しばらく間があいてしまいましたが、今回は外国為替資金特別会計です。この特別会計は、いわゆる為替介入による外貨売買を管理する帳簿です。

平成21年度の財務書類からバランスシートを見てみましょう。

資産サイドの主要な項目は、
  • 現金・預金 26.8兆円
  • 有価証券 81.9兆円
  • 貸付金 1.8兆円
負債サイドの主要な項目は、
  • 政府短期証券 106.3兆円
と比較的シンプルな構造をしています。

資産サイドの有価証券の明細は、付属明細書によると100%外貨証券となっています。当然といえば当然ですね。さらにその内訳が記載されていませんが、多くを米国債が占めているだろうことは想像に難くありません。

気になるのは、外貨を評価する際の為替レートです。この書類には、USDは90円、EURは130円となっており、現在の水準よりそれぞれ12%程度円安水準です。つまり、現在では当時の評価額より12%程度円換算額が減価しているということです。単純計算では10兆円程度です。

再びバランスシートを見ると、21年度末時点で、資産負債差額は1.7兆円(うち為替換算差損益 マイナス26.3兆円)です。もちろん、利息収入や金利の低下によるキャピタルゲイン(21年度2.7兆円)もあるでしょうが、直近の円高は、この会計にとって悪条件であることは間違いありません。実際23年度予算では繰越評価損が35.5兆円となっており、積立金(約20兆円)を上回る「債務超過」状態である可能性が高いと思われます。

その他、現・預金のほとんどを占めるのが財政融資資金(23.5兆円)です。これは為替や金利変動にそなえる積立金として保有されており、上述23年度予算には外貨資産の30/100が目安と書かれています。

これが過大なので取り崩せという声も聞かれますが、実質債務超過ですから、むしろ積立金は現状では過小であると言えます。

また、細かいところでは、貸付金は、日本政策金融公庫国際協力銀行(JBIC)への外貨建て貸し付けが多くを占めています(1.4兆円)。こういうお金の流れもあるですね。

最後に負債のほぼすべては政府短期証券です(外国為替資金証券 ー 為券と呼ばれる)。円売り介入の場合、売却する円が必要になりますが、日本ではその円を為券で調達することになっています。すなわち、円売り介入の際の円は、民間から円資金を借りている=吸収していることになります。

これだけでは、民間のマネー循環に悪影響を及ぼす可能性がありますから、通常は日銀がオペにより調節することになります。

外為特別会計は、埋蔵金論争でも話題になることがありますが、
  • 積立金は財政融資資金として運用されている。
  • 円高の現在、評価損が積立金を上回る「債務超過」状態の可能性が高い。
  • そもそも、政府短期証券で資金を調達しているため、仮に積立金を取り崩したとしてもネットの債務は変わらない
という理由で、ここにも埋蔵金はないと結論できるのではないでしょうか。