遺産を1つの大きなケーキだと考えれば、
遺言書は、ケーキを遺した故人がケーキに添付した、
「取り分け方の説明書」
ということになるでしょうか。
この説明書がついている場合、相続人の方々が、
分け方についてあれこれ協議する余地は、基本的にありません。
取り分け方はすでに説明書で指定されていますから、
あとはそれに従って分けていくだけです。
時には、「遺言執行者」と言って、取り分けを行う人が説明書で
指名されていることがあります。
その場合には、遺言執行者がナイフを持ってきてケーキを
バンバン切っていくのを、相続人はお皿を持って待つ、
ということになります。
説明書で指定されたケーキの大きさが、人によって違うことも
ありますが、故人の意向なので、仕方ありません。
余りに取り分が少なければ、遺留分の問題は起こりますが。
さて、この遺言という説明書が付いているときは、
それが故人の遺志である以上、争いになることは少ないでしょうが、
遺言があれば完璧かというと、そうでもないのです。
故人が自分で書かれた遺言(自筆証書遺言)の場合、
日付や押印といった形式面のミスを犯しやすいですし、
書いてある内容の意味がよくわからないとか、
そもそも、達筆すぎて読めないなんてこともあります。
公正証書遺言であれば、こうした基本的な問題は起こりませんが、
遺言能力の有無は争いになる余地があります。
故人に認知症の傾向がみられていた場合等は、特にそうです。
公証人の方で一定程度のチェックは期待できますが、
少なくとも、公正証書が巻いてあるから遺言能力も問題なし、
ということには、ならないのではないでしょうか。
ともあれ、遺言があっても、その効力が争われて、遺産分割が
紛糾する場合もあるのです。
遺言の効力が争われる場合、これは調停では取扱いができず、
一般の民事訴訟で決着をつけなければなりません。
民事訴訟の結果が出るまで、遺産分割はストップするわけですね。
不完全な遺言があったがために、普通に遺産分割を行うよりも
最終決着まで時間がかかり、かつ、相続人間に決定的な亀裂が
生じてしまった、などというのも笑えない話です。
あくまで個人的意見ですが、
遺言を遺されるのであれば、元気でしっかりなさっているうちに、
公正証書遺言をされるのがよいと思います。
遺言書は、ケーキを遺した故人がケーキに添付した、
「取り分け方の説明書」
ということになるでしょうか。
この説明書がついている場合、相続人の方々が、
分け方についてあれこれ協議する余地は、基本的にありません。
取り分け方はすでに説明書で指定されていますから、
あとはそれに従って分けていくだけです。
時には、「遺言執行者」と言って、取り分けを行う人が説明書で
指名されていることがあります。
その場合には、遺言執行者がナイフを持ってきてケーキを
バンバン切っていくのを、相続人はお皿を持って待つ、
ということになります。
説明書で指定されたケーキの大きさが、人によって違うことも
ありますが、故人の意向なので、仕方ありません。
余りに取り分が少なければ、遺留分の問題は起こりますが。
さて、この遺言という説明書が付いているときは、
それが故人の遺志である以上、争いになることは少ないでしょうが、
遺言があれば完璧かというと、そうでもないのです。
故人が自分で書かれた遺言(自筆証書遺言)の場合、
日付や押印といった形式面のミスを犯しやすいですし、
書いてある内容の意味がよくわからないとか、
そもそも、達筆すぎて読めないなんてこともあります。
公正証書遺言であれば、こうした基本的な問題は起こりませんが、
遺言能力の有無は争いになる余地があります。
故人に認知症の傾向がみられていた場合等は、特にそうです。
公証人の方で一定程度のチェックは期待できますが、
少なくとも、公正証書が巻いてあるから遺言能力も問題なし、
ということには、ならないのではないでしょうか。
ともあれ、遺言があっても、その効力が争われて、遺産分割が
紛糾する場合もあるのです。
遺言の効力が争われる場合、これは調停では取扱いができず、
一般の民事訴訟で決着をつけなければなりません。
民事訴訟の結果が出るまで、遺産分割はストップするわけですね。
不完全な遺言があったがために、普通に遺産分割を行うよりも
最終決着まで時間がかかり、かつ、相続人間に決定的な亀裂が
生じてしまった、などというのも笑えない話です。
あくまで個人的意見ですが、
遺言を遺されるのであれば、元気でしっかりなさっているうちに、
公正証書遺言をされるのがよいと思います。
遺産分割は、
まず、分配を受けるメンバー(相続人)を確定し、
つぎに、分配の対象になる財産の範囲を確定し、
各相続人の取り分に応じて、遺産という財産の複合体を
解体して取り分けていく
という手続を踏みます。
上記の2番目のプロセスを、
「遺産の範囲の確定」と呼んでいます。
遺産の範囲は、「遺産目録」というリストを作って整理し、
その内容に相続人間で争いがなければ、そのまま分配すれば
よいのですが、争いがあるときは、その段階で遺産の範囲を
きっちり確定する必要があります。
遺産の範囲をめぐって争いが発生する場合というのは、大抵、
相続人間に、故人の財産に関する情報格差がある場合です。
事実上故人の財産を管理していた相続人が、遺産目録を
作って提示したところ、他の相続人から
「他にも遺産があるはず」
「父(母)は、きちんとした人だったから、
こんなに少ないなんて絶対おかしい」
などという話が持ち出され、しまいには
「あいつが隠している」などという話になり、泥沼化していくと。
使途不明金問題 と、構図は同じですね。
預貯金の場合、ある程度調査はできるのですが、現金等は
正直、調査には限界があります。
ですので、
代理人として遺産分割に携わる立場からは、
ある程度のところまで調査して、資料が出てこなければ、
早期解決を優先して、先に進めましょうと進言することに
ならざるをえません。
こういうとき、故人の方に対して思うのは、
遺言とは言わないまでも、せめて、遺産のリストだけでも、
きちんと残して欲しかったな、ということです。
まず、分配を受けるメンバー(相続人)を確定し、
つぎに、分配の対象になる財産の範囲を確定し、
各相続人の取り分に応じて、遺産という財産の複合体を
解体して取り分けていく
という手続を踏みます。
上記の2番目のプロセスを、
「遺産の範囲の確定」と呼んでいます。
遺産の範囲は、「遺産目録」というリストを作って整理し、
その内容に相続人間で争いがなければ、そのまま分配すれば
よいのですが、争いがあるときは、その段階で遺産の範囲を
きっちり確定する必要があります。
遺産の範囲をめぐって争いが発生する場合というのは、大抵、
相続人間に、故人の財産に関する情報格差がある場合です。
事実上故人の財産を管理していた相続人が、遺産目録を
作って提示したところ、他の相続人から
「他にも遺産があるはず」
「父(母)は、きちんとした人だったから、
こんなに少ないなんて絶対おかしい」
などという話が持ち出され、しまいには
「あいつが隠している」などという話になり、泥沼化していくと。
使途不明金問題 と、構図は同じですね。
預貯金の場合、ある程度調査はできるのですが、現金等は
正直、調査には限界があります。
ですので、
代理人として遺産分割に携わる立場からは、
ある程度のところまで調査して、資料が出てこなければ、
早期解決を優先して、先に進めましょうと進言することに
ならざるをえません。
こういうとき、故人の方に対して思うのは、
遺言とは言わないまでも、せめて、遺産のリストだけでも、
きちんと残して欲しかったな、ということです。