April 19, 2010

パリスの審判 三女神黄金の林檎を争うこと

Die Drei Gottinnen Athena Hera Aphrodite by Franz von Stuck (1863–1928)

フランツ・フォン・シュトックの描いた三女神。

「パリスの審判」は、古代から中世、ルネサンス、ロココ、世紀末までずっと描かれてきた題材です。ほとんどの皆様が文学などからご存知だと思いますが、今日はそのお話しを記事にしたいと思います。

ところで、ルーカス・クラナッハ、ルーベンスはこの題材で何枚も描いていますが、皆さんのお好きな「パリスの審判」はどれなのでしょうか?

ルーカス・クラナッハの7枚の「パリスの審判」はこちら。
記事「ルーカス・クラナッハ 七つのパリスの審判

ロココのヴァトーの「パリスの審判はこちら。
これまで見た中で、オリジナルにもっとも近い配色です。
記事「愛と美の女神アプロディーテー ヴィーナスの誕生

Niklaus Manuel Deutsch

パリスの審判 1517-18 ニクラウス・マニュエル 大英博物館?

Niklaus Manuel Deutsch

パリスの審判 1520年 ニクラウス・マニュエル バーゼル市立美術館

大英博物館?の「パリスの審判」はパロディかと思ったくらいなんですが・・・。バーゼル市立美術館の二クラウス・マニュエルの「パリスの審判」のほうが馴染みあるんです。

さてヘルメス(メリクリウス)の案内でパリスの前にたった、三女神。羊飼いの杖、黄金の林檎をもつパリスに、クピド(エロス)にヴィーナス(ウェヌス)。

メデューサの盾はアテナ、孔雀はヘラと人物がわかるように描かれているものもありますが、ヘルメス(メリクリウス)が描かれていない場合もありますね。

またエリニュスの女神で「止まない者」アレクトーが描かれている作品もありますが、「アエネイス」へ続く不穏な予告をしているのでしょう。

Francesco Bartolozzi after a picture by Angelica Kauffman

エッチングはフランチェスコ・バルトロッツィ、色はアンゲリカ・カウフマン。

さて、三女神は大神ゼウスの妻で結婚と母性、貞節を司るヘーラー、その義理の娘(イーリアス説)で美と愛の女神アフロディテ、そして処女神アテナです。

美の審判はパリス。因縁のあるトロイアの一族。イーリオスをつくったイーロスの子孫トロース。神の酒をつぐヘーベのかわりに、彼の子ガニュメーデスを鷲でさらったゼウス。王位はイーロス2世が継ぎます。

本家、分家と繁栄し、そしてのちにアフロディテがゼウスによってアンキセスを愛し、子アイネイアースを生むことになりますが、彼らはこの子孫です。

パリスの祖父にあたる代に、ヘラクレスがイーリオスのために城壁をつくるなどをしますが、約束のトロイの駿馬を王が渡さず、ヘラクレスはイーリオスを攻め落とします。

神々と因縁のある家系ですね。

William Blake

ウィリアム・ブレイクの「パリスの審判」(1811年)

こうしたことをゼウスは周知していたにもかかわらず、トロイアの一族パリスを審判に選んだわけです。

パリスは神々に似た姿の美しさでしたが、母のプリアモスの不吉な夢のために山に捨てられ、牝熊に育てられ、イーデーの山で羊を牧していたのでした。

伝承では、女神ヘーラーは銀の縫い取りをした純白の軽羅に清楚かつ犯しがたい品位を示し、アテナイは輝かしい金銀の武具にオリーヴの香油を漂わせ、アフロディーテはカリテス(三美神)やホーラたち(季節の女神)が春の花々を縫取りした衣を纏っていたとあります。

この三人は「美」だけを争ったわけではありませんでしたね。賄賂という贈り物をパリスに用意していた三人。

Alessandro Turchi_09

ルネサンス期の画家アレッサンドロ・トルチの「パリスの審判」

女神ヘーラーは世界の支配権を持ってきました。アテナ(アテーナー)はあらゆる戦においての勝利です。

わたしなら女神ヘーラーに黄金の林檎をわたします。

アフロディーテは、世に異なってみめ麗しい美女を与えようと唆しました。

パリスは富や権力、名誉の偉大さを知らず、ただただ美に惹かれてしまった若者だったんですね。美という儚さも知らないで、妻を捨てたのです。

そうしてスパルタの妃ヘレネーを、あのレダと白鳥に化したゼウスの娘ヘレネーをアフロディーテは与えたのです。

神々も二手にわかれ、スパルタ率いるギリシャ軍との戦争がはじまる原因となったのです。

Philippe parrot

 フィリップ・パロットの「パリスの審判」


Peter Paul Rubens  ルーベンス パリスの審判

Rubens, Peter Paul

ピーテル・パウル・ルーベンス 1638-39年

The Judgement of Paris by Rubens, Peter Paul

ピーテル・パウル・ルーベンス

Rubens, Peter Paul

ピーテル・パウル・ルーベンス 1625年

R G Woodman after a picture by Peter Paul Rubens

R. G. ウッドマンのエッチングにピーテル・パウル・ルーベンス

Rubens, Peter Paul

ピーテル・パウル・ルーベンス 1632年


Marcantonio Raimondi, after Raffello Sanzio


Raffaello Santi  Judgement of Paris

 マルカントニオ・ライモンディのエッチング、下絵がラファエロ



Anselm Feuerbach

アンゼルム・フォイエルバッハの「パリスの審判」

ほかにダリなどもありますが、「パリスの審判」はこのへんで。


女神エリスが黄金の林檎を投げ込んだ英雄ペレウスと海の女神テティスの婚宴


Wtewael, Joachim

ヨアヒム・ウテワール


パリスの審判 ウェヌスの贈り物 スパルタ王妃ヘレネー


Francesco_Primaticcio

フランチェスコ・プリマティッチオ ヘレネーの陵辱



ヘレネーに関しては諸説があり、「家庭崩壊」、「不貞」の代名詞にもなるように、拉致ではなく、パリスの神のような美しさに魅了されてついていったというお話もあります。

・・・


lifecarrer33gearkawase at 19:04│Comments(0)TrackBack(1)ウェヌス Venus | 西洋美術 Western art

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1. ルーカス・クラナッハ 七つの「パリスの審判」  [ KAFKA ]   April 19, 2010 19:27
ルーカス・クラナッハ 1512-14年 ルーカス・クラナッハ 1530年 ルーカ

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