2005年08月31日

小説家U氏の奇行



「事実は小説より奇なり」
というわけで、多くの小説家たちは、いろんな経験を求めてさまよい歩くわけであるが、U氏の場合は何だかちょっと違っている…。

彼自身が奇なのだ。

売れない小説家のU氏は、ある日オカネに困って、精神病院に住むことに決めた。
彼は一応、精神障害者手帳を持っているのだ。
が、今はまったくフツーの生活が送れる人である。

「1年間だけ」
とU氏は言った。
その間、自宅を人に貸し、少ないマンション経営の金その他を、貯めようというのである。

しかし、1年後、彼は病院から出てこれなかった。
途中で車を購入したので、目標額を達せなかったのだ。

「いったい何のために病院に住んどんねん…」
あきれ返っていたのは、私だけではなかった。
しかも、話はそれだけでは終わらなかったのである。

先日電話した時、彼の口から発せられた言葉に、私はひっくり返りそうになった。

「彼女と婚約したんだ〜」

え”!!
あの院内で知り合った女性とか!!
――因みに、彼女の病状は決していい方ではない。
思わず大阪弁で説教を始める私。

「あんたな〜、オカネ貯めるために入院したんとちゃうんか?!」
「うん、そうだけど、もう金の指輪も買う約束したし〜」
「ちょっと待ちぃな、(オカネ貯めるために入った)病院で養う人間作ってどーすんの?本末転倒やないか、それは」
「アハハ〜」
「生活、どーすんねん?」
「マンションを売って、生活保護で…」
「あのなぁ、この前、障害者自立支援法が可決されて、32条※もろくに使われへんようになったの、知ってるか?」
「え?そうなの?」
「世の中そっちに向いとんのやで、生活保護もどうせそのうち対象になるで」
「いや、障害者年金もあるし〜」
「だから、そういうのが削減されていく方向にあるんやって!!」

なぜ、こんなろくでもないオッサンの心配を、私はしなければならないのか。

「大丈夫、大丈夫だから〜」
「………」
これを言い出すと、もう話にならない。
彼はそのうち、「ごめん、ウンコしたくなっちゃった」と言って逃げていった。

連れ合いを持つのはいいことだが、生活能力のない二人が、今後どうやって生きていくんだろうか。
悪いが、彼の素行そのものが既に小説なのである。

※精神保健福祉法第32条:精神科の病気の治療で、病院や診療所に通院する際にかかった医療費の自己負担分を公費で負担する制度。

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lifelovepain at 09:15│Comments(14)TrackBack(0)日常1 

この記事へのコメント

1. Posted by mocha   2005年08月31日 12:50
仕事に就いていても将来に不安を感じるのに、このお方は・・・。
そのうち、子供が生まれたらどうすんのかな。本人はともかく子供は環境を選べないからね。
オイラが心配しても仕方ないことなのだろうけど
この際、この現状を小説にしてしまうのはどうだろう。
2. Posted by 由巳ゆみ   2005年08月31日 13:05
>mochaさんへ

子どもは作れないんじゃないかなー。
U氏は○○だし、女性側も薬を飲んでいるからねぇ。
この人の作風は、純文学で小難しい感じのやつなんですよ。題材になるかな?
あまりの楽天家ぶりに、心安らぐ?存在でもあるのですが、人間のどん底を見た人でもあると私は踏んでおります。
3. Posted by yukiko   2005年08月31日 14:38
え?32条って可決されちゃったの?やだ〜、知らなかった。私は申請してから2ヶ月経ってやっと使えるようになってほっとしてたんだけど・・。収入のない人間にとって治療費ってすっごく痛い。そんなの自立支援じゃないっ!!
4. Posted by ウイパパ   2005年08月31日 15:09
奇行だと思うけど彼にとっては普通なんだろうなぁ 人生イロイロですね
ゆみ姉の説得してる姿が目に浮かびます
5. Posted by 由巳ゆみ   2005年08月31日 16:07
>yukikoさんへ

「障害者自立支援法」なんて、呈のいい言葉ですよ。実際は、障害者に負担を負わせようとするものです。
政府は、こういうわかりにくいところから、着手していくんですね。卑怯だと思っています。
精神疾患者については、働けない人が多い上、精神薬は高いので32条を使わなければ、満足な治療が受けられない人が出てくると思います。何しろ、一回の診察で5,000円なんてざらな話なんですから。
6. Posted by 由巳ゆみ   2005年08月31日 16:13
>ウイパパさんへ

はい、彼にとってはフツーです(笑)。
人生を達観した上でアホやってるって感じですかね。小娘の常識的説得なんか、まったく通用しません。
ある意味、日本人はあまりに均一化されていて、こういう存在も悪くないのかも知れないですね。
7. Posted by かつみ   2005年08月31日 17:32
うちは自閉な知的障害児はいるわ32条にお世話になっているわ、もしかしたら特定疾患も申し込むかもしれないという、本当に今ピ〜ンチな家庭です。主に私なんですけど・・(^^;)
なんにせよ、重度であればあるほど厳しくなっていくというのが納得できない。
子供の障害児施設で、自閉症の症状でご飯以外はどうしても食べられない子や5歳になっても首も据わらない子を見てきて、この子達からもお金を取るのかと思うと日本って先進国?と思います。
U氏は「大丈夫〜」で色々乗り越えてこられたんでしょうね(^^)
8. Posted by 由巳ゆみ   2005年08月31日 19:54
>かつみさんへ

ほんとに厳しくなってきましたね。なんで障害者から先にオカネ取り上げるの?って感じですよね。経済的な不安を抱える人は多いというのに。
他からも取れる場所があるのに、あえて社会的に大問題とならないところから手をつけたという気がしてなりません(実際、報道なんか殆どされてませんよね)。
U氏も一度は心が壊れた訳ですが、そういう湿っぽい話は嫌いみたいです(笑)。あくまで楽天的に生きるのがポリシーみたいです。
9. Posted by オオノ   2005年08月31日 22:11
うん。奇行にはしるから、精神障害者手帳を持っている訳ですし、それだから、精神病院にも入院でける。
事の善悪、良し悪し、説得する姉御・・瞼に浮かびます(笑)。
精神障害って言われてる人たちの中には、ある事に関してはものすご〜く凄い才能を発揮する人たちが居てたりする訳で、(知ってる人で、麻雀の牌を瞬時に覚えるという人がいてます・・。でも彼精神障害で入退院を繰り返しているんですよね・・)もしかしたら彼もすご〜い才能があるのかも・・。難しい問題ですよね・・。
10. Posted by 由巳ゆみ   2005年08月31日 22:31
>オオノさんへ

う〜ん。彼の元々の病気は鬱病だと聞いてるんですね。あまりに重症で屍状態だったと。
事の善悪は勿論のこと、人の道を外すようなことは決してしないわけです。そして誰もが憎めないキャラクター。むしろそういう面では、私の方が勉強させられるくらいなんですよ。
…でも、一方でやっぱり「信じられない」ことをするんですよねぇ。
いったい何なんだろ、あれ。
11. Posted by チエ   2005年08月31日 23:13
「障害者自立支援法」
字面でだまされるな!っていうことですね。
無知で申し訳ないんですけど、手帳を持っていたら自分でいつでも入院ってできるもんなんですか?

12. Posted by サム   2005年09月01日 06:29
政治家って手っ取り早いところ(ヒドイ言い方でスイマセン)からお金削っていきますよね。
そのわりには、どうでもいいことに大量の税金を使ってみたりと…。
政治に感心がある人間を自分たちが無関心にしているのが分からないのかな。
私が偉そうに言えることじゃないんですけど(笑)
13. Posted by 由巳ゆみ   2005年09月01日 13:57
>チエさんへ

いえいえ、手帳を持っているから、いつでも自分から入院できるということはないですよ。症状に合わせてということだと思います。
U氏は、ちょっとばかり上手くやったようですね。
14. Posted by 由巳ゆみ   2005年09月01日 14:03
>サムさんへ

政治家は、自分の首さえ繋がっていればいい人ばかりですもんね。
高齢社会化に伴う税金不足は、もう30年も前から指摘されていたことなのに、見ないふりをしていた結果がこれということですよね。

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