文学・読書

May 25, 2010

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ 無声の絵画 詩と文学


ロセッティ 海の呪文 セイレーンの琴と歌声


A Sea Spell 1877  Fogg Art Museum, Harvard University

海の呪文 1877年 フォッグ美術館 (美術書から)
ロセッティ Dante Gabriel Rossetti

画像をクリックすると実際に撮影した写真の画像に変わります。

この海の呪文はホイッスラーの孔雀の間で有名なF・R・レイランドが所有していたものです。1872年に、ロセッティのヴァイオリンを爪弾く「ヴェロニカ・ヴェロネーゼ」を購入し、連作になるような作品を依頼しました。それがこの「海の呪文」です。

実際には暖炉のうえの鏡を挟んで対になるように「ヴェロニカ・ヴェロネーゼ」と対で飾っていたのは、のちほど紹介いたします「レイディ・リリス」でした。

ロセッティの間と呼んでもよいくらいのF・R・レイランドのドローイングルームに、二面だけでも7枚の作品が並んでいます。

この3枚の作品はいずれもロセッティの詩から絵画化されたものです。「海の呪文」の原文がこちらです。

Her lute hangs shadowed in the apple-tree,
While flashing fingers weave the sweet-strung spell
Between its chords; and as the wild notes swell,
The sea-bird for those branches leaves the sea.
But to what sound her listening ear stoops she?
What netherworld gulf-whispers doth she hear,
In answering echoes from what planisphere,
Along the wind, along the estuary?

She sinks into her spell: and when full soon
Her lips move and she soars into her song,
What creatures of the midmost main shall throng
In furrowed surf-clouds to the summoning rune:
Till he, the fated mariner, hears her cry,
And up her rock, bare-breasted, comes to die?

 林檎の木の下でハープ。これはホイッスラーの影響で、ジャポニズムの作品にも値するかもしれません。ハープはお琴を立てているのです。

(C)Rossetti org


原文の詩はリュートとですが、絵画作品に描かれているのはリュートではありませんね。フェルメールの絵のあれがリュート(ギターに似た)です。

そして甘い呪文を奏でます。

美しい歌声で航行中の船員たちを惑わせ、そして難破させて、その死体は風にのって、河口に沿って歌声とともに流れていったのでしょうか。セイレーンの頭上にいる海鳥がその魂として描かれています。

ゲーテの「ファウスト」のほか、ご存知のホメロスの叙事詩「オデュッセイア」と海の魔物セイレーンのシーンはかかせませんね。

イアソンのアルゴー船では、吟遊詩人オルフェウスの竪琴の美しい音色はこのセイレーンの歌声にも勝り、船員は無事でした。

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスの「セイレーン」と同じくハープを手にしているところは、ラファエル前派の特徴ですね。

恋をすることなく、ただただ航海中の船を難破させるために歌う歌声。それは海の呪文。セイレーンの美しい唇の動き、呪文を美しい歌声に変えて。そして悲しいことに惑わされるものなどいなかったのです。海のファム・ファタル。

それではお花はどうでしょうか。左のお花はスナップ・ドラゴン、頭上には林檎の実。

A Sea-Spell  snapdragon


「顎をあけた竜の頭」(スナップドラゴン)はセイレーン、甘い香りで蜜蜂を誘うこの花。蜜蜂は船員たち。

「林檎の実」は禁断の木の実のようです。林檎の実は誘惑、林檎の木は名誉です。

A Sea-Spell apple


花の冠ですが、ウィンスロップ・コレクション展の図録にキャロライン・ローズとあったのでしょうか?どんなお花なんでしょう。見たことありません。

キャロライン・ローズって、 デュシェス・ドゥ・ブラバンの枝変わりミス・キャロラインのことではないかと。

A Sea-Spell-Wreath


そうなるとデュシェス・ドゥ・ブラバンの特徴がないような・・・。耳から後ろにかけてはその薔薇にもみえますが。そして額のほうの花びらはすっかり花が開いて花弁が一重の薔薇のよう。それとも違うお花でしょうか。

そして「赤いアネモネ」だといわれている左下の花。ヴィーナスの恋人アドニスが亡くなったときの「赤い血」から生まれた花。

A Sea-Spell Anemone


赤いアネモネは「君を愛す」ですが、アネモネは死と眠りも暗示しています。でもアネモネに見えないですね。萎んでいるよう。そして蕾があります。アネモネの蕾は独特の丸み。なぜアネモネとなったのでしょう。当時の品種?

もしも満開を過ぎてしまった薔薇、萎んだ花は「死」を意味していると思われます。とくに身につけているセイレーン自身も死の呪縛にあるのでしょうか。


ロセッティ フィアンメッタ(フィアメッタ)  「デカメロン」 ボッカッチョの恋人

A Vision of Fiammetta(1878) Andrew Lloyd Webber Collection

フィアンメッタの展望 1878年
ロセッティ Dante Gabriel Rossetti
アンドリュー(アンドルー)・ロイド=ウェバー コレクション

正真正銘の写真画像はクリックでどうぞ。もちろん大富豪の邸宅に私が伺ったわけじゃありませんよ。友人から頂戴した画像です。

日中の明るいときは、この美術書のような明るさで見えるそうです。写真はちょっと暗いです。

以前に「ラファエル前派 モードと芸術」で使用した画像は美術書のものをスキャナしたので、色調は違います。

フィアンメッタはボッカッチョ(ボッカチオ)の恋人。ダンテのベアトリーチェと同じように歴史に残るカップル。

ダンテの理解者でもあり、ペトラルカとともにルネサンス初期の作家で「デカメロン」は有名ですよね。

ペトラルカはダンテとベアトリーチェの後をいく人でした。ラウラという謎の恋人とは心の恋人のまま、恋愛抒情詩を捧げ、ラウラが亡くなると生涯ラウラへの恋心を詩に託します。

ボッカッチョはナポリ王の私生児マリア・ダクィーノに小さな炎(フィアンメッタ)と名づけ、ペトラルカと同じくベアトリーチェとダンテの関係に倣います。この純愛がフィアンメッタの新しい恋で終わったからなんですね。

ソネットの「On his Last Sight of Fiammetta フィアンメッタの最後の光景」を書き上げます。

それをロセッティは絵画作品としたのです。

Behold Fiammetta, shown in Vision here.
Gloom-girt 'mid Spring-flushed apple-growth she
stands;

And as she sways the branches with her hands,
Along her arm the sundered bloom falls sheer,
In separate petals shed, each like a tear;
While from the quivering bough the bird expands
His wings. And lo! thy spirit understands
Life shaken and shower'd and flown, and Death
drawn near.
All stirs with change. Her garments beat the air:
10 The angel circling round her aureole
Shimmers in flight against the tree's grey bole:
While she, with reassuring eyes most fair,
A presage and a promise stands; as 'twere
On Death's dark storm the rainbow of the Soul.

ロセッティはこうした男女の恋や愛を理想としていました。実際のロセッティの現実とは正反対。

そうしてやはりフィアンメッタにも赤い小鳥を描いています。ベアトリーチェの肖像画と同じように。そしてフィアンメッタには「火の鳥」を描いているようです。


 ロセッティ ロマン・ウィンドゥ マネス神のために


Roman Widow (Ds Manibus) 1874-Museo de Arte de Ponce

ロマン・ウィンドゥ(マネス神のために) 1874年 ポンセ美術館

竪琴と琴でしょうか。二つの古楽器を奏でる女性。亡くなった愛する人の魂を慰めるマネス神を祀る巫女でしょうか。墓地の守護者でもあり、右側には小さな墓石。そこに「ディ・マネス」と刻まれています。

その墓石はラピス・マナリスと呼ばれる石。その下には聖水盤のようなものが描かれていますが、水をかけながら天空神ユピテルに雨乞いをするために崇拝された伝承も他にあるようです。

神話の物語だけではなく、古代のキリスト教の墓石にも刻まれていたといわれています。

この両手に二つの楽器をもつというのが、絵画作品では「呪歌の場面」とされているそうです。


ロセッティ レイディ・リリス 

私がもっとも好きなロセッティの「レイディ・リリス」はメトロポリタン所蔵のものです。

F・R・レイランドのドローイング・ルーム。顔が映っていない「レイディ・リリス」ですが、膝に花輪があるのがかすかながら認められます。1868年に完成したデラウェア美術館の「レディ・リリス」かと思われます。対のように鏡を挟んでいるのが1872年の「ヴェロニカ・ヴェロネーゼ」です。

こちらの記事からごらんください。
詩人ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの絵画

ファム・ファタルを象徴しているとされていますが、もっともロセッティの記事でデラウェア美術館の「レイディ・リリス」を引用している方が多いですが、メトロポリタン、テキサス大学で所有しているものは、とても穏やかな表情です。

Lilith-1867-The Ransom Center at the University of Texas

ロセッティ レイディ・リリス 1867年 テキサス大学所有

Lady Lilith, 1867, Dante Gabriel Rossetti The Metropolitan Museum of Art

大好きな ロセッティ レイディ・リリス 1867年 メトロポリタン美術館蔵

Lady Lilith, 1866-68 (altered 1872-73)Delaware Art Museum

これは嫌い ロセッティ レイディ・リリス 1868年 デラウェア美術館蔵

ロセッティの描いたリリス。赤い芥子の花はベアトリーチェにも描かれています。

窓辺の蝋燭は、まるでマグダラのマリアを思い出しますが、蝋は肉体、芯は魂です。そして香水瓶に狐の手袋ジギタリスの花。香水瓶は香油壺を表しているのでしょうか。聖女とされる前のマグダラのマリアを示すもの。つまり娼婦です。

狐の手袋(ジギタリス)の花言葉は不誠実。3枚目のデラウェア美術館蔵のリリスは膝に雛菊の花輪を置いています。花言葉は無邪気ですが、もしかすると「五感の嗅覚」を象徴しているのかもしれません。「香水瓶」、「花」、「花輪を持つ貴婦人」が嗅覚の擬人像だからです。つまり香りで惑わすということでしょうか。

背後の白薔薇は尊敬、無邪気・清純・純潔、私は処女、恋の吐息、私はあなたにふさわしいとあります。(不思議なことに蕾は赤なんですね。)

これはリリスの面の装いを象徴しているのですね。左肩から胸元まで肌をあらわにしている本質と面の偽りが見て取れます。

さてこの作品で一番目につくところはどこですか?ロセッティはそこを強調しているんですよね。つまり主題です。

リリスが鏡を見ながら長い髪を櫛で梳かしているところではないでしょうか。これがロセッティのリリスの主題です。

Lady Lilith

七つの大罪のひとつ淫乱を象徴している場面を描いているのですね。わかりやすいですね。セイレーンのアトリビュートも同じ。美しい声と美しいしぐさで罠をかけて引きずり込むセイレーン。

図像学(iconography)のとおり、鏡を持ち櫛で髪を梳かす女性は「淫乱」の擬人化を示しています。

テキサス大学所有のリリスには小さな象徴は描かれていません。共通するのは「長い髪を櫛で梳かす主題」と「背後の薔薇の花」、そして「悪魔を象徴する左手に鏡と緋色の紐」です。

サタンをあらわす左手には緋色の紐を結んでいます。獲物を縛り上げる魔性の印。そして鏡を手にしています。鏡は「蛇」を象徴し、イヴに禁断の木の実を食べさせたあの蛇を描いたのです。聖書はこの「蛇」をサタンとしています。まさに「鏡」はサタンの姿を映すもので、「虚栄」と「淫欲」をあらわします。

リリスはイザヤ書においては「夜の魔女」とされています。

アダムの最初の妻というのは中世時代。11世紀の「ベン・シラのアルファベット」に綴られているその妻リリスは、17世紀の「タムルード語彙集」でひろまり、古代からの伝承ではなさそうなので、物語のひとつと考えていいようですね。

Lilith

wikiにシュメール語の「ギルガメシュ叙事詩」序にキ-シキル-リル-ラ-ケ ki-sikil-lil-la-ke の名がありますが、これと同一視されたようです。

-シキル-リ-ラ-から「キルケ」の名も浮かび上がってきますね!

夜の性愛の女性、夜の魔物、夜の魔女などの伝承がありますが、旧約聖書には次のように書かれています。

「荒野の獣はジャッカルに出会い 山羊の魔神はその友を呼び 夜の魔女は、そこに休息を求め 休む所を見つける。」(引用:wiki)

ラファエル前派は新しい解釈が好きで、不貞に対して神助を求めるための女性たちのウェヌス・ウェルティコルディアを心変わりを誘うウェヌス(ヴィーナス)として描きました。

それもロセッティの作品です。
記事 ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ Dante Gabriel Rossetti

ロセッティは、このリリスをソネット形式で「肉体の美」を創作しました。わさわざ中世の新しい解釈から引用しています。

地上はじめての人アダムの妻リリス 巧みな蛇より甘言をのせた蜜の舌
黄金の稲穂の如く輝く髪は神々しく 地上は幾つも時を重ねても
誕生のままの姿のリリス その我が身に男の視線をとらえては
獲物をその巣にかけるのだ 男の宿命を喰らい尽くすために
薔薇と芥子はおまえの花 リリス、その香りをそえて接吻を
そして快楽のあとの深い眠り 引き返す男がいるだろうか
その呪文を唱えたとたん 魂を奪われる 男はリリスの髪一筋で 心の臓を貫かれる

Sonnet LXXVIII from "The House of Life: A Sonnet Sequence" Body's Beauty

Of Adam's first wife, Lilith, it is told
    ('The witch he loved before the gift of Eve,)
    That, ere the snake's, her sweet tongue could deceive,
And her enchanted hair was the first gold.
And still she sits, young while the earth is old,
    And, subtly of herself contemplative,
    Draws men to watch the bright web she can weave,
Till heart and body and life are in its hold.

The rose and poppy are her flowers; for where
    Is he not found, O Lilith, whom shed scent
And soft-shed kisses and soft sleep shall snare?
    Lo! as that youth's eyes burned at thine, so went
    Thy spell through him, and left his straight neck bent
And round his heart one strangling golden hair.

Sibylla Palmifera

Poem 'Soul's Beauty'  Sibylla Palmifera

パルミフェラの巫女、あるいはパルミフェラの預言者(シビラ・パルミフェラ)はロセッティの1865-70年の作品です。

レイディ・リリスの「肉体の美」に対して、ロセッティはパルミフェラの巫女に「魂の美」という詩を添えています。

このパルミフェラの巫女は下記からどうぞ。
記事「詩人ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの絵画

 


ロセッティ ラ・ピーア・デ・トロメイ  ダンテ「神曲」 惨殺されるマレンマの谷の窓 

La Pia de Tolommei

トロメイ家のピーア 1868-80年 スペンサー美術館

全体的に暗いトーン。青空も見えず、薄暗い雲と灰色に塗られた鳥。

ロセッティがこの色相の暗さで描いたのは、観賞者にいまそこに「死」が迫っていることを知らせているのです。

オペラ好きな方なら「ピーア・デ・トロメイ」ですぐおわかりになられますね。原作は「ダンテの「神曲」で、地獄編のパウロとフランチェスカのように、ピーアも煉獄編で悲恋を語ります。そして「パウロとフランチェスカ」同様にこうしてオペラの評判にもなっています。

記事 ダンテ 神曲 地獄編 ここからパウロとフランチェスカの作品が鑑賞できます。

それでは煉獄編 ピーアの悲恋

「思い出してくださいませ。ピーアでございます。シエーナで生まれました私をマレンマが死なせました。そのわけは、まず珠の指輪を贈って、わたしを娶った男が存じておるのでございます。」

ウェルギリウスに導かれているダンテ。この二人に三人目の魂が話しかけたところでこの歌は終わりです。三人目の魂がピーア。

ご存知のように神曲は実在した人物たちが登場します。このピーアもその名だけで当時の人々はすぐにわかったことでしょう。

トロメイ家のピーアはラ・ピエトロ城の城主の息子に嫁ぎました。

ところが美しいと評判のマルゲリータと結婚するためにピーアは惨殺されました。ひとつの説にはピエトロの城中で。

そしてもうひとつの説が「伯爵夫人の身投げ」と呼ばれる由縁となった、マレンマの谷に面した窓によって立ったときに、兵士の一人が命じられるまま投げ落としたという悲しみの死。

ロセッティは、いままさにそのマレンマの谷に面した窓のピーアを描いているのです。

モデルはモリス夫人。


 ロセッティ ラ・ギルランダータ 花飾りの女


La Ghirlandata 1873  Guildhall Art Gallery, London

ラ・ギルランダータ 花飾りの女 1873年 ギルドホール美術館

ウィリアム・モリスと共同で借りていたケルムスコット・マナー。この作品はそこで描かれたものです。天使はメイ・モリス。そしてハープを奏でるアレクサ・ワイルディングがモデル。

バーン=ジョーンズがプルーストの好きな山査子(サンザシ)の花をちりばめた「欺かれたマーリン」(とてもきれいな作品画像)がありますが、ここでも山査子の花が描かれています。

「欺かれたマーリン」になぜ山査子の花が描かれたのかというと花言葉です。「ただひとつの恋」です。マーリンにとっては「唯一の恋人」に裏切られたのですね。そしてそれは茨の冠。

ロセッティの「ラ・ギルランダータ(花飾りの女)」には、山査子のほか、ヴィーナスの花の銀梅花(ギンバイカ)が「愛の囁き」、薔薇は「愛」を象徴して描いています。左下の赤いお花が特定できません。

ここにも「ウェヌス・ウェルティコルディア」と同じ吸葛。

そして作品の前面にひろがる飛燕草。鳥兜と同じに恐ろしい花。数分で死にいたります。花言葉は移り気・気まぐれ・自由・慈悲とさまざまです。

ロセッティはこの作品の花のいくつかを「聖書」から引用しているそうです。

キリストの荊冠を編んだのは山査子(サンザシ)でしたね。

銀梅花はミルトスといいますね。聖書で「茂った木の枝」というのがミルトスをさしています。いたるところにこの花がでてきてどこを引用しようかと迷ってしまうくらい多いのです。ここではアダムとイヴが楽園追放のときにこのミルトスを手にしていたということを記しておきましょう。

そして薔薇ですが、フェニキアバラ、カニナバラというのがキリストの時代に咲いていたものです。ロセッティが描いた薔薇とは違います。

それでは「ソロモンの知恵」にある「咲き初めたばらがしおれぬ うちに、その花の冠をつけよう。」(2:8)から引用したのではないでしょうか。

まだ「花飾りの女」は吸葛と薔薇の花の冠をつけていないのですから。

関連記事
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ  Dante Gabriel Rossetti
プロセルピナ(1881-82) テートギャラリー
ムネモシュネ(ムネーモシュネー)1881年 デラウェア美術館
ウェヌス・ウェルティコルディア 1864-68年
ウェヌス・ウェルティコルディア 個人所蔵
シリアの女神アスタルトまたはシリアの女神アスタルテ

ダンテ・・ゲイブリエル・ロセッティ 聖告(受態告知
見よ、我は主のはした女なり (聖告) 1849−50
聖告 1855年 個人所蔵
聖告 1859年 フイッツウィリアム美術館
聖母マリアの少女時代 1848-49年

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
ベアトリーチェの死とダンテの夢 1871年
ベアトリーチェの死とダンテの夢 1880年
ベアタ・ベアトリクス 1871–72
ベアタ・ベアトリクス 1877年
ベアタ・ベアトリクス 1864-70年
祝福されし乙女 1875-8
祝福されし乙女 1875-9
祝福されし乙女(バーン=ジョーンズ)
天上の乙女 1874年
習作 祝福されし乙女1876
黄金の水 1858年
ベアトリーチェの会釈 1859年
パオロとフランチェスカ・ダ・リミニ 1855年
ベアトリーチェ一周忌に天使を描くダンテ 1853-54

詩人ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの絵画
習作 美しき手(ラ・ベッラ・マーノ La Bella Mano)
美しき手(ラ・ベッラ・マーノ La Bella Mano)
ルクレツィア・ボルジア 1860-61
レヴェリー(夢想あるいは幻想)1868
The Daydream, (白昼夢)1872-78
The Day Dream, (白昼夢)1880
アウレア・カテナ(黄金の鎖)
ラ・ドンナ・デッラ・フィネストラ(窓辺の淑女)
ジェーン・モリスの写真
「婦人の肖像画」
F・R・レイランドのドローイングルーム
ヴェロニカ・ヴェロネーゼ 1872
パルミフェラの巫女(シビラ・パルミフェラ)
「扇をもつ婦人」 バーミンガム美術館
アレクサ・ワイルディング
習作 メデューサの容貌
メデューサの容貌続きを読む

lifecarrer33gearkawase at 08:18|この記事のURLComments(0)TrackBack(3)

May 11, 2010

エドワード・バーン=ジョーンズ ダナエ Danae by Edward Burne-Jones


Danae

「ダナエ」 バーン=ジョーンズ(ポスター画像)
Danae by Edward Burne-Jones
Peter Nahum at The Leicester Galleries

クリムトでもおなじみの「ダナエ」。バーン=ジョーンズは彼女が産んだペルセウスも描いています。

「ダナエ」が子を産むと、父王が殺されるだろうという不吉な予言に、王は娘のダナエを塔に幽閉します。ところが黄金の雨となってゼウスがダナエを犯すのですね。

関連記事 「ウィーン世紀末のダナエ

バーン=ジョーンズは古典からではなく、当時の新訳ですとか、世紀末文学やモリスからの影響を受けて描いているようですね。

Danäe and the Brazen Tower (1872), Ashmolean Museum Danae or The Tower of Brass(1887-88), Glasgow Museums

画像をクリックすると全体像になります。(↑Click Here)

左 「ダナエと真鍮の搭」 エドワード・バーン=ジョーンズ
Danäe and the Brazen Tower (1872), Ashmolean Museum

右「ダナエあるいは真鍮の塔」 エドワード・バーン=ジョーンズ(ポスター画像)
Danae or the Tower of Brass (1887-88), Glasgow Museums

Danae Watching the Building of the Brazen Tower Fogg Art Museum

エドワード・バーン=ジョーンズ 「真鍮の搭を覗くダナエ」 (ポスター画像)フォッグ美術館蔵
Danae watching the building of the tower Fogg Art Museum 1872年

ダナエを幽閉するための真鍮の塔の建設。それをダナエが覗いているところです。

The Tower of Brass (Danae) - Edward Burne-Jones_350

右側の「ダナエあるいは真鍮の塔」の写真です。写真でも実際の確かな色ではないのですが、存在感が違いますね。

記事 バーン=ジョーンズ Edward Burne-Jones 「The Legend of St George」
記事 バーン・ジョーンズ アーサー王と円卓の騎士

実はこの二つの記事にある別々な作品がひとつの作品につながっています。
記事「エドワード・バーン=ジョーンズ  ヴィーナス巡り 」
記事エドワード・バーン=ジョーンズ 7枚の運命の女神の車輪

記事バーン=ジョーンズ ヴィースの誕生(海からあがるヴィーナス 1873-79)
記事「エドワード・バーン=ジョーンズ ウェヌス・エピタラミア(祝婚歌のウェヌス)」

XAI
エドワード・バーン=ジョーンズ シリーズ「薔薇物語」
たくさんの作品記事にリンクさせています。年代別になっています。続きを読む

lifecarrer33gearkawase at 23:47|この記事のURLComments(0)TrackBack(4)

May 09, 2010

アエネーイスから アイネイアースと母ヴィーナス

Vénus demande à Vulcain des armes pour Énée

「アイネイアスのためにウルカヌスに武器を注文するヴィーナス」

フランソワ・ブーシェが描いたこの作品。ウェルギリウスの「アイネーイス」の場面です。

ブーシェというと、女性や天使、官能的なロココ調を思い浮かべてしまいますが、社会的な風俗画やこうした神話も多いですよね。

この場面は何人もの画家が描いているシーンで、ブーシェと同じフランスの画家シャルル=ジョゼフ・ナトワール (Charles-Joseph Natoire)もブーシェを手本にしたような作品を残しています。

トロイア戦争のあとの物語が、詩人ウェルギリウス(前70年–前19年)のアイネーイスです。この作品はホメーロスの「イーリアス」、「オデュッセイア」をもとに書かれました。

ウェヌス(ヴィーナス)は夫の鍛冶神ウエルカヌス(ヘパイストス)に、アンキセス(アンキーセース)との子のアイネイアスに武器をつくってほしいと頼んでいるところ。

ウェヌスとマルスとの不貞を見られる前のことでしょうか?

Ce document est rattaché

ブーシェの「アイネイアス(アイネイアース)のために造った武器をウェヌスへ贈るウルカヌス」

ウェヌス(ヴィーナス)にさっそくウエルカヌス(ヘパイスト)はアイネイアースのための武器を渡します。

ウェヌス(ヴィーナス)はパリスの審判で、唯一の美を勝ち取った「愛と美の女神アフロディーテ」ですが、このパリスの審判がトロイア戦争を起こしたきっかけとなったのです。

アフロディーテとトロイア王族のアンキーセースの子アイネイアースは、トロイア陥落後、祖国復興のためにイタリアへと旅立ちます。

このブーシェの2点はほかに同じテーマのものがあり、「神々の愛」という連作タペストリーの下絵として描かれたものです。たしかルイ16世コレクションだったと思います。

この「アエネーイス」で、もっとも悲劇だと感じるのはカルタゴの王女ディドー(ディド)。カルタゴの建国神話に基づく伝記とは異なりますが、剣あるいは炎に身を投じる最期。

どちらの物語にしても、悲劇の女王です。

800px-Heinrich_Friedrich

ハインリッヒ ・フリードリヒ・フューガー(Heinrich Friedrich Fuger)が描いたこの「ディド」。剣ではなく炎に身を投じる姿を描いたのでしょうか。それとも苦悩の中の王女ディドなのでしょうか。

アイネイアースの母ウェヌス(ヴィーナス)は、クピド(エロス)にディドへ愛の矢を打ち込ませます。

アイネイアースの身を守るためにはディドが彼を愛することだと考えた愚かな母ウェヌス(ヴィーナス)。

ユーピテル(大神ゼウス)の神託はイタリア半島にアイネイアースを出向かせることになっていたのにかかわらず。

ヘルメス(メリクリウス)は、神託を促しにアイネイアースの元に訪ねてきます。

アイネイアースは決意を固めイタリア半島へ、そしてディドは命を絶ったのです。

アフロディーテがクピド(エロス)の愛の矢を使わせて、命を断たせた若い女性たちの一人となったのですね。

ve09443

エラルート・デ・ライレッセ(Gerard de Lairesse)の「ウルカヌスの武器をアイネアスに贈るウェヌス」です。

ディドの呪いをよそに、美しいウェヌス。作品のディティールです。全体像は下記から。

巫女シビラの導きによって冥界に入ったアイネイアースは亡き父アンキセスと会い、ローマの英雄となることを告げられます。

ラティウムではアルデアの王トゥルヌスの婚約者だったラウィーニアとアイネイアースと婚約することになるのです。

この地こそ、新しいトロイアの国。

そして戦わなければならないのはトゥルヌス。激しい戦いで多くの人々が命を落とします。

唯一の美でパリスの審判が起こした戦争は、トロイア、そしてこのラティウムですが、大神ゼウスの仕組んだことでもあったんですね。

Weapons_to_Aeneas

人間が多くなり間引きをしなければならなくなった。

トロイアのパリスに美の審判をさせて戦争を引き起こし間引きをしたのです。

神々に踊らされた人間たち。

ウルカヌスの武器をここでアイネイアースは使うことになるのです。

トゥルヌスとアエネアースとの一騎打ちでトゥルヌスを倒しますが、アエネアースはどうなったのでしょう。

トロイアの勝利はおさめたものの、アエネアースの最期はウェヌスによって身を浄められて神となったとされるものと、「アエネーイス」のようにラウィーニアと国を治めたという伝承があります。

どちらにしても亡き父アンキセスの予言のとおりにローマの英雄になったことにちがいはありません。

lifecarrer33gearkawase at 21:23|この記事のURLComments(0)TrackBack(1)

April 24, 2010

モダンヌ・オフィーリア ランボーのオフェリア

Margaret_MacDonald_-_Ophelia_1908

オフィーリア 1908 by マーガレット・マクドナルド


Ophelia_FrancesMacNair

オフィーリア by フランセス・マックネイア 


アルチュール・ランボー 中原中也 訳 「オフェリア」

    1

星眠る暗く静かな浪の上、
蒼白のオフェリア漂ふ、大百合か、
漂ふ、いともゆるやかに長き面に横たはり。
近くの森では鳴つてます鹿遂詰めし合図の笛。

以来千年以上です 真白の真白の妖怪の
哀しい哀しいオフェリアが、其処な流れを過ぎてから。
以来千年以上です その恋ゆゑの狂ひ女が
そのロマンスを夕風に、呟いてから。

風は彼女の胸を撫で、水にしづかにゆらめける
彼女の大きいかほぎぬを花冠のやうにひろげます。
柳は慄へてその肩に熱い涙を落とします。
夢みる大きな額の上に蘆が傾きかかります。

傷つけられた睡蓮たちは彼女を囲繞き溜息します。
彼女は時々覚まします、睡つてゐる榛の
中の何かの塒をば、すると小さな羽ばたきが
そこから逃れて出てゆきます。
不思議な一つの歌声が金の星から堕ちてきます。

    2

雪の如くも美しい、おゝ蒼ざめたオフェリアよ、
さうだ、おまへは死んだのだ、暗い流れに運ばれて!
それといふのもノルヱーの高い山から吹く風が
おまへの耳にひそひそと酷い自由を吹込んだため。

それといふのもおまへの髪毛に、押寄せた風の一吹が、
おまへの夢みる心には、ただならぬ音とも聞こえたがため、
それといふのも樹の嘆かひに、夜毎の闇の吐く溜息に、
おまへの心は天地の声を、聞き落すこともなかつたゆゑに。

それといふのも潮の音が、さても巨いな残喘のごと、
情けにあつい子供のやうな、おまへの胸を痛めたがため。
それといふのも四月の朝に、美々しい一人の蒼ざめた騎手、
哀れな狂者がおまへの膝に、黙つて坐りにやつて来たため。

何たる夢想ぞ、狂ひし女よ、天国、愛恋、自由とや、おゝ!
おまへは雪の火に於るがごと、彼に心も打靡かせた。
おまへの見事な幻想はおまへの誓ひを責めさいなんだ。
――そして無残な無限の奴は、おまへの瞳を震駭させた。

     3

さて 詩人 奴が云ふことに、星の光をたよりにて、
嘗ておまへの摘んだ花を、夜毎おまへは探しに来ると。
又彼は云ふ、流れの上に、長い面に横たはり、
眞っ白白のオフェリアが、大きな百合かと漂つてゐたと。


2001-Gregory_Crewdson

オフィーリア グレゴリ−・クリュードソン

グレゴリー・クリュードソンは中流階級の日常生活に潜む夢と不安を表現することもひとつのテーマらしいです。

洗練されていて、アニー・リーボヴィッツのような過剰さがなく、嫌味がない作品が多いです。

ただしセットや小道具まで凝るところはアニー・リーボヴィッツそっくり。

ビデオで流れる一コマを止めたようなストーリー性があって、映画のワンシーンも想像してしまう。

この作品は「オフィーリア」

床が川のようで、横たわる女性は水の精。花冠を用意いたしましょうか?

オフィーリア 
アーサー・ヒューズ/ジョン・エヴァレット・ミレイ
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス/フランシス・ダンビー
サー・ジョゼフ・ノエル・ペイトン/ヨゼフ・クロンハイム
リチャード・ウェストール/ジェームズ・パーカー
ジョルジュ・ジュール=ヴィクトール・クレラン
コンスタンチン・エグロビッチ マコフスキー
マドレーヌ・ルメール/ベンジャミン・ウエスト他
※王妃の言葉はこちらから

詩は有声の絵、絵画は無声の詩 ハムレットから
ハムレットはぜひご覧ください。

ミレイ 「オフィーリア」の音楽
ジャレッド・ジョスリンの「夢見るオフィーリア」、ジョセフ・ステラの「オフィーリア」に、音楽はミレイのオフィーリアのための「トリスティア」、ポール・バーネル「オフィーリアの最後の歌」を紹介。

オフィーリア 水の精 花の女神
オフィーリア・コンプレックス、オフェリア幻想、女神フローラ像に及んでいます。アンリ・ジェルベクス、そしてアーサー・プリンス・スペアのオフィーリアは必見!

ルドン オフィーリア

ミレイ オフィーリア 
花の名前のほかに背景にひそむもの、オフィーリアの口ずさむ詩とともにご紹介。ミレイ展での花の名とは違うものがあります。

シェイクスピア「ハムレット」から 愛しのオフィーリア
オフィーリアの台詞、そしてオフィーリアの登場場面にわけて作品を紹介。トーマス・フランク・ディクシーの祈祷書を持つオフィーリア、花輪をもつオフィーリア、ウィルヘルム・トラウツショルドの柳とオフィーリアなどが鑑賞できます。


lifecarrer33gearkawase at 13:14|この記事のURLTrackBack(5)

July 03, 2009

Alice in Wonderland

Tim Burton Alice_1←ティム・バートン(Tim Burton)の「Alice in Wonderland 」が2010年に公開されるようですね。

兎穴の少女さん、いつも記事リンク、トラックバックありがとうございます。

ただいま調子が悪くブログは更新しておりませんが、今日は記事でお礼申し上げます。

さて、映画もアリスはずいぶん製作されています。

写真の「アリス」をご存知でしょうか。

昨年かおととしに、アメリカのポートレート写真家アニー・リーボビッツの作品がなにかのエキシビジョンで公開されていました。

オノ ヨーコ と ジョン・レノンが抱きあうポートレートです。ご記憶にありませんか?

ジャーナリスト出身のフォトグラファーですが、デミ・ムーアのマタニティ・ヌードでも話題を呼びましたが、センセーショナルなテーマではなく「絆」です。

さて、ティム・バートン(Tim Burton)の「Alice in Wonderland 」は兎穴の少女さんの「ティム・バートン アリス」からどうぞ。

このアニー・リーボヴィッツは「不思議の国のアリス/鏡の国のアリス」をシーンごとにストーリー性のある展開でシリーズを作成しています。

今回ご紹介するのは1枚だけ。鏡の国へ行くアリスのシーンです。


Alice _2

Through the Looking Glass  Photo by Annie Leibovitz 
(C)yespleasemademoiselle.blogspot.com

実は、ティム・バートン同様に、アニー・リーボヴィッツもディズニーとコラボレートしています。シンデレラ、アリス、人魚姫などです。

ほんとうに、1枚1枚にストーリーやコンセプトが伝わってくる写真家。難しい写真と違って、すぐに惹きこまれてしまう作品が多く、丁寧に、すみずみまでプロデュースをしているのが感じられます。

さて、ここの役者はバレンシアガのデザイナー、ニコラ・ゲスキエール(Nicolas Ghesquiere)とアリスはナタリア・ヴォディアノヴァ。

バレンシアガのミニドレスにアンクル・ブーツのアリスです。

アニー・リーボヴィッツのアリスシリーズのドレスはディズニーと同じ青が選ばれています。



lifecarrer33gearkawase at 18:46|この記事のURLTrackBack(4)

March 20, 2007

パフューム ある人殺しの物語 Perfume: The Story of a Murderer

Perfume: The Story of a Murderer_01

マリー・アントワネットが奢侈に費やし、パニエやコルセットを脱ぎ捨て、シュミーズ・ドレスでプチ・トリアノンで暮らす頃のこと。

お気に入りのロサ・セイティフォリアなどの薔薇や可憐な花々。

優雅に入浴をすませ、調香師ジャン=ルイ・ファルジョンの香りにつつまれたアントワネット。

その頃、フランスの市民は貧困と悪臭のなかにいました。

入浴の習慣もなく、汗や陰部の匂いが体臭となり、腐った食べ物に、残飯の匂い。人々は、長い間、悪臭の中で暮らしていたので、何も感じることがなかったのでしょう。


香り、アントワネット関連記事
100枚の花びらの薔薇
マリーアントワネットの香水-ジャン=ルイ・ファルジョンほか

マリー・アントワネットが愛したもの
22枚の肖像画、アントワネットの生涯、薔薇、服飾など。


パフューム ある人殺しの物語

アントワネットが生まれる17年前にさかのぼる1738年。もっとも悪臭の酷い魚市場で産み落とされた赤ん坊がいました。

洗礼名ジャン=バティスト・グルヌイユと与えられたその少年の母親は、赤ん坊を殺そうとしたことで、首吊り刑。

グルヌイユは、まったく薄気味が悪い赤ん坊でした・・・。「匂い」がないことが、悪臭の漂う人々に恐れを抱かせたのでしょうか。身体の「匂い」が絶たれているグルヌイユは異質だったのです。


Das Parfum. Sonderausgabe. Die Geschichte eines Moerders
パトリック・ジュースキント 香水 ある人殺しの物語

Das Parfum. Sonderausgabe. Die Geschichte eines Moerders

表紙は、18世紀のフランスの画家 ジャン=アントン・ヴァトー(ジャン・アントワーヌ・ワトー )の「ユピテルとアンティオペ(ジュピターとアンティオーペ)」のディティールです。
「Jean-Antoine Watteau. Jupiter and Antiope」

これは眠っているアンティオペがユピテルに犯される神話の場面。

このお話の続きはこちらから。
「パフューム ある人殺しの物語」 から

愛され愛す肉親もなく、生きる喜びも知らず、皮なめし職人の徒弟となったグルヌイユ。そんなグルヌイユが、赤毛の少女の体臭の芳香に魅了されるのです。

このグルヌイユは、非人間的な世界を歩んでいくのですが、「匂い」のあるなしが、非人間的を象徴しているのでしょうか。「匂い」があるから人間的、「匂い」をもたないグルヌイユは非人間的でよいのでしょうか。

パフューム

原作者のパトリック・ジュースキントは、ドイツの作家。国民からも恐れられた、1947年に創設の旧東ドイツ シュタージ組織(Stasi)は、「個人の匂い(体臭)」を保管していました。徹底した監視国家の象徴です。

(略)

「パフューム ある人殺しの物語」は、特異な天才調香師の物語に、恐ろしいほど個人を特定する匂いの危険と、人を夢中にさせる魅惑的な芳しい匂いと、そして私達に、まだ何か問いかけている気がします。

ここで、はっきりさせておかなければならないのが、この物語の匂いというのは、「汚穢」だということです。

当時のフランスの市民は貧困と悪臭の真っ只中に暮らしていたのです。私たちが知らない「嫌な匂い」。私たちが感じる「体臭」とは違う、「汚穢」だということと、暮らしの悪臭があるということ。

究極な相反する「匂い」が、当時の人々の持つ「悪臭」と、香水の「芳香」です。その0地点にあるのが、グルヌイユの「無臭」。

Perfume: The Story of a Murderer__02「当たり前の悪臭」と、「至福の香り」と、「絶たれた匂い」の物語。原作は、パトリック・ジュースキント(Patrick Süskind)。

映画の監督は、トム・ティクヴァ(Tom Tykwer)です。未成年の方は、遠慮してほしいですね。

映画「パフューム」オリジナル・サウンドトラック
Das Parfum Diskographie



lifecarrer33gearkawase at 23:54|この記事のURLComments(0)TrackBack(2)

September 11, 2006

フレデリック ・クレマン

ここは、アリスの不思議なお店

「私はフレデリック・チック・チック。普段はマッチ売りだけど、不思議な物売りへと早変わり。記念日、誕生日のお役に立とうというわけで。それはそれは、不思議な上にも不思議なものを持っている。楽しくて頭がおかしくなるような品々に、アリスはお気に召すだろう。さぁ、わがコレクションの数々をお目にかけよう。」

原題は、「MAGASin Zinzin  ou aux Merveilles d’Alys」で、日本語訳では、「アリスの不思議なお店 」 です。クピドの扉をあけると、まるでワインのコルクをあけ、ボトルのエチケットを眺めるような、フランス語のタイトルページが登場します。装丁は遊び紙までもおよぶがごとく、1枚1枚が作品です。

Magasin_zinzin__life_01_160_90_3

フランス語とのエッセンスは異なる部分がありますが、読む側の想像力という武器を使えるヴィジュアル本です。日本語訳でも、フランス語でも英語でも、フレデリック ・ クレマンのようなヴィジュアルブックは、読む側、鑑賞する側の想像力が、感興を高めます。

どんなコレクションがあるかというと、ナイルのほとりに住む気難しいイスラムの隠者が持っている言葉を真珠に、ツグミに、金塊に変えていく、ワニの王さまの流した涙のリキュール」。この夢のカタログには、ほかにどんなものがあるかというと!

小天使の鈴、チェシャ猫の笑い、千一夜の空飛ぶ絨毯に乗るツアーチケット、白雪姫の靴下留め、ピノキオのこわれた鼻の先っぽ、親指姫のゆりかご、星の王子様の影、 白雪姫の口紅やセイレーンの髪の毛、かたつむりの王宮の残骸、人食い鬼の乳歯、中にドレスがしまわれた指貫から、長靴を履いたネコの口ひげ二本や、移り気な帽子が娘のシニョンの上に、丸くて赤い世にも稀なたまごを産むなど、数々の不思議なものたちが勢ぞろい。白昼夢(笑)でみた、うさぎを追いかけ、アリスが落ちた穴のなかのように、不思議な話のコレクション。

フレデリック・クレマン KAFKA から多数の記事にリンクされています。
フレデリック・クレマンの9月発売の「Le LUMiNUS TOUR」も、面白そうです。

lifecarrer33gearkawase at 12:26|この記事のURL

May 09, 2006

旅の短編集 − TO MANA

d94a2185.jpg

この「旅の短編集」は、ひょんなことから出会うことになりました。

小林直未さんの描いたイラストが好きなんです。
何の迷いもない線が綴る絵物語は、迷いも恐れも知っている人物や情景を描いていくからです。

ある時、みかけない古本屋さんが目に留まりました。
「こんなところに古本屋さんがあったんだなぁ。」と、つい寄り道。初版本などが高値で売られている古本屋さん。
本当の古本屋さんでした。

奥に座る店主らしき白髪の御爺さんが、少し大きすぎる眼鏡が気になるのか、何度もはずしたりかけたりしながら、客のほうには一向に見向きもしません。

水平線
続きを読む

lifecarrer33gearkawase at 21:39|この記事のURLComments(4)TrackBack(0)

March 21, 2006

ロラン・バルトのデッサン

ロラン・バルトのデッサン1記号学者、構造主義者、批評家、文化理論家、作家であり、あらゆるジャンルを超えて、まったく類のないエクリチュールを生み出してきたロラン・バルトは、毎日ピアノを弾き、ときおり、色を使って楽しみます。

色彩は、事件と同じように、そのたびに新しい。まさに打つことこそが色彩を生む。快楽を生むのと同じように。――ロラン・バルト

水平線
続きを読む

lifecarrer33gearkawase at 20:19|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)

February 07, 2006

Japanese woman don't get old or fat

Naomi Moriyama ドイツ語版NAOMI MORIYAMAは、もちろん日本の女性です。80代のお母様からの秘訣を書いた著書は、ご主人ドイル氏との共著ですが、イギリスやアメリカ、そしてドイツでも翻訳され、左の画像の本がドイツのものです。

「Japanese Women Don't Get Old or Fat: Secrets of My Mother's Tokyo Kitchen」という題名で知られています。直訳すると「日本女性は太らず、年もとらない〜東京の母の台所から得た秘訣」とでもしましょうか・・・。

鮮魚、野菜、米、大豆、麺類、茶、果物を基盤に、腹八分目の食事の仕方など、世界中が注目を集めている内容です。

私のようなdarudaruではない主婦の皆さん。皆さんの秘訣もトップセラーに。

水平線
続きを読む

lifecarrer33gearkawase at 02:31|この記事のURLComments(2)TrackBack(0)