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 地震と長周期地震動
 2009年9月17日、国の地震調査委員会が大規模地震が発生した際、高層ビルや長大橋などで大きな揺れが長く続く長周期地震動の予測地図を公表した。

 それによると長周期地震動は、地震のゆれの中でも、ゆっくり大きいゆれで、遠くまで伝わる。東南海地震では震源地から離れている首都圏でも、大きくゆれることがわかった。

 地震の波は、小刻みで速い揺れやゆっくりした揺れが交じってできている。揺れが1往復する時間を「周期」と呼び、大きく分けると 0.1〜1秒が「短周期」、2秒以上が「長周期」とよばれる。

 どの周期の波が強いかは、それぞれの地震によって異なる。周期によって揺れやすい建物の特徴があり、周期2秒では20階建て、3秒では30階建てなど、周期の秒数に10をかけると、周期と被害の出やすい建物の階数の大まかな関係が分かるとされる。

 長周期地震動と高層建築物
 
低層建築物・中層建築物などではほとんど揺れを感じないが、高層建築物などでは高い階に行けばいくほど揺れが強くなる。

 マグニチュード8クラスの地震が新潟県中越地方で発生したと想定し、名古屋市内にあるビルの30階の揺れを再現したところ、1周期だけで約10メートルほどまで大きく揺れる。逆に短周期の場合は、低層建築物に揺れが生じ、高層建築物に揺れが起きにくい。

 近年の例で見ると、2003年の十勝沖地震の長周期地震動によって、苫小牧市の石油コンビナートでスロッシングによる火災が発生したり、2004年の新潟県中越地震の長周期地震動によって、震度3だった港区の六本木ヒルズでエレベーター6機が損傷するなどしている。

 固有振動数と共振
 
このような長い周期での震動は、高層ビルの固有振動数と一致しやすく、建物を大きくゆらす原因になるという。ところで固有振動数とは何だろうか?

 固有振動数とは物体を自由に振動させた際に検出される、特定の振動数のこと。 どのような物体にも固有の振動数が存在する。この振動数ふだんは気づきにくいが、地震波などにより、共振するとはっきり見えてくる。

 共振とは、固有振動数を増幅すること、いわゆるブランコの原理である。私たちはブランコをこぐときに、タイミングよくブランコにエネルギーを与えてゆれを大きくする。

 これと同様に、地震波のうち長周期のエネルギー波が高層ビルに伝わると、固有振動数を増幅させる「共振」が起き、ゆれが大きくなる。

 固有振動数とタコマナローズ橋
 この固有振動数が注目されるようになった事故として有名なのが、アメリカのタコマナローズ橋の崩落事故である。この事故はワシントン大学が研究のため崩壊の全経過の映像を撮影していたために有名になった。

 タコマナローズ橋はアメリカ合衆国、ワシントン州のピュージェット湾にあるタコマナローズ海峡に架かる吊り橋である。

 1940年7月1日に開通。全長1,600m、吊径間853m、幅11.9m。太平洋側有数の港湾都市タコマ市と、アメリカ海軍有数の海軍工廠(造船所)があるブレマートン市などの位置するキトサップ半島地区を結ぶ目的で建設された。当時の最新理論に基づいて設計されており、架橋当時は世界で第3位の長さだった。が、架橋後間もない11月7日、風の影響で落橋した。

 固有振動数の増幅と崩落
 建設中から、タコマナローズ橋は風のある日に揺れることがすぐにわかった。橋桁は上下方向に揺れ、路面はあるところは高くなりあるところは低くなった。このため開通を1ヵ月後に控えた6月1日と2日には、橋の中央部でメインケーブルと桁をV字型に結ぶステーと、塔と桁を結ぶダンパーが設置された。開通後も揺れたため、さらに10月4日から7日にかけて側径間から地上へケーブルが張られた。

 しかし、それでも揺れは収まらなかった。竣工以来揺れ続け、振幅が1メートルを超えることもあったこの橋には"Galloping Gertie"(馬乗りガーティ)というあだ名が付くほどだった。

 1940年11月7日、早朝より風による振動が続いていたが、風速が19m/sに達した途端、それまでの上下方向の振動から大きくねじれる揺れに変わった。このような揺れが1時間ほど続いた後、主径間の4分の1点で桁が座屈し、橋床が落下した。この直後に最終的な崩壊が始まり、結果として主径間では橋桁がケーブルからちぎれて崩落した。このため塔は側径間側に傾き、側径間は10メートルあまり下方にたわんだ。なお当時は通行車が少なかったため人間の死亡者はおらず、落下時に犠牲となったのは車内にとり残されたコッカー・スパニエル犬一匹のみだった。

 原因調査で桁が薄い板状になっていると、振動が非常に起こりやすいことがわかった。この振動は横風によって桁の上下に発生した空気の渦が桁を上下に振動させ、さらに大きな渦が発生して振幅を増大させる自励振動(発散振動)と呼ばれる。以後吊り橋には補強のための補剛トラスが備わることとなった。

 1966年に開通したセバーン橋では補剛トラスで補強するのではなく、桁断面の形状を翼状にして風の影響を少なくするというアプローチをとった。(出典:Wikipedia)

参考HP Wikipedia「タコマナローズ橋」「固有振動数」「共振」 

アビリティ物理 音の波・光の波
飯島 徹穂,青山 隆司,佐々木 隆幸
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タコマ橋の航跡―吊橋と風との闘い
Richard Scott
三恵社

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