性を昇格差別」現役女性係長、国を提訴
 厚生労働省の50代の現役女性係長が、女性であることを理由に昇格差別を受けたとして、国に謝罪と約670万円の損害賠償を求める訴訟を21日、東京地裁に起こした。性別を理由にした差別を禁じる男女雇用機会均等法を所管する厚労省で、現役職員が差別解消を求めて提訴するのは異例だ。

 訴状によると、女性は現在、統計情報部に所属。1988年に国家公務員2種採用試験に合格し、翌年入省。96年に係長になったが、その後、18年間昇格していない。一方、同じ2種試験で採用された同期の男性職員のほとんどは課長補佐級以上になっているとしている。

 女性は、保育士や介護福祉士の資格をとるなど能力向上に努力し、昇級も毎年認められているといい、「勤務成績、職務能力などで男性に劣ることは断じてない」と主張。「男女間の昇格の差は女性蔑視が原因」として、男性と同様に昇格していれば受け取れていた賃金分の賠償や、国による謝罪や改善の約束を求めている。

 この日、提訴後に都内で会見した女性は「私だけなら能力の問題かもしれない。でも、部署全体で女性は昇格できておらず、明らかな差別だ」と話した。 厚労省人事課は「訴状の内容を承知していないのでコメントできない。内容を確認してから適切に対応したい」との談話を出した。(2014.10.21朝日新聞)



現職で裁判を起こすというのは相当に勇気と覚悟が要ります。同期で入った男性が、この女性を跳び越えて上司になっていくのを見ている日々。怒りは誰にでもありますが、「女性だから仕方がない」と自分で理由を見つけて納得させてしまうのが多くの女性のとる行動です。教師になる前、私は地方公務員でしたが、担当する仕事のことで市町村の課長から電話がかかってくる。「はい、担当です」「なんや、おんなか!男に替わって」。根っこのところは余り変わっていないようです。私は、闘わずして男女平等を求めて教員になり、自己解決で済ませてしまいました。

さて、今回はチト難しい経済の話です。

こういう考えがあるのかと、目から鱗の説を紹介します。

まず、今年521日にあった大飯原発訴訟の判決文です。以下は、従来の判決文の常識を覆すような、画期的な文言で有名になった部分です。

アベノミクスと関連があるのでまずは、これから。
個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益は、各人の人格に本質的なものであって、その総体が人格権であるということができる。人格権は憲法上の権利であり(13条、25)、また人の生命を基礎とするものであるがゆえに、我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。したがって、この人格権とりわけ生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害のおそれがあるときは、人格権そのものに基づいて侵害行為の差止めを請求できることになる。

被告は本件原発の稼動が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことであると考えている。このコストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている。



ここでは、経済的な利益と人間の命を同列に論じるなと言っています。これを書いた裁判官は、どのような理論に依拠して書いたのでしょうか?私は、この判決の内容は、実にまっとうなことを言っているように思うのですが、判決文ともなると感覚的な思い付きではダメです。

アベノミクスで、規制緩和を盛んに推し進めています。「女性が輝く」もその一環です。労働者の人権と規制緩和の関係はどう考えるべきなのでしょうか?大飯判決と重なる理論を見つけましたが、私が読みこなすのには時間がかかるので、ここでひとまず投稿します。

大飯原発の判決文を読んでおいてくださいね。
今日はここまで


 


 

ローマの教室で&根強いジェンダーの意識

「ローマの教室で」というタイトルの映画を見ました。

舞台は公立高校、登場する高校生の学年は4年生。ついでに、イタリアの学制は、小学校が5年間(6〜10)、中学校が3年間(1113)、高等学校が5年間(1418)です。

映画に登場する学校は、特に秀才の集まっている学校ではないようで、年配の教師なんか「頭空っぽの生徒」とバカにしています。

朝一番に出勤するのは校長。一番にする仕事はトイレットペーパーの補給。

授業中の生徒の態度は、私の勤務していた学校の生徒より悪い。ヘッドフォンして小声で歌っている生徒、携帯電話している生徒、私服なので、露出的な服装の生徒もいます。

ストリーもさることながら、やはり教育そのものに関心が行くのは、習性のようです。

最も気になったのが、教室の設備です。

暫く登校しなかった生徒が教室に入って来る。この生徒は勉強が好きでなく、学校に来たくないと思っているのを、担任が説得して、ようやく教室に現れた。「先生!私の椅子がありませんので帰ります」「ちょっと待って、すぐに調達してくるから」と担任は事務担当のような職員のところへ。「余分な椅子はありませんか」「そういえばA組にありました」と事務員?らしき人とA組の教室へ。ところが、その教室の担任が「ダメです。この椅子を手に入れるのに私は2カ月かかりましたから絶対に渡せません」。その間に、せっかく登校してきた生徒は帰宅していました。

私が勤務したどの学校も、用務員さんに言えば倉庫から即座に出してきてくれた。このシステムが分からん!この学校にたった一台あるプロジェクターも壊れている。意欲に燃える新任の教師(椅子を探し回った人)が直して生徒と映画を見ている。生徒は楽しげに笑っている。

イタリアの教育予算をネットで検索したら、ナント、日本の方がはるかに税金の投入額が低い。でも、生徒の数が多ければ教育予算は増えるから、生徒1人当たりで調べても、やはりイタリアの方が多い。

椅子やらプロジェクター、校長がトイレットペーパーを一個ずつ個室に入れている例からも、理解しがたい結果でしたが、イタリアの大学の授業料が、無償ではないけれどすごく安いことが判明。国公立も私立も年間10万円以下でした。もしかしたら、この点が教育予算の違いなのかもしれません。先進国で最も教育予算が少ないのは日本でした。

「頭空っぽ」と言われている生徒。でも授業内容はなかなか高度でした。まず、詩の暗唱が多い、言語も難解。美術の授業はまるで哲学のよう。生徒もいっぱしの理屈を教師に返す。注意されれば携帯も手渡すし、ヘッドフォアンも外す。その辺は、頭空っぽとは思えない。

おにぎりを握るために、進学クラスから普通科クラスに替わったという女子生徒の話を知っていますか?

DIAMOND ONLINEによれば、≪おにぎり2万個を野球部員のために握った女子マネージャーの話が話題になっている。この女子生徒がマネージャーを務めるのは、埼玉の春日部共栄高校野球部。開幕戦で春の甲子園の覇者である龍谷大平安を撃破したことでも話題となった。 この春日部共栄野球部では、体力強化のために練習中におにぎり5個を食べるということで、女子マネージャーが握っていたそう。その数、2年間で約2万個。そして、おにぎりを握ることに専任するために、進学コースから普通コースにクラス替えまでしていたという。≫【参考:夕刊アメーバーニュース】

反原発運動の一環として、運動の拠点を作るとの連絡があった。拠点というからには、生活もできる場所ということ。誰が掃除をし、誰が食事を作り、誰が食器を洗い、誰がゴミをだすのだろうかと考えた。いつも会議で使っている共同の部屋がある。運営は、原資を篤志家が出し、運営費は利用料と寄付で賄われている。
今は改善されたが当初、特に気になったのが煙草の吸殻の始末。時には灰皿にてんこ盛り。気の付く人が片付けるのだが、それはいつも女性。私は気が付くけど片付けない。片付けている人に言う。「火事になってもしゃあないやん。吸った本人の責任や」と。でも、多分吸っている張本人(複数)は、片付けるということが頭にないのだろう。灰皿は自動的に綺麗になっているものと思い込んでいるに違いない。運動は、身の周りのことを自分でなしてこそ、実のあるものになる。女子マネージャーが握ったおにぎりを食べて野球に勝った春日部共栄高校と、反原発運動のメンバーが重なる。

政府が進めるいわゆる「女性の活躍」を推進する法案について、厚生労働省の審議会は30日、報告書を取りまとめ、一定の規模を超える企業に女性の登用を進めるための計画の作成を義務づけるよう答申しました。一方、女性管理職の割合について数値目標を課すことは、経営側の強い反対もあり見送られました。
(2014.09.30NHKより)

やぱりね。日本は変わらんね。
今日はここまで。

東和工業男女賃金差別裁判傍聴記

速報を心がけていたのですが、行動が伴いませんでした。
9月4日に金沢地方裁判所で、東和工業男女賃金差別裁判があり、傍聴してきました。その報告です。

午前11時から証人尋問が始まり、途中一時間半の休憩をはさみ、5時半近くまで続きました。

被告会社側の証人は男性2人、そこらへんにいる男性のように思えました。普通の(この言葉は毒があります。なんて表現すればいいのでしょう)、どこにでもいそうなこれらの男性が総合職で、原告が事務職のままであるのは、証人の尋問を待つまでもなく、東和工業が総合職と一般職を、男女で分けていることの証のようでした。

この裁判は、以前、ブログで取り上げています(2012.07.03)。今回の裁判と2年近く間が空いたのは、進行協議という裁判上の手続きがあって、傍聴人抜きで進められていたからです。

午前中、被告東和工業の証人尋問、午後から、原告の本間さんの証人尋問、その後再び会社側の証人尋問という流れでした。長丁場の裁判でしたが、当の本間さんの緊張と集中力と強い意志が発揮された裁判でした。

尋問は、原告側と被告側それぞれの弁護士が行います。原告側の弁護士は、原告の尋問を通して、原告に有利な証言を引き出します。逆に被告に対しては、被告がいかに原告に不当な扱いをしていたかを明らかにします。これは被告側の尋問でも逆な立場で同じことが行われます。

被告側は、原告(本間さん)の能力が低かったから、総合職になれなかったと主張します。その根拠の一つが、本間さんは決定力がなく、1から10まで上司である証人に聞いてきたと主張しました。

午後の本間さんの尋問のとき、その後証言する会社側の証人が法廷に居ることを原告弁護団は拒否しました。仮にその証人をBさんとすると、本間さんは余程Bさんに会うのがストレスなのだろうと思っていました。後で聞きましたが、Bさんは、本間さん以外の設計部の男性が全員総合職であるのに、本間さんだけが事務職に置かれていることに同情的であったそうです。本間さんは、総合職にしてほしいと再三Bさんに依頼しています。この本間さんとの会話を原告の弁護士が質問すると、Bさんは「覚えていません」の連発でした。「すまじきものは宮仕え」というところでしょうか。

会社側の証人は、口を揃えて本間さんは能力が無いから、総合職には出来ないと言いましたが、その根拠は抽象的でした。仮に仕事の難解度が1から3まであるとすると、「本間さんには1しか任せられない」と主張しますが、2と3の仕事のチャンスや研修を本間さんに与えないで、「2も3も出来ない」と主張します。

でも、本間さんの尋問で、実は本間さんは1も2も3も出来ることが明らかにされていきます。上記にBさんの立会を拒否したと書きました。実は、原告側弁護士は、本間さんにもBさんにも同じ図面を示し、その図面を解説して貰うという方法を取りました。だから、本間さんの解読を、Bさんに聞かせたくなかったから立ち会いを拒否されたのでした。この質問をするために、弁護士は徹夜で設計図と格闘されたそうです。本間さんは容易に読み解き、その根拠を示しましたが、Bさんは「これだけでは分かりません」と言いました。Bさんは設計部の上司だった人です。解説を聞く限り、本間さん側が予め学習していたから、読み解けたというような図面ではありませんでした。その場で、分かる人には分かるというような図面のようでした。

裁判官も、「本間さんが1から10まで聞くというのは、慎重な性格だったからではありませんか?」とか、「決定力がないというのは、何を根拠にしましたか」とかの質問をされました。「結果的に、男性は総合職、女性は事務職なのですね」と、何度も質問の形式を変えて本間さんの弁護団は尋問されましたが、会社側は最後の最後まで「男性は総合職、女性は事務職」とは言いませんでした。これを認めたら、均等法違反で即敗訴になると知っているからです。

次回は、12月8日、結審です。判決は来年ですね。

では、今日はここまで

女性の活躍&2014国家再興戦略

安倍政権の「2014国家再興戦略」(2014.6.24閣議決定)に、10の挑戦というものがあり、その一つに「担い手を生み出す〜女性の活躍推進と働き方改革」があります。具体的には以下です。

≪女性の更なる活躍促進≫

*学童保育の拡充

*女性就労に中立的な税・社会保障制度等の実現

≪働き方の改革≫

*働き過ぎ防止のための取り組み強化

*時間でなく成果で評価される制度の改革

*多様な正社員の普及・拡大

*予見可能性の高い紛争解決システムの構築

≪外国人材の活用≫

*外国人技能実習制度の見直し

*製造業おける海外子会社従業員の受け入れ

*介護分野における外国人留学生の活躍


各項目の中で、安倍政権が「女性の人権を真剣に考えているか」に注目して、「ジェンダー」に関係するものを取り上げます。
10の挑戦を書き写していて気が付いたのですが、「女性の活用」ではなく、「女性の活躍」に変わっています。「活用」の目線は上からですから、以前、政府がこの言葉を使ったとき、即違和感を持ちました。所詮、男性議員の感覚はこんなもん、言い換えれば素直な表現とも言えますが、さすがにまずいと思ったのでしょうか?「活躍」になっています。
なぜ安倍政権が「女性の活躍」を謳いだしたか、それは女性の地位が、136カ国中105位で(「世界経済フォーラム」WEF・本部スイスが毎年発表している男女平等度評価。2013)、国際人権規約委員会、女性差別撤廃委員会、ILO等から何度も是正勧告を受けているから、せめて名目だけでも取り繕っておかねば、も理由の一つでしょう。

まず、≪女性の更なる活躍促進≫のための、【時間でなく成果で評価される制度の改革】と【多様な正社員の普及・拡大】と【外国人技能実習制度の見直し】と【介護分野における外国人留学生の活躍】を関連付けます。

安倍さんは、「新たな労働時間制度」は、労働時間ではなく、成果で評価される働き方だから、労働時間を自分でコントロールできる。だから、ワーク&バランスが両立でき易くなり、出産や子育てで女性は仕事を辞めなくてもいい。よって、女性の活躍に繋がる、と言っています。この改革は、結果的に「企業は残業代を支払わない」ということですから、『残業ゼロ法案』とも言われています。


 aの成果主義には沢山の問題点もあり、また成果を計れない職種もあります。子育てや家事を担うのは「女性」という意識は、現に存在しているのだから、仕事と家庭を両立できる仕事があればいいでしょう!転勤はありません。残業もありません。このような働き方のできる「限定正社員制度」は如何でしょうか?これが【多様な正社員の普及・拡大】です。これが含む問題点は多々ありますが、これは次回に。


c 今、再就職したいが、家事や介護で就労できないという女性が
220万人います。a・bの政策でも働くことのできない女性たちに、【外国人技能実習制度の見直し】と【介護分野における外国人留学生の活躍】を活用すれば、働くことができると言うのがこの政策です。【外国人技能実習制度の見直し】と【介護分野における外国人留学生の活躍】は突き詰めると、介護の問題に行き着きますので、先に育児と仕事の両立を考えます。2010年の統計でシングルマザーは108万人です。220万人と108万人の重なりが何人になるかは、これらの数字だけでは分かりませんが、果たしてこの政策が現実のものとなるでしょうか。このブログを書くきっかけになった卒業生は、今年度中に50歳になります。調査時点で68%の人が非正規でした。当時、仕事をしたいけれど、上述のような理由で、できなかった人が今、再就職をしていると仮定すれば、正社員で再就職できるのは奇跡のような年齢ですから、76%の女性が非正規で働いていることになります。これは、現実とそう外れた数字ではないと思っています。

家事と育児で仕事を辞めざるを得なかった女性が働ける環境は、外国人家事労働者の手を借りましょう!地域をしぼって規制を緩める「
国家戦略特区」で、掃除や洗濯など家事の負担を減らして女性の就労を促すための外国人家事労働者を家事サービスの分野で受け入れる政策です。これが、女性の活躍に繋がるでしょうか?家事と育児で仕事を辞めた女性が再び働くために、外国人家事労働者を雇用することが可能でしょうか?いったん仕事を辞めた女性は、非正規の仕事しか見つけられないのは、厳然たる事実です。非正規で働くために、外国人に家事をしてもらう、こんな図になります。一体、いくらの賃金額を外国人家事労働者に支払えというのでしょうか?さらに、外国から家事労働者として働きに来る人たちの抱える問題点も多々あります。【外国人技能実習制度の見直し】と【介護分野における外国人留学生の活躍】は、外国人家事労働者受け入れに緊密に関連しています。これらの政策の問題点は、このブログが長くなるので、外国人家事労働者の問題点と併せて次回にします。

なぜ、政府は、女性も男性も共にワーク&バランスを享受できるような政策を取らないで、小手先だけなのでしょうか?それは、心底女性に活躍して貰いたいとは思っていないからです。

小手先だけと思える事例をさらに紹介します。家事や育児で外に出られないひとり親に対し、「ひとり親家庭等の在宅就業支援事業」というものがあります。厚労省管轄です。大阪でシングルマザーの相談所を開設している女性がこの事業について説明してくれました。今年71日に持たれたこの事業についての評価検討会の内容については、ネットで検索できます。ネットで調べると、在宅で就労しているひとり親の59.3%は、月収5000円以下と出ています。この事業のために投じられている予算は約200億円。本来なら保育園充実や待機児童解消のために使われるべき「安心こども基金」から捻出しているそうです。では、この200億円はどこに使われているのでしょうか?それは、ひとり親が就労するためにスキルを学ぶ、例えばニチイ学館のような養成機関に支払われます。ネットで検索すればIT関連養成機関の名前が次々と出てきます。外国人家事労働者の受け入れと同様、この政策も女性が望む方向とずれていますよね。月収5000円以下(平均16367)の親に直接支給した方がよほど効果があると思うのですが…。結局、安倍さんの経済政策は企業の方を向いていると言えるのです。

では、今日はここまで。

ガザとイスラエル

暑いですね。この時期、毎年同じ言葉で始まります。 

今回も、何度も書きかけては止まっています。日本の労働者の実態は、相変わらず基本的人権を軽視した延長線上にあるので、喜ばしく、特筆すべき事項は何もないのです。よって書きかけては止まっているのは、労働問題ではなく、イスラエルとガザの戦いです。これは新聞でもTVでも報道されていますが、私は世界史も担当していたので、マスコミの報道に疑問を持っていました。
停戦を破ったのはパレスティナを支配しているハマスと報じられていますが、本当なのだろうか?
浜辺で遊んでいた子どもたちが殺されたのは、本当に誤爆なのか?
イスラエルの戦闘理由は、三人のイスラエルの少年がハマスに殺されたことがきっかけなのか?それにしては、ガザの死者は1900人、負傷者は約10000人なのはどう考えればいいのか?
イスラエルの本当の狙いは何か?

マスコミが報じない情報を、京都大学の岡真理教授が、毎日、ガザに住む人やその関係者から届くメールを日本語に翻訳して配信されています。私は、配信されたメールを、その都度プリントしていますが、分厚い量になりました。今日は、3日間の停戦の3日目。どうも合意には至らないと報じられています。そうなれば、戦争は再開されるでしょう。誰もが、実に無力です。

オバマ大統領は「ハマスに武器を捨てよ」と言ったとTVで報じていました。この言葉からは、「悪いのはハマス」と言っているようにみえます。欧米の報道は、イスラエル寄りです。勿論、アメリカと同盟国の日本もです。オバマ大統領の言葉を素直に聞けないのは、アメリカとイスラエルは一心同体の関係であるからです。アメリカは、イスラエルに2008年以降、軍事援助や兵器を180億ドル(100円換算で1兆8000億円)以上を供与しています。

1947年に建国されたイスラエルは、今の地ではなく、イギリスかアメリカのどこかに建国されるべきだったのでは?建国当時、これほどの状況を誰が想像したしょうか?イスラエル建国に関しての背景は、第一次世界大戦中のイギリスの秘密外交です。検索してみてください。

今回のイスラエルの目的は、ガザをイスラエルに併合することのようです。そのためには、ガザの人々は全滅しても構わないと思っているイスラエルのネタニヤフ首相の側近が発表した声明の解説()を下記に貼り付けます。
その後、最新のガザから届いた学生のメール()を紹介します。
2つの記事とも岡さんが翻訳して配信されました。岡さんの配信を読みたい人は、このブログのコメント欄にその旨書いてください。アドレスも。個人情報は公表しません。
私は、戦争とは常にBの視点で語られるべきと思っています。イスラエルの若者が、「パレスティナ人は皆テロリストだ。皆殺しにせよ」と叫んでいる場面をTVで見ました。こういう状態にならないために、Bの視点を抜きにした安倍首相の集団的自衛権の説明は、警戒するべきと考えています。

Aの声明を書いたのは、イスラエル国会の副議長を務めるモシェ・フェイグリン。フェイグリンは、ネタニヤフ首相と同じリクード党の出身。2012年の同党の党首選挙でネタニヤフと争いました(得票率23%)。この声明はネタニヤフ首相に宛てたものです。

 

Aの声明を発見し、公表したのは、パレスチナ系アメリカ人のジャーナリストのアリー・アブーニウマ。

アリー・アブーニウマの解説。

【国民の支持を得るために、極右政治家たちは、ガザのパレスチナ人に対する思想の過激さを競い合っている。

フェイグリンの声明、8月1日。
「ガザ全土の征服と全戦闘勢力とその支持者の殲滅」を。「これは我々の国だ――我々だけの国だ、ガザも含めて」


フェイグリンの声明。

≪イスラエル軍は「海に面する、シナイ半島との境界に一定の空き地地区を設けなければならない。そこに民間人を集中的に集める。そこはロケット弾の発射やトンネルなどに使われるような建物が建て込んだ地区から遠く離れたところに。これらのエリアには、適切な移住先が決まるまで、テントの野営地が設けられる」。≫


アリー・アブーニウマの解説。

パレスチナ人民間人が「集中的に集められた」「テントの野営地」とは単純に言えば「強制収容所」である。


フェイグリンの声明。

≪「かつて人口が集中していた地区への電気と水の供給は切断される」「かつて人口が集中していたエリア」を最大級の火器で砲撃することを呼びかける。ハマースの民間インフラと軍事インフラのすべて、通信や兵站の手段もその土台に至るまで、すべて破壊する。」イスラエル軍はそれから、「レジスタンスの巣を絶滅する。もし、残っているならば。」

 

B:ルバ・サリービー:彼女はガザ・アズハル大学の21歳になる学生。ガザ地区北部にあるジャバリヤ難民キャンプに住んでいます。

 2014年8月6日/本当に、話を聞くのと、自分がその出来事の一部になるのとでは、ぜんぜん違う。戦争のあいだ、私たちは、死にさらされたり、死を逃れたりした人たちのたくさんの話を聞いた。なかでもシュジャイヤの虐殺はその最大の例。私たちは死ぬまいと走っている人々の姿を目にした。あるいは、死を逃れることができなかった人たちの姿も。

 

人がこんな恐怖を実際に生きているなんて、私にはほとんど信じられなかった。ある意味、ガザの誰もが、自分は攻撃目標ではない、と思っている。あるいは、そう思い込もうとしている。私たちは、なぜ自分たちだけは死なずに絶対にこれを生き延びるのか、その思いつく理由を100万くらい数え上げようとする。私たちがしがみついて放さない、この、生き残るわずかなチャンスは、どの人の中にも存在する。イスラエルの戦車隊が私の家からどれだけ離れているか、私はひそかに計測を始める。私たちの地区の地図を頭に思い描いて、私と、いちばん遠い戦車のあいだにあるすべての通りを思い出す。迫撃砲がどれくらの距離まで届くものか、グーグルで調べてもみた。皮肉なことに、その翌日、迫撃砲が我が家の隣の家を直撃した。だから、迫撃砲の飛距離の答えは、「我が家に届くに十分なくらい」ということになる。

 

また、時には生き残る理由を探すのを諦めて、いやなシナリオばかり想像したこともある。中でも最悪なのは死ぬこと。でも、死ぬのは痛いことじゃない、ほんの一瞬ですべてが終わっているのだから、と自分を慰めようとする。私の頭はいつも、そんなことでいっぱい。ほぼ30日間ずっと、「分からない」という状態のなかで生きている。毎日、午後8時、夜の闇が下りはじめると、今晩はいったいどんな夜になるのだろうと、私たちは考え始める。空を見上げて、戦闘機がいくつ飛んでいるか推し量る。その音に注意深く耳を澄まし、どれくらい近いか推し量る。戦闘機の数が多ければ多いほど、その音が大きければ大きいほど、その晩はより恐ろしいものになる。イスラエルのF16が攻撃目標を叩くため、ものすごい低空を飛ぶとき、心臓がバクバクする。私たちは、ロケットから発射された光を目で追う。そして神に祈る、私たちの家に当たりませんように、と。時々、遠くのロケットの音がどんどん近づいてくるのが聞こえる。私たちは目を閉じる。爆発音が聞こえるまで。爆発音が聞こえたということは、私たちはまだ生きているということ。

 

私たちは、とっても過酷ないくつもの夜を過ごした。どれも一生、忘れられない夜。ひとつは、イードの2日目。4つの家族が、激しく砲撃されている地区にある自宅を逃れて、私たちの家に避難した。一部屋に50人近くが集まって、私たちは目をさましたまま、怯えていた。その晩、私たちは、あらゆる種類の砲撃を聞くことができた。私たち

はみな、トラウマに陥り、一言も口がきけなかった。私たちが待ち望んだものはただ一つ、太陽の光。というのも、日中だと砲撃もなぜか、それほど怖くはないから。夜の8時から朝5時までのあいだは、一秒一秒が何十年にも感じる。

 

時間は、このような日々では、決定的に重要なもの。ときどき、時間だけがすべて、ということもある。私の弟は、この戦争はいつ終わるのと訊ねてばかりいる。父に、今何時と訊ねることもある。うちの地区にあるある家に警告用のミサイルが撃ち込まれた。攻撃目標になっている家が完全に破壊される前に、その地区の者たちに避難せよ、という命令だ。2人の年輩の男性と一人の女性が生き延びることが出来なかった。なぜならその3分後に家が爆撃されたから。二人の老人は家から離れようと、できるだけ速く歩こうとしていたのに。3分では足りなかった。シュジャイヤの虐殺のあと、赤十字が負傷者を搬送できるよう2時間の停戦になったけれど、2時間では足りなかった。瓦礫の

下から彼ら全員を引っ張り出すなんてできない。そして時間は、いくつかの魂を救うには足りなかった。この29日間の戦争が、私には29年にも思える。

 

8月4日、午前3時30分という時間を私は忘れられない。姉と私は自宅の2階で同じベッドで眠っていた。戦争が始まったときから、私たちは一緒に眠るようになった。父、母、妹、弟は1階で寝ている。砲撃があったのを覚えている。私は、注意を払うまいと思い、眠ろうした。でも、長くは続かなかった。突然、自分たちの家の中だと思うくらいすぐ近くで空爆の音がして、私たちは、目を覚ました。続いて、何人かの男たちが助けを求めて泣き叫ぶ声。100万もの考えが脳裏にあふれる。どうしたらいいのか分からなかった。私たちはその空襲が何だったのか見るために、バルコニーに駆けつけたが、私たちに聞こえたのは、1人の男性が通りを走りながら、苦しみに泣き叫ぶ声だった。二人の隣人も何が起こっているのか見るために外に出て来た。母と父は急いで玄関に行った。

 

私たちがそこに立っているとその数秒後、2発目の爆弾が私たちの目の前を通って、隣の家の正面に落ちた。そのとき私が思ったのは、玄関に立っている父と母のことだった。叫んでいた者たち全員が静かになった。何の音もしなかった。姉と私は「お父さん」と一斉に叫んだ。どうやって階下に下りたのか分からない。でも、父と母がまだ生きているのを目にすると、私たちは床に倒れ込んでしまった。息をすることも話すこともできなくて。私たちはただ、ショックを受けていた。空襲は、通りで泣いていた男性を狙ったものだった。

 

男性は亡くなった。隣人の3人が負傷し、通り一面に血が流れていた。自分の目の前で誰かが死ぬのを目にするのは初めてだった。ほんの1分前には助けを求めて泣き叫んでいたのに。両親が怪我して、あるいは死んで、床に横たわっているのを目にしていた可能性だってあった。そう考えただけで、息ができなくなる。一瞬のあいだ、何もかもが夢のように思えてくる。誰かを亡くすという考えに、私は泣いていた。でも、それから、この殉難者の母親は、息子の身に起きたのかも分からないのだという考えに、私は打たれた。亡くなったのが私の家族ではないということは、誰かほかの人が愛する誰かを亡くしたということ。目から涙が溢れた。彼のお母さんが気の毒で。

 

では、今日はここまで

もう誰にも止められないにストップ!滋賀県知事選&イスラエルのガザ侵攻

*滋賀県知事選から2週間近く経ちました。投票日の13日の夜、「安倍政権から送り込まれた候補者が優勢」との情報が入ってきました。結果的に、僅差で自民党でない候補者が競り勝ちました。誰もが、集団的自衛権反対、原発反対と思っていた私は、なぜ、原発稼働に賛成の、集団的自衛権に賛成の候補があれだけの票数を得たのかが理解できません。

滋賀県知事選で、反自民が勝たなければ、今時速150KMで走っている安倍首相は180KMで走る。もう誰も止められないというのが、反自民の候補者の応援に来た議員の言葉でした。さて、続く福島、沖縄の県知事選で、暴走を止められるでしょうか?


200812月、イスラエルのガザ侵攻のときに、「圧倒的な軍事力はイスラエルにある。イスラエルの侵攻を止めるために、ユダヤ人資本の企業の製品をボイコットしよう」との呼びかけがありました。その時以降、私はスタバに行っていません。私の抵抗なんか、スタバには何の障害にもなりませんが、「なんで?」と聞かれる度に説明しますので、パレスティナ状勢の報告程度には役に立っているかもしれません。ちなみに、「ユダヤ人資本の企業」で検索してみると、あの企業も、この企業もと、私でも知っている企業名がわんさかと出てきます。やれやれ、ささやかな抵抗をしようと思ったら、自給自足の生活をするしかないようです。

世界の警察を標榜するアメリカの動きの鈍いこと。アメリカの大統領を金銭面で支えているのは、ユダヤ人資本の企業ですから、オバマ大統領が積極的に動く訳がありません。戦争は、利害関係が全てです。集団的自衛権は、他国の利害関係から発した戦争に加担するということです。イラクに侵攻したアメリカは、イラクの石油を手中に収めたかったからです。イラクの石油を得るのは、アメリカの私企業です。


アメリカがイラクに侵攻したとき、日本は後方支援をしました。後方支援とは、直接戦争に加担しないことです。しかし、実際は、日本は、米兵を空輸しました。戦場に兵士がいなければ、戦争はできません。日本が兵士を運んだということは、戦争そのものに加担したことになります。これは、国民には知らされていないことでしたが、政治家は周知のことでした。集団的自衛権を推し進めようとする彼らには、もうとっくに集団的自衛権は成立しているようなものだったのです。

私は、先進国の良心的兵役拒否の状況について、また、もし他国が日本に侵入してきたとき、武器を持って戦うのか、降伏するのかについても勉強したことがありました。パレスティナは、個別的自衛権における戦いです。

600人以上が殺されているパレスティナのガザ地区、戦力の違いは戦う前から分かっていたのに、「ハマスは無謀だ、人々の命を楯に使っている」等々。あれだけ沢山の人が亡くなっている割には、スペースが小さい記事でしか、知り得ない状況ではありますが、死者が多数出ると分かっていなぜハマスはイスラエル向かってミサイルを発射するのか。何もしなければ、現状のままだけど、600人以上が亡くなり、発電所も爆破されて、けが人を治療することもできないような状況は起こらなかったでしょう。と、中東から遠い日本にいる私は思ってしまいます。

イスラエルは、国連決議に反し、パレスティナを侵略し続けています。そのイスラエルに対し、パレスティナの人々は、どう行動すればいいのでしょうか?パレスティナに暮らす人々の声がMLで配信されましたので、「続きを読む」に入れます。今回は、全くこのブログの目的から逸脱しています。

では、今日はここまで。


 

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外国人(家事)労働者の受け入れ

労働問題のブログといつも自分に言いきかせていますけど…。

我慢できないこと、欺瞞に満ち満ちていることを先に。

集団的自衛権を必要とする説明のときに使われたパネルの、子どもを抱いた不安そうな、弱々しげな表情の女性の図。都議会、国会のセクハラ発言と同じものが根っこにあります。セクハラ発言に関しては謝罪していますが、何が悪かったのか分かっていないでしょう。
パネルの絵を描いたのは誰?
安倍首相の気に入りの女性像とは、心細げで男性に守ってもらう人のようです。考え過ぎ
マスコミもあの絵を「ジェンダーの観点から問題」とは言ってないようですが、ことの是非の前に、私は嫌悪感一杯になりました。


アフガニスタンで活動するペシャワール会の中村哲医師が、集団的自衛権について話しておられました。胡散臭いノーベル平和賞の受賞者の多い中で、真の平和貢献をしている人の1人がこの方だと私は思っています。アメリカのアフガニスタン侵攻のとき、全部と言っていいくらいのNGOが撤退しましたが、ペシャワール会の現地NGOは残りました。ペシャワール会については、20121227日のブログを見てください。
その中村さんが、「集団的自衛権が日本で認められたら、私は撤退する。今まで、戦禍にあっても、日本人が攻撃されなかったのは憲法9条が守っていてくれたからです。」と言っておられます。限定的だの、9条の範疇内だと、理屈をこねくり回している政治家・官僚よりは、ずっと現実をご存知の方の言葉です。中村哲医師によれば、「アフガニスタンは戦争で滅びるのではなく、旱魃(自然を無視する「文明の無知と貪欲と傲慢」)で滅びる」とのことです。人工的なものに囲まれている私たちには、見えていないですね。


 
さて、本題ですが、今回は外国人家事労働者についてです。

日本世論調査会が実施した雇用労働に関する世論調査について、次のように報じています。

≪少子高齢化や景気回復に伴う人手不足対策として外国人労働者の受け入れ拡大に賛成する人は「どちらかといえば」を含めて51%で、反対の46%をやや上回った。移民の受け入れは55%が反対した。≫2014629日東京新聞)

あなたの考えはどちらですか?私がひっかかるのは、移民受け入れ「55%反対」の項です。都合の良いときだけ「来てください」。用が済めば「日本に永住するのはお断りしますという点です。


オリンピックの施設建設に、労働力が不足します。そのため、外国人に建設労働者として来て貰おうとしていますが、施設が建てば、「はい、さようなら」です。建設費と景観破壊で「見直し」を迫られている国立競技場は、当初の計画通りだとすると、まずこれを壊すところからスタートです。もし、アスベストが使われていたら、また、他の建設資材の粉塵を吸って、帰国後症状が出たとしても、補償はされません。
また、政府は技能実習という受け入れを考えているようですが、この制度は、ILOや国際人権規約委員会から非難されています。今回特区に家事労働を担う外国人を受け入れるとしていますが、その人たちがどういう状況で来ているかを知った上で、判断せねばと思います。聞くに堪えないヘイトスピーチがあっても、政府は「憲法で保障された表現の自由」を楯に積極的に取り締まっていません。以下に、外国人家事労働者の実態を述べた文章を紹介します。友人の嶋田さんのレポートです。これを読めば、政府の政策の何が問題かが分かります。
日本は、国連の≪家事労働者の適切な仕事に関する条約≫を批准していない数少ない国の一つです。これすら批准しないで、簡単に「外国人家事労働者に来てもらって、日本の女性が男性と同等に働けるようにしよう」とよう言うわ!国連の≪家事労働者の適切な仕事に関する条約≫の条文は、「続きを読む」に入れておきます。次回も、外国人(家事)労働者のことを続けます。

では、今日はここまで。

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私はインドネシア、スリランカ、シンガポール、湾岸産油国などで、家事労働者の実態調査を行ってきました。

そこで見聞した家事労働に従事する女性たちは「現代の奴隷制」と言っても過言ではない悲惨な状況にありました。

渡航前の業者への斡旋料、就労後の給料からのピンハネ、債務奴隷化、渡航先での性的、身体的、精神的虐待、悪質業者による人身売買の横行、送り出し国の役人も関わる不正渡航、後を絶たない自殺、過労死などなどです。

家事労働者のほとんどは都市のスラムや貧しい農村出身で、「大金を稼げる」とい う斡旋業者の甘言に釣られて、家族の生活を支えるために出稼ぎを決意した20-40歳代の女性たちです。私たち日本の家庭では、そんなひどい虐待や奴隷状態はあり得ないと言えるのでしょうか?いくら私たちが「善意」でも、送出し国側に悪徳業者が暗躍し、不正に労働者から「渡航料」を巻き上げ、債務奴隷化する構造が存在する以上、湾岸諸国などで起きている人権侵害は日本でも避けることができません。

日本政府は、送り出し国で斡旋業者を一切介在させずに、直接家事労働者を募集し、日本語研修などを行った上で受け入れるシステムを作る覚悟があるのでしょうか?

実際、EPAの看護師、 介護福祉士で来日している人たちの中にも、現地の年収に匹敵する金額を不正に業者に支払い、その返済に苦しんでいる人がいます。

すべての渡航費用は日本の受け入れ施設が負担しているにも関わらずです。

そもそも家事をどうして男性が出来ない構図になってるのか、というところに手をつけずに外国人を使おうとするのは何なのか、ということが問題なのではないでしょうか?

雇用条件、昇進、給料などの待遇において男女の格差をなくし、働く男女が平等に家事を分担し、余暇や趣味を楽しむゆとりのある暮らし。その実現こそが重要な課題なのではないでしょうか

これを阻む男女の格差、非正規労働などの 諸問題を放置したまま、外国人家事労働者を導入しても、社会的不平等や人権侵害という問題をまた一つ増やすだけです。

私たちは、他国の女性の人権を踏み台にしてまで、「社会進出」したいのでしょうか?

私たちは、現代の「奴隷制」を導入してまでも「女性の活躍」を進めたいのでしょうか?

女性家事労働者の人権を守るために、私たち日本の女性が「奴隷主」にならないために、家事労働者の受け入れ反対を呼び掛けます。

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労働者の人権

なんで、大多数の庶民が願うような政治にならないのか?これが民主主義の一つ、選挙という方法で政治家を選ぶ難しさです。シリアでアサド大統領が再選されましたが、政府軍がコントロールしている地域だけでの圧勝でした。シリアも日本も、国民の願いが反映されているとは言えません。真の公正への追及は、人間の永遠の課題です。

矢継ぎ早に、念願というか、悲願の政策を打ち出す安倍首相へ、国民は何もかも付託したのでありません。でも、言いたい。こうなる結果は分かっていた。自民党に投票して、原発推進、特定秘密保護法は必要、集団的自衛権を行使のできる国に、労働者派遣法は改正(どうしても「正」という字に違和感あり)するべき、年収一千万円以上の人は残業代ゼロOK、地方教育行政法改正に賛成、とかとか…。そういう人以外、安倍首相の政策に異議ありの人で、自民党に投票した人は、後悔先に立たずの格言通りになってしまいました。

1992年にカンボジアへ、日本の自衛隊が派遣されたとき、私は自衛官の人権について勉強したことがありました。「海外(往々にして戦争中か戦後)へ行け」と命令があった時、果たして自衛官は「私は行きたくありません」と言えるでしょうか?という勉強会です。その後、周辺事態法という法律ができ、自衛官が「いやです」と言えるかどうかについては不勉強のままです。
で、今、集団的自衛権行使が浮上して来ました。賃金もらっているから労働者だし、「辞めます」は言えるはず。ただし、派遣(派兵)されるくらいの年代の人なら、退職金は少ないでしょう。最近、求人難と報道されているけど、非正規の仕事ばかり。転職は簡単にはいきません。まして、日本の労働者の立場は弱い。
東亜ペイント事件という、転勤を拒否した労働者が懲戒解雇になったことを争った裁判で、労働者が負けました。転勤命令もですが、もし集団的自衛権が成立し、派兵が決まったとすると、その命令をする権限のある人は誰か?という疑問よりも、命令をする人にその権限があるのかという疑問が出てきます。タイムリーな記事を見つけましたので、一部のみ紹介します。


≪終わりと始まり)死地への派遣 国家に権限はあるのか 池澤夏樹≫
201463日朝日新聞

 国家には選ばれた一部の国民を死地に派遣する権限があるのだろうか? 非常に危険率が高いとわかっているところへ送り込むことができるのだろうか? それが自衛のためだと言うならば、国の生存権と個人の生存権の関係についてはもっと議論が要る。 今の自衛隊員は憲法第九条があることを前提にこの特殊な職に就いたはずである。自衛のための出動はあるが(東日本大震災はその典型)、他国での戦闘はないと信じて応募した。 だとしたら彼らには次の安定した職を保証された上での転職の権利がある。そんなつもりではなかったと言う権利がある。戦場には殺される危険と同時に殺さなければならない危険もある。その心の傷はとても深い。あなたは見ず知らずの人間を殺せるか?

残業代ゼロ法案に反対している人の意見には、「労働者の合意を得れば…とあるが、労働者が経営者と対等である訳がない、他の労働者が全員合意した中で、一人だけNOということは難しい」というのがあります。集団的自衛権で派兵される自衛官と重なります。

いよいよ、外国人家事労働者を日本が受け入れるようです。今まで、日本は単純労働者を認めてきませんでした。少子化日本だから「来て貰ったらいいんじゃない!」と思っている人も多いでしょう?先日、外国人介護労働者の受け入れについてのシンポジウムが京都で開かれたので、参加しました。日本の労働者に直関連してくる問題提起がなされました。次回は、これについて書くつもりです。単純労働者=家事労働者というのが納得できませんし、これは単純労働者=家事労働者=介護労働者となる構図を予測させます。

では、今日はここまで。

ある裁判の報告ー同一価値労働同一賃金

次の「職場の組織図」を見てください。

4つの部署があります。□:正規職員、●:8時間勤務の非正規、○:7時間勤務の非正規

A部署は□・□・□・●・○

B部署は□・□

C部署は□・□・●・●

D部署は○(アさん)・○・○

●と○は、単に労働時間の違いだけではありません。○はパート労働法対象者です。●はフルタイムパート(へんな言葉!)なので、パート労働法は適用されません。

ここからが問題です。

D部署の○(アさん)は、正規職員と比べて賃金が低いことを問題とします。D部署は、この組織図の重要な仕事をしている部署です。しかし、全員が非正規です。ということは、外部から見れば、彼女たちは正規職員と思われています。
では、○(アさん)は、誰と賃金を比較するべきでしょうか?

「勿論、正規職員と比較するべき」と答える人が大多数でしょう。D部署には非正規しかいないから、D部署の三人では比較できません。○(アさん)は、裁判に訴えました。裁判官は「アさん、あなたは賃金額をどれくらい欲しいのか、明確に立証していないから却下します」という判決をします。同じ部署に正規職員がいれば、その人との仕事内容と比較して、それを賃金差に当てはめることができます。言い換えれば、裁判官は「同じ仕事をしている部署に正規がいないから、比較できない」と言っているのです。D部署の三人は永久に、「正規並みの賃金を」ということができません。A・B・C部署の正規職員と比較するのが、同一価値労働同一賃金の考えです。裁判官は、ILOが日本政府に勧告している、職務評価制度を知らないということを露呈した判決です。これでは、非正規は救われません。アさんの悔しさは想像に余りあります。

 

住んでいる地区の「ガラス瓶の収集方法」が変わりました。

透明瓶と茶色瓶はガラスの収集日に、それぞれ市の指定袋に別々に入れて、それ以外の瓶は「燃やせないゴミ」の日に出してくださいとのことです。

今までは、瓶ならば何色でも「瓶」の収集日に出すことができました。

最近、国産ワインを愛飲しています。緑色です。先日、呑んだドイツ産ワインは透かして見るとブルー系、透かさないと茶色に見えます。友人から貰って大切に呑んでいた日本酒の瓶はすりガラス状でした。

苦情兼要望を伝えるため、市に電話しました。電話で対応してくれたのは女性、「同じ苦情を何件も貰っています」とのこと。「上司に伝えます」との返事に、雇用形態を聞きました。非正規だそうです。上司に伝えても、上司が動かなかったとき、彼女に「ちゃんと改善してください」と言う権限はないでしょうね。市民の声を直接聞くところこそ、正規の職員を配置するべきです。全員が正規職員があらまほしき姿ですが…。公務員バッシングの結果の公務員削減は、時として何倍もの無駄を生みだしているかもしれません。


大学で教えている友人の話し。女子学生の結婚願望が強く、働く意欲が薄いとのこと。「一生、男性に経済的に面倒見て貰えると思っているの?」との私の問いに、「単なる願望だけ。男子学生は働くことにもっと暗いイメージしか持っていない」との返事。国家戦略経済特区とか、残業ゼロとか、派遣法の改悪とか、限定正社員とか、解雇制限の緩和とか、そりゃ、過労死、低賃金の将来しか浮かばないかも知れませんね。こういう若者のこと、安倍さんは分かっているのかしら?

このブログは、学者が書く労働問題ではありませんから、出来るだけ私の見聞きしたことを発信したいと思っていますが、最近、身近なそういう話題がありませんので、更新ができませんでした。

では、今日はここまで。いよいよ梅雨です。
黴を生やさないように気をつけましょう。

ハローワーク雇い止め裁判

4月末から風邪をこじらせて、咳が止まりません。白河法皇が「賀茂河の水、双六の賽、山法師、是ぞわが心にかなわぬもの」と嘆いたとか(平家物語第一巻)。咳も加えて貰いたいわ。
在職中、試験監督のときが最も気を遣いました。一所懸命、脳みそを総動員して問題と向かい合っている生徒の邪魔だけはしたくなかったからです。

で、ままならぬ連休をうだうだと家で過ごした私ですが、今まで、ゴールデンウィークの、ゴールデンという言葉に特に違和感も持たずに働いてきました。でも、最近は「非正規の人の賃金が減る」と思うようになりました。派遣で、事務職で働いているシングルマザーの卒業生の顔が浮かびます。

労働者派遣法の見直しとか、「残業ゼロ法案」とか、政財界の人は真面目に「労働者も人間である」と考えているのでしょうか?

今回のブログの内容は、3月30日の続きです。3月30日の内容は、3月29日に大阪であった「ハローワーク雇い止め裁判を支援する集い」で、3人の元原告たちの話の紹介でした。今回は、この集会の主人公である原告の話です。

彼女(以下、Tさん)が提訴したのは2年前でしたが、おおっぴらにこの裁判を語れるようになったのはごく最近のことです。だから具体的にはこのブログでも取り上げて来ませんでした。

その流れが変わったのは、弁護士が腹を括ったからです。なかなかの物騒なもの言いですが、セクシャルハラスメント(以下、セクハラ)の二次被害が絡むややこしいケースだからです。

事件は2009年、原告Tさんが9年間勤務していた大阪府下のハローワーク(以下、HW)を雇い止めにされたことが原因です。原告Tさんは、上司からセクハラを受けたと、同じ職場の同じ非正規雇用の女性同僚から相談を受けました。このセクハラ事件は問題となり、その後示談となりました。そして、セクハラをした上司は懲戒処分を受けました。しかし、セクハラを受けた当事者の傷は深く、その後もずっとPTSD(心的外傷後ストレス傷害)に苦しむことになりました。TさんがTさん自体の「雇い止め」裁判のことを公にする、例えばマスコミに話すと、このことを見聞きしたセクハラの被害者のPTSDがさらに深くなるかもしれないことから、なかなか公に出来ませんでした。
しかし、このブログで書いている男女賃金差別裁判で闘った原告たちは、マスコミへ訴えることによって、裁判官へ「ある女性が訴えている個人的なことがら」ではなく、全女性の問題であるとすることで、多くの支援を受けて闘ってきました。

セクハラ被害者がさらに二次被害で苦しむかもしれないことを考えて、歯切れの悪い支援体制でスタートしたのです。しかし、そもそもはセクハラをした上司が悪いのであって、原告Tさんが裁判で十分に闘えないのはどう考えても納得できないと、弁護団が腹を括られたのです。セクハラに苦しむ女性が多くいることを知る弁護士にすれば、複雑な立場です。だから2年後の今年の3月29日に、ようやく「支援集会」を開くことが出来ました。

HW裁判の原告Tさんは、このセクハラを受けた同僚から相談を受けていました。Tさんは、この被害同僚に代わって上司と話をするなどして支えます。ここから、Tさんに対する嫌がらせが始まります。そして、毎年雇用されていた契約がこの年度最後の3月29日に「更新しません」と通告されたのです。
3月29日という日は、Tさんにとって忌まわしい記念すべき日なのです。(上司は、子どもを抱えたシングルマザーのTさんの明日からの生活をどのように考えていたのでしょうか?路頭に迷うかもしれないとは思わなかったでしょうか。)だから、3月29日という日に公に支援の集いをしたということは、Tさんにとって感慨深いものであったのです。
彼女は非常に優秀な相談員でした。「優秀」というのは、裁判で原告側が主張する言葉だし、被告は「普通、劣っていた」と表現する抽象的な概念です。目に見えないものを論争するのはなかなか難しいことなので、彼女がどれくらい優秀であったかは、弁護士によって証拠が提出されています。被告はHWなのですが、HWは国の機関なので、Tさんは国を相手取って裁判を起こしたことになります。常時被告の弁護士は5人、全て税金が投入されています。この税金分を考えれば、Tさんを継続雇用しておいた方が安くつくのではと思っています。多分、この裁判は最高裁まで行くでしょう。最終的に、国が弁護士に支払った額を情報公開請求して知りたいと思っています。これも特定秘密になったりして、永久に謎かも。

今まで8回の契約更新をしてきたHWが、Tさんに「来年から来て貰わなくて結構」と告げるには、何かのきっかけを利用しなければなりません。関係のある記事がありますので、ちょっとだけ紹介します。

≪ハローワーク職員1200人を年度末雇い止めー公募方式が拍車かける官製ワーキングプアの雇用不安≫
(「連合通信・隔日版」2014220日付No.8814
 ハローワーク(公共職業安定所)の内部で、今年も大量の非常勤職員が雇い止めされようとしている。特に問題なのは、業務があるにもかかわらず3年を超える労働者を一律に退職させて「公募」にかける事態が想定されていることだ。公募で再び採用されるとは限らず、職場では「雇用不安をあおるだけ。これでは業務に必要な経験と専門性を維持できない」と、困惑が広がっている。

Tさんは、2011年3月29日に雇い止め宣告を受けましたが、以前から、上司に「あなたは必要な人材です」「あなたはよくやってくれている。あとは資格を得ることやね」と言われていました。Tさんは、30万円を投じてキャリアコンサルタントの資格を取得します。当時の彼女の月収は15万円、どれほどの犠牲の元に彼女が学校に通ったかが分かります。
HWの正規職員の場合は、正規なんだから資格を取得する必要はありません。HWの組織を知らない者からすれば、キャリアコンサルタントの資格とは、非正規職員が雇用継続を願って独自で資金を投入して取得するものでしかないように思えます。必要ならば、正規職員も全員資格を取得するべきです。タクシー運転手が運転免許証が必要なように。

「キャリアコンサルタント」、私には聴き慣れない言葉です。官僚の天下りのために作った資格ではないかと思います。Tさんに確認すると、研修内容は、必ずしも質が高いようではありません。講師によっては、女性差別的な発言があったとか。Tさんは、雇用継続を願って、HWの試験を受けます。そして不採用になりました。

HW即ち国の言い分は以下です。

*Tさんの雇い止めとセクハラ被害者の支援とは関係ない。

*不採用は、Tさんよりも適正と能力を有するAさんがいたからである。

*Tさんが応募した職は、Tさんが今まで経験してきた仕事内容と異なり、相談窓口業務だから、Aさんの方が経験がある。


使用者は強いですね。採用試験の内容、経緯、結果に至るまでのあらゆる情報を原告Tさんは知ることができません。Tさんではなく、採用されたのはAさん。Aさんは「相談窓口経験者である」からとHW側は言っていますが、Tさんも相談窓口業務だったのです。これに関しては、元同僚(正職員)が「Tさんは相談業務だった」と証言をしてくれています。また、HWに求職に来た人たちからのお礼状を何通もTさんは持っています。とても丁寧な親身になっての対応だったことが手紙の内容から伺えます。お礼状を貰っているということは、相談窓口業務をしていたからです。Tさんは、HWで働く以前の経験を活かして、職場の研修の講師もしています。受講者は同じ職場の正規職員も含まれています。優秀でない人が、職場の研修担当を任されるでしょうか?

個々に反論はできますが、HW側が不採用の全ての情報を握っているから、そこを切り崩すのは至難の業です。今まで、非正規労働者が雇い止めになったことで争い、最終の上級審で、非正規労働者が勝った判決は一つもありません。


Tさんのような例は多々あるでしょう。Tさんが裁判で争う決断をした理由は、まずは個人的なことが発端ですが、彼女はこうも述べています。
「これ以上使い捨てにしないで!ハローワークで働いてきた非常勤職員が、こんなにも理不尽に簡単にあっけなく職を奪われる現実を知ってほしい。」

非正規で働く、それも家計を主として支えている女性卒業生の顔が重なります。

では、今日はここまで。

 

 

残業代ゼロ提言&スウェーデン

≪「残業代ゼロ」募る不安≫
新聞各社が連日報道しています。

労働時間ではなく、成果をベースに賃金を支払う。これにより、子育て中の女性が退社後仕事を家に持って帰って仕事ができるようになる。

よって、企業は子育て・介護世代を活用し易くなり、雇用が増える。

要約すると、これらが提案した産業競争力会議が言いたいことのようです。

本気でこんなメリットが労働者側にあると思っているのでしょうか?

「成果」という概念が私には分かりません。

民間企業では、誰でもが成果という達成目標を立てて働いているのでしょうか?

営業なら契約を成立するとか、製造現場なら目標の数の製品を仕上げるとか。

学校なら、落第生を出さないとか、有名大学に何人合格させたとか。落第生を出さない取り組みは、今の文科省なら成果とはカウントされないような気もしますが…。

「東京新聞」は東芝で研究者だった女性の裁判を報じています。

http://homepage2.nifty.com/tsbrousai/news20130705.html

http://tocana.jp/2014/03/post_3860_entry.html



彼女は、衆議院(参議院だったかも?)議員会館で行われた「女性の労働、均等法」の院内集会で私の前に座っていました。細くて、ずっとしんどそうでしたから、よく覚えています。彼女と同じく液晶画面の開発に携わっていた男性同僚が半年の間で2人自殺した職場でした。「今年の秋に新製品を売り出す」のような会社の目標に向かって、成果を出さねばならない職場だったようです。

一面の見出しにあるように、ここで問題なのは「残業代ゼロ」でしょうか?では、残業代が支払われれば労働者は何時間でも働いてもいいのだとも、記事は読めますよね。

1986年施行の均等法と同じ道を辿りそうです。それまでの女性保護法を撤廃、女性も男性並みに働けるようにしたのが均等法でした。その結果、現在、非正規労働者の2/3は女性です。男性並みに働けない女性は正社員の座から滑り落ちました。残った女性は、男性と同じ過労死に至る正社員の道を歩んでいます。

こういう見出しにするのではなく、「どこまで際限なく働かせる気だ!」「過労死も鬱もさらに増える!」のような見出しにしないと、本質がつかめませんよね。

毎度、私が比較の対象として引き合いに出すEUは、残業代については労使の問題だとして、政府は介入していません。日本より規制が緩いようにも見えますが、週労働時間はばっちりと規制していて、48時間が上限です。この48時間は、時間外、即ち残業時間を含めたものです。さらに、EU指令では、一日に付き最低連続11時間の休息期間を設けなければなりません。
医療費高騰し、社会保障の財源は危機的だから、応分の負担を…ということで日本の消費税が上がりました。安く長時間使える労働者、企業で病気が発症すれば、企業が責任を取るのではなく、税金で賄おうとする魂胆も透けて見えます。東芝の女性研究者の裁判は、原告が勝訴しましたが、この提言が法律になれば彼女は救われないことになります。



先日、「神風」というドキュメントを観ました。特攻作戦から生還した男性が、「私は大学生だったので、アメリカの物量を知っていた。そのアメリカと戦争をして勝てる訳ないと思っていたから、零戦の乗るのがとても怖かった」と証言していました。また、別な集まりで、80代の方が「日本はこの先どうなっていくのだろうか」と仰いました。私は年齢を重ねる毎に嘆きが深くなっています。私のような、特に専門の研究者でもない人間でも、安倍政権の目指す方向は間違っていると考えています。専門家、例えば上記の零戦に乗らねばならなかった大学生のような、既に労働問題に精通している人は、苦しいだろうなと想像します。
そして、ついにある研究者に言ってしまいました。「先生は何をされるおつもりですか」とね。

自分のことを棚に上げての不遜な言葉でした。でも、ちょっこと言いたい。その道の専門家、警鐘を今鳴らさずしていつ鳴らすお積りですか?

そうそう、女性労働の仲間のスウェーデン研究家が書いています。舞台は当然スウェーデンです。

減税を唱える現政権に対し、国民は減税分の一万円、例えばレストランで消費するよりも、集め合わせ、不遇な人に再分配することは、思わぬ事故や不幸、高齢により困る可能性のある自分に得だと思い始める。ままならぬ人生を背負う個人の安全保障を、国家という連帯の機能で納税を通して行ってきたスウェーデン人にとって、その機能がない国家は退場して頂きたい。(いこ★るvol39『スウェーデンを通して見る「くにのかたち」榊原裕美著』)

あらゆることが個人責任にされつつある日本に住む私には眩しいような考えです。

では今日はここまで。

今回は信楽MIHO美術館の枝垂れ桜です。
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労働者派遣法&転勤要件

このブログの目的が逸脱しないように、最初は労働問題から書き始めるという決心は早や崩れました。

なんで内閣支持率が59%もあるの?

413日の京都新聞は、共同通信社の全国世論調査の結果を報じました。

集団的自衛権行使を容認する憲法解釈変更に反対が52.1%で゙賛成の38.0%を越えているのに、原発再稼働を進める政府の「エネルギー基本計画」を評価するのは39.0%で評価しない53.8%なのに、武器三原則に代わる新たな輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」に賛成は36.2%で反対が50.4%なのに、安倍内閣の支持率は前回322日の調査より2.9%上昇とあります。

JR山科から三人の中年女性が乗車。座っている私の背後に関東弁が聞こえる。その内、車内で「あんな」と親に話しかける子どもの声。間髪いれず背後の女性の1人が「孫も『あんな』という。だらしない言葉。だからその都度『あのね』と言い直させている」と言った。どうも孫は関西圏に住んでいるよう。「あんな」、優しい響きの言葉ではありませんか?関西圏の列車の中で「だらしない言葉」と公然と言う神経が理解できません。電気を供給して貰っていた福島の人々の思いを考慮せず、都知事選で原発事故を争点にしなかった東京都民の片鱗が見えた気がしました。こういう人が安倍政権の支持率を上げているのかと勘ぐってしまいました。我が娘は子どもに「由緒正しい江州弁(豪州弁ではない)を喋りや」と言っている。あっぱれです。

前回書いた今法案化真っ最中の「労働者派遣法」について、派遣労働者として働いている女性たちの対談が「労働情報884885に載っています。国会答弁ではなく本音トークなので状況がよく分かりますが、パートと派遣の違いを一言で言えば、解雇し易さにあると私は思っています。派遣労働者は派遣先の会社からすれば、レンタル労働者だから、必要がなければ「お返しします」と言えば済みます。ややこしい手続きは必要ありません。では、なぜ労働者は派遣で働くのかと言えば、パートでは生活できないからです。派遣も正社員に比べれば格段に安い賃金ですが、正社員並みの労働時間を要求されます。フルタイムパートという働き方もありますが、賃金がすこしはましな派遣労働とどちらで働くか、悩ましいところです。正社員並みの労働時間を要求されるのなら正社員にするべきと思うのですが、今目論まれている派遣労働者法では、永久的に派遣労働者を雇用できるシステムになっています。対談でも「派遣労働者の求人票しかない」と話されています。日本の派遣労働者は圧倒的に女性が多いですね。男性はリーマンショックで失業し、住むところも失い、日比谷公園で「年越し野宿村」が設営されて表に現れてきたけど、この人たちは製造現場が主でした。事務系は女性の派遣しかいないというのが現状です。最近の日本の派遣労働者の数は100万人を少し下回り、女性が2/3、男性は13/です(総務省統計局2013年2月)。派遣も含めた非正規労働者の7割は女性です。ネットで調べていたら、派遣労働に関する以下の文を発見。羨ましい箇所を太字にしておきます。


フランス:雇用省(2011Linterim en 2010 : reprise du travail temporaire

恒常的業務に関わる派遣労働の利用は禁止されており, 利用事由は, (1)代替要員の補充, (2)企業の業務量の一時的変化への対応, (3)本来的に一時的な業務(季節労働等), (4)雇用政策上の措置(訓練目的の派遣労働及び就職上の困難に直面する者の派遣労働)―のいずれかでなければならない。

派遣先労働者との賃金, 労働条件の均等原則あり。

派遣期間の上限は原則18か月, 更新は1回まで(更新前の契約期間と合わせて18か月以上は, 原則として不可)他の雇用者の代替要員及び安全確保のための緊急作業の場合は最長9か月。

派遣先は派遣元の社会保険料の未払いについて連帯責任あり。

国会で「転勤要件」について質疑がされています。ちょっと紹介。

4月1日参議院厚生労働委員会

福島みずほさんの質問内容の一つは次のようなものです。私流に要約しました。

「均等法には、転勤を理由として女性を差別してはいけない」とあるのに、パート労働法では、パート労働者が正社員になるためには3つの要件を満たさなければならないとあり、正社員と同じような仕事をしてること、継続して勤務していること、将来に転勤できること(過去に転勤したことがある)である。非正規労働者の多くは女性である。均等法では転勤要件を禁じ、パート労働省では転勤要件を入れるというのは矛盾しているのではないか?」

これに対し、田村厚労省大臣の答弁は以下です。

確かに、パートタイムという形態で働く方々には女性が多いのは事実でありますが、これは女性に限った働き方ではないわけでありまして、当然、男性もパートタイム労働をされている方々はおられるわけであります。

ですから、その中において、この転勤というもの、まあ転勤だけではありませんけれども、その人材活用の仕組みというものが要件に入る。これは一般の働き方と同じ話でありまして、一方、均等法の中で合理的でないものに関して、それは転勤等々は要件にしちゃならぬわけでありまして、そこは十分に両方ともバランス取れているわけでありますから、女性に限ったパートタイム労働法でないということで御理解をいただきますようお願いいたします。

 

均等法の転勤要件は、これで女性を差別してはいけないことだが、パート労働者には男性もいるから転勤要件が入っていることは矛盾しないと田村さんは言いたいようです。福島さんは、質問の中で「パート労働者の7割は女性です。」と念を押しています。田村厚労省大臣の回答は的から外れています。こんな答弁で国会質議が通って行くなら、国会なんか必要ないやんか!(正当な江州弁か?)

では今日はここまで。
海津大崎の桜をおまけします。
琵琶湖から見た桜

非正規労働者の賃金ー3人の女性&職務給と職能給

いつもとりとめない私の感想を先に、本題は最後にちょっと、を反省し、今回は前回の続きから始めます。前回の課題は、職務給と職能給でした。
日本は、先進国の中では特殊な賃金体系で、所謂職能給です。

昨夜、非正規労働者の小さな集まりに参加しました。大阪府下のハローワークに9年間勤めていた非正規労働者が、例年のように雇用の更新があると信じるに足る上司の言動にもかかわらず解雇されました。現在その不当性を問うている裁判の原告を励ます会です。励ます話をしてくれたのは3人。
京都市女性センターウィングス京都の非常勤職員の伊藤真理子さん。ーこの方は、仕事の内容が正規と同じ、というよりも、彼女が就いていた相談業務は嘱託しかいない、言いかえれば、正規職員と相談者からは思われていたー伊藤さんは正規職員との賃金差を求めて裁判をされました。(詳細は、伊藤真理子さんと検索すれば出てきます)京都地裁、大阪高裁、最高裁全て伊藤さんが負けました、具体的に伊藤さんから仕事の内容の説明がありましたが、他の部署の正規職員と同じくらいの仕事内容でした。伊藤さんの裁判後、嘱託職員の給料は大幅に改善され、嘱託かから正職員になった人が現在課長の職にいるそうです。

2人目は大椿裕子さん、関西学院大学を雇い止めされた方です。大椿さんは、裁判ではなく労働審判の方法を選びました。大椿さんは「4年任期」の契約で雇用されていたので、裁判では即刻敗訴の可能性が高いと判断されたからです。(大椿さん、労働審判で検索してみてください)大椿さんは関西学院大学の障害のある学生支援コーディネーターの仕事をしていました。大椿さんはなぜ4年で雇用期間が切られるかに疑問を持ちます。当然ですよね、新たに入学する学生に4年の経験は生かされます。有期雇用20年というような人はざらにいます。20年もその仕事が続いているのであれば、その仕事は無期雇用ということですよね。大椿さんが解雇された後に、経験のない人が採用されたそうです。

3人目は神戸刑務所偽装請負国賠償裁判元原告の凪佳子さんです。凪さんは、刑務所内の受刑者のために、刑務所職員と相談しながら、炊事担当の受刑者と共に服役者の食事を作ってきました。しかし、凪さんは、業務請負契約を結んだ派遣元から刑務所に派遣されていたので、刑務所職員から指示や命令を受けない立場なのです。なぜなら、刑務所は凪さんの直接の雇用主ではないからです。大阪高裁は、一審の神戸地裁の判決を変更し、165万円の賠償を命じました。(たまには労働者勝つこともがあるのだぁー)これも検索すれば出てきます。凪さんの裁判の後、全国の刑務所は管理栄養士を直接雇用に切り替えました。

3人とも、思い出したくもない裁判での屈辱や悔しさはあるが、後に続く女性たちの力になれたのではないかと思っていると話されました。

特に、伊藤さんのケースは、今日のテーマである職能給と職務給に深く関係しています。

今、卒業生の何人かに協力して貰って「非正規労働者の実態調査」をしています。やはり、仕事の内容と賃金が釣り合っていないとの声が多いですね。

正規労働者と非正規である卒業生の仕事の価値についての質問に、漠然とではありますが、各自が点数を付けてくれました。正規を100点とすると、非正規である卒業生は100点とか、90点とか。ところが、賃金となると正規がいくら貰っているか分からないとの回答です。職場で、賃金の話をしないというのもありますが、非正規は時給で、正規は月給ということも要因の一つです。手当を除く「基本給を労働時間で割る」というのも時給の目安になりますが、正規労働者にはボーナスもあり、退職金もあります。また、非正規労働者には支給されない住居手当や家族手当、金銭には換算しにくい福利厚生費用も支給されています。非正規は時給と通勤費(これも時給に含まれている人もいます)しか支給されていませんから、正規の貰っている諸手当もやはり賃金の内と考えなければ、納得できないません。このように、仕事の価値は、正規と非正規で大ざっぱでも判断がつくのに比べて、正規労働者の賃金を時給換算するのはとても難しいのです。また、同じような仕事をしている正規にも、賃金に違いがあります。単に勤務年数が長いということだけが賃金に反映されている訳ではありません。
これが顕著に現れるのが、男女の賃金差です。ずっと書いています中国電力男女賃金差別事件の原告の長迫さんが典型的な例です。

なぜこのようなややこしいことが起こるかといえば、日本の賃金体系が年功賃金という職能給だからです。仕事の価値で賃金が決まるのではなく、職務を遂行する能力とか、意欲とか、努力とか、企業への忠誠心とか、目に見えない不確かなものを査定した結果が賃金に反映されるのです。これに対し、仕事の価値に基づく賃金体系を職務給といいます。

日本の企業に勤める大半の正規労働者は、入社後、営業からデスクワークまでいろんな分野の仕事を経験し、昇格・昇給していきます。EUの職務給の考えからすれば、これはあり得ません。EUやアメリカでは、エリートでない限り、営業から経理事務へといった部署替え、他の地方への転勤はありません。労働者は契約書にある以外のことはしないというのが原則です。日本では、最初に配属された例えば、経理課勤務の辞令が永久に続くとは、特に男性は思っていません。

もし、ある会社で、同じような労働条件で、経理の仕事よりも、営業の仕事の方が賃金が多いのなら、営業の職に就きたいと思う人は多いでしょう。これでは人事異動はできません。誰も安い賃金の職に就きたくないからです。転勤あり、いろんな部署への異動ありを可能にするには、職能給という年功賃金体系を取らざるを得ないのです。日本で、仕事の価値を計る職務評価制度が普及しない、抵抗が大きいのは、このような特殊な賃金体系があるからです。

では、職能給だったら、非正規労働者の仕事の価値と賃金をどのようにして計ればいいのでしょうか?
こんなに頑張って仕事しているのに、なんでこんなに賃金が低いの?卒業生の嘆きは解消されないままです。結局、比較し難い日本型賃金体系の中での、非正規労働者の賃金は、その人の仕事の価値で決まるのではなく、国の最低賃金の額で決まっているのが現状です。

ユニクロは、現在の30000人の非正規の内、16000人を限定正社員として採用すると発表しました。賃金は正社員の8割程度とか。これが一つの手掛かりになるかもしれません。まず、限定正社員と非正規の職務評価をする。職務評価は、負担、知識・技能、責任、労働環境の4つです。昨日非正規、今日から限定正社員。何が変わるのかを分析すれば、非正規の賃金の目安が計算できるかもしれません。ただし、あのユニクロです。限定正社員も非正規と同じくらいの賃金だとすると、また別の問題も生まれますが、この制度が動き出したら、賃金表を手に入れ、職務評価をやってみる価値はあると思います。
うまくいけば職務給の道筋が見えるかもしれません。

では、今日はここまで。

東北大震災3年目の日に閣議決定された労働者派遣法

311日の東北大地震が起こった時間、今年、私は図書館にいました。館内放送があって黙祷しました。
反原発の集会が39日、膳所公園であり参加しました。集会で、福島相馬市から滋賀県に避難されている佐藤さんの話がありました。原発の爆発大事故の後、佐藤さんは小さい子どもを連れて最終的に滋賀に来られましたが、自主避難です。政府からの避難指示が出た地域から避難したのではなく、避難指示が出ていない地域からてんでばらばらに知り合いを頼って避難したのが自主避難です。この自主避難した人には、皆無と言っていいほど保障がされていません。要は、お上(かみ)の指示に従わなかった者は、お上の保護の対象にならないということだと思いました。後から後から出てくる事実。放射能を過小に見積もる政府の思惑通り、政府の言うことに疑問を持つ人は放射能に神経過敏になっていると非難され、科学的な根拠の不確かなものは、風評被害で一括りにしてしまう風潮に、福島の人たちは抗うことができない中に置かれているようです。憎むべきは原発推進を推し進め、絶対安全という神話を支えてきた政権、官僚、研究者、マスコミ、電力会社なのに、同じ被害者同士がいがみ合っているのが現状です。矛先が向かわないから、本来の責任者は安泰です。連帯するべき者を対立させているのでは?と疑ってしまいます。

毎週金曜日の関西電力前集会で、関電のビルに向かって「関電で働いている人、よう聞いてや。原発はあかんで。あんたら反省しなさい」のような言葉を発する人がいます。確かにそうなんだけど、違和感あります。今、関電ビルの中で、集会参加者の声を聞いている社員の中には、原発反対!と思っている人もいるだろう。でも、口に出したら職を失うかもしれない。福島で被災した人がお互いにいがみ合うような状況を、関電の社員と集会参加者との間で作ってはいけない。「関電で働いている人、集会の邪魔せんとい」くらいにしないと連帯はできません。福島から自主避難した人、福島に留まっている人、お互いに齟齬を生み出している状況を、ある高校生の家族を通して書いた記事を読みました。辛い内容ですが、状況をよく捉えている文章です。「続きを読む」に入れました。

さて、今日は、職務給と職能給の予定ですが、とんでもないことをドサクサまぎれに内閣がやってくれました。311日の東北大震災に人々が思いを寄せている日に、最悪といわれる労働者派遣法の改正(史上最悪)案が内閣で決定されたのです。閣議決定され、国会で審議されるという過程があっても、特定秘密保護法の国会採決で経験したように、与党は強硬なる手順で、いずれ法案は法になるでしょう。労働者派遣法は、当初の趣旨(そんなものがあったとは思えませんが…)どんどん変わってきています。

今回の大きな改悪点は、以下です。(ブルーは私の感想です)

企業が3年ごとに働き手を交代させれば、どんな仕事も、ずっと派遣に任せられるようになる。いまは秘書や通訳など「専門26業務」でない限り、3年までしか派遣労働者を使うことができなかった企業は、3年その仕事をしたAさんを解雇し、Bさんをその仕事に付けることができます。(今までは26業種以外は、3年以上その仕事をしていれば、Aさんを正社員にしなければなりませんでした。実際は違法だらけですけど)。また26業種も撤廃されます。永久に派遣労働者は派遣のままで、企業間をたらい回し状態で働くこととなる。→ある仕事を派遣労働者がずっとやってくれるのなら、正規労働者は必要なくなる。→but、その企業で、スキルアップした良質な労働者は少なくなるだろう。
人材派遣会社はすべて国の許可制にする。派遣労働者への教育訓練を義務づけ、待遇改善に向けた国の指導も強める。→派遣労働者が派遣先を解雇され、すぐに次の派遣先企業が見つからなかった場合、案では派遣元会社はその労働者を派遣元で雇いなさいとある。そんなコストのかかることを派遣元会社はしないから、教育なんかもしない。

労働者派遣法はどんどん企業側の都合に良いように変わってきていますし、ぱっと読んでだけでは何が問題点なのか直ぐには分からないような内容です。私はこう考えています。法の中身を変えるよりも、正社員よりも時給を2割増しにするというEUの方針を取り入れたらと思います。でもこれが最も難しいですね。正社員は、「パートは安くて当たり前」と信じ切っているし、パートもそう思っている人が多いから。

今年は、春闘に非正規労働者の賃上げも加わったと報道していました。スーパーを支えているのはパートの女性たちです。なぜ、日本のパートの賃金は、正社員に比べて安いのでしょうか?EUは日本よりは格差が少ないのでしょうか?それの手がかりが、職務と職能の考え方です。結論から言うと、日本の正社員は職能給といわれる賃金システムにいます。これからはチト眠たくなる内容だから、次回に回します。

では、今日はここまで。「続きを読む」もよろしく。

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教育列車はどこへ行く&非正規労働者の賃金のなぞ

元同僚とお茶しました。現職の「良い時に辞めましたね」という言葉は、賃金や退職金だけでなく、仕事量や教育そのものについての息苦しさに耐えかねての発言です。今年4月から現在の高校の授業料無償化が、親の所得910万円以上は有償になります。これは民主党が2010年に全員無償化したものを、自民党政権になって変更したものです。
全員有償化にしなかったのには理由があります。無償化は、日本が国際人権規約「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」第13条を批准しているからです。ただ、日本は批准したけれど、「経済的に苦しい」という理由で留保とし、30年間無償化を実施して来ませんでした。国連からは何度も勧告を受けていましたので、民主党がただ単にばらまいた訳ではないのです。しかし、自民党が「ばらまき」と民主党の政策を非難したとき、マスコミはこれが特別なことではなく、むしろ日本は遅きに失しているのだと報道せず、民主党の政策をバッシングしていたような記憶があります。
アメリカを除く先進国では、大なり小なり大学までは無償です。一時は世界第二位の経済大国になったこともあったのですから、留保は取り消せたと思います。どこに税金を使うかの問題でしょう。報道でしか情報を得ることのできない大多数の人々を操作することは、マスコミを含め、権力を持っている人にはたやすいことです。

「授業料無償化が保護者の所得で有償になるけど、また仕事量が増えるね。職員会議での反応はどうだった?」との私の質問に、「話題にすらならなかった」とのことでした。保護者の所得で線引きするということは、全保護者の所得証明書を集めなければなりません。私の経験からすると、そんなすんなりとは出て来ない。事情によっては、出せない保護者もいるでしょう。「担任、事務室の事務量を誰も考えなかったの?」と私は問いました。「もし税金で賄うのが難しく、高所得の保護者には応分の分担をと考えるのなら、所得税で調整するべきでは?」が私の考えです。徴税システムは既に確立されているので、全体的な事務量を考えればこちらの方がずっと理にかなっていると思います。前回のブログに書いたように、声を挙げなければ変わりません。これ以上事務量を増やして、本来の授業や生徒との時間が疎かになるのに、職員会議で問題にすらならなかったのが不思議でした。

ドイツの小学校の先生について以前に書きました。担任がお休みしたときの学校の対応についてでした。読んでおられない方は20131024日のブログを見てください。

ブログにある対象者は小学生低学年です。どうも日本のように学年一律にカリキュラムが進むというようではないそうです。ある日突然、5枚のプリントを持って帰ってきて、「明日、これがテストに出る」と言う。内容は日本で言えば高学年の「温めた水に温度計を浸けると、なぜ温度計の赤い液体が上がるのか」を説明するというもの。一切学校では習っていないのだそうです。ドイツもフランス(この二カ国しか情報が入ってこないのですが…)も小学高学年で、将来の進路コースを決定するシステムです。それを決める要因は成績です。
日本よりはずっと女性の社会進出が進んでいるこれらの国の親は、子どもの宿題にどのように対応しているのでしょうか?疑問だらけです。キャリアママ道を邁進するなら、子守りと家庭教師は必要条件とか(全てのキャリアママがそうではないでしょうが)。家庭学習ははんぱな量ではなく、これを支えるためには親の負担は相当なものになる。だから、日本の労働者のような働き方はできない訳で、労働問題もこういう点からも比較する必要があると、話を聞いて思いました。
日本の教育を受けた人が、ドイツの小学校の教育を理解するのはなかなか難しいようです。「きめ細やかな先生の指導の下、毎日楽しく学校生活送ることがをできても、その教育という列車の行き着く先が、自由とか基本的人権のないところなら、ドイツの方がましだから、ドイツで頑張る」というのが結論でした。

さて、本来のブログ、労働問題です。労働者派遣法の国会質疑の中継を見ました。共産党の高橋千鶴子議員が質問し、田村厚労相大臣が答弁していました。やはり野党は必要ですね。それも舌鋒鋭い、その問題に精通している人が。

国会で審議中なのでまだ結論は出ていませんが、審議会の答申通りに可決されるでしょう。日本は、正社員に比べてかなり賃金の低い、雇用期間の不安定な非正規の労働者ばかりになる道筋の法律です。企業は、短期的な仕事だから非正規を雇用する訳です。短期的だから、社員並みの福利もないから、時間当たりの賃金を正社員よりも二割高く設定するというのが、非正規労働者への待遇、これがEUです。日本の派遣労働者は、低賃金プラス雇用期間不安定プラス働いている企業に直接雇用されていない形態です。
極端な場合、「明日から来なくていい」と言った会社は、何ら胸の痛むこともなく通告できるシステムです。不安定な労働者を減らしていくのが、根源です。この根源が守られていれば、ある程度の社会問題は解消されます。では、なぜEUのように非正規と正規の時間当たりの賃金が同じであるところから出発できないのか?とても疑問ですよね。
それは職務給というに考えあります。田村厚労相もこの点に言及していました。

次回は、職務給と職能給について書きます。
現在国会で審議中の労働者派遣法には、経営陣からも疑問が出ているそうです。そのあたりも調べてみます。

では、今日はここまで。

凡庸な悪

「聴衆者の皆さんが、沖縄のことを心配してくださるのはありがたいけど、沖縄のことは沖縄でやりますから、あなた方は地元でやるべきことをやってください。声を出さない、出しても小さいから滋賀の頭上にオスプレイは飛び、北丹後に米軍のレーダー基地が来るのです」。これは、沖縄国際大学教授の前泊さんが講演で話された言葉です。耳が痛かったです。前泊さんのご両親は宮古の方だそうで、前泊さんはずっと沖縄に関係して生きて来られた方です。元々ジャーナリストなので、お話も分かり易かったし、著作も難しくはありません。ただ、沖縄の抱える問題は理解を超える理不尽さです。「沖縄と米軍基地」(角川新書)、「入門日米地位協定」(創元社)などが、書店に並んでいます。

久し振りに現代社会の授業を思い出しましたが、サンフランシスコ講和条約締結の1952428日から61年目の昨年428日に安倍政権は、「日本主権回復の日」の式典を行いました。日本はこの日に連合国(代表アメリカ)の占領下から解放されました。しかし、沖縄は返還されませんでした。だから沖縄にとっては、見捨てられた「屈辱の日」なのです。東京での「式典」の報道はありましたが、沖縄の怒りは殆ど報道されませんでした。

報道に関しては、東京都知事選も同じようなことがあったようです。東京在住の知人からのメールでは、都知事選の街頭演説報道も、意図的だったと言ってました。彼女が街頭演説を聞いたとき、聴衆者の多さから言えば宇都宮さんが一番だったけど、その日のNHK報道では3番目に放映されたそうです。また、女性たちが舛添さんの女性蔑視発言を告発しましたが、これも報道されませんでした。情報は出来るだけ沢山あるべきです。その中から取捨選択して投票するのですから。舛添さんの女性蔑視発言はこのサイトに出ています。
http://masuzoe.wordpress.com/2014/02/04/words/

事前に知らされていたならば、舛添さんへの女性票はもっと少なかったかもしれません。
前泊さんの講演を聞いた日は211日でした。丁度その日は、ケネディアメリカ大使が沖縄を訪問する日でした。当日の沖縄の2大新聞、沖縄タイムスが一面に、琉球新報社が2面全部に、普天間の辺野古移設を初めとした沖縄の直面している基地や日米地位協定の問題点を英語版で掲載したそうです。本土(この呼び方違和感ありますね)のマスコミの扱いは小さいものでした。福島原発以降、マスコミの報道は疑ってかかる、当然ニュースソースの政府の発言はもっと疑うということを殆どの人が学びましたが、まだまだ知らされていないことが多々あるのでしょう。

前回報告した中国電力男女賃金差別裁判の原告が8年ぶりに転勤しました。最後の一週間は今まで以上に「村八分」だったそうです。嫌がらせをした職場の上司や同僚はどういう人たちなのでしょうか。最後の最後まで、彼ら彼女らがどんなに原告に卑しい嫌がらせをしたかを書くのもおぞましく、ブログの品位が下がりますので、ここでは止めておきます。嫌がらせ、モラルハラスメントですが、この行為をした上司、同僚はそのへんにいる普通の人たちでしょう。
映画「ハンナ・アーレント」で、主人公のハンナ・アーレントは、ドイツナチスの高官のアイヒマンの裁判の傍聴をします。ハンナ・アーレントはユダヤ人で、収容者に送られた経験があります。多くのユダヤ人を収容所に送ったアイヒマンは、さぞかし巨悪な人間だろうと彼女は推測します。しかし、裁判を傍聴して、彼女はアイヒマンが余りにも凡庸な男であることに愕然とします。あれほどの悪事をするのは、凡人では出来ないと思っていたからです。彼女は「「悪は特別な人間が行うのではない。平凡な人間が悪を働くのだ。なぜ悪を働くようになるのか?それはその人が<考えること>を止めたときだ」。

沖縄の抱える問題に正面から向き合おうとしない政権、福島原発を都知事選の争点にしなかった都民、中国電力男女賃金差別裁判の原告に徹底的にハラスメントで送りだした職場の上司・同僚(バックに経営陣)、みんな考えることを止めたようです。勿論私も十分に凡庸な人間なので、常に自戒しなければなりません。年齢を重ねるほど、生き難いと考えるようになりました。
労働者派遣法が超改悪されそうです。マスコミが報道しだしたら取り上げることにしましょう。

労働問題の殆どない内容でした。今日はここまで。

中国電力男女賃金差別裁判原告敗訴判決の持つ意味

ずっと課題だった、中国電力男女賃金差別裁判のことを書きます。

広島高裁でまさかの敗訴については、昨年のブログに弁護士の解説を書きました。原告は最高裁に控訴しましたが、さて、最高裁はこの控訴案件をどのように扱うのでしょうか。ずっと疑問でした。
その疑問を持ったまま、昨年1224日に、WWN、均等待遇アクション21、昭和シェル石油労組の女性たちと、最高裁前でビラまきをし、その後最高裁の建物の一角の部屋で、「広島高裁の判決は不当。最高裁は広島高裁の判決を破棄してください」との申し入れと署名提出をしてきました。
対応してくれたのは、最高裁首席書記官補佐の方でした。ビラまきは割と慣れています。受け取り率は高かったようですが、若い女性が頑なに手に取らなかったように感じましたが、なぜなのでしょうか。なんでも雇用問題に関係してしまう私は、ここでも正規職員と非正規との地位の安定度について疑ってしまいました。最高裁に入って行く若い女性は、非正規待遇の人が多かったからかも知れないと…。全国から毎年3000件前後の控訴が最高裁に行くそうです。最高裁の裁判官は長官を含めて15人です。長官もカウントしても単純割り算で1人の裁判官が200件を受け持つことになります。一年365日、土日と祝日、年末年始、盆休み等を引くと230日前後が労働日です。最高裁に来る控訴を翌年に持ち越さないとすると、ほぼ毎日判決をしている計算になります。中国電力の裁判の資料だけでも、相当な枚数になります。鑑定意見書だけでも、凄い枚数でした。鑑定意見書では、原告の仕事の内容を詳しく分析してありますから、読みこなすだけでも大変な時間と知識が必要になるでしょう。


で、最高裁に控訴された後のことを書いた一文を見つけました。「続きを読む」を見てください。やはり、壁は厚いですね。調査官は法令に照らし合わせて審議するから、原告の悔しさを汲みとることはないでしょう。引用した本には、原発の設置をめぐる裁判、自衛隊の基地に関する裁判等における政界と財界、顔色をうかがう司法の関係が描かれています。

なので、原告側の努力が報いられるかどうか甚だ疑問ながら、最高裁まで支援者が出向いたのは、この広島高裁判決が確定してしまうと、今後の男女賃金差別裁判に大きな汚点を残すことに繋がるからです。

宮地弁護士が、支援者が理解できるように「男女賃金・待遇差別裁判」の今までの判例をまとめてくださいました。

列挙しますから、詳細はネットで調べてください。

*秋田相互銀行事件:賃金制度上の差別→1975410日秋田地裁原告勝訴

*日本鉄鋼連盟事件:男女別コース制・賃金率の男女間格差→1986124日東京地裁原告勝訴

*日ソ図書事件:職務の同等性→1992827日東京地裁原告勝訴

*三陽物産事件:賃金制度上の差別→1994616日東京地裁原告勝訴

*石崎本店事件:初任給格差→199687日広島地裁原告勝訴

*芝信用金庫事件:職能等級制度のもとでの昇給差別等→20001127日東京高裁原告勝訴

*塩野義製薬事件:男女別コース制・職務の同等性→1999728日大阪地裁原告勝訴

*住友電工事件:男女別コース制→2000731日大阪地裁敗訴→大阪高裁で勝利和解

*シャープ関係会社事件:職能等級制度のもとでの昇格差別→2000223日大阪地裁原告勝訴

*商工中金事件:職能等級制度のもとでの昇格差別等→20001120日大阪地裁原告勝訴

*住友化学事件:男女別コース制→2001328日大阪地裁敗訴→大阪高裁で勝利和解

*内山工業事件:賃金制度上の差別→20041028日広島高裁岡山支部原告勝訴

*京ガス事件:同一価値労働→2004920日京都地裁原告勝訴

*野村證券事件:男女別コース制→2005220日東京地裁原告勝訴

*昭和シェル石油事件(野崎事件)2007628日東京高裁原告勝訴

*兼松事件:男女別コース制→2008131日東京高裁原告勝利

*岡谷鋼機:男女別コース制→20041222日名古屋地裁原告勝利

*住友金属事件:男女別コース制→2005328日大阪地裁原告勝訴

*日本オートマチックマシン事件→男女別コース制→2007123日横浜地裁原告勝訴

*阪急交通社事件:職能等級制度のもとでの昇格差別→20071130日東京地裁原告勝訴

*昭和シェル石油事件:職能等級制度のもとでの昇格差別→2009629日東京地裁原告勝訴

*鈴鹿市役所事件:1980221日津地裁判決勝訴1983428日名古屋高裁原告敗訴

*中国電力事件:2011317日広島地裁原告敗訴2013718日広島高裁原告敗訴

(宮地弁護士によると、原告の請求が一部だけ認められたのも「勝訴」に含まれているとのことです。)


中国電力判決の持つ意味を理解できましたか?最後の二つは原告が敗訴した裁判です。でも、鈴鹿市役所は、地裁では勝っています。地裁も高裁も原告が負けたのは、中国電力事件だけなのです。この判決が確定してしまうと、これから裁判で闘おうとする女性たちに不利になる可能性大です。なぜなら、裁判官は前例にもとづいて判決を出すのが殆どだからです。このへんも、「続きを読む」に入れた『法服の王国』にしっかり書かれています。

では、今日はここまで。

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ある職場の報告

今年もよろしくお願いします。

一月から、ブログの更新が遅れました。トホホ、先が思いやられます。

さて、元旦早々、職務評価の助っ人に新幹線に乗って出かけました。ナント、格安チケットもジパングも使えない期間で、正規の運賃を払ってしましました。年金生活者なのに。

年末に予告していた中国電力男女賃金差別裁判の報告を押しのけて、これを書くのは、労働者の実態はとても酷いのですが、まさしく「働く仲間」といった感じの人たちに出会ったからです。

男女賃金差別裁判を起こしたのは2人の女性。彼女たちの仕事が男性と同じか、それ以上だったにもかかわらず、男性より低い賃金に置かれていました。こういう場合、それを証明するのに職務評価という方法を使います。日本ではまだまだ普及していない方法ですが、欧米では一般的で、沢山の本も出ています。

原告の仕事に1000点満点の何点が付くか、果たしてそれが賃金額と合っているのかを調べるには、比較する対象が必要です。

でも、裁判ともなると、比較対象者の協力はなかなか得られないのが普通です。なぜなら、裁判の証拠として提出される場合、「なぜ原告に協力したのか」と会社から睨まれてしまうからです。仮に対象者が退職していても、なかなか会社側を敵に回してまで原告の味方をしてくれる人は少ないですね。ところが、比較対象者になってくれる2人の男性が同席してくれたのです。

原告の女性KさんとNさんの職務評価の結果、かなり高い点数が出ました。男性比較対象者とほぼ同じだったのですが、男性が班長とかの肩書きがある分だけ、ほんのちょっとだけ低くなりました。でも、賃金差は、仕事の点数とは比べものにならないくらいの大きさでした。こういうことが職務評価で分かったのです。これを裁判の証拠に使えるかどうかは分かりません。なぜなら、日本の経営者はこの職務評価を認めていないので、裁判所も当然同じ傾向だからです。しかし、作業中にいくつか深く心に刻むことがあったので、以下にまとめました。

中小企業の現場で働く人たちの賃金は凄く低いということ。

私の友人にも低い賃金の人はいますが、勤めている先がNPOとかの非営利団体なので、低いのは当然と勝手に納得していたところがありました。この会社は全国に工場のある中堅どころの会社です。

職務評価をしている人たちの雰囲気が良かったこと。仲間という感じで、会話も暖かい。お互いによく知っていて「自家製の化粧品で顔を腫らしてきたね」などと笑い合いながらの作業でした。部屋は寒かったけど、ほかほかしました。

原告たちが仕事と賃金が釣り合っていないとする理由の一つに、仕事の出来ない男性同僚の存在があります。2人いるのですが、この人たちは同じ作業場にいる原告のKさんに比べれば、半分の点数しか出ませんでした。でも、女性のKさんよりはずっと高い賃金です。もし、彼らが、仕事に見合った分だけの賃金であったら、あまり能力のない人たちも働くことのできる、良い職場だと思いました。

ハラスメントは、職場に余裕がないとさらに発生し易くなります。教師もプロフェッショナルとは言えない人もいましたが、そうでない人たちをカバーする仲間意識がありました。これは、一つには、同一労働同一賃金が保障されていたのも大きな要因だと思っています。

労働者にゆとりがなく、目一杯で働く今の職場は、個人的な繋がりもあっさりしていて、スマートになったかもしれませんが、「あんなことあったね」と笑い合う職場からは大きく乖離してきているようです。

給料は安く、男女差もあったけど、残業がなく、働きやすい職場であったことにちょっと感動しましたので、新年の最初の報告にしました。では、今日はここまで

大晦日

2013年も今日だけになりました。今日の前は昨日、今日の次は明日。今日の連続と思えば、特に思い入れることもないのですが、なんとも不気味な2013年でした。ニュースのトップに得意満面の顔で登場する「特定秘密保護法を採決の前にもっと丁寧に説明するべきだった」などと、一般人としてはとても恥ずかしくて言えないことをにこやかに仰る方は、向かうところ敵なしです。

退職前に勤めていた学校では弓道の顧問でした。確か、近畿大会の会場が当県になるとき、県下の顧問が準備の相談をしました。「的から矢を外すとき、担当の高校生に白い手袋をはめさせては」という意見が出ました。弓道そのものは生涯できるスポーツであり、男女が同じ的、近的なら26m、遠的60mの的を狙う、数少ない男女平等のスポーツです。特に近的は、男女混合で競技することができます。実際の大会では男女別だったので、これだけは解けない謎のままでしたが、個人の筋力の違いは、使う弓の弦の張り方の違いでカバーします。強い張りの弦なら、放たれた矢は勢いよく飛びます。弱ければ、もたもたと飛びますが、的に到達すれば結果的には同じことです。プロが読んだら、叱られるかもしれませんね。雨が降って、飛んでいる矢に雨粒が当たれば、勢いよく飛び出した矢は雨粒をはね返し、のろのろと飛んでいる矢は、雨の影響を受けます。まあ、矢の飛びに影響のあるような雨のときは、試合は中止になリます。しかし、弓道は武道なので、非常にお作法を重んじます。当然、道場に入るときは礼をしなければなりません。礼に始まり礼に終わる競技です。大きな声を出すことも禁じられていますし、ひたすら自分と向き合う競技です。道場には日の丸があります。そういう雰囲気の競技に白手袋?私は反対しました。矢は土が付いていますから、白い手袋が汚れるのに、なぜ素手でなく白手袋をはめさせるのか?何か大きな力が押さえつけて行くような気がしたからです。今年のインターハイでは、白手袋で矢を抜いているのをニュースで見ました。今、満面の笑みを浮かべている首相のことと重なります。「使い方の濫用はしません」と言う安倍さんはいつまでも首相ではありません。法律は独り歩きして、白手袋の次に何を要求するのかと重なります。想定外の独り歩きが戦争へと繋がりました。


さて、前回、特定秘密保護法を次回選挙で廃案にするために、何をするべきかを書きました。その続きです。

自民と公明の暴挙を忘れないために、法案が採択されたことを報じる新聞を身近に貼っておくべしと書きました。他紙は知らないのですが、朝日の朝刊は、毎日誰かのコメントを載せています。3年後の選挙まで続けてほしいですね。次に、何が秘密なのかも分からなくなりますから、法の施行後と前とで情報がどのように変化したかを知っておく必要があります。国レベルの情報公開を素人が出来るのかどうかはまだ調べていませんので、これは市民オンブズマンの活動をしている友人に聞いて、またここに載せます。

毎月2回は更新することを目標にし、90%くらいは守れましたが、内容が労働問題ではなく、原発と特定秘密保護法に向かいました。で、特定秘密保護法がみんなの耳目を集めている間に、とんでもない労働者派遣法が検討されています。来年は、中国電力男女賃金別裁判の高裁判決の持つ意味と、最高裁に向けた活動報告から始めます。少しは基本的人権に配慮した政治になるよう、これからも書き続けるつもりです。来年も読んでください。では今日はここまで。


 


誰でもができる特定秘密保護法対抗策

さて、FAXの請求書をどこに出しましょうか?特定秘密保護法(以下、保護法)の強行採決があるとのメールが配信され、微力中の最大効果はFAX攻勢だとあり、国会議員へ連日送信しまくりました(上品ではない表現ですが、「まくる」以外に思いつかない)。参議院での採決に、与党の公明党は、「全部の野党が結束して反対するなら、賛成に回らない」とも聞いていたから、「野党、足並みを揃えて」とFAXしたのです。家にあったFAXはかなり古く、送信にも時間がかかったし、一部黒くなって読みにくかったので、新調しました。通信手段は殆どメールなので、今回のことがなければ新調する必要はなかったのです。やはり、請求書の宛先は、自民党と公明党ですね。


3年後の衆参両議院の選挙までには、今回の乱暴な議会運営をしたことを、大多数の人は忘れているだろう。なぜなら、選挙民は馬鹿だから」と与党の誰かさんが言ったとか。国会議員はみんな?そう思っているでしょう。「忘れる」という意味では私も思ってる。

これからも人々は「豊かな生活」を夢見て馬車馬の如く働くことでしょう。年次休暇を消化するのにも罪悪感を持つ国民性です。学校でも、会社でも、社会でも、「努力が足りないから落ちこぼれるのだ」ときっちり刷り込まれていますから、目の前のことに一杯で、それ以外のことを考えている時間がないのです。だから「政治は政治家にお任せ」になってしまう。「百姓は生かさず、殺さず」は徳川幕府から連綿と続く、為政者の方針なのです。

FAX攻勢やデモに参加できたのは、私は退職したからなのです。高齢者は、時間のない人から委託されていると思うべきですね。

知り合いのドイツ人は、夏の休暇にアジアの海で4週間遊んでいました。「そろそろ休暇も終わってドイツへ帰ったの?」との問いに、「よく考えてみたら、休日出勤した分が一週間消化できていなかったら、まだバカンス先にいます」との回答でした。前のブログで、ドイツの小学校の病欠した先生の代替について書きましたが、日本で暮らす人の常識は、先進国の非常識のようです。


法案を急いで採択した理由の一因は、福島原発事故で権力に疑問を持つようになった市民を警戒してのことでしょう。

法律が成立したからには、嘆いていても仕方ない。次の手を考えないと。

で、ない知恵を絞ったのを一つ紹介します。かなり真面目に考えています。

以下以外にも考えましたが、それは次回に。

取り敢えずの方法:自民党と公明党(衆議院のみんなの党)の議員の顔写真、入手できない場合は名前だけでも、を目に付くところに貼っておく。トイレは無念無想になるところなので、最適かもしれないが、かえって便秘になるかも…。(衆議院で賛成したみんなの党と、参議院の自民党の中に、反対票を投じた議員が出ました。)

法案の条文と解説を(これも新聞とかメールで出ている)、臨時的に目に付くとことに貼っておく。賛成した議員の顔と一緒に貼るのが望ましいが、スペースがかなり必要なので、天井も利用する。

政府には、秘密法の解説パンフを各戸配布するよう要求する。各戸配布が難しい場合は、最寄りの警察に置くように。(この方法はやばいかも。パンフを貰いに行ったら、名前と住所を書かされ、直ぐにブラックリストに載る可能性大)
労働基準監督署とか、ハローワークには、「労働者派遣法」とか、「パートタイマーで働くみなさんへ」とかの解説を書いたのが沢山ありますよ。これと同じようにね。

政府から解説パンフが出たら、研究者や弁護士に裏解説を書いて貰う。これを各戸配布する方法は、う〜ん、募金かな?

最後に朝日新聞夕刊素粒子から引用です。

≪叫び続け、次の選挙まで。沈黙は敗北。秘密法ができた日を記憶に深く刻まん。戦後を戦前に変えようとする日≫

≪我らが指導者は愚かだ、と叫ぶと特定秘密を明かした罪に。旧ソ連の小話がそのまま使えてしまう。いま絶叫す≫

今日はここまで。

 

特定秘密保護法&秦の商鞅の教訓

多くの人が、「特定秘密保護法(以下、秘密法)」の衆議院強行採決のことについて書いていることでしょう。素人の私は極々庶民的感覚で、この暴挙に対して何を考えていたかを記録しておきます。

しかし、最近はよく眠れませんでした。「さて、寝よう」と布団を被ると、あれこれ考えてしまいます。なんで、人々が望んでいない法案ばかりが通るのか、この秘密法にしても、原発にしても、労働者派遣法にしても、均等法改正にしても…です。

少子化担当大臣の森さんが、なぜ秘密法の担当大臣になったのか?森さんに良心の呵責はないでしょうが、目が泳いでました。答弁も抽象的な内容ばかりでした。能力あるにも拘わらず、マッチョな国会議員の世界に生きる女性の屈折した思いがあるのでしょうか?安倍首相を初めとする権力オヤジ(上野千鶴子さんの『女たちのサバイバル作戦』に出てくる男性どもは、オヤジとしか表現が見つからないので、借用しました。)どもに操られていることのジレンマがあの目をさせたのだと、せめてもの情状酌量で思うのです。法案可決に失敗したら「やっぱり女の大臣には荷が重すぎたのだ」と切り捨てられる要員だったのでは?と思ったりしました。

秘密法の特別委員会の後、安倍首相が、保守系議員の会合に出ていた映像がありましたが、安倍首相に盛んに拍手を送っている桜井よしこさんの満面の笑顔も、私には悲しく写りました。
女性ばかりに気持ちを投影すると、男性が「同性の足を引っ張る、だから女性はダメなんだ」と言われそうですね。本会議での法案通過を喜ぶ谷垣法務大臣の顔も絶対に忘れないでおこうと思います。なんであんな嬉しそうな顔ができるの?それにしても、横に並ぶ安倍首相、麻生財務大臣たちも「親の七光り大臣」なのです。安倍首相、麻生大臣の家系図なんか、もう光に溢れています。こんなこと書くと、法案成立後はしょっ引かれるかも。理由は分かりません、それは秘密だから!

世間が秘密法に気を取られている間にも、派遣法や均等法は着々と改悪が進んでいます。均等法は、コース別の文言の入ったままです。でも、今や非正規の問題に注目が集まっていて、「正規!正規なら男女賃金に差別があっても文句言わないの」との状況です。中国電力男女賃金差別裁判の広島高裁判決もその範疇なのでしょう。

さて、前回書きましたこの判決の不当性を論理的に説き明かし、最高裁に、判決を高裁に差し戻すよう要請する署名の主旨の全文が出ました。アクセスして、協力してください。

http://wwn-net.org/?cat=30

法案可決に喜ぶ見苦しい満面の笑みの議員に何か鉄鎚はないか?「こんな法律作らなければよかった」と後悔するようなことは?呪詛、折伏しか思いつかない、余りにも高く堅固な壁。

そうそう、こういう話があります。中国の戦国時代(諸説ありますが、紀元前480年〜紀元前221)、群雄割拠の時代に、後の統一国家となる秦に、商鞅(しょうおう)という人がいました。秦の孝公(紀元前361〜紀元前338)に仕えた商鞅は、取りたてられて政治経済の改革を断行します。その中に「連座制・密告性」、政策を厳格におこなうために「刑法」がありました。商鞅の政策で秦は力を持つようになります。孝公が亡くなると、商鞅に押さえつけられていた人たちが「商鞅は反乱を図っている」と孝公の後を継いだ恵文王に告げます。恵文王の追手を逃れた商鞅は、関所の宿に泊まろうとします。宿の主人は「商鞅様の法で、旅券のない旅人を泊めると、私も同じ罪に問われます」と断りました。商鞅は「法律による弊害がこれほどのものとは、我ながら知らなかった」と言い、ついに追手に捕らえられ、「車裂き」の刑で殺されてしまいます。

私が社会科の教師だったことをこれで思い出してくれましたか?満面の笑みを浮かべてこの法案の可決を喜んでいた方々に、この因果応報の話を聞かせねばならない。どこかで実感して、反省してもらわねばならない。でも、輝かしい七光りの家系に繋がる方々は、「何が秘密か秘密」「秘密の期間は60年」だから、そのような事態に陥らないような法律を、秘密裏に作成することでしょう。もう打つ手がないのかと、寒々としてきます。
では、今日はここまで

中国電力男女賃金差別裁判の高裁判決に助っ人現る&金関行動

金関(金曜日関西電力前)集会に参加してきました。特定秘密保護法反対のデモの人たちも途中から参加。金関集会では、参加者の背景も様々で、発言したいことがいろいろあっても、原発にだけに絞って今までは各自発言してきました。しかし、成立寸前の特定秘密保護法は反原発運動にも密接に繋がる可能性もあります。ある人が「眉間に皺の寄ることばかり」と言ったように、集会は原発と特定秘密保護法の両方に言及する集会になりました。(日付変わり土曜日です)今朝の朝日の滋賀版に、特別秘密保護法反対のデモの様子が写真入りで出ていました。反原発に関する大津の集会は報道されたことがありませんが、マスコミもこの法律に関してはかなり危険視しているようです。

何度も書いていますが、なぜ無謀な太平洋戦争を止めることができなかったのか、当時の参政権を持っていた人たちは何を考えていたのか、授業でもそういう質問を受けました。(女性は当時参政権がなかったことは念のため)

今夏、私は『ショック・ドクトリン』(ナオミ・クライン著 岩波書店)を丁寧に読みました。検索すると日本語版要約が出てきます。ショック・ドクトリンは日本語で≪惨事便乗型資本主語≫と訳されています。1973年にチリでクーデターが起こります。ここから壮大な新自由主義の経済実験が始まります。チリの国民がなぜこの政策を支持したのかが、太平洋戦争を阻止できなかったことに対する授業での疑問と繋がります。これも≪チリクーデター≫で検索できます。今、安倍政権が進める【特別機密保護法】【経済特区構想】【日本版NSA】。日々の暮らしの中で、右傾化には一見繋がらないようなこと、【NHK経営委員の顔ぶれ発表】【婚外子相続判決に対する自民党内部の抵抗、】、今朝の朝刊にあった【教科書改定国の影響濃く】。こんな風にして、知らず知らずに表現の自由や知る権利を侵害され、気が付いた時には民主化とは全く逆の位置に居た…。これが戦前と同じような時系列経過なのでしょう。

このような状況に【蟻の一穴】でも与えられないかと思います。蟻ほど小さくはないのですが、全く新しい発想もあるのだという例を紹介します。以前から書いています、中国電力の男女賃金差別裁判の広島高裁判決についてです。

広島高裁の判決は例えればこうです。

仮に100(男性70人、女性30)の同期同学歴の社員がいるとします。中国電力はコース別をとっていませんから、入社時は100人全員同じスタートです。勤務してから30年、賃金の高い順に100人を並べてみると男性の65人が高い順に並んでいます。次に女性の3人が続きます。その後に残りの男性5人が続き、それから後は27人の女性が最後まで並びます。広島高裁は、これは「男女が別々な賃金j表ではない。だから男女差別はない」と言い切りました。例えると、男性を白色で表し、女性を赤色で表すと、「白の65本の麺に3本の赤の麺が混じっているのはピンクである。同様に赤27本に5本の白が混じっているのもピンクである」と言ったのです。これに「待った!」をかけた研究者が現れました。量的データの分析方法論という学問で世界的な権威のシカゴ大学の山口一男さんです。山口さんは統計学を駆使して(計算式は全く理解できません)、「中国電力の同学歴同期入社の賃金は、男女別賃金である。京分の1、億分の1も確率はない」という内容の陳述書を書いてくださったのです。この陳述書は最高裁の控訴理由の大きな柱になりました。(下世話に言うと「ピンクでは断じてない」ということですね)

シカゴ大学は新自由主義の中心の大学です。冒頭に書いた「ショック・ドクトリン」では、シカゴ大学のミルトン・フリードマン(ノーベル経済学賞、2006年死去)が新自由主義の象徴として出てきます。山口教授には、ジェンダーと新自由主義についての話しをお聞きしたいと思っていますが、とても看過できない日本の旧態然とした判決だったのでしょうね。感覚的に「ピンク違うやん」と言いつつ、有効な反撃方法を見いだせていなかった原告側に、「科学的色彩学的にピンクではない」と証明してくださったような感じです。最高裁に「高裁の判決は間違っている。科学的な陳述書を評価してください」というような署名を出すことになりました。次回には詳しくお知らせできますので、是非署名にご協力ください。
このような全く新しい発想で、安部政権が目論むことを阻止できる手段を見出さねばと思います。素人は無理なので、いまこそ世界の英知を結集して!だれか〜!いませんか?
では今日はここまで。

労働者としての教師ー日本とドイツの一例

今回も教育から。

ドイツの小学校に通う小学生の話しです。この小学生の担任が3日間の病欠だそうで、メールが来た時点では3日目でした。先生のお休み、これはどこにでもある話しですが、ここからが日本と異なります。

そのクラス児童は、他の5つのクラスに振り分けられました。他の5つのクラスには当然担任がいます。そのクラスの担任が、振り分けられた子どもたちの面倒を見るというのなら、まあ分からなくはありません。日本なら、まず他のクラスに振り分けしないで、教頭とかのフリーの先生が勉強を教えます。

で、ここからが全く理解できないことなのですが、振り分けられた子どもたちは、振り分け先のクラスの先生の授業を受けるのではなく、同じ教室でプリント学習をするのだそうです。同じ学年だから同じ教科書です。でも教室の前で教えている先生はあくまで自分の担任しているクラスの子どもだけを教えている。振り分け先の元々のクラスの子どもたちは4時間授業、で、自習している子どもたちはプリントが出来次第の3時間で帰宅。
前回、日本の小学校の運動会における高学年の子どもたちの一糸乱れぬといってもいいほどの団体競技について、それが行き過ぎた場合の怖さを書きましたが、さすがにドイツのこの例に、こんなばらばらでいいのだろうかとの感想を持ちました。他のクラスに振り分けられたこの小学生は、そこで初めて、自分の習っている先生との進度が違っていることに気が付いたそうです。日本で言えば、掛け算をしているクラスと、まだ九九も暗唱できていないクラスのような例えでしょうか。

この小学生が日本の小学校に通っていたときの担任は新人でした。でも、絶えず学習の進度や教え方についての学年会議があり、新人の先生のクラスの子どもたちが特に進度が遅れるということはありません。画一的というのを嫌うことはとても大切だと思いますが、ドイツのこの例に関してはどう考えればいいのでしょうか?労働者である教師という観点からは、病欠した同僚のクラスの子どもたちの面倒をみるのは「契約以上の労働」になるとの考えなのでしょうか?いつも労働者の側に立たねばと言っている私ですが、理解に苦しむ内容です。

後日談で、この小学生の担任はさらに3日間の病欠だそうで、後半の3日間は他の学年の先生がクラスに入られるとのことですが、勉強は教えないそうです。やはり、教師の労働者としての問題のようですね。

そこで、教師の労働とはどのように定義されているのか、ILOの条約で調べてみました。この小学生の親は、日本の教育とドイツの教育を知っているから、日本を基準にして「なんで他の先生がカバーしないの」と思ったようですが、ドイツの教育しか知らない親は、これが当たり前かもしれませんから。
ILOは国際労働機関、ユネスコは国際連合教育科学文化機関、United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization U.N.E.S.C.O.の略で、諸国民の教育、科学、文化の協力と交流を通じて、国際平和と人類の福祉の促進を目的とした国際連合の専門機関。この両者が共同で「教員の地位に関する勧告」(ILO・ユネスコ勧告)を作成して、1966年に採択されています。
この勧告で重要な点は、これが条約でもないにもかかわらず、監視機関として<「勧告」の適用に関するILO・UNESCO共同専門委員会>という組織が設立されていることにあります。日本の教職員組合は2005年に、この監視機関に申し立て『日本の教職員の労働実態と健康への影響について』(全日本教職員組合)を行い、この監視機関は、日本政府に「改善のための勧告」を出しています。(日本政府への勧告は労働時間だけに限らず多岐にわたります)ただ、この申し立てが約10年前なので、新しいデーターが使用されている
東京学芸大学紀要2013年<教員ストレスに影響する要因の検討─ 学校教員の労働環境と意識─佐野秀樹・蒲原千尋の論文から一部抜粋の形で引用させてもらいました。
読んでみようと根気(勇気)のある人は「続きを読む」をどうぞ。これを読むと、ドイツの小学校の病欠の先生の例よりも、なんでも引き受けてしまう日本の教師の方が少数派なのかも知れないという気もします。

滋賀県の嘉田知事が「小泉元首相の反原発の意見を歓迎する。また、教育に政治が介入してはいけない。学力テストの公表には反対する。政治家の役割は教育の環境を整えることにある」というようなことを述べたと新聞で読みました。
ぶれない知事で一安心です。
では、今日はここまで。


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小学校の運動会に思う。

縁あって近所の小学校の運動会を見学しました。

最後の職場であった高校は、この小学校と隣接していましたので、二学期が始まると、運動場で毎日練習が行われ、6学年が入れ替わり立ち替わりし、運動会当日が近づいてくるに従い、練習も過熱しし、大音量の音楽と児童の掛け声、それに指示を出す先生の声は毎年の風物詩となっていました。こうなると、高校での授業はお手上げ。高校一年生の入る校舎からは、小学校の運動場が一望できるからです。炎天下の指揮をとる先生を見ながら、「高校の教師でよかった」と思っていました。

高学年ともなると、一糸乱れぬ団体競技(たまに動作緩慢な子もいますが、一所懸命はどの子も同じ)に保護者は拍手で讃えていました。で、相変わらず意地悪な私は、隊列を組んで、同じ方向を仰ぎ見る児童の視線の先に、日の丸の旗のないことに安堵していました。さらに右傾化が進んで、運動会にすら日の丸が登場するようになったら、先生方、同じ方向を仰ぎ見るような動作は止めてくださいね。

「仰ぎ見る先に旗があるのは、ちょっとやばくないですか?」って気の付いた先生が発言できるか甚だ心配です。その理由の一つは、教師は細部の一つ一つには向かい合う力があっても、日々の業務やそのこと自体に埋没してしまって、全体を見ることがなかなかできないからです。そういうことを出来るようにするには、教員が多忙ではダメなのです。たかが小学校の運動会を侮ることなかれ!世の中の変化はこういうところに萌芽するのです。

で、もう一つ。大阪市長の橋下さんの盟友の大阪府の中原教育長が、いよいよ本領を発揮しましたね。昨年の口パクは一校だけの話だったのですが、なんせ今は教育長。大阪府の教育を支配下に置きました。

新聞記事から一部抜粋です。

「大阪府教委が、入学式や卒業式で教職員が実際に君が代を起立斉唱しているか、管理職が目視で確認し、結果を報告するよう求める通知文を府立学校に出していたことが18日分かった。中原徹府教育長は府立高の校長時代、君が代斉唱時に教職員の口元の動きをチェックし、論議を呼んだ。今回も同様に口元を確認し、徹底を図る方針で、再び議論が起きる可能性がある。919日毎日新聞)


私ならどうするか、最後まで闘って処分をくらうか。でも何回か続くと懲戒解雇もあるし、そうなれば退職金はパアだし、悩ましい限りです。私は退職金も貰ったし、萌芽はあったtけど、ここまで厳しく監視されるなかったときに教員だったから、こんな呑気なことをほざいてられるのです。「思想のために死ぬな」という考えもあるから、「バカバカ」と言いつつ口をパクパクさせる手もあるし、等とあれこれ考えてしまいしたが、すぐに気が付きました。管理職の場所から、パクパクは見えても、聞こえない。私が考え付くようなことはすぐに見抜かれて、次の通知文には「教員、隣り合った者同士で口パク及び歌詞を確認すること」と書かれることでしょう。
「思想を強制してはいけません。大好きな人はいつでもどうぞ。でも、嫌いな人もいる。その人のことも尊重してください」が私の考えです。


今回は、完全に労働問題から外れましたが、今、解雇特区、派遣法の改悪、均等法改正の骨抜き等、労働者の人権はまったく顧みられない法案が着々と密やかに進められています。その報告もしなければと思っているのですが、これらのことを考えると吐き気がしてきて、なかなか取りかかれなく、つい、体験から書きやすい内容になってしまいます。
そう!こういう、「ややこしいことは考えんとこ」。これぞ、政財界の狙いなのでしょう。

では、今日はここまで。

限定正社員は日本の労働者の働き方を変えることになるのか?

日曜日に書き始めました。

日曜日の3日前の木曜日、京都であったケアワーカーの賃金についての学習会に、千葉に住む会員が参加しました。彼女は、福島原発告訴団http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/

の関東事務局を担っており、福島へも度々出かけています。最近、体調が悪くなり、それまで沈黙していた持病が一気に出たので、京都の、相性の合う温泉に毒素を出しに来たのだそうです。彼女は、しばしば福島に行きますが、告訴団本部のある福島に住んでいる訳ではありません。

金曜日、関電前の集会に参加しました。そこで発見!夕暮れが早くなったこと。「反原発」とのステッカーを貼った団扇が必需品だったのに、夕闇に映えるペンライトが必需品になりました。集会で、韓国が福島とその周辺の7県の魚の輸入を禁止したことのニュースが話されました。オリンピックの開催が決まる前日の韓国の措置なので、政治的な思惑があるとの日本側のコメントが出ています。

土曜日、安倍首相が、IOCでの原発事故による汚染水の処理の問題の質問に対して、『全く問題はない。』と述べました。何の根拠があっての回答なのか?国民はそんな解決法があるなんて何も知らされていませんから、びっくり!どうかこの言葉に責任を持ってくださいね。「2020年には安倍さんは首相をしていないので、責任は取らないよ」との家族の声。原発事故の責任を取るという言葉が、具体性を持ちません。 業務上過失致死傷などの疑いで告訴・告発された東電幹部や政府関係者ら約40人全員を、検察は不起訴処分としました。オリンピック招致委員会竹田理事長が「東京と福島は250KM離れている」と発言して、福島の人たちを怒りと絶望に落としました。ミュンヘン在住の日本人が、チェルノブイリの原発事故の影響で、ミュンヘンの公園の砂場の砂は全て入れ替えられたとドイツ人から聞いたと言ってました。チェルノブイリ原発事故から27年後の現在も、未だにキノコ類は食べることができないそうです。チェルノブイリとミュンヘンは1600KMくらいは離れています。IOCの理事たちの原発事故に対する考えがよく分かりませんが、原発事故がまったく収束していない現状に対して随分と楽観的のようです。世界に向かって約束をしたのですから、政府はこれを契機に本気で事故処理に取り組んでくださいね。


さて、労働問題です。

限定正社員についての講演を聞きました。演者は、昭和女子大学の木村武男さん、龍谷大学の脇田滋さん、元甲南大学の熊沢誠さんです。三人とも労働関係の研究者です。

三人の研究者は、必ずしも「限定正社員」に否定的ではありませんでした。私は、以前、このブログに否定的なことを書いたことがありますので、この考えは意外でした。
今、限定正社員について、政府の規制改革会議で、使用者寄りの論議が進められています。即ち、限定正社員を増やし、解雇をし易くしようという内容です。今いる正社員も限定正社員になる可能性が大となります。でも、この「限定正社員」については、新たに法律が作られるということではないのです。あくまでも「あんた、転勤いややったら、限定正社員で契約せえへんか」という労働者と使用者の労働契約での問題なのです。だから、使用者に対して弱い立場の労働者は、その先に「解雇自由」のようなことが起こるであろうことが分かっていても、一人ではなかなか「いやです」とは言えないことに繋がるのです。
今、規制改革会議が提案しているのは、限定正社員の解雇をしやすくする方法です。限定正社員は転勤がありません。その地域限定の正社員ですから、その地域の職場がなくなったら、「あんたの勤務地の職場はなくなりました」と言えば、他の職場を斡旋する義務を会社は負わなくてもよいのです。現在、解雇には「解雇4要件」があって、安易に使用者は労働者を解雇できません。(現実は安易に解雇ありの社会ですが、この4要件があるから裁判も、団体交渉もできるのです。)解雇4要件については、2011.7.31のブログを参照してください。

 「限定正社員なら転勤しなくていいやん」というメリットもあります。この転勤を逆手にとったのが、三人の演者の考えです。「転勤イヤ。正社員のように過労死するほど働かない。」という限定正社員を多くの労働者が選べば、ガラパゴス化している日本の労働者の働き方を変えるチャンスになるのではないか!即ち、全人格を企業に捧げる働き方は、それを望む一部の人にしてもらい、人生も楽しみたい、家族とも過ごしたいと考える人は、定められた仕事を、定められた労働時間で働くというジョブ型雇用を選ぶ。労働者が日本に比べれば格段に守られている欧州型の働き方へと転換していくのに、限定正社員を使えばどうか、というのです。

私のように、規制改革会議が方向を出そうとしている限定正社員のデメリットばかりを考えるのは、正社員という働き方こそが正しいとする考えにとらわれているからだとも話されました。
でも、欧州型にするには、沢山の問題点があります。その最大のものは、賃金です。ユニクロでの限定正社員の賃金は、時給に少しプラスアルファがあるだけで、正社員(限定ではない正社員を無限定と呼ぶそうです。無限定!なんと人格はく奪のような言葉でしょう。)とは雲泥の賃金差があるそうです。ユニクロの店頭での店員が、誰が(無限定)正社員で、誰が限定正社員かわかりませんね。
そう、ここで問題になるのが、仕事の価値です。ユニクロの無限定正社員と限定正社員の仕事の価値の差は、賃金の差と連動しているのでしょうか?少なくとも、店頭販売の職務を測る【知識・技能、責任、労働環境、負担】の4要素にそんなに差があるようには思えません。「いやぁ!正社員と限定正社員とでは、全く仕事の価値は異なるのです」と多分、ユニクロの経営者は言うでしょう。こういうときに、力を発揮するのが「同一価値労働同一賃金原則」に基づいた職務評価です。ILO推奨の得点要素法の職務評価を、企業がやりたがらない理由、正社員で構成されている労働組合(ユニクロには組合が無い!)がやりたがらない理由は、説明しなくても読めてきます。賃金以外にも、日本の労働者が世界規格になれない点があります。何が問題なのかは次のサイトを読んでみてください。

http://www.newsweekjapan.jp/reizei/2013/06/post-569.php

ここで深読みです。規制改革会議が「限定正社員」を推奨している理由の一つに、「地域限定にすれば女性が働きやすくなる」というのがあります。安倍内閣は、社会保障削減を打ち出しています。介護制度についても、今まで要支援だった人は、支援がなくなります。「必要な方で施設を利用したい人は自費でどうぞ!自費が負担できない人は家庭でどうぞ!」ということです。やはり、介護を女性の手に担わせる魂胆だな!限定正社員を女性に推奨する前に、ILOやCEDAW(女性差別撤廃委員会)や国際人権規約委員会からの勧告を真面目に聞きなさいと言いたくなります。根源的に間違ったスタート地点に立つ規制改革会議、と疑り深い私は思っています。

では、きょうはここまで
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