May 09, 2010

アエネーイスから アイネイアースと母ヴィーナス

Vénus demande à Vulcain des armes pour Énée

「アイネイアスのためにウルカヌスに武器を注文するヴィーナス」

フランソワ・ブーシェが描いたこの作品。ウェルギリウスの「アイネーイス」の場面です。

ブーシェというと、女性や天使、官能的なロココ調を思い浮かべてしまいますが、社会的な風俗画やこうした神話も多いですよね。

この場面は何人もの画家が描いているシーンで、ブーシェと同じフランスの画家シャルル=ジョゼフ・ナトワール (Charles-Joseph Natoire)もブーシェを手本にしたような作品を残しています。

トロイア戦争のあとの物語が、詩人ウェルギリウス(前70年–前19年)のアイネーイスです。この作品はホメーロスの「イーリアス」、「オデュッセイア」をもとに書かれました。

ウェヌス(ヴィーナス)は夫の鍛冶神ウエルカヌス(ヘパイストス)に、アンキセス(アンキーセース)との子のアイネイアスに武器をつくってほしいと頼んでいるところ。

ウェヌスとマルスとの不貞を見られる前のことでしょうか?

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ブーシェの「アイネイアス(アイネイアース)のために造った武器をウェヌスへ贈るウルカヌス」

ウェヌス(ヴィーナス)にさっそくウエルカヌス(ヘパイスト)はアイネイアースのための武器を渡します。

ウェヌス(ヴィーナス)はパリスの審判で、唯一の美を勝ち取った「愛と美の女神アフロディーテ」ですが、このパリスの審判がトロイア戦争を起こしたきっかけとなったのです。

アフロディーテとトロイア王族のアンキーセースの子アイネイアースは、トロイア陥落後、祖国復興のためにイタリアへと旅立ちます。

このブーシェの2点はほかに同じテーマのものがあり、「神々の愛」という連作タペストリーの下絵として描かれたものです。たしかルイ16世コレクションだったと思います。

この「アエネーイス」で、もっとも悲劇だと感じるのはカルタゴの王女ディドー(ディド)。カルタゴの建国神話に基づく伝記とは異なりますが、剣あるいは炎に身を投じる最期。

どちらの物語にしても、悲劇の女王です。

800px-Heinrich_Friedrich

ハインリッヒ ・フリードリヒ・フューガー(Heinrich Friedrich Fuger)が描いたこの「ディド」。剣ではなく炎に身を投じる姿を描いたのでしょうか。それとも苦悩の中の王女ディドなのでしょうか。

アイネイアースの母ウェヌス(ヴィーナス)は、クピド(エロス)にディドへ愛の矢を打ち込ませます。

アイネイアースの身を守るためにはディドが彼を愛することだと考えた愚かな母ウェヌス(ヴィーナス)。

ユーピテル(大神ゼウス)の神託はイタリア半島にアイネイアースを出向かせることになっていたのにかかわらず。

ヘルメス(メリクリウス)は、神託を促しにアイネイアースの元に訪ねてきます。

アイネイアースは決意を固めイタリア半島へ、そしてディドは命を絶ったのです。

アフロディーテがクピド(エロス)の愛の矢を使わせて、命を断たせた若い女性たちの一人となったのですね。

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エラルート・デ・ライレッセ(Gerard de Lairesse)の「ウルカヌスの武器をアイネアスに贈るウェヌス」です。

ディドの呪いをよそに、美しいウェヌス。作品のディティールです。全体像は下記から。

巫女シビラの導きによって冥界に入ったアイネイアースは亡き父アンキセスと会い、ローマの英雄となることを告げられます。

ラティウムではアルデアの王トゥルヌスの婚約者だったラウィーニアとアイネイアースと婚約することになるのです。

この地こそ、新しいトロイアの国。

そして戦わなければならないのはトゥルヌス。激しい戦いで多くの人々が命を落とします。

唯一の美でパリスの審判が起こした戦争は、トロイア、そしてこのラティウムですが、大神ゼウスの仕組んだことでもあったんですね。

Weapons_to_Aeneas

人間が多くなり間引きをしなければならなくなった。

トロイアのパリスに美の審判をさせて戦争を引き起こし間引きをしたのです。

神々に踊らされた人間たち。

ウルカヌスの武器をここでアイネイアースは使うことになるのです。

トゥルヌスとアエネアースとの一騎打ちでトゥルヌスを倒しますが、アエネアースはどうなったのでしょう。

トロイアの勝利はおさめたものの、アエネアースの最期はウェヌスによって身を浄められて神となったとされるものと、「アエネーイス」のようにラウィーニアと国を治めたという伝承があります。

どちらにしても亡き父アンキセスの予言のとおりにローマの英雄になったことにちがいはありません。

lifecarrer33gearkawase at 21:23│Comments(0)TrackBack(1)ウェヌス Venus | 文学・読書

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