図書館情報メディア研究会のブログ

図書館情報メディア研究会(*)のことや、代表者の日々の雑感を書きます。 *図書館情報学の総合的な研究・研鑚を目的に、2012年に設立されました。略称図メ研。当面は、司書課程・司書教諭課程の教育に役立つ研究をテーマのひとつにします。 代表:後藤敏行(日本女子大学 家政学部 家政経済学科)

タグ:学校司書のモデルカリキュラム

既刊のご案内(2018年11月発行)
学校図書館サービス論:現場からの報告
(後藤敏行著、樹村房発行

<概要・書誌情報など>
☑当会代表の単著です!
学校司書科目「学校図書館サービス論」の教科書・参考書です。
☑現職の学校司書や学校関係者、および他館種の図書館員の方にも!
☑いくつかの章には演習問題を設けています。
☑定価1800円+税、2018年11月発行、A5版、164ページ、ISBN 978-4-88367-299-8

(以下、本文から抜粋)
<序文から抜粋>
本書の特色は、既存のさまざまな文献の議論やデータだけでなく、計6人の現職の学校司書や教員に対して行った取材に基づき、学校図書館の実務の実際を反映している点にある(各位の発言は、個人の意見や経験であり、勤務校を代表するものではない)。

そのこともあって、本書は、「絵に描いたような理想的な学校図書館」を夢想するものではない。リアルな学校図書館サービス――予算や時間、人的リソースの制約がある中で、現場の学校司書たちは何をしているか、何をしたいと思っているか、何をできるか、何をすべきか――を述べるものである。

本書の位置づけに関して、さらに明記しておく。モデルカリキュラムの中でも、「学校図書館サービス論」のテクストは、書こうと思えばどこまでも細部まで書けてしまう。悩ましいところだったが、本書は、抽象的なサービス論と現職者用の実務マニュアルの、いわば中間を取ることにした。学生だけでなく現職者も本書は対象読者にしている旨を上で述べたが、左記のとおり、業務マニュアルとは趣旨が異なるので留意してほしい。

<第1章から抜粋>
本書の目次を見てほしい。本章ののち、学校図書館の環境整備、広報・PR活動、運営について見たうえで、資料・情報の提供や、利用者(児童生徒および教員)への種々の支援やかかわりについて述べる。公共図書館の専門的職員である、司書の資格取得のための科目「図書館サービス概論」の教科書の構成とあまり変わらないかもしれない。

ところが学校図書館サービスには、「これさえ押さえておけばサービスについて理解できるし、実践もしやすい」という原則がひとつだけあるのではない。そうではなく複数ある(公共図書館におけるサービスの理解や実践も一筋縄ではいかないが)。

[中略]

図書館でもあり、学校の一部でもある。教育課程の展開に寄与することや、児童生徒の健全な教養を育成することが要請されている。さらに、居場所としての機能を求められることもある。もっと言えば、児童生徒と一口に言っても、小学1年生と高校3年生は多くの点で別物であり、発達段階に応じた対応が求められる。このように、複数の視点や役割が交差する場が学校図書館であることを前提に、そこで展開されるサービスを考える必要があるように思われる。
(本文から抜粋ここまで)

ご多用の折、取材をお引き受けいただきました方々、担当編集者様、樹村房社様、ならびに関係各位に心から御礼申し上げます。

樹村房様ウェブサイト http://www.jusonbo.co.jp/ 

付記:当会は、Twitterで図書館への就職や図書館情報学に関する情報・ニュースを取り上げています。関心のある方は、ぜひフォローしてください
図書館情報メディア研究会@libinfomedia
https://twitter.com/libinfomedia

付記その2:Facebookページもあります。当ブログやTwitterの出張所としての位置づけです。関心のある方は、こちらもぜひフォローしてください
図書館情報メディア研究会
https://www.facebook.com/pages/%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8%E6%83%85%E5%A0%B1%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E7%A0%94%E7%A9%B6%E4%BC%9A/408400092605777

書影JPEG_学校図書館サービス論

関係各位のおかげさまで、『学校図書館の基礎と実際』が刊行されることになりました(リンク先は同書の紹介記事です)。

本書の巻末には、「さらに学習するための文献紹介」という項目があります。それを一部改変して、本エントリーをつくりました。

【学校図書館について学ぶためには?】
ぜひ本書をお読みください(笑)

さらに学ぶにはどうすればよいでしょうか。本書では本文や脚注、巻末の参考文献一覧にさまざまな文献を載せています。さらに学びたい方は、片っ端からそれらに当たるとよい、ということにはなるでしょうが、そうは言っても文献の量が多く、どこから手をつければよいかわかりづらいかもしれません。また、本文で触れなかったもののなかにも、ぜひ紹介したいものがあります。そのため、さらに学習するための文献紹介を本書に設け、かつ、本エントリーも書くことにしました。

学校図書館への理解を深めるために文献を読みたい、という場合もあるでしょう。学校図書館に関するレポートや論文を書く必要に迫られる方もいるかもしれません。本書や本エントリーを参考にしていただければ幸いです。

1. 学校図書館法

①新井恒易「学校図書館法の解説」『新しく制定された重要教育法の解説』東洋館出版, 1953年, p. 1-42.
②全国学校図書館協議会編『学校図書館法の解説』明治図書出版, 1953年, 172p.
③学校図書館編集部「学校図書館法を読む:逐条の解説と30年の歩み」『学校図書館』1983年, no. 393, p. 10-27.

学校図書館に関する理解を深めるために、学校図書館法について学ぶのは有益だと思われます。近年の法改正を含め、学校図書館法の現状や最近の動向を解説する文献は多くあります(本書巻末の参考文献一覧にも複数掲載しています)。

一方、ここでは、学校図書館法制定時のものなど、古典的なものを紹介します。「人」や「お金」が昔から問題だったことや、学校図書館法において学校図書館は「設備」とされますが(1条)、なぜ「施設」や「機能」でなく設備なのかなど、詳しく学ぶことができます。

2. 学校図書館の歴史

①塩見昇著『日本学校図書館史』全国学校図書館協議会, 1986年, 211p.
②全国学校図書館協議会『学校図書館50年史年表』編集委員会編『学校図書館50年史年表』全国学校図書館協議会, 2001年, 197p.
③全国学校図書館協議会『学校図書館五〇年史』編集委員会編『学校図書館五〇年史』全国学校図書館協議会, 2004年, 575p.

このテーマについては、専門的な学術研究書がほかにも複数存在しますが、基本書あるいは基本資料として上の3点を挙げます。上記のとおり、「50年史」と「五〇年史」、表記がそれぞれ異なります。データベースで検索する際などは注意してください。

なお、全国SLAの機関誌『学校図書館』の創刊号(1950年)などを国立国会図書館がデジタルアーカイブ化し、国立国会図書館デジタルコレクションで提供しています。『学校図書館』の創刊号もそうですが、本書発行時点では、国立国会図書館内または図書館向けデジタル化資料送信サービス参加図書館の館内でのみ閲覧可能な場合が多いので注意が必要です。学校図書館の歴史を学んだり、「時代の匂い」を感じ取るためには、こうした資料を読んでみるのもひとつの方法でしょう。

3. 文部科学省関連の近年の文書

①子どもの読書サポーターズ会議『これからの学校図書館の活用の在り方等について(報告)』2009年, 20p. 
②学校図書館担当職員の役割及びその資質の向上に関する調査研究協力者会議『これからの学校図書館担当職員に求められる役割・職務及びその資質能力の向上方策等について(報告)』2014年, 63p.
③学校図書館の整備充実に関する調査研究協力者会議『これからの学校図書館の整備充実について(報告)』2016年, 36p. 

近年、学校図書館に関して主たる論点となってきたものは何か、といったことを調べる際、本書のような教科書に目を通すことのほかに、上記のような、文部科学省関連の報告書を参照するとよいです。本書でも複数箇所で言及しています。

現時点では上の4点を挙げますが、今後、さらに新しい文書が登場するはずです。例えば、国立国会図書館が運営するカレントアウェアネス・ポータルをフォローするなど,最新の動向に目を配ってください。

4. 学校図書館に関する統計

②全国SLA調査部「学校読書調査報告」(例年、『学校図書館』の11月号に掲載)
③全国SLA調査部「学校図書館調査報告」(同上)
④毎日新聞社編『読書世論調査』(年刊)

図書館に関する統計の類は『日本の図書館:統計と名簿』(日本図書館協会, 年刊)や『図書館年鑑』(日本図書館協会, 年刊)、「社会教育調査」(文部科学省)、「学術情報基盤実態調査」(文部科学省)など複数あります。学校図書館に関する代表的なものとして上記①~④を挙げます。本書も、多くの箇所で上記を参照しています。上記を確認することで、学校図書館に関するさまざまな側面がわかります。

5. 学校図書館に関する雑誌

①『学校図書館』(全国学校図書館協議会, 月刊)
②『子どもと読書』(親子読書地域文庫全国連絡会, 隔月刊)
③『子どもの本棚』(日本子どもの本研究会, 月刊)

①は全国SLAの機関誌です。それに比べると、②、③は所蔵している図書館が少ないですが、学校図書館に関する記事がしばしば掲載されます。通っている大学の図書館や近隣の公共図書館に所蔵がなくても、興味のある記事を複写取り寄せするなどして目を通したいところです。

ほかにも、学校図書館に関する論文や記事が載る雑誌には、『日本図書館情報学会誌』(日本図書館情報学会誌, 年4回刊)や『Library and information science』(三田図書館・情報学会, 年2回刊)、『図書館界』(日本図書館研究会, 隔月刊)、『学校図書館学研究』(日本学校図書館学会, 年刊)などの学会誌、『図書館雑誌』(日本図書館協会, 月刊)などの業界誌があります。

6. その他

後藤敏行『図書館員をめざす人へ』勉誠出版, 2016年, 228p. (リンク先はAMAZONの商品ページです)

最後に拙著を挙げます。図書館員になるためのガイドブックであり、各館種の実務家へのインタビュー集です。『これからの学校図書館の整備充実について(報告)』(2016年)が学校司書のモデルカリキュラムを示すなどするよりも前のものですが、学校図書館についても、現職の司書教諭と学校司書(当時。本書とは別の方々)にインタビューを行っています。現場の声として参考になるはずです。

当会は,Twitterで図書館への就職や図書館情報学に関する情報・ニュースを取り上げています。関心のある方は,ぜひフォローしてください 
図書館情報メディア研究会@libinfomedia
https://twitter.com/libinfomedia

Facebookページもあります。当ブログやTwitterの出張所としての位置づけです。関心のある方は,こちらもぜひフォローしてください
図書館情報メディア研究会
https://www.facebook.com/pages/%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8%E6%83%85%E5%A0%B1%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E7%A0%94%E7%A9%B6%E4%BC%9A/408400092605777  

既刊のご案内(2018年2月発行)
学校図書館の基礎と実際
(後藤敏行著、樹村房発行

【概要・書誌情報など】
☑当会代表の単著です!
司書教諭科目「学校経営と学校図書館」、学校司書科目「学校図書館概論」の教科書です。
☑現職の司書教諭や学校司書、係り教諭の方や、学校関係者、他館種の図書館関係者の方にも!
学校図書館の現場でご活躍され、多くの知見を有する、現職の司書教諭や学校司書の方への取材も敢行!
☑学校図書館の教科書や基本書には、基本的な用語の定義(例えば「充て職」とはそもそも何か?)が書かれていないことが意外と多いです。本書は、それらについても説明しています。
☑定価1,800円+税、2018年2月発行、A5版、156ページ、ISBN 978-4-88367-291-2

(以下、本文から一部抜粋。脚注は省略)
『日本の図書館』によれば、公共図書館は前述のとおり日本全国に3,280館存在する。都市部に比べて町村は図書館の設置率が低いという問題もあるが、平均で考えれば、人口約39,000人に1館の割合である。全3,280館の蔵書冊数は4億3千万冊を超える。人口1人当たり3.4冊ほどの蔵書である。

一方、わが国の小中高校等には1,356万3,392人の児童生徒が在籍しており、前述のとおり、基本的に、すべての小中高校等37,979校に図書館が設けられる。そのため、児童生徒約350人に1館の割合で学校図書館が存在する計算になる[脚注で詳しく説明していますが、概数です]。公立学校の蔵書冊数は児童生徒1人当たり約30冊であり、公共図書館の蔵書を人口1人当たりで見た場合よりも多い。

読書量も児童生徒は大人より多い。毎日新聞社の「第70回読書世論調査」(2016年)によると、大人が1か月に読む単行本、文庫、新書の平均冊数は、年代によって異なるが、1.0~1.4冊である。一方、「学校読書調査」の2016年実施分によると、小中高校生の1か月間の平均読書冊数(5月1か月間に読んだ書籍。教科書、漫画、雑誌などを除く)は、小学生(4~6年生)11.4冊、中学生4.2冊、高校生1.4冊である(本書第8章3も参照)。

公共図書館は、市民にとって身近な施設である(控えめに言っても、身近な施設たりうる)。「図書」や「読書」の意味や意義が児童生徒と大人で異なるかもしれず――もっと言えば、本章第1節の定義を覆すようで恐縮だが、「図書館」の意味や意義も児童生徒と大人で異なるかもしれず――、両者は単純に比較できない面も大きいだろうが、上の数字を見ると、公共図書館が市民にとって身近である以上に、学校図書館は児童生徒にとって身近なものである(控えめに言っても、身近なものたりうる)ように思われる。
(本文から一部抜粋ここまで)

ご多用の折、取材をお引き受けいただきました方々、担当編集者様、樹村房社様、ならびに関係各位に心から御礼申し上げます。

樹村房様ウェブサイト http://www.jusonbo.co.jp/ 

付記:当会は、Twitterで図書館への就職や図書館情報学に関する情報・ニュースを取り上げています。関心のある方は、ぜひフォローしてください
図書館情報メディア研究会@libinfomedia
https://twitter.com/libinfomedia

付記その2:Facebookページもあります。当ブログやTwitterの出張所としての位置づけです。関心のある方は、こちらもぜひフォローしてください
図書館情報メディア研究会
https://www.facebook.com/pages/%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8%E6%83%85%E5%A0%B1%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E7%A0%94%E7%A9%B6%E4%BC%9A/408400092605777

16

↑このページのトップヘ