※ 「SUMA(スーマ)な人々」をご紹介 


bougyoritu0sugasan先日UPした広島出張の際の定宿の一つ 「 広島 グランド プリンス ホテル 」 さんでのお話です。

先日の記事では温泉大浴場施設について触れましたが、その続きと思ってご笑読下さい。

温浴施設と言えば、浴場施設そのものもさることながら、脱衣場の維持管理は顧客満足を高める上で、見過ごされるようで実はとても大切な要素です。従って営業中の ラウンド メンテナンス(以下「ラウンド」とします) は欠かせません。洗面台周り、ロッカー内或いは床に散らかる髪の毛やティッシュの切れ端、着衣埃。脱衣場は照度が高くゴミが目立ちやすいよう設計されていますので、こまめなラウンドでクレンリネスを保たなければなりません。

この施設。オープン当初は告知の仕方が悪かったのか入浴者数が少な目。その分ラウンドも少ない印象でした。しかし最近は入浴者数も増え、結果、不衛生になりがちとラウンド回数を増やした模様。今では「回数としては」しっかりとラウンドを行っているようです。


そのラウンドスタッフが主人公の話です。


先日、私が入浴した際、新人と思しき若い男性がラウンド業務を行っていました。アルバイトスタッフでしょうか。思春期を思わせる容姿風体は、よくて大学に入ったばかり。ひょっとしたら高校生。「若いのに、アルバイトとは言え(?)この類の仕事をするとは偉いもんだな」と感心していた矢先のことです。

浴場スペースから中を卒業しかけて高年に差し掛かったくらいの男性客が戻ってきました。湯上りです。その男性客は、自分のロッカーに向かって鼻歌混じりでゆっくりと歩を進めます。いい湯だったのでしょう。肩にタオルを掛けて上機嫌。

その時、同時に別角度から男性客の進行方向へと進む若いラウンドスタッフの姿もありました。真面目そうな彼は職務に忠実。床に落ちたごみを見落とさないよう真剣な面持ちで首を左右に振りながら、時に扉が解放したままになっているロッカーを覗き込んでは手を入れ、隅々まで異物やごみを確認しています。

二人が同じ方向へと向かっていく様子を何気なく見ていた私ですが、二人がこのまま進めば、ある一点で奇跡的なグッドタイミングでバッタリとオフセット遭遇しそうな予感がしました。どうやらそのことには二人とも気づいていない様子。男性客は明後日の方向をぼやっと眺めながら鼻歌。ラウンド中の彼は眼を見開いて嘗め回すように床とロッカー内を検視。第一種接近遭遇は時間の問題でした。

そして終にその時は来ました。ロッカー角付近で斜め45度、出合い頭様にバッタリ遭遇。互いに一瞬ビクッと反応、刹那若いラウンドスタッフのほうが身をひるがえしてなんとか衝突は回避できました。やれやれ、ほっとしました。思春期前後の彼が局部丸出しの湯上りおじさんと抱き合うようなことが起らなくて。

しかし違う悲劇が起きた模様。

ビクッと反応した湯上りおじさんはのけぞり気味に両腕を広げる態。さながらそれは露出癖のある特殊な人の決めポーズ。それに対して思春期の彼は、必死になって床を検視していたものですから、その視界にモロにおじさんの局部が珍入。思いがけない接近遭遇に驚くと同時に、普段の社会生活ではお目にかからないモノが視界に飛び込んできたのです。驚きも二乗倍、いや三乗倍だったのでは。

ラウンド業務中の脳は検視態勢。異物発見時には注視、クローズアップするよう自脳視覚中枢を制御していた筈。恐らくソレは彼の視界いっぱいにクローズアップされたことでしょう。抱き合うことは避けられたものの、銭湯文化を知らずに育った思春期前後の若者にとってはさぞショックが大きかったでしょう。

そのスタッフ。ひるがえした身が着地するや上半身をのけぞらせ、片手で額を覆いながら口を大きく開けました。目隠ししながら天を仰ぐそのポーズは「見てはいけないものを見てしまった」態。その光景に台詞をつけるなら「アッチャー」。そして彼はそのまましばし茫然。台詞は「んんん・・・」。

その時です。あたかもテレビや映画の効果音であるが如く、風呂場の方から桶を床に打ち付ける音が響いてきたのです。

音は「コッカーン」。彼は「アッチャー(ん)」。光景はしばし茫然の「ポッカーン」。

小林一茶の句すら脳裏をよぎる絶妙の間と取り合わせ。

しかしその後がいけなかった。

「ポッカーン」の彼。4~5秒の茫然自失の後、やにわに仰け反らせていた上半身を腹を抱えるように丸め込み、眉をひそめて顔をくしゃとゆがめ、口を縦に開け尖らせて「おえっ!」だって。

本気かどうかわかりません。照れ隠しかも。しかしそこは否が応でも客の裸が目に飛び込んでくる職場。見てはいけないものを見たのではなく、目に入って然るべきものが目に入っただけ。個人としての人情の機微はあるかも知れませんが、消化しなければ。いくら新人やアルバイトとは言え、プロなのだから。

それよりなにより、それ、君にもくっついているでしょう。



SUMA(スーマ)な人々「コッカーン・アッチャー(ん)・ポッカーン」(完)




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