Lifehack-Factory ~放課後の創造力が世界を変える~

一人文具メーカー「Beahouse」の外部ブログです。文具クリエイター阿部ダイキの日々の思考を日記のようにつづります。


Beahouseは一人文具メーカーです。
本当に僕1人で会社に関わるすべてのことを行っています。例えば商品の企画、開発、デザイン、経理、事務作業、その他諸々…


よく人から「よく1人で会社を運営できますね」と言われますが案外簡単です。もちろん行うべきことは本当にたくさんあるので出来るだけ無駄なことをしないようにしています。

日本の会社は人が増えたり売上が増えると無駄なことをしがちです。
無駄にお金を使い、無駄に時間を使い、無駄にストレスを増やします。


例えば「無駄な会議
前職の時は本当に無駄な会議がたくさんありました。終着点も無いまま不毛な会議を続ける事ほど時間の無駄はありません。
1人で会社をやってるとそもそも会議すべき相手(社員)がいないので無駄な会議をしなくてすみます。
工場や協力業者さんとの会議は毎回短時間で済ませます。結論と終了時間ありきで会議を始めます。


無駄な電話対応」もBeahouseにはありません。
Beahouseには固定電話やFAX端末がありません。電話は携帯電話のみでホームページにも記載してませんから僕と名刺交換した人しか電話番号を知りません。だから無駄は営業電話がかかってきて仕事がストップすることもありません。
携帯電話も個人用のiPhone1つです。ですからBeahouseの電話番号は株式会社なのに090〜から始まります。
固定電話の番号が無い怪しい会社ですが、無駄がなく実用的です。 

日本の商習慣的に「発注書をFAXで送る」というのがあり、完全には無くせなかったのでeFAXというサービスを使用しています。eFAXは相手がFAXで送った紙データをPDFに変換してメールで届けてくれるサービスです。スマホやPCの画面で確認出来るので凄く便利です。普通のFAXでは無いので無駄な紙も排出されません。


自分ですることが無駄なこと
僕は本当に営業が得意ではありません。だから得意では無いことを得意な会社さんに外注してます。
卸業者さんや文具専門の営業代行会社NEXTswitch㈱さんに営業を委託してます。
それでも僕が営業して効果的な場合はもちろん僕が営業します。バイヤーさんへの直接営業や展示会などがそれにあたります。
 
また商品の出荷や在庫管理など以前は自分でやっていましたが、出荷ミスを連発した為すべて外注で専門の出荷代行の会社にお願いしています。
 
そういう自分でやることが非効率な業務を減らすことで無駄な時間とコストとストレスを無くしBeahouseのコアである商品開発に注力できるようになります。


無駄な社員
Beahouseが一人で文具メーカーをやってる理由の一つに人を雇うことで無駄な仕事やストレスが増えるのが嫌だからです。
社員さんを雇えば僕がしなくて良い仕事は任せられるし売上が上がるかもしれません。ですが社員を管理するための仕事が増えたり、人付き合いの為のストレスは確実に増えます。

それに社長として社員とその家族の人生を背負う程 僕はタフではありません。そういう重いプレッシャーがあると恐らく思い切った商品開発は出来なくなると思います。無難で何処にでもあるようなそこそこ売れる商品を作るかもしれません。
そういう重いストレスを切り捨て、自由に好き勝手に文具を創る為に一人で仕事をしています。
 

無駄な商品開発
Beahouseの商品リリーススピードは凄く遅いです(笑)
ただ開発案件は常に複数動いてるのですが、「Beahouseで発売するのが妥当なのか?」も考えます。僕が欲しくて開発した商品でも試作品だけ自分で使って満足しちゃう商品も多々あります。

発売しない商品はBeahouseが発売しなくてもいずれ他社が出しそうとか先進性があまり無かったりとかエッジが立ってなかったり… 
他人が見れば良い商品かもしれませんが僕がどこか100%納得出来ない商品が発売できない商品です。
 
個人が文房具を量産して在庫を抱えるには多額の資金が必要です。ですから有限な資金を効率よく投入するためには無駄な商品リリースを避けるようにしています。


Beahouseのすべての業務・プロジェクトにそれは本当に必要なのか、それを僕がやることが品質とコストパフォーマンス的に最適かを常に考えます。
メーカーにとって大切なのは「価値あるものを生み出せるか」だと思います。僕1人でその命題をこなしていくためには効率的な時間とお金の使い方が必要です。そこには無駄に使える時間もお金もありません。全てを時間とお金を効率的に活かしストレスフルに仕事をするためにあらゆる無駄を削ります。
 
  
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ココロ贈る祝儀袋」は本体を開くとハート型やさくら型になるというデザインです。


本体を開くとハート型になる。さくら型になる・・・驚きと笑顔が花咲く。
 
コンセプトをすぐにまとまりましたがデザインはなかなかか決まりませんでした。さくら型やハート型という大枠のデザインは出来てもそれをキレイに折って祝儀袋の形状にしなくてはなりません。

最初期のイメージサンプル
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何度も何度も紙をハート型を切っては折り、さくら型の花びらのRの角度を変えては折り…
何度も何度も試作と思索を繰り返しました。実は量産品を発注した後にも形状をギリギリまで修正しました。




祝儀袋にかかせない水引飾りは人の手で紙をよって作られた水引を一つ一つ結びながら創る為コストがかかってしまいます。
大手のメーカー製の祝儀袋はほとんどが中国製です。

そんな中で国産の高品質な水引細工を創る会社が日本にも残っていました。
紙の産地、愛媛県の会社です。

 

Beahouseのある京都から車で数時間掛けて愛媛県の水引職人を訪ねました。
「妹に贈る祝儀袋を創りたい!」「驚きや感動を贈る祝儀袋を創りたい!」
僕の想いをその会社の社長や伝統技能工芸師の水引職人さんに伝えました。

無茶は承知で「ハートやサクラの花の形の水引を創って欲しい!」と伝統技能工芸師さんにお願いしました。
職人の手の中で1本の水引がハート型やさくら型になっていきます。まるで魔法のように!

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また土佐和紙の産地、高知県土佐市も訪ねました。
ここでは土佐和紙の技術をいかした美しい文様の入った不織布と出会いました。

さくら型、波のような型、様々なデザインの不織布を創る製紙工場を訪ねました。
普通、祝儀袋には不織布なんて部材は使われません。

でも僕はこの不織布を着物の帯のように見立て、祝儀袋に巻くことでデザインが引き締まると考えました。
また不織布の持ち味である柔らかな風合いと透け感もこの新しい祝儀袋を引き立たせる大事なデザイン要素だと考えました。

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「ココロ贈る祝儀袋」の本体は和紙で出来ています。和紙は表面が平坦ではなく印刷の難しい紙です。

今回の「ココロ贈る祝儀袋」では普通の印刷ではなく50年前の印刷機で印刷しています。その印刷機に使われるインキは職人さんが手で捏ねて色を少しづつ調整しながら創っています。

パソコン上のデータがそのまま紙に反映されるオンデマンド印刷やオフセット印刷ではない昔ながらの印刷です。 

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「ココロ贈る祝儀袋」のほんのり淡い春霞のようなグラデーションはそうやって人の手で彩られているのです。


ココロ贈る祝儀袋」を創るにあたってもっともお世話になったのはそれらの職人さんをご紹介いただいた山本紙業株式会社の山本課長です。凄まじい情熱で僕に紙のことを色々と教えていただき、素晴らしい職人さんたちと引きあわせてくれました。本当にありがとうございます。
 

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「ココロ贈る祝儀袋」には本当にたくさんの職人さんや多くの人が関わっています。
僕は一人文具メーカーですが一人ではモノは創れません。たくさんの人の協力でモノは出来上がっています。

僕はそういう職人さんの熱意や技術や工場の方の想いもたくさんの文房具ユーザーさんに伝えていきたい。
モノの裏側にあるモノづくりの物語も含めてBeahouseの商品です。

僕が欲しくて創ったモノ、そしてつむいだモノ創りの物語もが”あなたの欲しかったモノ”になれれば最高に幸せです。





Beahouse代表 
文具クリエイター
阿部ダイキ 


 


ココロを贈る祝儀袋」を創り初めたのは2014年の9月頃だったと思います。


明日、結婚する妹に早めに祝儀を贈りたくて文具屋に買いに行ったのがきっかけでした。 

文具屋さんにある祝儀袋コーナーにはキラキラした水引や和紙で飾られた華やかな祝儀袋がたくさん並んでいました。
でもそこには何か「心」みたいのがすっぽり抜け落ちてしまっているような気がしました。

 
お金を包むだけの紙と水引のカタマリ…

たぶんお金を取り出された後は捨てられてしまうだけのモノ…

幸せの裏側で消費されていゆく祝儀袋…
 

モノを創る者として凄く悲しい気持ちになりました。
 

そう考えた時に消費されない、捨てられない、忘れられない想い出になるようなオンリーワンの祝儀袋を創ろうと思いました。


嫁ぎゆく妹に何か驚きや感動を与えたい!笑顔で嫁いでいってほしい!!
 
そんな想いでこの「ココロを贈る祝儀袋」を創り始めました。


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先日、前から行きたかったAirbnbのオシャレ物件「愛媛県の海沿いマンション」(仮称)に行ってきました。
 

金曜日、仕事を16:00頃に切り上げて車に飛び乗り、一路愛媛県へ。
京都からは370km、5時間程かけて夜の22:00頃にその物件に到着。


その日は疲れて寝るだけです。
翌日、波音と暖かな陽光に起こされます。全面ガラス張りの窓からはすぐそばに海が見えます。



コンクリ打ちっぱなしと金属、そして温かみのあるウッドの調度品。無機質にならない程度にミニマムな空間。必要最低限だけど最良の物の多さ。上質でとても居心地のよい時間の流れる物件です。


海風を受けながら砂浜を散歩したり、貝やシーグラスを拾ったり。部屋にもどって映画を見たり、オーナーのセンスの良い書棚の本を読んだり。



日々仕事に追われ時間に流されるままにいそいそと生きてきた生活を見なおして、自分の時間と共に一緒に生きれる大切な3日間を過ごせました。

人にはこういう自分の時間の流れを調整する”隙間のような時間”が必要だと思います。

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ブログ書くことでもないのですが、自分で使ってる「どや文具ペンケース」のゴムを革ヒモに変えてみました。

「どや文具ペンケース」は開発段階からゴムひもを簡単に交換できるような仕様になっています。
ユーザーが自分で好きなゴムひもや革ひもに自由に変えてカスタマイズ出来るようにしてあるのです。

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ゴムひもの外し方はトレーポケットを開けて、中にあるゴムひもの結目を引っ張るだけ。
簡単にハトメ穴から外れます。

このハトメ穴に端を結んで抜けなくした革ひもを通すだけです。

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今回僕が付けた革ひもは東急ハンズさんで¥320で買ったものです。

革ヒモに交換することでゴムのような瞬時の収納は出来なくなりますが、使い終わった文房具を収納し革ひもを巻いて留める少し面倒な所作が仕事終わりの切り替えのスイッチとして少し味わい深いことがわかりました。

もしかした飽きっぽい性格なのですぐに飽きてゴムひもに戻すかもしれませんが、それまでこの味わい深い所作を楽しんでみます。

是非、皆様も色々カスタマイズしてみてください。

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