前回の「ママづきあいの苦手な私が、どうやってママ友をつくったか」が大変好評のkobeniさんによる寄稿第二弾です。人の生き方は一通りじゃありませんよね。そこには、間違いも正解もない、選択の結果があるだけです。もし、これからの生き方や選択に悩んでいる方がいたら、ぜひ、読んでみてください。

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私がブログを始めた2年ほど前は、「働くママ」として発言したりすると叩かれたりしたこともあった。某雑誌やサイトなどで「専業主婦VS働くママ」といった構図の煽り記事のようなものも割と見かけた。なるほどこの世には「働くママ」の存在自体に腹を立てる人もいるのかと、発言に対して色々と慎重になっていた時期もあった。

けれど昨今は、「専業主婦VS働くママ」というような、無意味な対立構図でワイドショー的に書き立てる記事をあまり見なくなった。正直、ちょっとホッとしている。


自分が「ママ」になって、いろんなお母さんたちに会ってきて、時には同じ女性からバッシングされたりしながら、ここ最近の私が思っていること。

それは、「人は、気が変わる」ということだ。

「昨今の若い女性は専業主婦志向が強い」なんて言うが、その「若い子」が、一生を通して専業主婦であり続けたいと願うかどうかは、誰にも分からない。本人にすら分からないのだ。好きになった人がめちゃくちゃ貧乏だったとか、適当にやっていた仕事だったが、いざ出産して辞めてみたら恋しくなったとか、親が病気をして治療費を稼がなくてはいけなくなったとか、予想外の出来事というのはいくらでも起こりうる。

今どんなに専業主婦志向であっても、経済的な理由や、自分自身の夢のために、「やっぱり働こう」と思う日が来る可能性はある。そして、そういった不確定要素は、我々の親世代の頃よりも確実に増えている。残念ながら、夫の給料と雇用が定年まで保証されていた時代と今では、事情が全く異なるのだ。そして、先を行ってくれた先輩たちの努力のおかげで、いちおう女性にも、働くチャンスは与えられている。

「気が変わる」ということに関しては、働くママの方とて例外ではない。いざ子供を産んでみたらどうしても離れ難い、子供や親が付き添いを要する病気を抱えている、夫が仕事で正念場を迎え家事育児を手伝えない…これまたやはり、本人の元々の想いに反して、「子育てに専念したい」という心境の変化を迎える可能性は、誰にでもある。

人は気が変わる。家族や仕事や世の中の動きなど、私たち一人ひとりを取り巻く「状況」の変化が、私たちの気持ちを変えることがある。一見、いまは全く違った立場にあるように見える私たちは、常に入れ替わる可能性がある。VSで対立している(ように見える)向こう側のあの人は私であり、私はあの人なのだ。


「専業主婦VS働くママ」のような構図は、「人は気が変わるものだ」ということを許容する懐の深さを持っているだろうか?
母親世代のほとんどが専業主婦で、均等法世代の先輩の後を追う私だけれど、「女性は家で家事育児に専念すべきだ」も「女性も社会に出て働くべきだ」も、どちらも正しいようで、どちらも極端な意見のように思える。「出産後の女性の就業継続が大切だ」たしかにそうだ。でも私は、どちらかと言えば「(主婦・夫と働きながら育児、などの間を)行ったり来たりが困難すぎることの方が問題だと思う。


様々な生き方を許容する、選択肢の多い世の中へ。
昨今よく言われるようになってきたけれど、私も心からそう思う。

「女性は家事育児、男性は外で働く」が当たり前だった世の中で、子供を産んだあとも職場に残る、ということ。世の中全体から見ると小さなことだが、本人にとっては重大な決意が、新しい選択肢をつくっていく。それまで会社にいなかった類の人が、そこに居る。それだけで必ず摩擦や困難は起きる。これが当人にとっては、けっこう骨が折れるのだけど。

気が変わった結果、「やっぱり、働きたい」という気持になった女性が就職しようとする時に、その企業に、ちょっとふんばって職場に残ったママが一人いたかどうかは、その企業の「ママ」の扱いを大きく左右する。働くママの胸の内にある、それぞれの矜持は、けして大々的に公にされたりしないけれど、彼女らの小さくて大きな信念が、地道に、あたらしい選択肢をつくっていく。
(話はそれますが、そんな働くママの皆さん、本当にえらいよねと私は思っています。イクメンみたいに誉められることもなく、むしろ「大変でしょ」と哀れまれてしまうことの方が多い昨今ですが、みんな、すごいと思っています。おつかれさまです)

最近、専業主夫になられた、みやもとかずよしさんがこの記事で「夫婦で交互にキャリアを大胆に中断させてWLB(ワーク・ライフ・バランス)を実現させたいという生き方」について語っておられた。「大黒柱のリレー」とは、ずいぶん風通しがよい考え方だと感じた。彼のような人もまた、自分の家庭という「現場」で、地道にあたらしい選択肢をつくっている。困難もあると思うけれど、ご夫婦を応援したいなと思う。


抽象的な話ばかりで申し訳ないのだけれど、「専業主婦か、働くママか」というような二択ではなく、「専業主婦も、働くママも、育児するパパも……」という風に、追加していくような世の中がいい。onlyでもorでもなくて、andでつないでいくような世の中。そしてその間を、気持ちに従ってスイスイ行き来できるようになればいい。

自分とまったく違う生き方を望む人に合うと、人は不安になるものだ。自分の生き方が絶対に正しいと思えるほど、みんな強くない。「女の敵は女」といった記事や、あまりに問題をデフォルメして作られた対立構図は、言い方は悪いが、そういう心の弱さにつけこんでいる。そして一時的にどちらかの溜飲を下げるかもしれないが、双方にとってあまり建設的じゃない。

誰かの生き方を見て、理解できなくて不安になっても、腹を立ててもいい。けれど、よほどのことが無ければ、それを禁じたりするのはよくないと思う。無理に同質化すれば、一瞬ホッとするかもしれないけれど、そういう世の中は、まわりまわって未来の自分の選択肢もまた、奪っていくのではないだろうか。

様々な生き方を許容する、選択肢の多い世の中へ。「うーん、私とは違うけど、いいんじゃない。そういう人生も」と言えるような人でありたいなあ、と思う。
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前回の記事:「ママづきあいの苦手な私が、どうやってママ友をつくったか」

kobeniさんプロフィール

都内の広告関係の企業で時短勤務をしています。息子は2歳。
ブログでは、ワーキングマザー(育児や、女性をとりまく労働環境)
関連を中心に文章を書いていますが、人気があるのはなぜか、
「お義母さん」について考察した記事です。
kobeniの日記:http://d.hatena.ne.jp/kobeni_08
こべに (kobeni) on Twitter : http://twitter.com/kobeni