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 日本では、水害・台風・地震と立て続けに大きな自然災害が起こっておりますが、私自身もこの度、北海道で最大震度7の地震を経験することになりました。

 ライフラインが停止した中での人生初の被災生活は、さまざまな不自由や不便なこともありましたが、その一方で停電で街全体が暗闇になったことから、思いがけず満天のきれいな星に感動したり、電磁波フリーとキャンドル生活という心地よい時を過ごすことが出来ました。また、改めて食やエネルギーのことを考えさせられるきっかけにもなりました。

 さて、酪農王国北海道では、大規模経営の牧場がたくさんありますが、今回の地震で起こったことを通して現代の酪農について、様々な視点から考えてみました。

 【大規模酪農のシステムのこと】
 地震後、多くの牧場では、電気や水などのライフラインが停止したことから、搾乳機が使えなくなったり、1日に何十リットルも必要とする水を確保出来なくなったり、加工工場が閉鎖したために出荷が出来ず、せっかく搾った生乳を捨てざるをえなくなったり、などの厳しい状況に直面しました。このことは、現代の大規模酪農システムが、あまりにもテクノロジーに依存した脆弱なものであることを、私たちに教えてくれました。また、たった一つの地震で人間に飼育されている多くのどうぶつの命さえも奪われかねない状況になってしまうことを、多くの人が想定していなかったことも明らかになりました。
 牛乳や乳製品が豊富にある私たちの生活は、このような行き過ぎたシステムの上に成り立っています。特に都会では、生産者と消費者の距離がどんどん離れていき、消費者は消費するばかりで、どうぶつの扱われ方など生産現場で起きていることをほとんど知らずにいます。また、大量生産大量消費の現代畜産によって可能になった私たちの食生活は、一方でアレルギーや生活習慣病の増加、環境問題や食糧問題など、さまざまな社会問題を引き起こしていますが、これらは殆ど報道されることもなく、世間で話題にされることもまずありません。

 【牛の飼育方法のこと】
 また、地球上でもっとも過酷な労働を強いられていると言われている、牛たちの不自然な飼育方法についても気になります。

 牛乳は、牛のお母さんからいつでも出てくるものでしょうか?

 実はそうではありません。現代の酪農では、妊娠した牛からも牛乳を搾っています。当たり前ですが、人間のお母さんも赤ちゃんを出産した後に母乳が出るようになります。では、どうして、まだ赤ちゃんを産んでいない妊娠中の牛のお母さんから牛乳が出るのでしょうか?

 牛のお母さんは、出産後2~3ヶ月で人工授精によって再び妊娠させられるからです。そして、出産の2ヶ月前まで牛乳を搾られます。

 このサイクルは4回ほど繰り返され、その後は殺されてお肉として出荷されるのです。また、飼育に使われる牛たちのエサや抗生物質などの問題点もあります。たとえ栄養があっても、このような不自然な方法で、同じ命の仲間である牛から牛乳を搾り、健康のためにといって毎日牛乳を飲む必要は本当にあるのでしょうか。効率と経済を優先して作られた牛乳は、人の体に良くない影響を及ぼすことは、ほぼ間違いありません。

 私は、ごはんとみそ汁を基本とした給食を実践している保育園の管理栄養士です。私の携わっている保育園では、牛乳アレルギーの子が多くいます。牛乳アレルギーは1980年代後半から増えていますが、このことは、牛乳が日本人にとって体質的に馴染まないことを示唆しています。もともと学校給食はごはんとみそ汁が基本でしたが、第二次世界大戦後の食糧不足の中、援助物資という名目でアメリカの余剰小麦と脱脂粉乳が持ち込まれ、これにより、パンと脱脂粉乳の学校給食が始まりました。その後、1960年代から脱脂粉乳は牛乳へと切り替えられました。また酪農産業を振興するため、政府は学校給食の牛乳には補助金をつけるようになりました。76年に米飯給食がスタートし和食献立が導入された後も、給食に牛乳は必要という基本は変わっていません。その1番の理由はカルシウムが摂れるためです。しかし、カルシウムは穀類・野菜・豆類などからも摂ることができます。食糧不足の時代には、脱脂粉乳や牛乳が必要だったかもしれませんが、現在はその必要はありません。給食をごはん・みそ汁を基本に戻し、牛乳の提供をなくすか少しでも減らすことことにより、現在のアレルギーなどの増加は抑えられるかもしれません。

 今回は、震災をきっかけに酪農のありかたや乳製品について考えてみましたが、ご存知の通り養豚、養鶏、漁業にも同様の問題があります。経済が中心となった大量生産大量消費の社会は、どうぶつだけではなく、私たちの健康や環境まで脅かしています。このことに多くの人が気づき、これまでのライフスタイルを見直してくれることを願ってやみません。