Libertarianism Japan Project

「無数にある法律と規制は牛の毛のようであるが、それは個人にとって邪悪な抑圧者であり、獰猛な虎よりも恐ろしいものである」

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お金はあまりにも便利なものである。好きだ。だが奴を好きになっちゃいけない。お金は汚い。根っから腐っている。お金の真の問題はその生産が独占されていることにある。

私は政府から貨幣発行の独占権を取り上げるのが自由社会建設のために最も肝要なことであると思っている。すなわち自由貨幣である。誰でもお金を作れる。いろんなデザイン。楽しいな。その価格は市場で決まる。購買力がその価値を決める。

十分大きい資産をもつ企業が何かの実物セットにリンクした貨幣を作る。それを市中銀行に貸して儲ける。市中銀行はそれを企業や個人に貸して儲ける。どのような貨幣が信認を得て出回るかは競争で決まる。結果2、3の通貨しか残らないかもしれない。均衡がどうなるかは市場が決める。

複数の通貨がある国境の町を想像しよう。あるいはいつでもどこでも外為取引が行われていることを想像しよう。世界はすでにアナーキーなのだ。現実が自由貨幣を可能だろうと言っている。

Hans-Hermann Hoppe は日本ではほとんど知られていないかもしれないが、現代のアナルコ・キャピタリストの筆頭ともいえる経済学者である。このリバタリアン理論家の特徴は経済理論を駆使した国家の分析を諸々の歴史的事実によって裏づけするところにある。

最初民主制国家より君主制国家のほうが優れていると聞いて驚いた。この現代人の常識とは100%反対する主張に心を打たれ私は Democracy: The God That Failed を購入した。なるほど前者は後者と違って誰にも所有されておらず維持改善のインセンティブがないのだ。

さて、日本でマレー・ロスバードを先駆けて紹介した経済学者である越後和典氏がホップの論文

Banking, Nation States, and International Politics: A Sociological Reconstruction of the Present Economic Order
http://www.mises.org/journals/rae/pdf/rae4_1_3.pdf

を要約して紹介しているので一読をお勧めする。なぜわれわれは不換紙幣での生活を強いられているのか。

ハンス=ヘルマン・ホッペの業績――金本位制と自由銀行業の擁護――越後和典
http://www.biwako.shiga-u.ac.jp/eml/Ronso/362/echigo.pdf

貨幣法定主義の前提から見直すのが正しい思考法である。

「通貨発行益」を表すシニョレッジseigniorageは、「君主特権」とも呼ばれ、中世欧州の領主の呼び名のシニョールseigniorにちなむ。貨幣とは政府が発行するものであるというのは、現在の我々にとって最早疑うべくも無い常識として定着しているといってよい。
こうした観念に真っ向から挑戦した代表的な経済学者がF・A・ハイエクである。彼の『貨幣発行自由化論』は、フリーバンキング論の偉大なる古典といってよいであろう。他にもシカゴ学派出身のアナルコ・キャピタリストであるデヴィッド・フリードマンは『自由のためのメカニズム』「46.貨幣のための市場」*1でフリーバンキング論を展開しているし、ネオ・オーストリア学派としては、ローレンス・ホワイトジョージ・セルジンがフリーバンキング論者として有名なところだ。

さて、本日紹介するのは、D・フリードマンと同じくサンタ・クララ大学にて教鞭を執るフレッド・フォルドヴェリーFred Foldvaryによるフリーバンキング論である。

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