September 01, 2005

セルジュ・ルタンス

House_of_shiseidoセルジュ・ルタンスは、ポール・ポワレに見出されたアール・デコの寵児エルテが築いた蠱惑的な夢の世界−その個人主義的総合芸術の後継者の一人と言われています。

クリスチャン・ディオールで活躍し、1980年から20年間資生堂のイメージクリエーターをつとめたセルジュ・ルタンス。妖しく繊細で、東洋と西洋、今と昔とが混じり合う美しさ−ちょうど展示の中に山口小夜子さんの写真があり、切れ長の目と長い黒髪で、1970年代に「東洋の神秘」と呼ばれた、日本人スーパーモデルの草分け的存在を示すようです。そんな女性美をメーキャップアーティスト、調香師、イメージクリエイターとして提案し続けてきた40年間。  

 葉のレースを纏う女性  「レース Dentelle」1995

水平線


shiseido_01shiseido_02「レース」「チャイナ」など彼が選んだ23の言葉ごとに、広告、映像、オブジェ、香水など約100点の作品群。それは、「禅の精神」「黒と紫」「角(アングル)と直線を大切に」「過剰なもの、媚びるものは排除する」という彼が希望するディテールも具現化。会場には「レース」「赤と黒」「陰影」「手品師」「悪魔と奇跡」「不動の旅人」など、29のテーマによって分類されました。

会場では1974年の作品「Les Stars(レ・スター:星)」1976年の「Suaire(シュエール:聖骸布)」をはじめとするフィルムを上映。この1970年代後半から1980年代前半は、私の10代後半から20代前半の時代でした。

shiseido_03shiseido 04「インウイ」の広告では、モデルの化粧から、身につける宝石、オブジェ制作、撮影までを一人でこなし、独特の世界を作り上げた彼は、「完全主義者で美に飢えた人間なんです。」と語ります。美を求める衝動があり、その「欠落感」を埋めるため、自身の旅体験や読んだ本、見た映像の膨大な記憶の引き出しを開け、新たな作品を作り上げるという。

画一的な美しさを嫌い、様々な文化の多様性の中で美を見つけ出すのが「私の義務であり、唯一の楽しみでもある」とも。

 

shiseido 05ルタンスは、貧しかった小さな頃に、ワインのコルク栓に顔を描いたり、服を着せたり遊んでいた−−−「今でも私はコルク栓と遊んでいるのと、心は同じ。現実の世界で何が起こっているかなど、まったく関心がなかった。あるものに魅せられて見つめていると、私自身がそのものになっていた。木を見つめると木に、火を見つめると火になる。私自身であったときのほうが少ないくらいだ。女性を見つめても同じ。−

−私が女性化するのではなく、私自身が彼女と同化してしまう。茫然自失となってしまう。病的か詩的か知らないが、こんな自分を背負って何かをするというのが大事なんだ」
 by
エルテ―幻想の世界を生きたアールデコの寵児より

セルジュ・ルタンス展覧会  私はこの言葉が大嫌いだ。
暗示、問いかけ−−−すべてが大きな神秘でありつづける。
名づけることはできても、文に記す事のできないものとして。
by セルジュ・ルタンス 
− ハウスオブ シセイドウ 万物資生 −

 

BOOK セルジュ・・ルタンス
「雅 エレガンス・死 デス ・美 ビューティー」
偉大なるアーティストは、いつも隣に死を意識しているのですね。

BOOKセルジュ・ルタンス... 夢幻の旅の記録
著者:セルジュ・リュタンス
出版社:資生堂 /求龍堂  ¥2,625
麗人伝説―セルジュ・ルタンスと幻の女たち
クリエイション―世界のグラフィックデザイン,アート&イラストレーション (Number 6)
小夜子の魅力学/文化出版局にルタンスとのエピソードが掲載。

 



トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by utencixsuinia   February 17, 2012 06:39
1 adobe photo shop 5 companies in san jose ca http://etbyppp.hostingsociety.com/adobe-acrobat-macintosh.html adobe acrobat macintosh

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔