旧警戒区域内および帰宅困難区内域内の牛の殺処分方法は以前と変わっている。

以前は、下記の写真のように、徘徊している牛たちを、囲い込みの柵に追い込み、ロープで縛り、複数人で押さえ付けて、鎮静剤「キシラジン」、全身麻酔「ソムノペンチル」、筋肉の動きを止める「スキサメトニューム」を使用して行っていた。※
当時の記事http://blog.livedoor.jp/liablog/archives/1698720.html









しかし、平成25年からは麻酔銃を使用して行われている。

IMG_0119

麻酔銃から発射される注射器の注射針は、通常の注射針よりも太く、また、針に返しなどがあり、一度刺さると抜け辛い構造になっているため、注射器が刺さったまま徘徊している牛もいる。

1日1台、福島県の車両を使用し、3人一組で行われている。

IMG_0114

IMG_0118

殺処分を行っているのは全て獣医師。

IMG_0128

IMG_0129

IMG_0131

殺処分を行っている獣医師の中には、女性も含まれている。

いわき家畜保健衛生所の獣医師7名、相双家畜衛生保健所の獣医師6名。

計13名の獣医師が税金を使用し、殺処分を繰り返している。


IMG_0140

「命を守る」筈の獣医師が、原発事件から2年4ヶ月経過するなかで生き続けている命の殺処分を、現在も行い続けているのだ。

警戒区域内で、殺処分の為に使用している囲い込みの柵の数は、個人の畜産家のものを借用している柵、福島県が殺処分用に設置した柵、合わせて38箇所。
※2013年3月末の数字。

福島県畜産課の担当者は、「囲い込みの柵に牛を追い込んでから、麻酔銃を使用している筈」とは回答しているが「徘徊している牛に麻酔銃の注射器が刺さったままになっている。徘徊している牛に対しても麻酔銃を使用しているのではないか?」というLIAの取材に対して「それは、柵の中で撃った後に、柵を飛び越えて出た牛で・・・・・、射程距離の問題や、地形等の関係もあり簡単ではない・・・・・。」としながらも「場合によっては・・・・・」と回答している。



殺処分を行う理由は、原子力災害対策本部長(内閣総理大臣)による指示。


現場の獣医師は「上からの指示で行っているだけだ。」と繰り返し、「これは殺処分ではない。安楽死だ。」と繰り返す。


福島第一原発を中心に卓上でコンパスを使用して指定された半径20kmの殺処分区域。

平成23年には、耳票未装着牛および耳票脱落牛に対しては、畜主不明であった為、殺処分は行っていなかった。

しかし、平成24年1月24日に出ている「警戒区域内の耳票未装着牛の取り扱いについて」という原子力災害対策本部長(内閣総理大臣)の通知により、耳票未装着牛および耳票脱落牛に対しても殺処分を行うものとした。

http://ngo-lia.org/fukushima/docs/24_0124.pdf

現実的には、この通知は、平成24年1月24日に出されてはいるが、現場では、単独ではなく、群れて徘徊していた牛は、周辺にいる牛と畜主が同様と判断され、その個体が原発事件後に生まれた仔牛であろうが、乳のみ牛であろうが関係はなく、全て殺処分されていたが単独で徘徊していた耳票が未装着の個体および、耳票が脱落した個体に対して「畜主不明」の為、殺処分は行っていなかった。

しかし、平成25年より、殺処分に麻酔銃が使用されるようになり、耳票が未装着の個体および、耳票が脱落した個体に対しても殺処分が行われるようになっている。

つまり、特定の個人が保護している牛以外は、全頭殺処分されている。

政権が交代し、内閣総理大臣が変わってからも、当時の原子力災害対策本部長(内閣総理大臣)の指示と通知は変更される事はなく、全ての牛を殺すまで続けられてゆく。

これが福島県の20km圏内の現在の現実であり、日本の現実である。



このエントリーをはてなブックマークに追加