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 オーストラリアの洪水
 今冬、日本に大雪をもたらした「ラニーニャ」現象は、世界にも大きな影響をもたらしている。米航空宇宙局(NASA)は1月13日、オーストラリア・クイーンズランド(Queensland)州を中心に発生している大規模な水害について、太平洋の赤道付近で海水温が低下するラニーニャ現象が特に強力で、豪雨と洪水に拍車をかけているとの見解を発表した。

 NASAゴダード宇宙飛行センター(Goddard Space Flight Center)の海洋学者、デービッド・アダメック(David Adamec)氏は「クイーンズランド州東部で歴史的な降水量を記録し、100年に1度の大洪水を引き起こした雨は熱帯低気圧によるものだが、これはラニーニャ現象が太平洋の貿易風に及ぼした影響の直接的な結果だ。このため、オーストラリアの熱帯地方は例年にない多雨となっている」と説明する。 

Brisbane

 NASAが気象パターンの観測に使用している衛星画像を見ると、昨年11月と12月のラニーニャ現象は特に強かったことが分かる。NASAジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory)の気候学者ビル・パッツアート(Bill Patzert)氏は、ラニーニャ現象に関する確かな記録は過去約50年分しかないが、今回のラニーニャはこの期間でも屈指のものと思われ、すでに地球中の天気や気候に影響を及ぼしつつある」と語る。 オーストラリア第3の都市ブリスベン(Brisbane)では13日、郊外全域が水没し、インフラが麻痺、3万戸が浸水するなどこの数十年で最悪の水害となっている。(2011年1月13日 AFP)

 被害の概要
 先月25日以降、オーストラリア・クイーンズランド州では記録的な大雨に見舞われ、各地で河川の増水による浸水被害や鉄砲水が発生。各地で浸水被害が拡大し、日常生活や経済活動に大きな影響が出た。NHKによると、ブリスベーン市では、死者:25人、行方不明者:61人。タウムバ(ブリスベーン市から西へ約125km)では、鉄砲水で少なくとも10人死亡、78人が行方不明〔読売〕だという。浸水の被害は約39,000棟(ブリスベーン市で川の堤防が決壊)にも及んだ。〔読売〕

 オーストラリア政府はヘリコプターを動員し人命救助作業を始めており、クィンズランド州政府非常事態関連責任者のニル ロバートは今回の洪水事態を "内陸津波" と語った。

 ブリスベン市は低地帯住宅数千軒がすでに浸水しており、追加で家屋1万9000戸と商店3500軒が浸水の恐れがあると把握された。ブリスベン市当局は市を貫くブリスベン川の水位が1974年洪水時の5.45mを越える可能性が高く、高まった川の水位は15日まで下がらない恐れがあると見ている。ブリスベン周辺のウイボンホダム、サマセットダムも満水位に近接した状態だ。ブリスベン市緊急待避センターには数万人が避難中で、市当局は家にいる市民に食糧とミネラルウォーターを準備するよう頼んだ。電力会社は電力遮断を準備中で、低地帯にはすでに相当数の電気が切れている。 クイーンズランド州全体では約7万世帯余りで停電していると通信は伝えた。

 クィンズランド州のタウムバとイプスウィッチも大きい打撃を受けている。ブリスベン西側にあるタウムバは最も深刻な被害をこうむり死亡者が10人近くなるとは伝えた。タウムバ被害復旧を助けるためオーストラリア軍700人が派遣された。被害地域の家々は凄惨につぶれ自動車が水にプカプカ漂っていると<ウォールストリート ジャーナル>は伝えた。ブリスベン市内と隣接したイプスウィッチは洪水で都市全体が水に浸る状況となった。イプスウィッチ市長ポール ピササルレは「洪水が都市を飲み込んでいる」と話した。

 史上最悪の経済的損失
 オーストラリアのスワン財務相は1月17日、同国東部の広い範囲に被害をもたらした洪水の経済損失について、自然災害による損失としては同国史上最大になる可能性があるとの見方を示した。財務相は、洪水の影響で2013/2013年度に財政収支を黒字化する計画に遅れが出ることはないとした上で、政府は一定の歳出削減を強いられると発言。

 今回の洪水について「経済的にはオーストラリア史上最大の自然災害になる可能性がある」と述べ、復興にかかる期間は年単位になるとの見方を示した。オーストラリアでは12月以降、4州が洪水に見舞われており、1月17日付の豪紙オーストラリアンによると、復興費用は北東部クイーンズランド州だけでも100億豪ドル(98億米ドル)にのぼるとみられている。クイーンズランド州に加え、ビクトリア州でも大雨の被害が広がる中、被害総額は急速に膨らみつつある。(1月17日 ロイター)

 オーストラリア気象局は1月18日、同国や東南アジア地域に洪水の被害をもたらしたラニーニャ現象がピークに達した可能性がある、との見方を示した。気象局は18日に発表した週間報告書で「気象局の長期的な調査モデルによると、ラニーニャ現象はピークに達した可能性がある」と指摘。今後2カ月、秋に向けて南半球に発生する可能性がある、との見通しを示した。(1月18日 ロイター)

 干ばつ地帯には恵みの雨
 一方、オーストラリアに数十億ドルの被害を及ぼした降雨の影響で同国の小麦生産が増加し過去最高水準に達するほか、かんがい作物の生産も増えるとの見方が出ている。

 ラボバンク・グループの商品アナリスト、ウェイン・ゴードン氏と持続可能性アナリスト、トレーシー・アレン氏は19日のインタビューで、豪雨の影響で次の小麦栽培シーズンに土壌水分が増し、ダムの水位上昇により綿花などのかんがい作物の生産も促されるとの見方を示した。
  世界の需要が供給を上回るとの見方を背景に、世界の農産物価格は昨年、高騰した。豪州産の小麦や綿花の供給が増えれば価格が抑制される可能性がある。豪州では昨年7-12月の降雨量が過去最高水準に達し、今月には洪水が発生。一部の地域で10年間続いていた干ばつが終息し、豪州の食糧供給の3分の1以上を占めるマレーダーリング盆地ではダムの水位が大幅に上昇したという。(1月20日 ブルームバーグ)

参考HP AFPBB News「豪水害、ラニーニャ現象が拍車 NASA」 

LIVE from オーストラリア
木谷 朋子
ジャパンタイムズ
オーストラリアの取説―30のキーワードで読み解く
川野 寛
リント

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